当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当事業年度におけるわが国経済は、前事業年度からの新型コロナウイルス感染症流行の影響が継続する中、当事業年度後半には業種や地域によって状況は異なるものの経済活動や景気動向に一定の回復傾向が期待される状況となりました。その一方で、国際的な経済回復基調下において、資源・資材・原油価格等の取引価格が上昇傾向となる中で、2022年2月のロシアのウクライナ侵攻により生じたロシア産原油・天然ガスの供給懸念によって、エネルギー資源の国際取引価格が記録的な高値水準となるなど、その影響は現在でも先行き不透明な状況にあります。
当業界におきましては、前事業年度と比較して雇用や所得環境が回復傾向にあり、業績に大きく影響する持家着工戸数が前年を上回る水準で推移したものの、コロナ以前の水準には至らず、引き続き厳しい状況下にあります。
このような経営環境のもと、当社では、感染拡大防止対策をきっかけに、製品PR動画の配信やWEBセミナー、WEBカタログ、リモート営業といったデジタルコンテンツを用いた新たな営業活動の方策を実施いたしました。また、前述の資源・資材・原油価格等の上昇に対して2022年3月から主力製品の価格改定を行うなど、積極的な活動展開を進めました。その結果、売上高につきましては前年同期比6.2%増の7,739百万円となりました。
一方、損益面につきましては、歩留り・工場稼働率の向上に加え、継続的なコスト削減といった、ものづくり企業としての自助努力を推進いたしましたが、前述のエネルギー資源価格を中心とした急激なコスト増加を吸収するには至らず、当事業年度における売上原価率は、前年同期比4.2ポイント増の76.5%となり、売上総利益は前年同期比9.9%減の1,817百万円となりました。販売費及び一般管理費におきましては、WEB上での新たな営業活動や研究開発活動への先行投資は継続しつつも、同時にコスト削減も実施し、前年同期比0.7%増の1,667百万円となりました。
この結果、当事業年度の業績は、売上高7,739百万円(前年同期比6.2%増)、営業利益150百万円(前年同期比58.4%減)、経常利益189百万円(前年同期比56.0%減)、当期純利益128百万円(前年同期比56.0%減)の増収減益となりました。
なお、当事業年度の経営成績を踏まえ、前述の通り、原材料費・エネルギーコスト・運送費・設備維持費等の上昇が、自助努力では吸収できる範囲を大きく超えていることから、2022年3月より製品価格の改定を実施し、適正取引価格の浸透に注力しております。
当事業年度末の資産につきましては、現金及び預金の減少318百万円(前事業年度末比16.4%減)等により15,728百万円(前事業年度末比1.0%減)となりました。
負債につきましては、短期借入金の減少300百万円(前事業年度末比16.7%減)等により4,004百万円(前事業年度末比4.7%減)となりました。純資産につきましては、利益剰余金の増加37百万円(前事業年度末比0.6%増)等により11,724百万円(前事業年度末比0.3%増)となりました。
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べて318百万円減少し、1,615百万円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、得られた資金は、216百万円となりました(前年同期間に比べ277百万円の減少)。
営業活動による資金の増加要因としては、主に税引前当期純利益189百万円、減価償却費225百万円及び仕入債務の増加額146百万円等によるものです。
一方、資金の減少要因としては、主に法人税等の支払額162百万円、売上債権の増加額132百万円等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は、144百万円となりました(前年同期間に比べ91百万円の増加)。
投資活動による資金の減少要因としては、主に固定資産の取得による支出144百万円等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、使用した資金は、390百万円となりました(前年同期間に比べ288百万円増加)。
財務活動による資金の減少要因としては、短期借入金の減少額300百万円及び配当金の支払額90百万円によるものです。
当事業年度の生産実績を品目別に示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は平均売価によっております。
当事業年度の製品の仕入実績及び商品の仕入実績を品目別に示すと、次のとおりであります。
(注) 1.金額は仕入価格によっております。
2.商品の「その他」は、S形瓦・いぶし瓦・副資材が主力であります。
当社は受注見込みによる生産方式をとっておりますので、該当事項はありません。
④ 販売実績
当事業年度の販売実績を品目別に示すと、次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社の当事業年度の財政状態及び経営成績等は、売上高が前年同期比6.2%増の7,739百万円となった一方、売上総利益1,817百万円(前年同期比9.9%減)、営業利益150百万円(前年同期比58.4%減)、経常利益189百万円(前年同期比56.0%減)、当期純利益128百万円(前年同期比56.0%減)の増収減益となりました。
当社の経営成績に重要な影響を与える外的要因としては、国内の持家着工戸数及び燃料価格の変動が挙げられます。国内の持家着工数は、景気動向や金利動向、政府による各種施策による影響を受け、燃料価格は国際的な原油価格の動向に影響を受けます。当事業年度においては、持家着工戸数の増加があったものの、原油価格の上昇が大きく上記経営成績に影響しております。
新型コロナウイルス感染症の流行拡大については、当事業年度においては、前事業年度と比較して持家着工戸数及び売上高への影響は限定的でありました。一方で、ウクライナをめぐる国際情勢に関し、燃料価格をはじめとしたエネルギーコストの上昇が当事業年度の売上原価へ一定の影響があり、今後も原油価格の変動により業績に影響を与える可能性があります。
経営方針・経営戦略につきましては、1「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」(1) 会社の経営の基本方針、(2) 経営環境、中長期的な会社の経営戦略・優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題についてに記載のとおりであります。
経営上の目標及びその達成状況を判断するための客観的な指標等については、装置産業である当社の事業内容を鑑み、売上高経常利益率の向上と、自己資本比率を中心とした財務体質の強化を目指しておりますが、前述の外部環境による影響に加え、先行的な設備投資や研究開発活動等によって左右されるため、具体的な数値目標は公表しておりません。なお、当事業年度としては、前述の外部環境の影響が大きくコスト削減等の自助努力はあったものの経常利益率は2.5%となりました。一方で、借入金の返済によって自己資本比率は74.5%となりました。
当社の資本の財源及び資金の流動性については、前述の (1) 経営成績等の概況及び分析 ③ 当事業年度のキャッシュ・フローの概況及び分析 に記載のとおりであり、財務方針については後述の ② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報 に記載のとおりであります。
なお、当社は粘土瓦の製造・販売事業の単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しておりますが、前述の (2) 生産、受注及び販売の実績 にて、製品の品種別に実績を記載しております。住宅様式の洋風化に伴い、従来の和風のJ形瓦から、洋風のF形瓦・M形瓦への需要の移行が継続しております。
当社の所要資金調達は大きく分けて設備投資資金・運転資金となっております。基本的には営業活動によるキャッシュ・フローの増加を中心としながらも、多額の設備資金につきましては、その時点で最適な方法による調達を原則としております。
また、銀行借入金につきましては、阿久比工場用地・衣浦工場用地を始め、担保に供していない資産もあり、借入限度枠にも余裕があり、手元流動性預金・手形割引とあわせ、緊急な支払にも対応可能な体制を整えております。
余資の運用につきましては、借入金の返済を最優先としております。当事業年度においては、前事業年度末に繰り越した現金と当事業年度の営業活動によって得られたキャッシュ・フローを設備投資及び借入金の返済に充当しております。
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づき作成しております。
この財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、ウクライナをめぐる国際情勢の影響も含めて当事業年度末において合理的と考えられる様々な要因を勘案した結果、翌事業年度の財務諸表に重要な影響を及ぼすリスクはないものと判断しております。詳細は、 第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 「注記事項」(重要な会計上の見積り) に記載のとおりであります。
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