当社及び当社グループの事業展開上のリスク要因について、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項には、以下のようなものがあります。なお、当該事項は当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
1. 事 業 関 連
(1)原材料等価格の変動
当社グループの購入する主原料(熱延鋼板)、副原料(亜鉛・アルミおよび塗料等)、その他各種資材等の価格は市況に大きく左右されます。主原料である熱延鋼板の価格は、いわゆる鉄鋼原材料である鉄鉱石と原料炭の価格変動の影響を受けますが、これらの価格はときに実需給によらず投機的な商品市況として変動する場合があります。また、熱延鋼板の市況は、海外市場と日本国内市場で乖離が発生する場合もあります。当社グループは原料の機動的な調達を強みとするとともに、顧客に対しても一定の価格交渉力を有しておりますが、当社が販売する商品の市況と原料市況が想定を超えて乖離する場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
新型コロナウイルス感染症の出現以降、その影響からの経済活動回復は世界各地域でまだら模様かつ一進一退の状況となっております。これにより鉄鋼需給バランスは不安定となり、海外鉄鋼市況が極めて短期間に急速に上昇し、日本国内市況もその影響を強く受ける状況が続いております。また、2022年にはロシアのウクライナ侵攻と欧米等によるロシアへの経済制裁などから、サプライチェーンの混乱の増大や資源・エネルギー価格の更なる上昇が現れ始めております。
これらの状況は当社グループの2023年3月期以降の業績に影響を及ぼす可能性がありますが、その影響の程度については流動的です。
当社グループとしましては、重要な調達先と戦略的に資本関係を結ぶなどして供給の安定を図るとともに、複数の調達先と機動的な交渉を行うこと、さらには調達先の一層の多様化を進めることでリスクの低減を図っております。
(2)クレーム
当社グループが製造・販売する製品や提供するサービス等に起因し、何らかのクレームが発生するリスクがあります。
このリスクについて、当社グループとして可能な限り低減の措置をとっておりますが、リスクが顕在化する時期やその影響の程度は流動的です。
当社グループとしましては、ISOの品質マネジメントシステムを主体とする品質保証体制のもと実効的な品質管理を行い、製品の性能と品質の確保に努めております。また、顧客対応の専用部署を設け、苦情や問い合わせに迅速かつ適切に対応することで、リスクの低減を図っております。なお、一部の製品を対象とする賠償責任保険に加入しております。
当社が2007年から2016年に製造した建築外装用カラー鋼板の一部で発生している美観および耐久性上の不具合に関し、将来の不具合発生にかかる補修費用等の発生リスクについては、「第5経理の状況 1.連結財務諸表等 (連結貸借対照表関係)4.偶発債務注記」を参照ください。
(3)新型コロナウイルス感染症の世界的流行による影響
中国武漢市での流行に端を発した新型コロナウイルス感染症問題は、その後の各国におけるワクチン接種の進展やいわゆる「ウィズコロナ」の行動様式の定着などから、欧米や日本などでは感染拡大のピークアウトの傾向も見られる一方で、変異株による感染拡大など依然予断を許さない状況が続いております。日本および海外子会社所在地のいずれにおいてもその状況は一進一退となっており、新規感染者数の動向や政府・地方自治体の感染拡大防止措置の内容によっては、当社グループの事業所のみならず、顧客や取引先の事業所において、生産・販売・間接業務など事業活動の全ての面で直接的な影響が及ぶ可能性があります。
また、当社グループの主力製品である冷延鋼板および表面処理鋼板は、建設関連および家電製品を中心に幅広い用途で使用されており、終息までの期間が長期にわたることで世界的なマクロ経済の停滞が発生する場合、当社グループの業績と財務状況に影響が及ぶ可能性があります。
新型コロナウイルス感染症の問題は2022年3月期の当社グループの業績に一定の影響を及ぼしましたがその程度は重大なものではありませんでした。同問題は引き続き当社グループの2023年3月期以降の業績と財務状況に影響を及ぼす可能性がありますが、その影響の程度は流動的です。
なお、中国ではいわゆる「ゼロコロナ」政策に伴う上海など大都市での都市封鎖が行われており、これによる企業活動の制約やサプライチェーンの混乱などから経済成長の鈍化が現れてはじめております。当社連結子会社であるYSS社においても、原材料等の調達先企業で生産や出荷が制限を受けており、これによりYSS社の生産活動に必要な原材料等の入庫が遅れるなど一部の生産ラインの操業に影響が出ております。また、YSS社からの出荷についても一部遅延が生じております。この状況が当社グループの2023年3月期の業績に与える影響は軽微であると判断しております。
当社グループとしましては、従業員の感染防止と安全確保等に努めるとともに、グループ各社が機動的に連携することで調達・生産・販売のリスク低減に取り組んでおります。
(4)海外情勢の変動
当社グループは海外では台湾、中国、タイに生産・販売拠点を有しており、各拠点の経済圏のみならず他の地域への輸出販売が連結売上高の相当な比率を占めております。これら海外市場での事業活動には以下のようなリスクが内在しております。
①保護主義的な貿易措置による輸出販売の制約
②不利な政治または経済要因による事業活動の制約
③予期しない法律及び規制並びに税制の変更による事業活動の制約
④各種要因からの社会的混乱による事業活動の制約
これらのリスクが顕在化する時期やその影響の程度については流動的です。
2022年2月に始まったロシアのウクライナ侵攻は、欧米等によるロシアへの経済制裁の影響も含め、世界的なサプライチェーンの混乱や各種資源・エネルギーの供給制約と価格高騰など、世界経済に大きな影響を及ぼしつつあります。これらの状況は当社グループの特に中長期的な事業活動に影響を及ぼす可能性がありますが、その程度は流動的です。
当社グループとしましては、複数の事業拠点を配することでリスクの分散を図るとともに、各拠点が連携をとって機動的に対処してまいります。
(5)為替の変動
当社グループの海外連結子会社の取引は、各所在国の現地通貨または米ドルでの契約が大半を占めていることから、これら通貨と日本円との為替レートの変動は、当社の連結の売上高・利益に直接的な影響を及ぼします。
米ドルに対する日本円の為替レートの変動は、直接的には当社および日本国内のグループ会社の輸出環境、日本国内市場における輸入競合製品との価格競争環境、当社の原材料の調達コスト等に影響を及ぼすとともに、間接的には日本のマクロ経済に影響を及ぼします。
これらのリスクが顕在化する時期やその影響の程度については流動的です。
当社グループでは、これら為替レートの動向に細心の注意を払うとともに、そのときどきの動向に応じた機動的な調達と販売施策を実行することで、収益の安定に努めております。
(6)気候変動
気候変動は中長期的に地球環境や世界的マクロ経済に大きな影響を及ぼす可能性があるとともに、当社グループの事業活動、業績や財務状況、ひいては事業形態にも大きな影響を及ぼす可能性があります。
当社は当連結会計年度より、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)のガイダンスに沿った気候変動シナリオ分析を開始しました。脱炭素社会へ向けた移行リスクとしては、カーボンプライシング(炭素税,CO2排出量取引)の導入による原材料及びエネルギー価格の上昇、環境規制の強化による設備投資の発生などが想定されます。また、当社グループ事業への物理的リスクとしては、自然災害の激甚化による当社事業所への被害やサプライチェーンの混乱などが予想されますが、これらのリスクが顕在化する時期や影響の程度については流動的です。
当社グループではさまざまな環境問題に対応するべく1999年に『環境宣言』及び『環境行動指針』を定め、「安全・安心・環境・景観」を全ての事業活動におけるキーワードとして、自然と調和し共生する企業活動に取り組んでおります。地球温暖化問題への取組としては、グループ全体で省エネルギーやCO2排出量の削減などを推進する為、環境マネジメントシステムを構築し、国内外の主要事業所においてISO14001を取得しております。
当社の外装建材商品では高強度かつ軽量で暴風・地震災害に強い鋼板製屋根・外壁商品、空調負荷の低減が期待できる高断熱屋根・外壁商品に注力しており、さらにはゲリラ豪雨時の道路冠水リスクを低減するグレーチング商品にも注力しております。当社グループでは気候変動をリスクとしてだけでなく機会として捉え、事業活動を通じて気候変動に関する社会課題の解決へ貢献してまいります。
2. 財 務 関 連
(1)減損会計による影響
当社グループの事業のセグメントの内、その他事業に属する資産グルーピングである「西脇カントリークラブ(ヨドコウ興発株式会社)」については、営業損失の計上が続いております。ヨドコウ興発株式会社は西脇カントリークラブにおける主要な固定資産をリニューアルし運営方法も見直すことで業績の改善を図る方針ですが、2023年3月期以降の事業計画に基づく将来獲得キャッシュフローの動向と当該資産グルーピングにおける固定資産の公正価値の評価いかんによっては、2023年3月期の連結業績において数億円の減損損失が生じる場合があります。
(2)保有株式の時価変動
当社は、事業の拡大と持続的成長のためにはさまざまな企業との協力関係が不可欠であるとの観点から、企業価値を向上させるための事業戦略上の重要性、取引先との事業上の関係等を総合的に判断し、政策的に株式を保有することとしております。この政策保有株式を含むその他投資有価証券については、金融商品会計基準に基づき、個々の銘柄の期末時点における時価が帳簿価額に比べ50%以上下落した場合には「著しく下落した」ものとみなして減損処理を行い、また30%以上50%未満下落した場合にも回復可能性の有無を判断し必要と認められた場合には減損処理を行い、簿価と時価との差額を評価損として特別損失に計上するという会計処理を行っております。経済情勢の変化等により、株価が大きく下落した場合には、この評価損の計上により当社グループの業績と財務状況に影響が及ぶ可能性があります。
このリスクが顕在化する時期や影響の程度は流動的です。
当社は、毎年、個別の政策保有株式の保有目的の妥当性や中長期的な保有の合理性について検証し、保有の合理性が認められないと判断したものは、適切な時期に純投資への振替や売却を進めております。
(3)退職給付債務
当社グループは、会計基準に従って退職給付債務を処理しておりますが、今後の経済情勢によっては退職給付債務の計算基礎となる事項(割引率、長期期待運用収益率等)について再検討する必要が生じる可能性があり、また、年金資産の運用環境によっては数理計算上の差異が多額に発生する可能性もあります。これらの場合、未積立退職給付債務の増加等、費用処理すべき債務金額が増加することにより、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。
このリスクが顕在化する時期や影響の程度は流動的です。
当社グループとしましては、毎年、年金運用プランの見直しを実施し年金資産の構成比率を変動させることにより、経済情勢に即した運用を実施することによって、退職給付債務が業績に与える影響を抑える取り組みを行っております。
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