(1)経営成績等の状況の概要
① 財政状態及び経営成績等の状況
当連結会計年度における世界経済は、期初より新型コロナウイルス感染症や半導体不足が影響し、期後半には変異株の感染拡大、原材料価格の高騰も影響しましたが、堅調な内需に支えられた中国及びワクチン接種の進展を背景に経済活動の正常化が進む欧米を中心に、全体として景気は緩やかに回復しました。
当社グループを取り巻く経営環境は、産業機械事業では、カーボンニュートラル社会の実現に向けたEV関連の設備投資が拡大したほか、家電等の分野で樹脂製品需要が底堅く推移し、総じて高い水準の需要が継続しました。素形材・エンジニアリング事業では、エネルギー分野を中心に鋳鍛鋼製品の需要が安定的に推移しました。
このような状況のもと、当社グループは長期ビジョンとして「従業員がワクワクして働ける会社」、「事業規模3,000億円への拡大・成長」を掲げ、2021年5月に策定しました2022年3月期を初年度とする5カ年の中期経営計画「JGP2025」に沿って、①世界に類を見ないプラスチック総合加工機械メーカーへ、②素形材・エンジニアリング事業の継続的な利益の確保、③新たな中核事業の創出、④ESG経営の推進の4つを基本方針とした事業活動を推進してまいりました。
当社グループにおける当連結会計年度の業績につきましては、受注高は、産業機械事業及び素形材・エンジニアリング事業が共に増加し、2,683億54百万円(前年同期比48.2%増)となりました。売上高は、産業機械事業及び素形材・エンジニアリング事業が共に増加し、2,137億90百万円(前年同期比8.0%増)となりました。損益面では、営業利益は154億60百万円(前年同期比51.2%増)、経常利益は167億72百万円(前年同期比56.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は139億48百万円(前年同期比102.3%増)となりました。
セグメントの業績は次のとおりであります。
(産業機械事業)
受注高は、樹脂製造・加工機械で複数の大型案件を受注したことに加え、成形機が増加したことから、2,248億82百万円(前年同期比54.8%増)となりました。
売上高は、成形機が増加したことから、1,711億60百万円(前年同期比9.4%増)となりました。
営業利益は、原材料等の価格高騰及び売上製品構成の変化等の要因はあったものの、前年同期に計上した棚卸資産評価損がなかったこと及び売上高の増加により177億96百万円(前年同期比27.5%増)となりました。
(素形材・エンジニアリング事業)
受注高は、鋳鍛鋼製品が増加したことから、401億66百万円(前年同期比22.6%増)となりました。
売上高は、鋳鍛鋼製品が増加したことから、400億52百万円(前年同期比4.0%増)となりました。
営業利益は、売上高は増加したものの、原材料等の価格高騰及びその他の引当金の計上等の要因があったことから、13億33百万円(前年同期比28.8%減)となりました。
(その他事業)
受注高は33億4百万円、売上高は25億78百万円、営業損失は26百万円となりました。
② キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末比170億40百万円増加し、1,057億99百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は、223億25百万円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益を計上したことに加え、運転資金が減少したことによるものです。なお、前年同期は147億12百万円の獲得でした。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は、29億76百万円となりました。これは主に、投資有価証券及び固定資産の売却による収入があった一方、固定資産の取得による支出があったことによるものです。なお、前年同期は32億43百万円の支出でした。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は、28億60百万円となりました。これは主に、配当金の支払による支出があったためです。なお、前年同期は27億67百万円の獲得でした。
③ 生産、受注及び販売の実績
1.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメント別に示すと次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自2021年4月1日 至2022年3月31日) |
前期比 (%) |
産業機械事業(百万円) |
173,689 |
+11.8 |
素形材・エンジニアリング事業(百万円) |
40,231 |
+4.4 |
その他事業(百万円) |
2,577 |
△17.7 |
合計(百万円) |
216,497 |
+9.9 |
(注)金額は、販売価格によっております。
2.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメント別に示すと次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度(自2021年4月1日 至2022年3月31日) |
|||
受注高(百万円) |
前期比 (%) |
受注残高 (百万円) |
前期比 (%) |
|
産業機械事業 |
224,882 |
+54.8 |
179,016 |
+42.9 |
素形材・エンジニアリング事業 |
40,166 |
+22.6 |
35,026 |
+0.3 |
その他事業 |
3,304 |
+8.5 |
1,361 |
+114.3 |
合計 |
268,354 |
+48.2 |
215,405 |
+33.9 |
3.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメント別に示すと次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自2021年4月1日 至2022年3月31日) |
前期比 (%) |
産業機械事業(百万円) |
171,160 |
+9.4 |
素形材・エンジニアリング事業(百万円) |
40,052 |
+4.0 |
その他事業(百万円) |
2,578 |
△17.7 |
合計(百万円) |
213,790 |
+8.0 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載の通りであります。
② 財政状態
1.総資産
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末比234億80百万円増加し、3,397億29百万円となりまし
た。これは主に、現金及び預金や仕掛品などの流動資産が増加したためであります。
2.負債
当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末比143億82百万円増加し、1,886億46百万円となりました。これは主に、契約負債などの流動負債が増加したためであります。
3.純資産
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末比90億97百万円増加し、1,510億83百万円となりまし
た。これは主に、利益剰余金が増加したためであります。
③ 経営成績
1.売上高
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度比157億48百万円(8.0%)増の2,137億90百万円となりました。これは、産業機械事業及び素形材・エンジニアリング事業が共に増加したことによるものです。
2.売上総利益
当連結会計年度の売上総利益は、前連結会計年度比55億33百万円(13.1%)増の478億16百万円となりました。
3.販売費及び一般管理費、営業利益
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前連結会計年度比2億99百万円(0.9%)増の323億55百万円となりました。
この結果、当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度比52億33百万円(51.2%)増の154億60百万円となりました。営業利益率は、前連結会計年度比2.1ポイント増加し、7.2%となりました。
4.営業外損益、経常利益
当連結会計年度の営業外収益は、前連結会計年度比2億6百万円(12.5%)増の18億64百万円となりました。営業外費用は、前連結会計年度比6億7百万円(52.3%)減の5億53百万円となりました。
この結果、当連結会計年度の経常利益は、前連結会計年度比60億47百万円(56.4%)増の167億72百万円となりました。経常利益率は、前連結会計年度比2.4ポイント増加し、7.8%となりました。
5.特別損益、税金等調整前当期純損益
当連結会計年度の特別利益は、前連結会計年度比7億22百万円(26.0%)増の35億3百万円となりました。特別損失は、前連結会計年度比5百万円(1.0%)減の5億39百万円となりました。
この結果、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は前連結会計年度比67億76百万円(52.3%)増の197億36百万円となりました。
6.親会社株主に帰属する当期純損益
当連結会計年度の法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額の合計額は、前連結会計年度比3億4百万円(5.1%)減の56億13百万円となりました。以上の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度比70億54百万円(102.3%)増の139億48百万円となりました。また、当連結会計年度の1株当たり当期純利益金額は189.63円となりました。
④ 経営上の目標の達成状況
当社グループは、2026年3月期を最終年度とする5カ年の中期経営計画「JGP2025」を策定しております。「JGP2025」において掲げる4つの基本方針に基づき、当連結会計年度までに実施又は計画した具体的な施策は以下の通りであります。
① 世界に類を見ないプラスチック総合加工機械メーカーへ
○EV向けに大幅な需要増加が見込まれるセパレータ用フィルム・シート製造装置について、60ライン製造に向けて生産体制を着実に増強
○コンデンサー用などのフィルム・シート製造装置への取り組み強化
○広島製作所にケミカルリサイクル対応の技術開発センターを建設中
○二軸混練押出機の世界標準機を開発し、中国、東南アジア市場へ展開
○自動車の軽量化に伴い需要拡大が見込まれる大型マグネシウム射出成形機を開発
② 素形材・エンジニアリング事業の継続的な利益の確保
○鋳鍛鋼製品における高収益化を目的とした製品ポートフォリオの見直しを鋭意推進
○天然ガス輸送管を主としたクラッド鋼管事業を縮小し、クラッド鋼材事業に特化
③ 新たな中核事業の創出
○次世代半導体関連装置などを開発・上市し、電子デバイス関連装置事業における製品ラインナップを更に充実
○窒化ガリウム基板の量産に向けて大型実証設備の稼働を開始
○世界最先端の銅合金素材製造設備が完成し、稼働を開始
④ ESG経営の推進
○ESG推進委員会を中心にESG活動に対する取り組みを強化
○コーポレート組織にESG推進室を新設
(3)資本の源泉及び資金の流動性
① キャッシュ・フロー
○当連結会計年度の概要
|
2020年3月期 |
2021年3月期 |
2022年3月期 |
増減 |
営業活動によるキャッシュ・フロー (百万円) |
18,959 |
14,712 |
22,325 |
7,613 |
投資活動によるキャッシュ・フロー (百万円) |
△13,172 |
△3,243 |
△2,976 |
267 |
財務活動によるキャッシュ・フロー (百万円) |
△6,164 |
2,767 |
△2,860 |
△5,628 |
現金及び現金同等物に係る換算差額 (百万円) |
△65 |
△46 |
551 |
597 |
現金及び現金同等物の増減額(百万円) |
△443 |
14,189 |
17,040 |
2,850 |
新規連結に伴う現金及び現金同等物の増加額 (百万円) |
1,100 |
92 |
- |
△92 |
現金及び現金同等物の期末残高 (百万円) |
74,477 |
88,759 |
105,799 |
17,040 |
借入金等及び社債の期末残高(百万円) |
52,064 |
58,041 |
58,442 |
401 |
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末比170億40百万円増加し、1,057億99百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フロー」に記載のとおりであります。
なお、当社グループのキャッシュ・フロー指標のトレンドは下記のとおりであります。
|
2019年3月期 |
2020年3月期 |
2021年3月期 |
2022年3月期 |
自己資本比率(%) |
42.0 |
44.0 |
44.4 |
44.0 |
時価ベースの自己資本比率(%) |
49.1 |
32.4 |
61.1 |
82.7 |
債務償還年数(年) |
48.3 |
2.8 |
4.0 |
2.6 |
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) |
4.4 |
68.8 |
46.9 |
79.5 |
② 流動性と資金の源泉
当社グループは、現在及び将来の事業活動のための適切な水準の流動性を維持すると同時に、資本効率の最適化を重要な財務活動の方針としております。上記目的の為、日常的に運転資金の効率化活動を推進すると共に、投融資・設備投資にあたっては、資本効率向上の観点から厳選しております。
当社グループは、営業活動により創出されるキャッシュ・フローと現金及び現金同等物を内部的な資金の主な源泉と考えております。また、資金需要に応じて株式等の資本性証券や社債の発行及び金融機関からの借入も可能と考えております。
③ 財務政策
当社グループは現在、運転資金等の短期資金については、主として短期借入金により、当社及び各々連結子会社が調達しています。2022年3月31日現在、1年以内に返済予定の長期借入金を除く短期借入金の残高は104億12百万円です。
これに対して、機械設備の新設などの有形固定資産の取得やアライアンスの推進等の長期資金については、原則として自己資本・長期借入金にて調達しております。2022年3月31日現在、1年以内に返済予定のものを含む長期借入金残高は470億81百万円で、全て金融機関からの借入によるものであります。
借入金等の概要については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 ⑤連結附属明細表」のとおりであります。
当社グループは、引き続き財務の健全性を保ち、営業活動によりキャッシュ・フローを生み出すとともに、資金需要に応じて株式等の資本性証券や社債の発行及び金融機関からの借入も実施することで、将来必要な運転資金、設備投資資金及びアライアンスの推進資金を調達することが可能と考えています。
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