業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

 (1) 経営成績

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染拡大が続く中、ワクチン接種等の感染対策により経済活動の持ち直しが期待されましたが、新たな変異株により感染が再拡大する等、未だ収束は見通せず景気の停滞が懸念されております。また、ウクライナ情勢を巡る地政学的リスク、原材料価格の高騰等の影響により依然として先行き不透明な状況が続いております。

当社グループの主な事業領域である建設・建材業界では、工事の延期や中断、新規着工の遅れによる工期のずれ込み等の影響を受け、需要は低調に推移いたしました。

工業製品・エンジニアリング事業領域では、民間設備投資の減少により、市況の鈍化が続いております。

このような環境の下、当社グループは「2023中期経営計画(2021年度~2023年度)」の初年度である当連結会計年度の売上高は35,923百万円(前期比3.4%減収)営業利益1,440百万円(前期比2.1%減益)経常利益1,563百万円(前期比1.0%減益)親会社株主に帰属する当期純利益958百万円(前期比31.7%増益)となりました。最終年度となる2023年度には売上高43,000百万円、営業利益3,000百万円の達成を目指しております。

なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を当連結会計年度の期首より適用しており、当連結会計年度の売上高は576百万円減少しております。詳細につきましては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (会計方針の変更)」をご参照ください。

 

セグメント別の経営成績は以下のとおりであります。

 

 建設・建材事業

材料販売につきましては、主力商品である けい酸カルシウム板「ハイラックフネン」及び曲面施工が可能なオリジナル商品「エフジーボード」は、民間設備投資が低調に推移し、国内出荷は減少いたしましたが、台湾向けのけい酸カルシウム板は前期の市況低迷の反動もあり、建設需要が回復し、国内出荷の減少を補いました。高付加価値商品である内装不燃化粧板は、工事の延期や新規工事物件が減少する中でも、施工現場での施工時間を短縮し廃棄物低減となる、テープのみで内壁だけでなく天井施工も可能となった「ステンドSpeed工法」が施工現場に普及し、堅調に推移いたしました。耐火二層管については、需要の減少や製造原価の上昇を受け、2022年3月をもって耐火二層管事業から撤退することとなりました。

材料販売全体の売上高は10,898百万円(前期比3.8%減収)となりました。

工事につきましては、第3四半期以降、着工が遅れていた大型再開発物件の一部が始動する等、回復の兆しが見られましたが、首都圏の大型再開発物件をはじめ全国的な大型工事物件においては工期遅延が続き、工事販売全体の売上高4,938百万円(前期比2.5%減収)となりました。工程管理や原価管理を徹底し収益改善を図ると共に、昨年度に上市した完全無機質のリサイクル資源エコ材料を活用したロックウール系不燃断熱材「フェザーロックNeo」の拡販による販売網の強化に努めております。

以上の結果、材料販売及び工事を合わせた建設・建材事業全体の売上高は15,837百万円(前期比3.4%減収)となりました。

なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は28百万円減少しております。

 

  工業製品・エンジニアリング事業

材料販売につきましては、船舶関連では、国内各造船所の新規建造隻数の落ち込みにより防熱材の出荷が減少いたしました。鉄鋼・非鉄関連は、海外においてアルミ溶融設備向け断熱材「レセパルHS」の販売が伸長いたしました。プラント関連では、非金属製伸縮継手「APコネクター」が電力会社向けのメンテナンス工事や新規工事物件で受注が増加し出荷は順調に推移いたしました。保温・築炉、環境・エネルギー関連は、新規拡販による各種断熱工事向け高性能断熱材やごみ焼却処理施設向け「APコネクター」の出荷が増加いたしました。

 

また、自動車関連は、車載用半導体部品の供給不足による影響がありましたが、コロナ禍により生産調整していた製品の反動需要が高まり、国内外で出荷が増加し、材料販売全体の売上高は7,489百万円(前期比11.9%増収)となりました。

工事につきましては、主力であるプラント向けメンテナンス工事は工期のずれ込みによる影響を受け、工事販売全体の売上高12,542百万円(前期比10.9%減収)となりましたが、大型物流施設断熱外壁パネル工事や大型船舶防熱工事を受注する等、受注環境は回復基調にあります。

以上の結果、材料販売及び工事を合わせた工業製品・エンジニアリング事業全体の売上高は20,032百万円(前期比3.6%減収)となりました。

なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高は548百万円減少しております。

 

  その他

不動産賃貸収入につきましては、売上高は54百万円(前期比18.6%増収)となりました。

 

  生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。

  ① 生産実績

  当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

建設・建材事業

5,378

△4.9

工業製品・エンジニアリング事業

3,668

21.4

合計

9,046

4.2

 

(注) 金額は、製造原価によっております。

 

  ② 受注実績

  当連結会計年度における工事部門の受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

  なお、製品は主として見込生産を行っているため、該当事項はありません。

 

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

建設・建材事業

4,536

△16.2

2,857

△10.2

工業製品・エンジニアリング事業

14,565

10.5

6,267

30.6

合計

19,102

2.7

9,124

14.3

 

(注) セグメント間の取引については、相殺消去しております。

 

  ③  販売実績

  当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

建設・建材事業

15,837

△3.4

工業製品・エンジニアリング事業

20,032

△3.6

その他

54

18.6

合計

35,923

△3.4

 

(注) セグメント間の取引については、相殺消去しております。

 

(2) 財政状態

当社グループの当連結会計年度末の財政状態について分析しますと、総資産は前連結会計年度末に比べて、1,971百万円減少し36,231百万円となりました。

流動資産は、前連結会計年度末に比べ2,388百万円減少し17,151百万円となりました。この主な要因は完成工事未収入金及び契約資産が増加した一方で未成工事支出金が減少したこと等によるものです。

固定資産は、前連結会計年度末に比べ416百万円増加し19,080百万円となりました。この主な要因は建設仮勘定が減少した一方で機械装置及び運搬具土地リース資産が増加したこと等によるものです。

流動負債は、前連結会計年度末に比べ1,857百万円減少し13,801百万円となりました。この主な要因は未成工事受入金が減少したこと等によるものです。

固定負債は、前連結会計年度末に比べ697百万円減少し6,753百万円となりました。この主な要因は訴訟損失引当金及び退職給付に係る負債が減少したこと等によるものです。

純資産は、前連結会計年度末に比べ583百万円増加し15,676百万円となりました。この主な要因は利益剰余金が増加したこと等によるものです。

 

(3) キャッシュ・フロー

当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ15百万円減少し2,324百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動による資金の増加は、1,741百万円(前期は1,076百万円の増加)となりました。この主な要因は売上債権の増加により資金が減少した一方で税金等調整前当期純利益の計上、棚卸資産の減少により資金が増加したこと等によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動による資金の減少は、1,654百万円(前期は1,215百万円の減少)となりました。この主な要因は有形固定資産の取得による支出により資金が減少したこと等によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動による資金の減少は、113百万円(前期は418百万円の増加)となりました。この主な要因は短期借入金の純増額により資金が増加した一方で長期借入金の返済による支出、配当金の支払額により資金が減少したこと等によるものです。

 

(4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

①資本の財源

当社グループの主な資金需要は、製品製造のための材料費、労務費、経費、販売費及び一般管理費等の営業費用並びに生産設備の増強、改修等に係る投資によるものであります。これらの資金需要につきましては、営業活動によるキャッシュ・フローから得られる資金及び金融機関からの借入による資金調達にて対応していくこととしております。

 

②資金の流動性

手許の運転資金については、事業規模に応じた現金及び現金同等物の適正額を維持することとしています。また、当社及び国内子会社において当社のCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入することにより、各社における余剰資金を当社へ集中し、資金効率の向上を図っております。

 

 

(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは 「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

①固定資産の減損

当社グループは、固定資産のうち減損の兆候があると判定された資産について、経営者が承認した事業計画に基づき、将来キャッシュ・フローを見積りして減損損失の認識を判定し、その必要があると判定された場合は金額を測定して減損損失を計上しております。

翌連結会計年度の将来キャッシュ・フローについては、ウクライナ情勢等による原材料・エネルギーコストへの影響や新型コロナウイルス感染症等の影響も含め、現時点において保守的に見積りしておりますが、当社グループの業績や財政状態に大きな影響を与える要因が発生した場合には、減損処理が必要となる可能性があります。

 

②繰延税金資産

当社グループは、繰延税金資産の回収可能性の判断にあたり、経営者が承認した事業計画に基づき、将来の課税所得を見積りしております。その結果、回収可能性が認められない金額については評価性引当額を計上しております。

翌連結会計年度の課税所得については、ウクライナ情勢等による原材料・エネルギーコストへの影響や新型コロナウイルス感染症等の影響も含め、現時点において保守的に見積りしておりますが、当社グループの業績や財政状態に大きな影響を与える要因が発生した場合には、繰延税金資産の計上に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

③訴訟損失引当金

当社グループは、建設アスベスト訴訟に係る訴訟損失引当金について、高等裁判所の判決及び最高裁判所の判決等に基づき、金額を見積りしております。

翌連結会計年度において、新たな訴訟、新たな判決が確定した場合には、訴訟損失引当金の計上に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

④退職給付債務及び退職給付費用

当社グループの退職給付債務及び退職給付費用は、主として数理計算で設定される退職給付債務の割引率、年金資産の長期期待運用収益率等に基づいて計上しております。割引率については、安全性の高い債券の利回りを基礎として決定しており、長期期待運用収益率については、資産構成別に過去の利回りを基礎として決定しております。

割引率及び長期期待運用収益率の変動は、翌連結会計年度の退職給付債務及び退職給付費用に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤棚卸資産の評価

当社グループの棚卸資産の連結貸借対照表価額につきましては収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定しております。評価額については過去の販売実績や足元の販売動向を基礎として算定しておりますが、製品の品質に重要な欠陥が生じた場合や、翌連結会計年度の市場環境に重要な影響を与える要因が発生した場合には、棚卸資産の評価額に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

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