業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営成績の状況

当連結会計年度の我が国経済は、海外経済の回復に伴う輸出の増加などを背景に、持ち直しの動きが見られました。海外経済は、米国での個人消費や設備投資の増加、欧州での個人消費の回復など、持ち直しの動きが続いたものの、中国においてインフラ投資が減退したことや、新型コロナウイルス感染症の再拡大などの影響により、全体としては回復ペースが鈍化しました。また、原材料及びエネルギー価格の高騰が長期化したことに加え、世界的な半導体不足や東南アジアでの感染症拡大などに伴う部品供給不足により、自動車減産の影響が拡大するなど、当社を取り巻く事業環境は厳しい状況が続きました。

このような中、当社は引き続きコスト削減をはじめとする収益改善や安定生産に取り組むとともに、販売価格の改善に努めてまいりました。

この結果、当連結会計年度の売上高は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた前連結会計年度に比べ3,770億円増収の2兆825億円となり、営業利益は前連結会計年度比572億円増益の876億円、経常利益は前連結会計年度比770億円増益の932億円となりました。特別損失として投資有価証券売却損92億円を計上し、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度比368億円増益の600億円となりました。

 

当連結会計年度のセグメント毎の状況は、次のとおりであります。

 

<素材系事業>

[鉄鋼アルミ]

(鉄鋼)

鋼材の販売数量は、自動車及び建築向けを中心に前連結会計年度を上回りました。販売価格は、鋼材市況上昇の反映や原料価格上昇分の転嫁などにより、前連結会計年度を上回りました。

この結果、売上高は、前連結会計年度比33.2%増の7,510億円となりました。経常損益は、原料価格上昇分の販売価格への転嫁時期のずれによる減益要因がある一方、販売数量の増加や原料価格の上昇に伴う在庫評価影響の改善などにより、前連結会計年度比579億円改善の346億円の利益となりました。

(アルミ板)

アルミ板の販売数量は、飲料用缶材向けの拡販に加え、自動車向け需要の増加及び拡販により、前連結会計年度を上回りました。

この結果、売上高は、前連結会計年度比23.7%増の1,638億円となりました。経常利益は、販売数量の増加に加え、在庫評価影響による損益が前連結会計年度に比べて改善したこともあり、前連結会計年度比22億円増益の28億円となりました。

 

鉄鋼アルミ全体では、売上高は、前連結会計年度比31.4%増の9,149億円となり、経常損益は、前連結会計年度比601億円改善の375億円の利益となりました。

 

[素形材]

素形材の販売数量は、自動車及びIT・半導体向けを中心に、前連結会計年度を上回りました。

この結果、売上高は、前連結会計年度比39.9%増の3,332億円となりました。経常損益は、販売数量の増加に加え、銅市況の上昇に伴う在庫評価影響の改善などもあり、前連結会計年度比173億円改善の51億円の利益となりました。

 

[溶接]

溶接材料の販売数量は、国内では建築鉄骨向けを中心に、前連結会計年度を上回りました。海外では東南アジアにおける自動車及び建設機械向け需要が回復したことなどにより、前連結会計年度を上回りました。

この結果、売上高は、前連結会計年度比9.9%増の769億円となり、経常利益は、前連結会計年度比10億円増益の27億円となりました。

 

 

<機械系事業>

[機械]

受注高は、設備投資の回復などにより、前連結会計年度比55.2%増の2,066億円となり、受注残高は1,570億円となりました。※

売上高は、新型コロナウイルス感染症の影響に伴い前連結会計年度の受注が低調であったため、前連結会計年度比4.8%減の1,668億円となり、経常利益は、サービス案件の増加や案件構成の変化に伴う利益率の改善により、前連結会計年度比10億円増益の125億円となりました。

※受注高について、従来は当社及び主要な連結子会社の受注高を集計しておりましたが、当連結会計年度より当社及び全ての連結子会社の受注高を集計する方法に変更しております。これに伴い、前連結会計年度の受注高も再集計し、比較しております。

 

[エンジニアリング]

受注高は、還元鉄関連事業や廃棄物処理関連事業において複数の大型案件を受注したことなどにより、前連結会計年度比83.8%増の2,085億円となり、受注残高は3,430億円となりました。

また、売上高は、前連結会計年度並の1,356億円となる一方、経常利益は、前連結会計年度に新型コロナウイルス感染症の影響を受けた海外案件の進捗が改善したことや案件構成の変化に伴う利益率の改善などにより、前連結会計年度比33億円増益の77億円となりました。

 

[建設機械]

油圧ショベルの販売台数は、インフラ投資が減退した中国で需要減が見られるものの、東南アジア、欧州を中心にインフラ投資の拡大を受けて需要が回復したことから、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた前連結会計年度を上回りました。一方、クローラクレーンの販売台数は、エンジン認証問題の影響を受けた北米で減少したものの、インドや欧州の需要回復などにより前連結会計年度並となりました。

この結果、売上高は、前連結会計年度比11.5%増の3,716億円となりました。経常利益は、為替相場がドル、ユーロに対して円安となった影響があるものの、販売構成の悪化や調達コストの増加などにより、前連結会計年度比6億円減益の120億円となりました。

 

<電力事業>

[電力]

販売電力量は、真岡発電所における法定点検の実施に伴う稼働日数差や、前連結会計年度においては電力需給ひっ迫対応による増益影響があったことなどから、前連結会計年度を下回りました。電力単価は発電用石炭価格の上昇の影響を受け、前連結会計年度を上回りました。

この結果、売上高は、前連結会計年度比36.6%増の1,098億円となりました。経常利益は、販売電力量減少の影響などにより、前連結会計年度比74億円減益の132億円となりました。

 

<その他>

売上高は、前連結会計年度比3.6%増の288億円となり、経常利益は、前連結会計年度比28億円増益の70億円となりました。

 

(2)財政状態の状況

当連結会計年度末の総資産は、原料価格の上昇により棚卸資産が増加したことなどから、前連結会計年度末に比べ1,458億円増加し2兆7,287億円となりました。また、負債については、原料価格の上昇により支払手形及び買掛金が増加したことなどから、前連結会計年度末に比べ429億円増加し1兆8,563億円となりました。また、純資産については、親会社株主に帰属する当期純利益を計上したことなどから、前連結会計年度末に比べ1,029億円増加し8,723億円となりました。

 

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標

目標指標推移

目標指標

目標

(2023年度)

2018年度

(実績)

2019年度

(実績)

2020年度

(実績)

2021年度

(実績)

ROIC

(税引後事業利益/投下資本)

5%以上

2.8%

0.9%

1.1%

4.7%

D/Eレシオ(注1)

(有利子負債/自己資本)

0.7倍以下

0.98倍

(注2)

1.19倍

(注3)

1.11倍

(注4)

0.80倍

(注5)

(注)1.プロジェクトファイナンスを含まない

2.2019年度分借入金の前倒し調達(921億円)含む

  前倒し調達除く2018年度D/Eレシオ:0.85倍

3.2020年度分借入金の前倒し調達(621億円)含む

  前倒し調達除く2019年度D/Eレシオ:1.10倍

4.2021年度分借入金の前倒し調達(1,862億円)含む

  前倒し調達除く2020年度D/Eレシオ:0.84倍

5.2022年度分借入金の前倒し調達(1,011億円)含む

  前倒し調達除く2021年度D/Eレシオ:0.68倍

 

(4)グループ中期経営計画の進捗

当社グループは、「KOBELCOグループ中期経営計画(2021~2023年度)」で、「安定収益基盤の確立」、「カーボンニュートラルへの挑戦」の2つを最重要課題とし、新規電力プロジェクトの立上げが完遂し、収益貢献がフルに寄与する2023年度にROIC(投下資本収益率)5%以上の収益レベルを確保し、さらに、将来の姿として、ROIC8%以上を安定的に確保し、持続的に成長する企業グループを目指しております。

中期経営計画の初年度となる2021年度の経済環境は、海外経済の回復に伴う輸出の増加などを背景に、持ち直しの動きが見られましたが、原材料やエネルギー価格の高騰が長期化していることに加え、世界的な半導体不足や、コロナ影響に伴う部品供給不足によって、自動車の減産影響が拡大するなど、当社を取り巻く事業環境は厳しい状況が続きました。

このような中、コスト削減をはじめとする収益改善や安定生産に取り組むとともに、販売価格の改善に努めてまいりました。この結果、2021年度の経常利益は932億円、ROICは4.7%となりました。目標とする2023年度ROIC5%以上の収益レベルの確保に向けて、引き続き「安定収益基盤の確立」のために中期経営計画で掲げた5つの重点施策である、「鋼材事業の収益基盤強化」、「新規電力プロジェクトの円滑な立上げと安定稼働」、「素材系事業の戦略投資の収益貢献」、「不採算事業の再構築」、「機械系事業の収益安定化と成長市場への対応」に着実に取り組むとともに、調達コストアップ分の販売価格への転嫁を早期かつ着実に実行してまいります。

 

(5)生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度における下記セグメントの生産実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

区分

生産数量(千トン)

前連結会計年度(2020年4月~

  2021年3月)

当連結会計年度(2021年4月~

  2022年3月)

差異

前期比 (%)

鉄鋼アルミ

粗鋼

5,870

6,667

797

13.6

アルミ板

314

356

42

13.4

素形材

アルミ押出

34

41

7

20.3

銅板

48

60

12

24.4

銅管

65

76

11

17.2

(注)粗鋼には、高砂製作所の電炉の生産数量を含めております。

 

b.受注実績

 当連結会計年度における下記セグメントの受注実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

区分

受注高(百万円)

前連結会計年度(2020年4月~2021年3月)

当連結会計年度(2021年4月~2022年3月)

差異

前期比

(%)

機械

国内

58,564

73,175

14,611

24.9

海外

74,583

133,446

58,863

78.9

合計

133,147

206,622

73,475

55.2

エンジニアリング

国内

94,281

151,719

57,437

60.9

海外

19,172

56,801

37,629

196.3

合計

113,454

208,521

95,066

83.8

 

セグメントの名称

区分

受注残高(百万円)

前連結会計

年度末

(2021年3月)

当連結会計

年度末

(2022年3月)

差異

前期比

(%)

機械

国内

26,339

34,875

8,535

32.4

海外

91,684

122,146

30,462

33.2

合計

118,023

157,022

38,998

33.0

エンジニアリング

国内

231,770

269,500

37,730

16.3

海外

50,403

73,558

23,155

45.9

合計

282,173

343,058

60,885

21.6

(注)1.機械では、前連結会計年度まで当社及び主要な連結子会社の受注高を集計しておりましたが、当連結会計年度より、当社及び全ての連結子会社の受注高を集計する方法に変更しております。これに伴い、前連結会計年度の受注高も再計算しております。

2.当連結会計年度において、機械における受注実績が著しく増加しております。詳細については、「(1)経営成績の状況」をご覧ください。

 

c.販売実績

 当連結会計年度におけるセグメント毎の販売実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前連結会計年度

(2020年4月~

  2021年3月)

当連結会計年度

(2021年4月~

  2022年3月)

差異

前期比 (%)

 

鉄鋼

563,883

751,062

187,179

33.2

 

アルミ板

132,437

163,847

31,410

23.7

鉄鋼アルミ

696,321

914,909

218,587

31.4

素形材

238,129

333,261

95,131

39.9

溶接

70,017

76,924

6,907

9.9

機械

175,318

166,847

△8,470

△4.8

エンジニアリング

136,138

135,661

△477

△0.4

建設機械

333,179

371,631

38,452

11.5

電力

80,440

109,866

29,426

36.6

その他

27,813

28,812

998

3.6

調整額

△51,791

△55,331

△3,539

合計

1,705,566

2,082,582

377,016

22.1

(注)1.当連結会計年度において、鉄鋼における販売実績が著しく増加しております。詳細については、「(1)経営成績の状況」をご覧ください。

2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

 

相手先

前連結会計年度

(2020年4月~2021年3月)

当連結会計年度

(2021年4月~2022年3月)

金額 (百万円)

割合 (%)

金額 (百万円)

割合 (%)

神鋼商事(株)

215,575

12.6

277,119

13.3

 

 

(6)資本の財源及び資金の流動性に関する情報

①資本の財源及び資金の流動性

a.財務戦略

「KOBELCOグループ中期経営計画(2021~2023年度)」における財務戦略の基本方針は、新規の設備投資・投融資を厳選した上で、投資キャッシュ・フローを営業キャッシュ・フローの範囲内とし、2023年度末のD/Eレシオの目標を0.7倍以下とすることとしております。また、運転資金改善等の活動を継続して進めるとともに、営業キャッシュ・フローの下振れリスクに備えて、モニタリング強化による投資案件の精査・厳選、事業用資産の売却・流動化、政策保有株式売却等のバックアップ策の検討・準備を進めることとしております。

本方針のもと、2021年度は、設備投資・投融資委員会を通じた新規設備投資・投融資の厳選、事業ポートフォリオ管理委員会によるキャッシュ・フローのモニタリング強化に取り組みました。

その結果、2022年度分借入金の前倒し調達(1,011億円)を除くD/Eレシオ(プロジェクトファイナンスを除く)は0.68倍となり、目標である0.7倍以下を2年前倒しで達成しました。

引き続き、新規の設備投資・投融資案件の厳選に取り組むとともに、ROIC管理の強化を通じて、運転資金の改善を図ることで、財務規律の維持・向上を推進してまいります。

 

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b.資金需要の主な内容

当社グループの資金需要は、営業活動については、生産活動に必要な運転資金(材料・外注費及び人件費等)、受注獲得のための販売費、製品競争力強化・ものづくり力強化に資するための研究開発費が主な内容です。投資活動については、設備老朽化に伴う更新投資や事業伸張・生産性向上を目的とした設備投資及び事業遂行に関連した投融資が主な内容です。

今後、将来見込まれる成長分野での資金需要や、最新の市場環境及び受注動向も勘案し、資産の圧縮及び投資案件の選別を行う一方、必要な設備投資や研究開発投資等を継続してまいります。

 

②当連結会計年度の実績

a.プロジェクトファイナンスを除くキャッシュ・フローの状況の分析

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、営業活動によるキャッシュ・フローに係る収入が1,816億円、投資活動によるキャッシュ・フローに係る支出が△1,250億円、財務活動によるキャッシュ・フローに係る支出が△1,203億円となりました。

以上の結果、フリーキャッシュ・フローは566億円の収入となり、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は前連結会計年度末に比べ586億円減少の2,432億円となりました。

 

 

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

素材系事業を中心とした販売数量の増加などにより、税金等調整前当期純利益が増益となった一方、原料市況高騰に伴い棚卸資産が増加したことや、前年同期に事業環境の悪化を受け、緊急措置として実施した棚卸資産削減や債権流動化などのキャッシュ・フロー改善策による収入が減少したことで前連結会計年度に比べて当連結会計年度の運転資金は悪化いたしました。

この結果、当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べて283億円収入が減少し、1,816億円となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

前年同期に実施した関係会社株式売却や固定資産売却などのキャッシュ・フロー改善策による収入が減少したことに加え、大型戦略投資の支払いが増加したことなどから、当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べて430億円支出が増加し、△1,250億円となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

借入金の返済等により支出が増加したことから、当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べて1,589億円支出が増加し、△1,203億円となりました。

 

 

 

(単位:億円)

 

2020年度

2021年度

差異

営業キャッシュ・フロー

2,100

1,816

△283

投資キャッシュ・フロー

△819

△1,250

△430

フリーキャッシュ・フロー

1,281

566

△714

財務キャッシュ・フロー

385

△1,203

△1,589

(うち、株主還元)

(△0)

(△72)

(△71)

株主還元後のフリーキャッシュ・フロー

1,280

494

△786

現金及び現金同等物の期末残高

3,018

2,432

△586

 

(ご参考)

プロジェクトファイナンスを含むキャッシュ・フロー

 

(単位:億円)

 

2020年度

2021年度

差異

営業キャッシュ・フロー

1,947

1,688

△259

投資キャッシュ・フロー

△1,418

△1,615

△196

フリーキャッシュ・フロー

529

72

△456

財務キャッシュ・フロー

1,184

△691

△1,875

(うち、株主還元)

(△0)

(△72)

(△71)

株主還元後のフリーキャッシュ・フロー

528

0

△528

現金及び現金同等物の期末残高

3,173

2,605

△567

 

b.プロジェクトファイナンスを除く有利子負債の状況

有利子負債は、借入金の返済等により前連結会計年度から1,306億円減少の6,551億円となり、株主資本は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により、633億円増加の7,831億円となりました。

当社グループは比較的工期の長い工事案件が多く、生産設備も大型機械設備を多く所有していることなどから、一定水準の安定的な運転資金及び設備資金を確保しておく必要があり、当連結会計年度末の有利子負債の構成は、返済期限が1年以内のものが1,054億円、返済期限が1年を超えるものが5,496億円となっております。

 

 

2020年度

2021年度

有利子負債(注3)

7,857

6,551

有利子負債(注4)

(プロジェクトファイナンスを含む)

9,878

9,084

株主資本

7,197

7,831

D/Eレシオ

(プロジェクトファイナンスを除く)

1.11倍

(注1)

0.80倍

(注2)

(注1)2021年度分借入金の前倒し調達(1,862億円)含む

前倒し調達除く2020年度D/Eレシオ:0.84倍

(注2)2022年度分借入金の前倒し調達(1,011億円)含む

前倒し調達除く2021年度D/Eレシオ:0.68倍

 

(注3)当連結会計年度末現在の有利子負債の内訳

 

合計

1年内

1年超

短期借入金

303

303

長期借入金

5,537

499

5,037

社債

710

251

459

合計

6,551

1,054

5,496

 

(注4)当連結会計年度末現在の有利子負債の内訳(プロジェクトファイナンスを含む)

 

合計

1年内

1年超

短期借入金

303

303

長期借入金

8,070

569

7,501

社債

710

251

459

合計

9,084

1,124

7,960

 

(7)重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、不正又は誤謬による重要な虚偽表示のない連結財務諸表を作成し適正に表示するために経営者が必要と判断した内部統制を整備及び運用しております。

 

 連結財務諸表の作成にあたり、経営者は、連結貸借対照表上の資産及び負債の計上額、並びに、連結損益計算書上の収益及び費用の計上額に影響を与えるような会計上の見積りを行う必要があります。会計上の見積りは、過去の経験やその時点の状況として妥当と考えられる様々な要素に基づき行っておりますが、前提条件や事業環境などに変化が生じた場合には、見積りと将来の実績が異なることがあります。

 会計上の見積りが必要となる項目のうち、経営者が当社グループの財政状態又は経営成績に対して重要な影響を与える可能性があると認識している主な項目は次のとおりです。

 

[棚卸資産の評価]

 当社グループは、販売目的で保有する棚卸資産について、期末における正味売却価額が取得原価より下落している場合には、正味売却価額をもって貸借対照表価額とし、取得原価との差額を簿価の切り下げ額として当期の費用に計上しております。連結貸借対照表の「棚卸資産」は、収益性の低下に基づく簿価切り下げ額160億円を差し引いて計上しております。

 正味売却価額については、期末前後における販売実績を基に、製品や原材料の価格動向等を踏まえて将来における売却価額を見積って算定しております。

 また、滞留棚卸資産について、合理的に算定された価額によることが困難な場合には、帳簿価額を処分見込価額まで切り下げる方法等により収益性の低下の事実を適切に反映しております。

 経営者は、棚卸資産の正味売却価額の算定に用いられる見積りは合理的であると考えておりますが、経済情勢が大きく変化し、製品や原材料の価格等の仮定に大きな変化が生じた場合、将来の棚卸資産の簿価切り下げ額に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

[受注契約に係る収益及び損失の評価]

 当社グループは、主に素形材の鋳鍛鋼品・チタン製品、機械及びエンジニアリングにおける受注契約のうち、履行義務が一定期間にわたり充足される工事契約については、主として顧客に提供する履行義務の充足に係る進捗度を見積り、当該進捗度に応じて収益を認識し、連結貸借対照表の「流動資産」の「契約資産」に298億円計上しております。 また、受注契約について工事原価総額が工事収益総額を超過する可能性が高く、かつ、その金額を合理的に見積ることができる場合には、その超過すると見込まれる額を、「受注工事損失引当金」として、連結貸借対照表の「流動負債」に147億円計上しております。

 進捗度は見積総原価に対する累積実績発生原価の割合で算出しております。見積総原価については、案件毎に労務費や資機材の調達価格等の費用を直近の工事スケジュールや過去の実績、調達先との交渉状況等から想定して算定しております。

 受注工事損失引当金の算定については、原則、一つの契約を一つの案件とし、案件単位で引当金の計上要否を判定しますが、同一と見なされる案件が複数の契約に分かれている場合や、本体とその据付工事等の関連の深い複数の契約を前後して受注した場合等においては、複数の契約を一つの案件とみなして判定します。

 経営者は、工事契約における進捗度に応じた収益の認識及び受注工事損失引当金の算定に用いられる見積りは合理的であると考えておりますが、工期や調達価格の仮定及び輸入する資機材の調達価格に影響を与える為替の前提条件等に大きな変化が生じた場合、見積総原価の変動により進捗度が変動することに伴って、工事契約における進捗度に応じた収益の認識及び受注工事損失引当金の計上額に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

[貸倒引当金]

 当社グループは、将来の債権の貸倒による損失に備えるため、一般債権については過去の貸倒実績率により、また貸倒懸念債権等の特定の債権については、個別に回収可能性を検討しその回収不能見込額を、連結貸借対照表の「流動資産」の「貸倒引当金」に△42億円、「固定資産」の「投資その他の資産」の「貸倒引当金」に△194億円計上しております。

 特定の債権について回収不能見込額を見積るにあたっては、直近の回収状況や取引先の経営状況等を総合的に判断しております。

 経営者は、貸倒引当金の算定に用いられる見積りは合理的であると考えておりますが、経済情勢や金融機関の貸出姿勢などにより、債務者の財政状態に大きな変化が生じた場合、回収不能見込額が変動し将来の貸倒引当金の計上額に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

[固定資産の減損]

 当社グループは、固定資産について営業損益が継続してマイナスとなるなど、減損の兆候があると判断された場合には、将来キャッシュ・フローを基に回収可能性を見積り、減損損失の認識の要否を判定し、資産グループから生じる将来キャッシュ・フロー総額が固定資産の帳簿価額を下回っている場合には減損損失を認識しております。

 当連結会計年度末の固定資産の帳簿価額1兆965億円(有形固定資産1兆601億円、無形固定資産363億円)には、減損の兆候があるものの減損損失を認識しなかった資産グループが複数存在しますが、そのうち主な資産グループは次のとおりです。

 

<建設機械>

 建設機械における当社の子会社であるコベルコ建機(株)の事業用固定資産について、海外における競合の激化、新型コロナウイルス感染症の影響による需要減少、鋼材などの調達コストの増加などの影響により営業損益が継続してマイナスとなったことから、減損の兆候があると判断しております。将来の事業計画においては、販売単価の改善、建設投資の増加に基づく販売地域での需要の拡大やマーケットシェアの拡大による販売台数の増加などを、主要な仮定として織り込んでおります。このような仮定の下で策定した事業計画を基に見積った割引前将来キャッシュ・フロー総額が固定資産の帳簿価額583億円を上回ることから、減損損失は認識しておりません。

 経営者は将来のキャッシュ・フローは合理的であると判断しておりますが、見積り時に設定した仮定と実際の結果に大きな乖離が見られるなど、見積りの前提に大きな変化が生じ、将来のキャッシュ・フローが下振れした場合、減損損失を認識する可能性があります。

 

[繰延税金資産]

 当社グループは、将来減算一時差異や税務上の繰越欠損金等のうち、将来課税所得を減算する可能性が高いと見込まれるものに対して、連結貸借対照表の「固定資産」の「投資その他の資産」の「繰延税金資産」に570億円を計上しております。

 当社グループでは、中期経営計画や予算など経営者が妥当と判断した事業計画に基づき将来の一定期間の課税所得を見積り、また将来減算一時差異については個別に解消見込み時期を判断し、一定期間に解消が見込まれると見積られる将来減算一時差異等に係る繰延税金資産については回収可能性が高いと判断しております。また、事業計画を策定するにあたっては、主要事業における需要や販売価格の予測などを、主要な仮定として織り込んでおります。

 経営者は、繰延税金資産の算定に用いられる見積りは合理的であると考えていますが、サプライチェーンの停滞や世界的な半導体不足の長期化などが与える需要分野への影響に加えて、原料・資材、エネルギー価格の上昇に対する販売価格への転嫁遅れなどにより、将来の課税所得が想定から大きく変動し繰延税金資産の回収可能性が大きく変動する場合や、税率の改正がある場合、 将来の繰延税金資産の計上額に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

[退職給付に係る資産、負債]

 当社グループは、退職給付に係る資産及び退職給付に係る負債について、割引率、退職率、死亡率、予想昇給率、年金資産の長期期待運用収益率などの計算基礎を用いた数理計算により見積っており、連結貸借対照表の「固定資産」の「投資その他の資産」の「退職給付に係る資産」に195億円、「固定負債」の「退職給付に係る負債」に799億円計上しております。

 特に割引率や長期期待運用収益率は重要な前提条件となりますが、割引率は、年度末における国債もしくは高格付社債の利回りに基づき、また長期期待運用収益率は、保有している年金資産のポートフォリオや、過去の運用実績、運用方針及び市場の動向等を考慮して、決定しております。

 経営者は、年金数理計算上用いられる前提条件は適切であると考えていますが、前提条件に大きな変化が生じた場合、将来の退職給付資産及び退職給付負債の計上額に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 採用している退職給付制度の概要や年金資産の主な内訳、主要な数理計算上の計算基礎については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 注記事項(退職給付会計関係)」に記載のとおりです。

 

[製品保証引当金]

 当社グループは、主に素形材の鋳鍛鋼品・チタン製品、機械、エンジニアリング及び建設機械において、製品販売後及び工事引渡後の保証費用の支出に備えるため、売上高に対する過去の実績率に基づいて算定した将来の負担見積額の他、保証費用を支払う可能性が高い特定案件については、案件毎の将来の負担見積額を、連結貸借対照表の「流動負債」の「製品保証引当金」に143億円計上しております。

 実績率については、売上高に対する過去の保証費用の支出額の割合に基づき算定しております。また、特定案件については、出荷した製品の不具合の内容を調査して、修復に係る費用を見積るとともに、不具合が当社の製品に起因しているか否かを判断し、契約等に基づき当社グループが負担する可能性が高いと判断される保証費用の支出額を算定しております。

 経営者は、製品保証引当金の算定に用いられる見積りは合理的であると考えておりますが、予期せぬ重大な不具合が発生した場合や、不具合の修復に係る費用が想定から大きく変動した場合等には、将来の製品保証引当金の計上額に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

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