課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)経営方針について

当社は2021年4月7日に第6次中期経営計画(2021年4月~2024年3月)を公表いたしました。

今中期経営計画は70周年を迎えた当社が、100周年を健全に迎えることができるサステナブル企業グループを目指すとの方針のもと、その基盤固めの3ヶ年と位置づけております。 経営計画を確実に推進することにより、経営基盤を確固としたものにし、また環境への配慮を更に進めゼロカーボンに向けた体制も早期に確立し、長期安定的な成長によるサステナブル企業グループを目指します。

 

第6次中期経営計画の内容は、以下の通りとなっております。

1.基本方針

①長期的成長のための収益基盤:売上高:2,000億円、営業利益:260億円、営業利益率:13%

②計画策定の前提となる経営環境の想定

・国内:鉄鋼需要は長期的な減少傾向にあるが、この3年間はコロナの影響が前半で収束し最終年度は2018年度のレベルまで回復

・海外:各国とも後半にはコロナの影響から脱し、アジアを中心に成長路線に戻る

・鉄鋼市況:前半は乱高下を予想するが、徐々に落ち着くと想定

・国内外の自動車関連:各国のEV化の動向を注視し、必要な対応を開始

・競争力のある原材料の安定的な調達に努力

 ③デジタル化の一層の推進による製造/営業での生産性向上

 ④ESGを意識した経営により、企業の長期的安定的成長を目指す

 

2.数値目標 (想定為替レート:1米ドル105円)

 

2021年度実績

第6次中計目標

国内連結

うち単体

海外連結

売上高(億円)

2,242

2,000

1,300

(1,050)

700

営業利益(億円)

363

260

195

(160)

65

営業利益率

16.2%

13.0%

15.0%

(15.2%)

9.3%

ROE

9.8%

6.5%

 

 

 

株主還元率

82.7%

50.0%

 

 

 

環境目標

国内グループで2030年に46%(2013年度比)CO₂排出量削減に向けて省エネ、低炭素燃料への転換等に取り組み、2023年度で30%(2013年度比)削減する

 

①売上高:国内外での販売数量の回復を見込

②営業利益/営業利益率:単体は営業利益率15%、主要連結各社は営業利益率最終10%

(Leavittのみ5%以上)を目標

③ROE:連結ROE6.5%を目標とする

④株主還元率:引き続き配当方針を堅持し高い還元率を実現

⑤環境方針:CO2排出量を2013年度比、国内グループ2030年△46%(2023年度比△30%)削減

 

3.計画実現に向けての主要施策

1)国内での取り組み

①生産販売の回復と高収益体質の維持

②丸一ステンレス鋼管の営業利益率10%目標:半導体/自動車向けBA管の生産能力増強、

自動化投資による生産効率の向上

③グループ企業間のシナジー効果の発揮:丸一ステンレス鋼管、東洋特殊鋼業、アルファメタル、丸一鋼販間

④堺工場のSR仕上工程、九州工場のGHライン、東京/名古屋工場の設備改修など168億円の投資

 

⑤生産及び営業でのデジタル化の一層の推進による生産性の向上

・IoT:生産ラインの稼働データの自動収集と分析システムの全工場への展開

・DXを活用した営業関連のIT化推進(WEB化、電子化、リモートワーク環境の整備等)

・AI/RPAを活用した事務システムの本格運用と利用範囲の拡大

・生産現場における検査と品質管理の全自動化

⑥ESGレポートの作成。ゼロカーボンへの対応の国内関連会社や海外現法への順次展開

⑦女性人材、海外人材の一層の活用

⑧遊休土地、建物の利活用

⑨オープンイノベーションの展開:設備メーカーとの協働による造管新技術の開発

顧客との協働によるソリューションビジネスの新たな取り組み

2)海外での取り組み

①営業利益率目標:米国Leavitt社の5%以外は10%の達成を目標とする

②SUNSCO:国内販売比率を更に高め(50%以上)収益基盤を強固に

第2冷延設備稼働によるコスト削減と品質の向上による収益への貢献

③自動車二輪車関係工場での設備投資の継続と収益の拡大

④インドKUMA社の四輪二輪の排ガス用ステンレス鋼管以外の製品需要の捕捉と投資の検討

⑤丸一ステンレス鋼管の海外進出の検討

⑥現地人材の育成による人材現地化の更なる推進

⑦海外でのESGへの取り組み

⑧国内外でのM&Aを含めた事業投資の積極的な検討の継続

 

 3)株主還元と社会貢献

①株主還元:配当方針の堅持

②社会貢献:各国での社会貢献を継続(配当実施後の純利益の1%程度を目途)

 

(2)経営環境及び対処すべき課題等について

今後の見通しにつきましては、新型コロナウイルス感染症の影響に加え、ロシアのウクライナ軍事侵攻による世界経済への新たなリスク等、引き続き厳しい状況が見込まれます。米国では高騰を続けていた熱間圧延コイル(HRC)価格(英国CRU社による米国中西部コイル価格指数)は、昨年9月末のメトリックトン当たりUS$2,159の過去最高値から下がり始め、3月にはUS$1,031まで下落したものの、ウクライナ侵攻の影響から足元US$1,600台まで上昇しております。アジアではいまだコロナ禍に苦しむ国が多く、中国ではゼロコロナ及び共同富裕政策、加えてCO2排出抑制を目的に鉄鋼生産調整を行っており、経済成長が抑制される懸念があります。日本国内では、鉄鋼市況は盛り上がりを欠く展開の中で、ウクライナ情勢を背景に再びコイル調達価格の上昇が見込まれる厳しい状況となっております。

このような情勢のもと、当社といたしましては、感染症の拡大防止に努めながら、第6次中期経営計画の2年目として主要施策の着実な実行の為、各地域での状況変化を的確に把握し、マイナス要因をミニマイズする迅速な対応を引き続き進めてまいります。セグメント別の経営環境及び対処すべき課題等については以下のとおりです。

(日本)

国内単体事業につきましては、材料コイルの供給タイト感に変化は無く、建築分野および自動車生産の需要回復も期待薄で、年間の販売予定数量は前年度比微増見通しとしました。従い、コロナ前の2019年度比では△7.5%の水準と依然コロナ前までの回復は期待薄で見通しました。一方、コイル価格はウクライナ侵攻の影響による世界的な上昇基調から、当社の調達価格の値上がりが見込まれており、前年度に引き続き製品価格への転嫁を最優先の経営課題とし、これによりスプレッドの悪化をミニマイズします。加えて、亜鉛などの副資材原材料調達や燃料コストなどの種々の製造コストの上昇も見込まれており、製品価格への転嫁と工場の生産性向上やコストダウンに努めてまいります。また、連結子会社に関しては、丸一ステンレス鋼管㈱も、採算の悪い輸出用ステンレス管生産を抑えて付加価値の高い半導体製造装置向けBA管の増産強化を行い、原材料価格上昇の製品価格への転嫁、加えて収益力改善の各種社内活動の推進を図ってまいります。設備投資関連では、丸一鋼販㈱で浜松加工センターにドイツ製最新鋭の自動車用パイプ切断加工機の導入を予定、丸一ステンレス鋼管㈱ではBA管製造設備の増強投資を2023年中旬の完成を目指し順次進めております。加えてCO2削減に、グループ一体で取り組んでまいります。

 

(北米)

北米事業につきましては、コロナ禍からの経済活動の早期再開に加え、追加経済対策のインフラ整備への期待もありますが、足元人手不足および物流コストや燃料価格の上昇等、インフレリスクが顕在化しドル金利上昇が見込まれています。鉄鋼需要の回復は堅調に推移しておりますが、過去最高水準まで急激に上昇したコイル価格は、10月以降下落したものの、ウクライナ侵攻の影響から再び上昇しております。米国内での需要地生産体制を充実させるために、昨年11月に買収した米国MNT社を当社グループレベルの品質・サービスの提供を図り、農業中心のネブラスカ州周辺への供給体制を整えます。これにより北米事業は5拠点体制(うち米国4拠点)となり、合計の年間販売予定数量は、前年度比+12.9%増の見通しとしました。また、HRC価格の急騰に連動した製品の値上げを再び進め、スプレッドの確保を進めてまいります。一方、需要拡大の続く半導体製造装置向けBA管を、日本からの供給増に加え、現地生産の可能性を検討いたします。

(アジア)

アジア事業につきましては、変異株の流行とワクチン接種の遅れによる新型コロナウイルス感染拡大から脱し、経済回復へと動き出し、加えてウクライナ情勢によるインフレ懸念から、鉄鋼製品価格は下押し圧力から一転上昇基調となっております。ベトナムSUNSCO社では、ベトナム国内の販売比率拡大に努め、在庫の圧縮や設備の減価償却を進め、借入金を削減し競争力強化によるサステナブルな経営に注力しております。また、加えてCO2削減対策に取り組んでまいります。昨年6月に稼働した第2冷延ミルにより、冷間圧延能力不足の解消、コスト削減、品質向上と能力アップを進めてまいります。ベトナムSUNSCO(HNI)社では、販売数量の確保と共に、引き続き二輪メーカーへの製品納入価格の適正化に取り組んでまいります。

インドKUMA社では、ロックダウン解除後に二輪&四輪市場の需要回復が期待されますが、足元では半導体不足から回復遅れリスクがあります。尚、バンガロール工場での1インチミルの増設も昨年12月に稼働し、今後の需要増に対応可能となりました。今後のEV化による需要伸び悩みを考えた新マーケットを検討課題としております。

また、新たに連結子会社化するフィリピンのマルイチ・フィリピン・スチール・チューブ(MPST社)では、二輪車メーカーの現地生産移行後の受注を取り込んで、利益確保が可能な商業生産レベルへと早期に軌道化させます。

これらアジア4社合計の年間販売数量は、前年度比+7.3%増の見通しとしました。

 

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