① 事業全体及びセグメント情報に記載された区分ごとの状況
当期における日本経済は、半導体不足の影響は継続しつつも、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が徐々に緩和され、企業収益、設備投資、個人消費、生産等の各面で引き続き持ち直しの動きが見られました。世界経済も半導体不足の影響が継続しつつも、同感染症の影響が緩和される中で経済活動の段階的な再開・回復への期待感が高まりつつありました。しかしながら、半導体供給不足の長期化、資源価格や原材料価格の高騰、新型コロナウイルス感染症問題が継続していることに加え、足元ではウクライナ問題によるエネルギー価格等の一層の上昇懸念もあり、先行きはさらに不透明な状況となっております。
当社製品の主要原料である銅の国内建値は、前年度期初からの上昇により当期の銅国内建値平均価格は前期を大幅に上回る水準となりました。
この間において、インフラ向け電線の需要は新型コロナウイルス感染症影響により昨年度の大幅な減少から回復傾向にありましたが下期にかけて鈍化しました。機器用電線分野では需要回復が続きました。機能性フィルムの主要用途であるスマートフォンの販売は堅調に推移したものの素材需要はスマートフォン以外の携帯端末向け需要の対前期減少、半導体等の供給不足、ユーザーの在庫調整等による影響がありました。
こうした環境のもと、当期の売上高は59,861百万円(前期比9.8%増)と増収、営業利益は2,885百万円(前期比18.3%減)、経常利益は3,114百万円(前期比14.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,330百万円(前期比11.9%減)と減益となりました。
(単位:百万円)
セグメントごとの業績の概況は次のとおりです。
<電線・ケーブル事業セグメント>
(単位:百万円)
インフラ向け電線は新型コロナウイルス感染症影響による需要減少からの回復傾向にありましたが銅価格の高騰長期化による買い控え等もあり下期に入って回復傾向が鈍化し、前期の販売量を下回り(前期比2.3%減)ました。一方で銅価格が大幅に上昇したこと、また機器用電線では一部向け先での需要回復が見られたこと等により、売上高は40,400百万円(前期比22.4%増)となりました。営業利益は原材料価格の上昇および銅価格変動影響はありましたものの機器用電線の収益回復ならびにインフラ向け電線の販売構成改善およびコスト削減等により750百万円(前期比83.5%増)となりました 。
<電子材料事業セグメント>
(単位:百万円)
当社主力製品である機能性フィルムの需要はユーザーの在庫調整、半導体等の供給不足等によりタブレット向けを中心に販売量が減少(前期比15.9%減)するとともに、機能性ペースト等の製品では認証取得が進んだものの量産に至らず、売上高は17,247百万円(前期比12.0%減)となりました。営業利益はコストの削減に努めましたものの償却費等の増もあり、2,705百万円(前期比29.0%減)となりました。
<その他事業セグメント>
(単位:百万円)
医療機器部材製品は年度末に新規製品の上市はありましたものの計画の遅れ等もあり販売は停滞いたしました。一方でセンサー、環境分析の各製品・サービスは需要回復が継続し、売上高は2,243百万円(前期比15.2%増)、営業利益は139百万円(前期比256.0%増)となりました 。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 上記の金額は、販売価格であり、セグメント間の内部振替前の数値です。
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間の取引については相殺消去しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
(注) 住電日立ケーブル株式会社は、2022年1月をもって住電HSTケーブル株式会社に商号変更をしております。
当期末における総資産は、前期末に比べ1,692百万円増加し、58,654百万円となりました。これは、短期貸付金が減少したものの、受取手形及び売掛金、製品が増加したこと等によるものです。
負債の部は、前期末に比べ423百万円増加し、10,484百万円となりました。これは、支払手形及び買掛金が増加したこと等によるものです。
純資産の部は、前期末に比べ1,268百万円増加し、48,169百万円となりました。これは、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が増加したこと等によるものです。
以上の結果、自己資本比率は前期末に比べ0.2ポイント下落し、82.1%となっております。
(3)キャッシュ・フローの状況
(現金及び現金同等物)
当期末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、1,389百万円となり、前期末に比べ55百万円の減少となりました。
各キャッシュ・フローの状況とそれらの増減要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、売上債権の増加4,920百万円、棚卸資産の増加2,889百万円等の資金減少要因から、税金等調整前当期純利益3,189百万円、減価償却費1,980百万円等の資金増加要因を差し引いた結果、3,061百万円の支出となり、前期に比べ8,214百万円の収入減少となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、主に短期貸付金減少6,893百万円等の資金増加要因から、有形固定資産の取得による支出2,673百万円等の資金減少要因を差し引いた結果、4,178百万円の収入となり、前期に比べ8,131百万円の支出減少となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、主に配当金の支払額1,112百万円により、1,112百万円の支出となり、前期に比べ99百万円の支出減少となりました。
(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)
当社グループは、「2025長期ビジョン」達成に向け今後も積極的な投資を継続していく予定であります。必要資金は、当面は自己資金により調達する予定でありますが、必要な場合には借入も実行いたします。
(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。当社グループの重要な会計方針については、すべて「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)、(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
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