研究開発活動

5【研究開発活動】

当社グループでは資源、製錬及び材料をコアビジネスとして選択と集中を進めるなか、研究開発においても研究開発費の重点配分を行い、「製錬プロセス技術」、「粉体合成・表面処理技術」、「結晶育成・加工技術」、「探鉱・採鉱・選鉱技術」をコア技術と位置付けています。また、「評価解析技術」、「数理解析技術」、「情報通信技術」を基盤技術と定め、技術ドメインを明確にして重点的な開発を実行しております。

具体的には、資源開発及び非鉄製錬分野における新規プロセス・技術開発、また、材料分野では、社会的ニーズの高い環境・エネルギー分野及び情報通信分野の材料・新技術開発を中心に、国家プロジェクトへの参画や産学連携を含め取り組んでおります。さらに、将来を見据えた粉体材料に関する新規技術獲得のために、粉体基礎研究にも取り組んでおります。

また、「2030年ありたい姿」実現に向け、資源、製錬、材料の3事業連携を推進し、リチウム精製、電池リサイクル等のプロセス開発を継続するとともに、GHG排出を抑制できる製品として電池正極材、当社独自技術による日射遮蔽材の開発を継続するとともに、新製錬技術の検討にも着手してまいります。

なお、当連結会計年度に投入した研究開発費は6,648百万円であり、研究所の費用を管理上、各セグメントに配分した後の調整額等941百万円が含まれております。

報告セグメントごとの研究開発活動の状況は次のとおりであります。

 

(1)資源セグメント

鉱床を探す探鉱技術、鉱床から最大限に鉱石を取り出す採鉱技術、鉱石中の有価金属を分離濃縮する選鉱技術に関する技術開発を進めております。非鉄金属原料鉱石の処理に関して、精鉱の品質及び実収率の改善のためのパイロット設備を利用した浮遊選鉱等の選鉱技術開発や探鉱技術及び鉱石採掘法の効率化の技術開発等を行っております。

資源系人材育成の教育システムを強化・充実させることを目的に、北海道大学大学院工学院と九州大学大学院工学府が民間企業及び公的機関と連携して2022年に発足し活動を開始する「資源系教育コンソーシアム」に当社は参画を表明しました。

当セグメントに係る研究開発費は183百万円であります。

 

(2)製錬セグメント

非鉄金属事業において、原料対応力、コスト競争力強化、GHG削減に繋がる製錬技術の開発や新プロセス技術の開発を行っております。また、ハイブリッド自動車や電気自動車の廃リチウムイオン二次電池から、乾式製錬工程と湿式製錬工程を組み合わせ、ニッケル、コバルト、リチウム等のメタルを回収し、電池材料に再資源化するプロセスの開発も進めております。関東電化工業株式会社との共同開発により、乾式製錬工程にて回収されたスラグから電池材料として再利用可能なレベルの高純度リチウム化合物として再資源化する技術を世界で初めて確立しております。リチウムについては、塩湖かん水からの直接回収技術の確立も進めております。

九州大学と組織対応型連携契約を締結し、共同研究と人材育成を継続しております。革新的な湿式製錬技術や排水処理技術の開発などに取り組んでいるほか、九州大学全体のシーズを活用して資源・製錬分野を中心にさまざまなテーマでの連携を進めております。

また、国内非鉄金属製錬業の持続的発展のため、東北大学多元物質科学研究所との共同研究部門では技術の先進化やそれに伴う国際競争力の強化のための共同研究や、次世代の非鉄金属製錬技術者の人材教育を推進しております。

当セグメントに係る研究開発費は2,002百万円であります。

 

(3)材料セグメント

カーボンニュートラル実現に貢献する新技術・プロセスの研究を推進しております。二次電池関連では、リチウムイオン二次電池の正極材料であるニッケル酸リチウムについて、コスト・容量・出力及び安全性確保などの機能向上を図り、ハイブリッド自動車用電池、電気自動車用電池への積極的な展開に取り組んでおり、開発した新規材料の量産移行を進めております。また、次世代の高性能ニッケル正極材や全固体電池用正極材の開発を目的に2022年7月完成目途で電池研究所(愛媛県新居浜市)の拡張、設備充実を進めております。

情報通信分野では、情報通信端末用SAWフィルターのチップに用いられるタンタル酸リチウム基板やニオブ酸リチウム基板の製造コスト低減のため、育成結晶の長尺化や育成及び加工収率向上のための技術開発に取り組んでおります。

産学連携による研究開発推進のため、東北大学と包括的な共同研究と人材教育を進める組織的連携協力協定を締結し、同大学の広範囲にわたる研究機能を活用して、機能性材料の開発、評価技術の開発及び人材育成を進める体制を整備しております。

 

また同大学とは、2050 年に向けたビジョン共創型パートナーシップに基づく取組みも行っております。この取り組みでは、2050年をターゲットとした「ありたい姿」と「ビジョン」を策定し、そこからバックキャストした具体的なステップとして、材料系素材の共同研究・開発に取組み、事業化・社会実装を実現することで、新たな価値の創造を目指します。

なお、2022年1月26日から28日に東京ビッグサイトで開催された「nano tech 2022 第21回 国際ナノテクノロジー総合展・技術会議」に「非シリコーン系放熱グリース」と「鉄・ガリウム磁歪合金単結晶」の試作品を出展しました。

当セグメントに係る研究開発費は3,521百万円であります。

 

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