課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)は、以下の経営理念、経営ビジョン、サステナビリティ方針を経営の基本方針としております。

 

「SMMグループ経営理念」

・ 住友の事業精神に基づき、地球および社会との共存を図り、健全な企業活動を通じて社会への貢献とステークホルダーへの責任を果たし、より信頼される企業をめざします

・ 人間尊重を基本とし、その尊厳と価値を認め、明るく活力ある企業をめざします

 

「SMMグループ経営ビジョン」

・ 技術力を高め、ものづくり企業としての社会的な使命と責任を果たします

・ コンプライアンス、環境保全および安全確保を基本としたグローバルでの企業活動により、資源を確保し、非鉄金属、機能性材料などの高品質な材料を提供し、企業価値の最大化をめざします

 

「住友金属鉱山グループサステナビリティ方針」

 住友金属鉱山グループは、社会の持続的発展に貢献する経営課題に取り組み、事業の持続的な成長と企業価値の向上を図ります。

 

 また、上記の経営方針を受けた到達すべき目標として長期ビジョンとターゲットを以下のとおり定めています。

『長期ビジョン』

 「世界の非鉄リーダー」を目指す。

≪当社グループが目指す「世界の非鉄リーダー」≫

・ 資源権益やメタル生産量において、グローバルでの存在感(=世界トップ5に入るメタル)がある

・ 資源メジャーでも容易に模倣できない、卓越した技術や独自のビジネスモデルを有している

・ 持続的成長を実現し、安定して一定規模の利益をあげている

・ SDGs等の社会課題に積極的に取り組んでいる

・ 従業員がいきいきと働いている

『ターゲット』

・ ニッケル:生産量15万t/年

・ 銅:権益分生産量30万t/年

・ 金:優良権益獲得による鉱山オペレーションへの新規参画

・ 材料事業:ポートフォリオ経営による税引前当期利益250億円/年の実現

・ 利益:親会社の所有者に帰属する当期利益 1,500億円/年

 

 長期ビジョンとターゲットの達成に向け当社グループは3年ごとに中期経営計画を策定し実行しています。また、新たな社会課題や当社グループの事業課題を視野に入れ、長期ビジョンの実現に向けた2030年時点でのマイルストーンとして「2030年のありたい姿」を2020年3月に公表し、活動を進めています。

 

(1) 中期経営計画

 当社グループは、2019年2月に公表した、2019年度から2021年度を対象とする「2018年中期経営計画」(以下、「18中計」という。)を実行してまいりましたが、引き続いて2022年度から2024年度を対象とする「2021年度中期経営計画」(以下、「21中計」という。)を2022年2月に公表し、企業価値の一層の向上と新たな成長への挑戦を進めております。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。

 

① 経営環境

「21中計」の策定に際して考慮すべき中期的な経営環境として以下を挙げております。

・供給量の増加により非鉄金属需給は一時的に緩和

  長期的にはEV・再生エネルギー関連で需要は拡大、需給は逼迫方向

・資源開発、製錬操業をめぐる事業環境の悪化

  資源ナショナリズムの高揚

  鉱山開発における高地、奥地、深部、低品位化など開発難度の上昇

  地域社会との良好な関係性構築の難易度上昇

  環境規制強化

  投資、ランニングコスト上昇

・”素材”の必要性・需要の拡大

  EV化の進展・エネルギー供給網の構築等による、非鉄金属の需要増加

 カーボンニュートラル・デジタルトランスフォーメーション(以下、「DX]という。)の加速等による技術革新や市場拡大により事業機会が創出

・カーボンニュートラル対応・DX化の重要性の高まり

・人材確保の難化

 

② 基本戦略

 「21中計」では、『変革への新たな挑戦』をテーマに、長期ビジョン・ターゲットの実現に向けて引き続き邁進するとともに、加速するカーボンニュートラルに向けた動きやDX化などの社会環境変化に的確に対応するべく、チャレンジを続けていく当社の姿勢・戦略を『4つの挑戦』としてまとめています。

 

挑戦1:企業価値拡大-大型プロジェクトの推進

・電池材料(正極材)の生産能力増強

 新工場設立や設備増強により、27中計期間(2028~2030年度)に月産1万5千トン体制を構築。ニッケル系正極材市場シェアでトップクラスを維持。

・ケブラダ・ブランカ2銅鉱山開発プロジェクト推進(チリ)

 2022年後半の生産開始を予定。2024年度には年間7万トン(当社権益分)の生産を計画し、本プロジェクトの貢献により権益分銅生産量は年間27万トンとなる予定。

・コテ金開発プロジェクト推進(カナダ)

 2023年前半の生産開始を予定。2024年度には年間4トン(当社権益分)の生産を計画。

 

挑戦2:コアビジネスの持続可能性向上

・3事業連携(ニッケル-電池)のバリューチェーン強化

 電池材料(正極材)に必要なニッケル資源確保に向け、フィリピンのHPAL(低品位酸化ニッケル鉱の湿式処理)の鉱量確保、ニッケル新規鉱源の探索、ニッケル・コバルト・リチウムの再資源化を含む電池リサイクルを推進。

・菱刈鉱山のサステナビリティ重視の操業への転換

 マインライフ延長に向けてサステイナブルな生産体制へ移行。また新抜湯室戦力化による深部鉱体坑道探鉱の推進により新規鉱量を獲得。さらにDX等の最新技術を取り入れた操業体制の見直しによりコスト削減を実現。

・銅製錬事業の競争力強化

 電気銅生産年間45万トンの安定操業達成と、年間46万トン生産体制の確立に向けた各種設備改善により生産能力を増強。

・機能性材料事業の拡大戦略

 SiC(シリコンカーバイド)の2025年度月1万枚の量産体制確立、高品質なニッケル粉の販売拡大、機能性インクの新市場開拓を推進。

 

挑戦3:社会環境変化への適応

・温室効果ガス(以下、「GHG」という。)排出量削減

 「2050年までにGHG排出量ネットゼロ」に向け、推進体制を確立。ICMM(国際金属・鉱業評議会)コミットメントの実行や社内カーボンプライシング制度の拡大運用、カーボンクレジットの活用を検討。

・カーボンニュートラルに貢献する製品・新技術・プロセスの開発推進

 GHG排出量削減に向けて21中計期間中に総額120億円の投資を計画。GHG排出量直接削減のための新技術やプロセスの開発推進、また電池リサイクルなど新事業によるカーボンフットプリント削減への貢献を推進。

・DXへの対応

 2022年度にDX推進部門を立ち上げ、全社的なDX加速のための基盤を整備。21中計期間中に計150億円のDX関連投資等を実施予定。

・人材確保/育成/活用への取り組み

 人材確保・育成・活用のための各種取り組みを推進し、人材への積極的な投資を実施。

 

挑戦4:経営基盤強化

・安全への取り組みの強化

 「重篤災害」(休業3ヶ月以上)の防止を重点に対策を講じ、加えて「繰り返し災害」の防止に注力した取り組みを実施。

・サステナビリティ施策の推進加速

 「2030年のありたい姿」における11の「重要課題」へ取り組む体制を改編・強化。サステナビリティ推進組織に関しては、社会的要請に的確に対応するため「サステナビリティ委員会」を中核とした組織再編を実施。

・コーポレートガバナンス

 事業ポートフォリオに関する基本的な方針を策定。

 

③ 目標とする経営指標

 「世界の非鉄リーダー」実現に向けては、健全な財務体質に裏打ちされた大型プロジェクトやM&Aへの機動的な対応が欠かせません。当社グループは「21中計」において、財務体質の健全性を示す指標として連結自己資本比率50%超の維持を掲げております。

 

(2) その他

 ㈱ジェー・シー・オーは、施設の維持管理、低レベル放射性廃棄物の保管管理、施設の廃止措置に向けた準備のため、施設の解体や除染等を推進するための諸施策を進めております。当社は、同社がこれらに万全の態勢で取り組むことができるよう引き続き支援を行ってまいります。

 

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