課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

〔経営の基本方針〕

当社グループの事業経営は、創造と効率を両輪として生み出されたすぐれた製品を提供することにより、社会に進歩と充実をもたらすことを理念としております。また、全ての面で国際的水準において優位に立ち、企業価値を高めることで株主を始め皆様の期待に応えることを基本方針としております。

 

〔経営環境及び会社の対処すべき課題〕

 わが国経済は、感染症対策と経済活動の両立により、正常化に向け動いておりますが、ロシアのウクライナ侵攻により、資源・エネルギー価格が上昇するなど、先行きの不透明さが増しております。また一方では脱炭素社会の実現やデジタル技術の活用により社会変革を目指す動きも加速されております。

 ステンレス特殊鋼業界におきましては、ニッケルをはじめとした原材料・資材・エネルギー価格の高騰が懸念され、引き続きコストアップに見合う適正な販売価格を維持し、ロールマージンの確保を図る必要があります。また、アジア地域の過剰設備を背景とした輸入ステンレス鋼材の流入増加の動向にも注視する必要があるものと認識しております。

 当社グループといたしましては、「中期経営計画2020」の最終年度において、戦略分野である高機能材の拡販推進と国内市場において存在感のあるメーカーとしての地位を確固たるものとすべく、2022年1月に稼動した高効率電気炉設備の能力を最大限活用することにより、その投資効果を着実に刈り取るとともに、販売力強化、コストダウン等の諸施策を推進し収益力強化に取組んでまいります。

 さらに、SDGs、ESG 課題への対応および主原料であるニッケル製錬工程も含めたカーボンニュートラルへの取組みは、当社の中長期的な企業価値の向上に不可欠であると捉え、2021年8月にサステナビリティ推進会議を設置し、これらの取組みを推進しております。当社は自らの持続可能性を高めるとともに、環境・社会との共生を通じて「持続可能な社会の実現」に貢献してまいります。

 

〔中長期的な会社の経営戦略〕

当社グループは、2023年3月期を最終年度とする3ヵ年の中期経営計画「中期経営計画2020」を策定いたしました。

「中期経営計画2020」の概要

1.「中期経営計画2020」での目指す姿

「業界トップレベルの品質・納期・対応力で信頼され続けるグローバルサプライヤー」

 

2.「中期経営計画2020」の基本戦略

①環境エネルギー・インフラ分野を中心とした産業素材での顧客ニーズへの対応、社会への貢献

<主要施策>

・環境エネルギー分野への深耕による高機能材拡販

・一般材事業における顧客基盤の強化、収益基盤の強化

・中国JV活用による製品アイテムの拡充

②戦略設備投資の実行と技術力の更なる向上による競争力強化
<主要施策>

・高効率電気炉設備をはじめとした設備機能刷新、製造ネック工程の改善による生産性向上

・高機能材コア技術の強化、拡充

・リサイクル原料の活用による環境配慮型ニッケル製錬技術の確立

 

③強固かつ自立した事業基盤をベースとした環境・社会との共生

<主要施策>

・多様な人材の確保、福利厚生の充実

・安全・安定稼動の前提となる設備老朽対応

・作業環境改善、省力化、省エネルギー投資の実行、AI・IoTの活用

・事業展開や環境変化に対応した財務基盤強化

・ステークホルダーとの信頼関係構築

・グループ全体での最適化に向けた連結経営の深化

④上記戦略を通じたESG課題への対応

<環境への取組み>

・環境貢献型製品、ソリューションの提供による環境負荷低減への貢献

・製造過程におけるCO2排出量削減による環境負荷軽減

・リサイクル原料利用の高度化による循環型社会への貢献

<社会への取組み>

・社会インフラ分野での製品供給による貢献

・周辺環境への配慮と地域との共存共栄

・多様な人材の確保と福利厚生施設の充実

<ガバナンスへの取組み>

・グループガバナンスの強化

・リスクマネジメント体制強化(法務機能強化等)

・危機管理体制向上(BCP整備等)

 

3.「中期経営計画2020」の設備投資計画

本中期経営計画において目指す「製造所の安全・安定を大前提とした業界トップクラスの品質・納期・対応力」に必要な投資計画につきましては着実に実行していく計画としております。但し、優先度や実施時期については市場環境の変化に合わせて適宜見直します。また、実行段階においては投資案件ごとの精査を行い投資金額の削減を図って参ります。

[設備投資計画の内訳]:

戦略投資159億円、合理化・維持更新投資151億円、グループ会社46億円

 

4.「中期経営計画2020」の目標数値

新型コロナウイルス感染拡大による経済活動の停滞およびその後の景気回復の遅れ等による当社製品販売への影響につきましては、2020年度第2四半期から第3四半期を底にして徐々に回復し2023年度に正常レベルに戻ることを前提に、本中期経営計画の最終年度である2022年度の目標数値を以下のとおり策定しております。

・高機能材売上高比率は45%、営業利益(連結)は90億円以上を目標とします。

・ROE(連結)10%以上、ネットD/E(連結)1.0未満を目標とします。

・総還元性向(連結)は25%程度を目標とします。

 

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