業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の厳しい状況が徐々に緩和される中で、個人消費や生産活動の持ち直しの動きがみられました。海外経済は、同感染症の影響による厳しい状況が緩和される中で持ち直しておりますが、第4四半期連結会計期間におけるウクライナ情勢の悪化等による先行きの不透明感がみられます。アジア地域において中国では感染の再拡大の影響により一部地方で経済活動が抑制されているものの、持ち直しの動きがみられました。米国では個人消費の増加から持ち直しが続く事が期待され、欧州についても景気は一部で厳しい状況が残る中で、持ち直しております。

 当社グループを取り巻くエレクトロニクス業界におきましては、半導体関連の設備投資は引き続き活発な動きがみられました。車載市場や産業機器市場は堅調に推移したものの、第4四半期連結会計期間には車載市場において半導体や部材の調達難による生産調整の動きもあり、また部材価格の高騰、物流の混乱等により先行きが不透明な状況が続いております。

 

 このような状況のもと、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

(イ)財政状態

(資産)

 当連結会計年度末における流動資産は249億73百万円となり、前連結会計年度末に比べ36億80百万円増加いたしました。主な増加は、原材料及び貯蔵品が16億21百万円、その他に含まれている前渡金が6億70百万円、受取手形及び売掛金が4億58百万円、商品及び製品が4億45百万円であります。有形固定資産は135億2百万円となり、前連結会計年度末に比べ5億69百万円増加いたしました。主な増加は、機械装置及び運搬具(純額)が3億52百万円、建設仮勘定が2億23百万円であります。

 この結果、総資産は、415億74百万円となり、前連結会計年度末に比べ43億89百万円増加いたしました。

(負債)

 当連結会計年度末における流動負債は67億19百万円となり、前連結会計年度末に比べ18億8百万円増加いたしました。主な増加は、支払手形及び買掛金が11億32百万円、短期借入金が3億84百万円、その他に含まれている預り金が2億49百万円であります。固定負債は44億36百万円となり、前連結会計年度末に比べ3億52百万円減少いたしました。主な減少は、長期借入金が2億30百万円、その他に含まれている長期預り金が1億20百万円であります。

 この結果、負債合計は、111億55百万円となり、前連結会計年度末に比べ14億56百万円増加いたしました。

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産合計は304億18百万円となり、前連結会計年度末に比べ29億33百万円増加いたしました。主な増加は、為替換算調整勘定が17億56百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が15億3百万円であり、主な減少は、剰余金の配当3億72百万円であります。

 この結果、自己資本比率は73.2%(前連結会計年度末は73.9%)となりました。

 

(ロ)経営成績

 当連結会計年度の業績につきましては、売上高は278億3百万円(前連結会計年度比21.1%増)となりました。売上高が増加したことにより、営業利益は19億56百万円(同15.4%増)となりました。経常利益は20億29百万円(同6.9%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は15億3百万円(同38.9%増)となりました。

 

 主なセグメント別の業績の概要は、以下のとおりです。

(電線・加工品)

 車載用ケーブルは、需要の回復、搭載車種の増加から売上を伸ばし、第4四半期連結会計期間において生産調整及び中国における都市封鎖等の影響を受けたものの、新型コロナウイルス感染拡大以前の水準を上回りました。また、エネルギー産業関連ケーブルは北米市場において売上が堅調に推移しました。半導体検査装置用ケーブルは引続き売上が堅調に増加し、その他ケーブル全般の売上も大きく伸長しました。以上により、売上高は245億79百万円(前連結会計年度比28.7%増)となりました。銅価格等の原材料高、部材の調達難、中国における都市封鎖等の影響はありましたが、需要回復による売上の増加等により、セグメント利益は22億87百万円(同39.2%増)となりました。

(電子・医療部品)

 医療用特殊チューブは新型コロナウイルス感染症による当該製品を使用する症例数減少の影響もあり売上が減少となりました。ネットワーク機器は専門用途品へのシフトを進め汎用品の整理を行ったこと、及び半導体部品の調達難により売上が減少しました。以上により売上高は31億67百万円(前連結会計年度比14.7%減)となりました。売上の減少等によりセグメント利益は4億36百万円(同35.0%減)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動による資金の獲得9億68百万円、投資活動による資金の支出2億84百万円、財務活動による資金の支出3億5百万円、現金及び現金同等物に係る換算差額の増加が5億58百万円となり、期首に比べ9億36百万円増加し、78億71百万円(前連結会計年度比13.5%増)となりました。

 

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは、9億68百万円の資金の獲得(前連結会計年度は13億17百万円の資金の獲得)となりました。主な増加要因は、税金等調整前当期純利益20億59百万円、減価償却費13億73百万円、仕入債務の増加7億37百万円であり、主な減少要因は、棚卸資産の増加額18億14百万円、前渡金の増加額6億14百万円、法人税等の支払額4億96百万円であります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、2億84百万円の資金の支出(同30億18百万円の資金の支出)となりました。主な増加要因は、定期預金の払戻による収入24億16百万円であり、主な減少要因は、定期預金の預入による支出16億78百万円、有形固定資産の取得による支出10億86百万円であります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、3億5百万円の資金の支出(同3億6百万円の資金の支出)となりました。主な増加要因は、長期借入による収入17億50百万円であり、主な減少要因は、長期借入金の返済による支出17億68百万円、配当金の支払額3億72百万円であります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

(イ)生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

電線・加工品(百万円)

20,147

132.7

電子・医療部品(百万円)

2,210

92.7

報告セグメント(百万円)

22,357

127.2

その他(百万円)

合計(百万円)

22,357

127.2

(注)金額は製造原価によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

 

(ロ)受注実績

 当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

受注高

前年同期比(%)

受注残高

前年同期比(%)

電線・加工品(百万円)

27,677

136.7

7,293

173.9

電子・医療部品(百万円)

3,518

100.7

1,126

145.3

報告セグメント(百万円)

31,196

131.4

8,419

169.4

その他(百万円)

43

26.4

8

37.7

合計(百万円)

31,239

130.7

8,428

168.8

(注)金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

(ハ)販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

電線・加工品(百万円)

24,579

128.7

電子・医療部品(百万円)

3,167

85.3

報告セグメント(百万円)

27,746

121.7

その他(百万円)

57

38.6

合計(百万円)

27,803

121.1

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は100分の10未満でありますので記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであり

ます。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。

 

①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討の内容

 当社グループの経営成績は、電線・加工品、電子・医療部品における需要変動及び銅・石油価格等の変動、ま
た、当社グループが関わる製品群の多様化・短命化、価格競争の激化、顧客のグリーン調達強化等により影響を受けます。これらの状況を踏まえ、主に付加価値の高い製品は国内生産、量産品は海外生産と分業体制の強化、環境負荷物質のシステム管理体制の確立、高成長や安定した収益が見込まれる分野への経営資源の戦略的投入等により、競争力・収益力向上に努めております。
 なお、今後の見通しにつきましては、新型コロナウイルス感染症による制限の緩和から世界経済の回復が期待されますが、変異株による感染の再拡大への懸念、ウクライナ情勢の動向、急速な為替変動、半導体の供給不足、原材料高、部材の調達難等により予断を許さない状況にあります。当社の関連する市場においては、車載用ケーブルはカメラやアンテナをはじめとした車載搭載機器の増加、車載ネットワークの高度化から、引き続き成長が見込まれます。エネルギー産業関連ケーブルにおいても二酸化炭素排出削減をはじめとした環境への取り組みを背景に継続した需要が見込まれます。

 

a.経営成績の分析

 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等として、売上高、営業利益、経常利益等を重要な経営指標としております。

 売上高は、第3四半期までは新型コロナウイルス感染症の厳しい状況が徐々に緩和され、個人消費や生産活動の持ち直しにより回復基調となりましたが、第4四半期に入り部材の調達難による生産調整、中国における都市封鎖の影響による生産活動停止等の影響により売上高は伸び悩みとなりました。年間を通しては車載用ケーブル、エネルギー産業関連ケーブル及び半導体検査装置用ケーブル等は需要が回復し、売上高は増加となりました。以上の結果、売上高は278億3百万円(前連結会計年度比21.1%増)となりました。

 売上総利益は、銅仕入価格上昇の一部を売上価格に転嫁したことや売上高の増加により60億3百万円(同8.6%増)となりました。

 営業利益は、物流コストの上昇等により販売費及び一般管理費が2億13百万円増加したものの、19億56百万円(同15.4%増)となりました。

 経常利益は、20億29百万円(同6.9%増)となりました。

 特別利益は、受取保険金81百万円であります。

 特別損失は、災害による損失(電線・加工セグメント)31百万円と減損損失(電子・医療部品セグメント)20百万円であります。

 この結果、税金等調整前当期純利益は20億59百万円(同35.4%増)となり、法人税等合計を差し引いた親会社株主に帰属する当期純利益は、15億3百万円(同38.9%増)となりました。

 

 

b.財政状態の分析

 当連結会計年度における財政状態の分析につきましては、「第2 事業の状況」の「3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概況 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。

 

c.キャッシュ・フローの分析

 当連結会計年度における財政状態の分析につきましては、「第2 事業の状況」の「3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概況 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

d.資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当社グループの主な資金需要は、運転資金及び設備投資資金等であります。これらの資金につきましては営業活動による収入のほか、安定的な支払能力を確保するため、資金繰りの状況や金融情勢を勘案し、銀行からの借入れにより調達しております。

 

②重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されており、重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたっては、さまざまな項目について会計上の見積りを行う必要がありますが、特に以下の事項は、会計上の見積りの判断が当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。

 

 (棚卸資産の評価)

 当社グループは、棚卸資産を収益性の低下に基づく簿価切り下げの方法により評価しております。当社は見込み生産を行うことがあり、保有期間が長期にわたる棚卸資産は、販売可能性等を勘案して評価損を見積り計上しております。これらの見積りは、将来の不確実な経済環境や顧客ニーズの変化により影響を受ける可能性があります。当連結会計年度末における棚卸資産の簿価は7,092百万円であります。

 (固定資産の減損処理)

 当社グループは、固定資産のうち想定していた収益が見込まれなくなった事業用資産について、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上する方針であります。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。

(新型コロナウイルス感染症の影響)

 会計上の見積りに対する新型コロナウイルス感染症の影響に関して、同感染症による制限の緩和が進み、通常の事業活動が行えていることを前提として見積りを行った結果、当連結会計年度における連結財務諸表に及ぼす影響、及び翌連結会計年度における連結財務諸表に及ぼす影響は軽微なものと判断しております。

 

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