課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

① ビジョンと経営理念

当社グループは、次のビジョンと経営理念を掲げ、企業活動に取り組んでおります。

 

<ビジョン>

 ・独創技術で変化を創り出し社会の発展に貢献する企業

<経営理念>

 ・顧客に驚きと感動を与え続ける

 ・社会との共生を図り、継続的に利益を実現する

 ・変わり続ける意識を持つ

 

② 日本製鋼所グループ 企業行動基準

当社グループは、持続可能な社会の実現を目指す企業として、次の10原則に基づき、国の内外において、全ての法律、国際ルール及びその精神を遵守するとともに、高い倫理観をもって社会的責任を果たしてまいります。

 

1.持続可能な経済成長と社会的課題の解決を図るために、イノベーションを通じて、社会に有用で安全性に配慮した製品・技術・サービスを開発・提供する。

2.公正かつ自由な競争に基づく適正な取引、責任ある調達を行う。また、政治、行政とは健全な関係を維持する。

3.企業価値向上のため、適切な企業情報を積極的かつ公正に開示し、幅広いステークホルダーとの建設的な対話を行う。

4.全ての人々の人権を尊重する。

5.市場や顧客のニーズを製品・技術・サービスに反映した上で、顧客からの問い合わせ等に速やかに対応することにより、社会と顧客の満足と信頼を獲得する。

6.従業員の多様性、人格、個性を尊重する働き方を実現し、良好な職場環境を確保する。

7.環境問題への取り組みは企業としての重要な責務であることを認識し、主体的に活動する。

8.企業市民として、社会に参画し、その発展に貢献する。

9.市民社会や企業活動に脅威を与える反社会的勢力やテロ、サイバー攻撃、自然災害等に対して、組織的な危機管理を徹底する。

10.経営トップは、この行動基準の精神の実現が自らの役割であることを認識し、実効あるガバナンスを構築した上で、当社および関連会社に周知徹底を図り、あわせてサプライチェーンにも本行動基準の精神に基づく行動を促す。

また、本行動基準の精神に反し、社会からの信頼を失うような事態が発生した時には、経営トップが率先して問題解決、原因究明、再発防止等に努め、その責任を果たす。

 

(2)経営環境と対処すべき課題

① 当社子会社の一部製品における品質検査の不適切行為

2022年3月下旬、当社の子会社である日本製鋼所M&E株式会社が製造する製品の一部につき、その製造過程で実施すべき検査の一部において、お客様の要求仕様から逸脱する検査数値を、関連仕様の範囲内に収まる数値とするなどの不適切な行為(以下本項において「不適切行為」といいます。)が行われていたことが社内調査により判明いたしました。

このことは、お客様との契約等に違反し、その信頼を大きく損なう重大な行為であり、お客様や当社株主の皆様をはじめ関係各位に多大なるご迷惑とご心配をおかけいたしますこと、ここに深くお詫び申し上げます。

現在は、既に不適切行為が判明した製品に関連するお客様に対し、逐次、ご連絡及びご説明を開始するとともに、品質・性能への影響について協議及び検証を進めております。今後も調査を継続すると共に、関係する皆様に対し、誠実に対応・協議を進めてまいります。なお、これまでの社内調査及び検証において、不適切行為に起因した、製品の品質・性能に影響する具体的な問題は現時点では確認されておりません。

 

一方、当社は、日本製鋼所M&E株式会社での不適切行為の発覚を受けて、その真因追究と再発防止策の徹底を図るとともに、日本製鋼所M&E株式会社のみならず当社グループの品質保証体制の検証及びコンプライアンスの一層の強化に取り組みます。加えて、外部弁護士から構成される特別調査委員会を設置し、調査を実施することを決議いたしました。当社は特別調査委員会の調査に全面的に協力し、当社グループの信頼回復に全力で取り組んでまいります。

 

② 経営環境

今後の経済見通しにつきましては、原材料価格の高騰、中国経済の減速懸念、ウクライナ情勢や各国によるロシアへの経済制裁の影響など、依然として不確実性が残る状態が続くと考えられますが、ワクチン接種や治療薬開発の進展に伴い、新型コロナウイルス感染症による経済への影響が徐々に緩和されることで、世界的に景気が持ち直していくことが期待されます。

当社グループを取り巻く経営環境は、産業機械事業では、カーボンニュートラル社会の実現に向けたEV化の流れを背景に車載用リチウムイオン電池素材の需要拡大に加え、自動車分野における設備投資の再開により成形機の需要回復も見込まれます。素形材・エンジニアリング事業では、鋳鍛鋼製品を中心に安定的な需要が見込まれます。

また、当社グループでは、新型コロナウイルス感染拡大による経営への影響を最小限に抑えるべく、お客様や従業員、そのご家族の皆様の安全と健康を第一として感染拡大防止に努めつつ、資金管理、生産・在庫の確認やサプライチェーンの確保等の措置を引き続き講じてまいります

 

(3)中期経営計画「JGP2025」

当社グループは、長期ビジョンとして「従業員がワクワクして働ける会社」、「事業規模3,000億円への拡大・成長」を掲げ、これを実現するために2022年3月期を初年度とする5カ年の中期経営計画「JGP2025」をスタートさせました。中期経営計画の概要は以下のとおりです。

 

1)当社グループにおける「JGP2025」の位置づけと数値目標は以下のとおりです。

 

○「JGP2025」の位置づけ

 

0102010_001.png

 

 

○数値目標

 

0102010_002.png

 

2)「JGP2025」においては、以下の4つの基本方針を掲げて事業に取り組んでまいります。

① 世界に類を見ないプラスチック総合加工機械メーカーへ

② 素形材・エンジニアリング事業の継続的な利益の確保

③ 新たな中核事業の創出

④ ESG経営の推進

 

それぞれの基本方針に対する事業戦略は以下のとおりです。

 

① 世界に類を見ないプラスチック総合加工機械メーカーへ

 現有製品の競争力強化によって各製品でグローバルシェアNo.1を目指すとともに、プラスチック加工機械

コンプレックス化を推進します。

 主な事業戦略は次のとおりです。

〇造粒機

 ・好調な中国市場を中心に更なるシェア拡大を目指します。

〇二軸混練押出機

 ・中国・東南アジアを中心に海外展開の強化を進めます。

〇フィルム・シート製造装置

 ・セパレータフィルム用装置の高品質化対応を更に進めます。

 ・ポストセパレータとして、5G関連フィルムなど成長分野への対応に注力します。

〇射出成形機

 ・グローバル生産体制の最適化を図るとともに、生産能力を拡大します。

〇プラスチック加工機械コンプレックス化

 ・M&Aを活用した新たな製品の取り込みと育成を進めます。

 

② 素形材・エンジニアリング事業の継続的な利益の確保

 2020年4月1日に設立した日本製鋼所M&E株式会社を中心に、継続的な利益の確保に向けた体制の強化と

変革を進めます。

 主な事業戦略は次のとおりです。

〇鋳鍛鋼製品

 ・付加価値の高い機能性材料の取り込みによる収益拡大を図ります。

 ・中小型製品・量産品の生産体制を確立し、受注拡大に努めます。

〇クラッド製品

 ・工場変動費・固定費を圧縮し、操業負荷変動に強い生産体制の構築を進めます。

〇エンジニアリングサービス

 ・水素関連製品の製品競争力を強化し、海外展開を図ります。

 ・国土強靭化政策に対応したプラント・インフラ溶接構造物の取り込みを図ります。

 ・独自技術を活用し、検査サービス事業を拡大します。

 

 

③ 新たな中核事業の創出

 M&Aを活用して新たな産業機械製品を取り込むとともに、「フォトニクス」、「複合材料」、「金属材

料」の3つの分野における新事業を早期に収益事業化し、新たな中核事業の創出を図ります。

 

④ ESG経営の推進

 組織横断的な「ESG推進委員会」を新設し、ESG活動を効果的に推進します。

〇Environment:環境

 ・環境と調和した社会の持続的な発展のため、CO2排出量の削減、省資源・リサイクルの推進、製品による環境負荷の低減などの環境に配慮した事業活動を展開します。

〇Society:社会

 ・持続的成長に資する人材基盤を形成するため、「働き方」重視から「働きがい」重視への取り組みを行うとともに、次世代リーダーの育成・人材の多様性確保を図ります。

〇Governance:企業統治

 ・成長性と資本収益性を確保するため、4象限フレームワークによる事業ポートフォリオ評価を行うとともに、事業撤退基準の制定と投資採択基準の高度化を行います。

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