業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

①業績

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の第6波により、2022年1月から3月まで、まん延防止等重点措置が実施され、また、半導体不足や東南アジアからの部品の調達難のため、自動車をはじめとする様々な業界で生産障害が発生しました。資源高や供給制約を背景に、国内企業物価が上昇しました。

 2022年2月24日に、ロシアがウクライナに軍事侵攻し、欧米がロシアに対する経済制裁を発動したため、資源・エネルギー価格が急騰しました。2022年3月には、円が急落し、同月28日に1ドル125円を付けました。

 当社グループ(当社及び当社の連結子会社)における各種購入品の価格が上昇し、主要原材料で国際相場商品の銅建値は、2021年10月に1トン134万円の過去最高値を更新しました。

 このような経営環境のもと、当社グループは感染症のクラスターが発生することによる生産障害のリスクを回避するため、社員に対するワクチンの職域接種を3回実施しました。

 また、当社の100%子会社のサンエツ金属株式会社では、高岡事業所の新・線工場と新・製品倉庫が完成しました。当社の連結子会社のシーケー金属株式会社では、鉄管継手のねじ加工と検査をする工場が完成しました。

 当社グループの連結業績については、伸銅事業の販売量の回復と銅相場の高騰により、売上高は1,153億43百万円(前年同期比66.9%増加)となり、営業利益は107億71百万円(同99.8%増加)となりました。営業外損益として、デリバティブ損失が37億86百万円、デリバティブ評価損が7億88百万円発生したため、経常利益は65億71百万円(同1,455.2%増加)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は43億13百万円(同2,376.9%増加)となりました。

 なお、当連結会計年度の期首より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。詳細につきましては、「第5経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」をご確認ください。

 

  各セグメントの業績は、次のとおりであります。

 

伸銅

 伸銅事業では、前連結会計年度に低迷した住宅・建設や、電気・電子機器などの分野での需要が回復したため、販売量は11万2,021トン(前年同期比26.5%増加)、売上高は1,003億1百万円(同76.4%増加)となり、セグメント損益は87億50百万円のセグメント利益(同105.9%増加)となりました。

 

精密部品

 精密部品事業では、前連結会計年度に低迷した需要が回復したため、売上高は51億5百万円(前年同期比61.0%増加)となり、セグメント損益は4億25百万円のセグメント利益(前年同期はセグメント損失2億8百万円)となりました。

 

配管・鍍金

 配管・鍍金事業では、売上高は99億37百万円(前年同期比9.1%増加)となり、セグメント損益は12億86百万円(同25.0%増加)のセグメント利益となりました。

 

 ②キャッシュ・フロー

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、減価償却費の計上、仕入債務の増加等があったものの、売上債権や棚卸資産の増加、有形固定資産の取得による支出、短期借入金の減少による支出等があったため、前連結会計年度末に比べ10億55百万円減少し、当連結会計年度末には6億79百万円となりました。

 

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

 

    (営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は62億80百万円(前年同期比116億78百万円収入の増加)となりました。これは主に、売上債権の増加12億44百万円、棚卸資産の増加47億45百万円等があったものの、税金等調整前当期純利益が65億60百万円、減価償却費24億33百万円、仕入債務の増加23億80百万円等があったことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果支出した資金は26億32百万円(前年同期比47億40百万円支出の減少)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出が20億88百万円(同20億94百万円の支出の減少)であったことによるものです。

 

    (財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果支出した資金は47億11百万円(前年同期比149億24百万円支出の増加)となりました。これは主に、短期借入金の減少額が38億60百万円(同144億60百万円支出の増加)であったことによるものです。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年増減率(%)

伸銅

104,406

77.9

精密部品

4,933

60.8

配管・鍍金

7,119

8.2

合計

116,458

70.4

 (注)金額は製造原価によっており、セグメント間の内部振替前の数字によっております。

 

b.受注実績

 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年増減率(%)

受注残高(百万円)

前年増減率(%)

伸銅

102,689

71.6

9,344

34.3

精密部品

5,436

66.5

866

61.9

合計

108,126

71.3

10,211

36.3

 (注)配管・鍍金事業は見込み生産を行っているため、該当事項はありません。

 

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年増減率(%)

伸銅

100,301

76.4

精密部品

5,105

61.0

配管・鍍金

9,937

9.1

合計

115,343

66.9

 (注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

 

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

東泉産業株式会社

10,087

14.6

16,511

14.3

 

(2)経営者の視点による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する分析・検討内容

 

  (経営成績に関する分析)

(単位:百万円)

 

売上高

営業利益

経常利益

親会社株主に帰属する当期純利益

2022年3月期

115,343

10,771

6,571

4,313

2021年3月期

69,130

5,392

422

174

増減

(増減率%)

46,213

(66.9)

5,379

(99.8)

6,149

(1,455.2)

4,139

(2,376.9)

 売上高は、伸銅事業の販売量の回復と銅相場の高騰により、1,153億43百万円(前年同期比66.9%増加)となり、営業利益は、銅相場上昇に伴う原料相場差益が発生し、107億71百万円(同99.8%増加)となりました。経常利益は、銅や亜鉛の相場変動によって生じる損益への影響を打ち消すためにデリバティブ取引を行っていることから、相場の上昇によって営業利益が嵩上げされた一方で、営業外損益として、デリバティブ損失が37億86百万円、デリバティブ評価損が7億88百万円発生したため、65億71百万円(同1,455.2%増加)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、43億13百万円(同2,376.9%増加)となりました。

 

 なお、経常利益の主な増減要因は次のとおりであります。

 

数量・構成

43.7億円

相場差損益

23.6億円

デリバティブ損益

10.3億円

その他

△16.1億円

 

  (財政状態に関する分析)

 当連結会計年度末の資産につきましては、主に棚卸資産が47億93百万円増加したため、前連結会計年度末に比べ49億54百万円増加し、710億99百万円となりました。

 負債につきましては、主に短期借入金が38億60百万円減少したものの、支払手形及び買掛金が25億2百万円、未払法人税等が10億92百万円、設備関係支払手形が8億71百万円増加したため、前連結会計年度末に比べ14億73百万円増加し、272億5百万円となりました。

 純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ34億80百万円増加し、438億93百万円となりました。

 

  (当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因)

 当社グループは、国際相場商品である銅や亜鉛を主要原材料として使用しています。このため、銅や亜鉛の相場が下がり局面にある場合は、保有原材料や工程内仕掛品などの棚卸資産等に含み損が発生するため、棚卸資産評価損の計上を必要としたり、製品販売価格が下落して売上高が減少したりする可能性があります。

 

(戦略的現状と見通し)

 当社グループは、市場が成熟したり縮小したりしている分野では、M&Aなどによる業容の維持拡大と、新製品の開発による市場開拓に努めて参りました。今後とも引き続き、M&Aと製品開発に注力して参ります。

 

(経営者の問題認識と今後の方針について)

 当社グループの経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき、最善の経営方針を立案するよう努めていますが、資源エネルギー価格が高騰し、各種購買品の仕入価格が上昇しています。コストアップ分を適切に製品価格へ転嫁すると同時に、より一層、新製品の開発と新市場の開拓に注力して行く所存です。

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 キャッシュ・フローの状況につきましては、「業績等の概要」に記載のとおりであります。また、当社グループの資金状況は、営業活動によるキャッシュ・フローでは、前連結会計年度より116億78百万円多い62億80百万円の資金を獲得しました。これは主に、売上債権の増加12億44百万円、棚卸資産の増加47億45百万円等があったものの、税金等調整前当期純利益が65億60百万円、減価償却費24億33百万円、仕入債務の増加23億80百万円等があったことによるものです。

 投資活動によるキャッシュ・フローでは、主に有形固定資産の取得により、26億32百万円の資金を支出しました。

 また、財務活動によるキャッシュ・フローでは、主に短期借入金の減少により、47億11百万円の資金を支出しました。

 営業活動によるキャッシュ・フローは62億80百万円に対して、投資活動によるキャッシュ・フローは△26億32百万円、財務活動によるキャッシュ・フローは△47億11百万円ですので、営業活動により得た資金で、借入金を返済し、投資活動を行ったことになります。ただ、今後も継続的な設備投資が見込まれます。また、M&Aによる資金が必要になる可能性もあります。原料相場が上昇した場合にはさらに、運転資金を確保する必要があります。これらの影響によって、資金需要が増加する際には、内部留保資金に加え、取引金融機関からの借入により資金調達をすることになりますが、当社グループの自己資本比率は54.2%であり、十分な資金調達余力を保有しております。

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

 

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