(1)経営成績等の状況の概要
① 業績
当連結会計年度の当社グループを取り巻く経営環境は、中国ではいち早く景況が新型コロナウイルス感染症拡大前の状況に戻りつつあり、またワクチン接種が進んだ地域では景況感が上向く兆しがありますものの世界的には新たな変異株の発生など新型コロナウイルス感染症の影響が継続しており、国内外ともに厳しい状況が続いております。
こうしたなか、当社グループは、光製品や電子機器の新製品普及活動、AVコンソール製品などの販促活動を積極的に行うと共に、ITネットワーク関連製品など新規製品の開発活動に取り組んでまいりました。国内では新型コロナウイルス感染症の影響に加え、地方放送局の地上デジタル放送設備更新向け納入や東京オリンピック関連需要の終了により大きな減収となりましたが、海外では、新型コロナウイルスの影響が続く中でも特に中国が回復して牽引し、米国・韓国も業績が好転して国内の減収をカバーし連結売上では増収となりました。その結果、連結売上高は10,034百万円(前連結会計年度比3.5%増)となり、利益面でも経費縮減に努め営業利益1,010百万円(前連結会計年度比10.2%増)、経常利益1,069百万円(前連結会計年度比8.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益681百万円(前連結会計年度比0.3%増)となりました。
なお、当社グループの報告セグメントは所在地別の業績を基にしたものであり、その主な概要は次のとおりです。
(日 本)
日本市場は、電設市場の売上げは回復基調となり、地方放送局の新社屋建設、制作関連の設備更新向け納入も継続していますが、まとまった放送局の地上デジタル放送設備更新物件やオリンピック関連需要の終了等、大型物件の減少によって売上高は5,547百万円(前連結会計年度比9.9%減)となりました。セグメント利益も減収に伴い509百万円(前連結会計年度比12.7%減)となりました。
(米 国)
米国市場は、継続して新型コロナウイルス感染症の影響を受けておりますが、現地ディーラ向け納入が回復基調となり、売上高は954百万円(前連結会計年度比29.7%増)、セグメント利益も増収に伴い58百万円(前連結会計年度比42.9%増)となりました。
(韓 国)
韓国市場は、経済低迷に加え新型コロナウイルス感染症の影響を受けて放送市場のプロジェクト推進が遅延しておりますが、電設市場が回復基調となり、売上高は839百万円(前連結会計年度比15.7%増)となりました。セグメント利益は、増収に伴い60百万円の利益計上となりました。
(中 国)
中国市場は、新型コロナウイルス感染症の局所的な影響はあるものの活発な経済活動が回復し、北京冬季オリンピック関連物件や、放送市場における4K化需要向け納入が堅調の他、AV市場も伸長しており、売上高は1,622百万円(前連結会計年度比29.5%増)となりました。セグメント利益も増収に伴い302百万円(前連結会計年度比41.6%増)となりました。
(シンガポール)
東南アジア市場は、継続して新型コロナウイルス感染症の影響を受けておりますが、現地ディーラ向け納入が回復基調となり、売上高は378百万円(前連結会計年度比32.2%増)となりました。セグメント利益も増収に伴い45百万円(前連結会計年度比82.6%増)となりました。
② キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、たな卸資産の増加430百万円、法人税等の支払い261百万円、配当金支払い188百万円などの減少要因があったものの、税金等調整前当期純利益1,069百万円を計上し、売上債権の減少142百万円などあったため、前連結会計年度末に比して326百万円増の8,797百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
税金等調整前当期純利益1,069百万円の計上に加え、減価償却費138百万円や売上債権の減少142百万円の現金及び現金同等物増加要因に対し、たな卸資産の増加430百万円や法人税等の支払い261百万円などの支出があったため、515百万円の収入超となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
有価証券償還による収入42百万円がありましたが、定期預金の預入超108百万円や有形固定資産の取得54百万円などの支出のため、119百万円の支出超となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
配当金の支払いを主因に214百万円の支出超となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年1月1日 至 2021年12月31日) |
前連結会計年度比(%) |
日本(千円) |
1,924,759 |
88.0 |
中国(千円) |
845,249 |
118.5 |
合計(千円) |
2,770,008 |
95.5 |
(注)1.上記の金額は生産子会社の製品販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.当社グループは、日本及び中国で生産を行っております。
b. 受注実績
当社及び連結子会社は見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
c. 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年1月1日 至 2021年12月31日) |
前連結会計年度比(%) |
日本(千円) |
5,547,857 |
90.1 |
米国(千円) |
954,976 |
129.7 |
韓国(千円) |
839,664 |
115.7 |
中国(千円) |
1,622,600 |
129.5 |
台湾(千円) |
95,376 |
85.6 |
シンガポール(千円) |
378,226 |
132.2 |
インド(千円) |
68,090 |
150.1 |
欧州(千円) |
389,574 |
134.1 |
中東(千円) |
137,703 |
151.4 |
合計(千円) |
10,034,069 |
103.5 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2022年3月22日)現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりましては、当連結会計年度末における資産・負債及び当該連結会計期間の収益・費用の報告数値に影響を及ぼす見積り及び仮定を行っております。
ただし、過去の実績や状況に応じ合理的と判断される要因に基づき見積り、仮定を行っておりますが、実際の結果はこれらの見積り、仮定と異なる場合があります。
当社グループは、特に次の重要な会計方針の適用により見積りや仮定が連結財務諸表に影響を与えると考えております。
a.貸倒引当金
当社グループは、顧客の支払不能時に発生する損失の見積額について貸倒引当金を計上しておりますが、支払不能となった顧客が増加する等により追加引当が必要になる可能性があります。
b.賞与引当金
当社グループは、従業員へ支払う賞与につきまして、過去の実績と会社の方針を参考にして見積り金額で計上しておりますが、支給額の増加により追加引当が必要になる可能性があります。
c.たな卸資産
当社グループは、販売不能と見込まれるたな卸資産につきましては、評価減を実施しておりますが、予期せぬ不良、仕様変更によりいっそうの評価減が必要になる可能性があります。
d.固定資産の減損
当社グループは、固定資産の減損会計を適用しておりますが、将来キャッシュ・フローの見積額に修正が生じた場合において、当該固定資産に対して減損損失を認識する可能性があります。
e.投資有価証券の減損
当社グループは、投資の一環として株式及び債券等を所有しております。これら金融商品の投資価値下落に対しましては、時価が取得原価に対して50%以上下落した場合には、当該時価まで減損処理を行い、30%~50%程度下落した場合には、回復可能性等を考慮して必要と認められた額について減損処理を行っております。 f.製品保証引当金
当社グループは、顧客に納品した一部製品に対して、将来の製品交換及び補修費用に備えるため、今後必要と見込まれる金額を計上しておりますが、予期せぬ不良の発生等により追加引当が必要になる可能性があります。
② 当社グループの財政状態及び経営成績の分析
a.財政状態
(資産)
資産合計は、前連結会計年度比1,009百万円増の16,273百万円となりました。利益計上に伴う現金及び預金やたな卸資産など流動資産が増加したことによります。
(負債)
負債合計は、前連結会計年度比210百万円増の1,556百万円となりました。これは中間納税の減少の影響で未払法人税等の期末残高の増加、海外売上の好調に伴う前受金の増加などの流動負債増加と繰延税金負債の増加を主因としております。
(純資産)
純資産合計は、利益剰余金の親会社株主に帰属する当期純利益計上による増加、為替換算調整勘定の増加のため前連結会計年度比799百万円増の14,716百万円となりました。
b.経営成績
(売上)
当連結会計年度の当社グループを取りまく経営環境は、新型コロナウイルス感染症が猛威を振るうなか、厳しいロックダウン(都市封鎖)や行動規制と平行してワクチン接種が進み、一定の効果が見られはじめました。また、各国政府の経済再建に向けた大幅な財政出動は空前の株高を招き、「K字回復」といわれるような経済の二極化が進行しました。活動制限が緩和された地域や産業では、それまで停滞していたビジネスが一気に加速しました。経済全体としては景況感が上向く兆しがありますものの、新たな変異株の発生などにより国内外ともに不透明な状況が続いております。このような状況の中、当社グループは、光製品や電子機器の新製品普及活動、AVコンソール製品などの販促活動を積極的に行うと共に、ITネットワーク関連製品など新規製品の開発活動に取り組んでまいりました。国内では新型コロナウイルス感染症の影響に加え、放送局の地上デジタル放送設備更新物件や東京五輪関連需要の終了により大きな減収となり、国内売上高5,302百万円(前連結会計年度比11.0%減)となりました。海外では、中国をはじめ、米国・欧州も業績が好転して海外売上高4,731百万円(前連結会計年度比26.5%増)となり、国内の減収をカバーしました。
(売上原価、販売費及び一般管理費)
売上原価は、一年を通して銅をはじめ多くの原材料が値上げとなり、売上原価率は前連結会計年度に比して1.1ポイント上昇して6,097百万円となりました。
販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に企業活動の国内拠点を移転した効果によって減少しており、また、その際の移転費用などの一時負担が解消したことにより、対売上高比は前連結会計年度比で1.7ポイント低下の2,926百万円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
上記の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、対売上高比が前連結会計年度比で0.2ポイント低下の681百万円となりました。
c.キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては「(1)経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フロー」に記載のとおりであります。
③ 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績は、次の要因により重要な影響を受けます。
a.主要な需要先である電設業界、放送業界の設備投資動向
b.比較的価格変動の大きい銅等を材料として使用しているためそれらの価格動向
c.海外売上比率が高くなっているため、為替相場動向
④ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの運転資金及び設備投資等資金は、原則として自己資金により充当し、必要に応じて金融機関からの借り入れを実施することを基本方針としております。この方針に従い、当連結会計年度における運転資金や設備投資資金は自己資金により充当しました。直近において大きな設備投資を計画しておらず、必要となる運転資金などは主に自己資金により充当する予定ですが、必要に応じて金融機関からの借入れを実施するなど、負債と資本のバランスに配慮しつつ、必要な資金を調達してまいります。
⑤ 経営方針、経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、時代と共に変化する価値観に対応して、顧客から善い会社として支持・信頼される会社を目指し、「いつの時代でも存在価値ある企業づくり」を経営基本理念として掲げ、その理念を基に、「企業は公器」と認識していつの時代でも善い会社であるために、貢献資源づくり、普及活動および、フィードバックを実践してまいります。
以上の方針のなか企業価値向上をはかってまいりますが、企業業績の指標として連結業績で1株当たり当期純利益200円超えを目指しております。当連結会計年度におきましては、銅価格高騰によるコストアップの影響もあり、1株当たり当期純利益は100円96銭となりました。
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