研究開発活動

5【研究開発活動】

 当社グループは、長年培ってきた電線・ケーブル押出技術(導体の上に絶縁体を被覆する技術)を応用した製品開発を重要なる柱として、技術変化の激しいデジタルエレクトロニクス分野に対応した高周波・高精度・高速伝送ケーブルの研究開発、次世代放送システムに対応したIP伝送装置の開発、耐環境性や特殊機能を備えたスイッチングハブの開発、及び医療分野における高性能医療用特殊チューブ等、今後の当社グループ事業の中核となる製品の研究開発を鋭意進めております。

 現在の研究開発は、インキュベータ的研究開発及び製品直結型の各事業部における研究開発で推進されております。

 当連結会計年度における各セグメント別の主な研究テーマ、成果は次のとおりであります。なお、当連結会計年度の研究開発費総額は161百万円となっております。

 

(1)電線・加工品事業における研究開発費は111百万円であります。

・高精度、高速伝送ケーブル開発

 近年IoTの出現により、ネットワークやコンピュータの要求性能は急速に高まり、より多くのデータを保存、伝送、処理する必要があります。一方で、データの転送速度の向上に伴い伝送ロスを低減するなどデータ伝送の課題は増えています。

送信部の波形品質特性、ケーブルの特性品質等、すべてに高い性能が要求され、これまではあまり問題にならなかったレーン間のクロストークも大きな問題となります。そのため実際の設計では、測定器とシミュレーションを組み合わせたトータルの開発環境も重要となります。

 半導体テスタ用ケーブルは特に高精度、低減衰量、高速伝送が重要となります。そのため、高帯域(10G以上)の伝送特性・信頼性が求められ、その顧客ニーズを可能にする高い付加価値のあるケーブル・ASSY製品の実現に向けて、当社の技術力を活かし、積極的に開発活動に取り組んでおります。又、サーバ/ストレージ用の400Gbps対応ケーブル及びそのアッセンブリ品である、QSFP-DDを始め、FA及び医療向けマシンビジョンカメラ用の各種規格ケーブル(Camera Link-HS/長距離Camera Link/10G Camera Link-HS AOC/GigEVision/10GigE/USB3Vision(TYPE-C)/USB4AOC/CoaxPress/CoaxPress Over Fiber(AOC) & Repeater/12G-SDIなど)、民生用の各種規格ケーブル(HDMI2.1(8K伝送対応)/DVI/DisplayPort/USB3.2など)、光ファイバーのもつ広帯域という利点を活かした長距離伝送を行うアクティブ光ケーブル、その他車載電子機器用ケーブル、防水ケーブル、5G通信ケーブル、セキュリティ/デジタル機器ASSY等の開発・量産化を強化しております。第5世代移動通信システム(5G)アンテナ用同軸ケーブルの普及に伴い、高速の伝送を必要とする携帯端末が増えてきている。特に初期の通信5GはSUB6(6GHz以下)の周波数帯域でサービスを展開していたが、今後はミリ波(24~28GHz、米国40GHz近辺)を中心としたサービスへの移行が予想され開発を進めております。

・医療用ケーブルの開発

 AWG42より細い極細同軸はCCD内視鏡やAWG46より細い超極細のものは、超音波内視鏡などの医療用を中心として採用されております。当社は、特殊な銅合金導体をはじめ、素材レベルから検討を進め、精度・強度・機械特性・ノイズ・伝送特性等に優れた超極細同軸ケーブルの開発に取り組んで来ました。

・環境対応材料の開発

 RoHS指令、REACH規制、POPs条約など環境規制が強化される中、環境への悪影響がなく且つ商品性能・価値を満足させることが要求されてきています。当社では、これら環境規制で禁止される特定有害物質を一切使用することなく、従来材料と同等以上の性能、コストパフォーマンスをだすための材料技術を蓄積し、安心して使用できる環境対応材料の開発に取り組むと共に、難燃、耐熱、耐油、低摩耗性などの高機能化要求に応えるための材料開発を進めております。

・車載製品の開発

 世界各国で安全で快適なモビリティ社会の実現に向け、先進運転支援システム(ADAS)や自動運転などの分野で激しい技術開発競争が繰り広げられています。
「Connected(コネクテッド)」の分野では、高速大容量、超信頼・低遅延(リアルタイム)を実現する5G通信システムの本格普及により、自動車と通信の融合に向けた取組みが世界各国で加速しています。そんな中で5G通信システムと車車間通信・路車間通信をつなぐ製品の重要性が一層求めらてれおります。
「Autonomous(自動運転)」の分野では、自動運転に不可欠なセンシングカメラ/レーザーレーダー(LiDAR)の高度化に伴い、高い信頼性と優れた高周波特性をもった製品を求められております。 このため、車載製品開発においては、より高度な製品の開発を行うだけでなく製品評価及びプロセス保証も重要な研究開発の要素として取り組んでおります。

 

(2)電子・医療部品事業における研究開発費は44百万円であります。

・放送機器/ネットワーク装置の開発

 放送分野での4K/8K伝送においては圧縮・伸長技術や既存通信インフラを使用することが可能となるIP伝送装置の市場ニーズに対し、各種圧縮・伸長が可能なコーデック製品や非圧縮及び圧縮映像信号をIP化する製品開発を進めてまいります。

これから進む映像信号のIPネットワーク化に向けてスイッチングハブなど映像ネットワークに特化した製品拡充を図ってまいります。

 ネットワーク製品では、船舶・物流・半導体製造用スイッチングハブやシステム構築時の各種設定を簡易化できる自動設定機能付スイッチングハブ、PTP(Precision Time Protocol)機能やマルチレート対応スイッチングハブなど特殊用途や管理の簡略化に対応した製品拡充を図ってまいります。

 これら製品群の5G/ローカル5GやIoT関連ネットワーク向けの10Gbpsスイッチングハブ及び搭載インテリジェンス化ソフトウェアについても開発を進めてまいります。

・医療用特殊チューブの開発

 医療用関連の製品として、補強材入りチューブを中心とする製品の設計・開発をケーブル加工技術の応用とカテーテル製造に必要な新たな技術の開発により、活動しております。これらの開発活動は、高機能性材料開発、機能性多層チューブの開発、多穴チューブ(マルチルーメンチューブ)の製法開発等へと発展し、品種増加と既存品改良により売上寄与が見込まれます。また、開発及び製造は清浄度の高い生産インフラを活用し、精密構造の追及と高機能化の検討を進めております。

 

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