業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」)の状況の概要は、次のとおりであります。

 

① 経営成績の状況

当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症による影響が長期化する中、一旦は沈静化がみられたことから経済活動は段階的に持ち直しの方向に向かったものの、新たな変異株の出現による感染の再拡大が続いており、先行きは依然として不透明な状況が続いております。住宅投資に関しては、コロナ禍における住宅需要の高まりや政府による各種の住宅取得支援施策等を受けて堅調に推移し、新設住宅着工戸数は866千戸(前年同期比6.6%増)と3年ぶりの増加に転じ持ち直しの傾向がみられたものの、海外からの資材・部品の調達難による工期延長や物件引き渡し時期の遅れ等の影響が懸念されております。

世界経済に関しては、先進国を中心としたワクチン接種の普及に伴う行動制限緩和等により経済活動は回復傾向がみられ、正常化に向けて進みつつありますが、国内と同様に変異株による世界的な感染の再拡大に加え、半導体に代表される部品の調達・供給不安、サプライチェーンの寸断、資源・エネルギー価格の高騰及び海運等を中心とした物流費の大幅な上昇等の影響が継続、顕在化してきております。加えて、2月のロシアによるウクライナに対する軍事侵攻、及び各国の対ロシア経済制裁措置の発令による地政学的リスクも重なり、先行きは不透明感を増しております。

 

このような環境のもと、当社グループにおける当連結会計年度の業績は、国内事業における部品の調達難や物流のひっ迫の影響に伴う供給の遅れ等があったものの、海外事業においては特に欧州・中東・アフリカ地域及び北米地域で引き続き旺盛な需要に支えられ、加えてアジア太平洋地域でも経済活動の回復がみられたことから、売上収益は1兆4,285億78百万円(前年同期比3.7%増)と増収となりました。また、利益面においては、国内、海外とも特に下半期から顕著となった資材・エネルギー価格の高騰に加え、サプライチェーンの寸断に起因する物流費の上昇等外的要因による大幅なコスト増加があったものの、これまで重点的に取り組んできた構造改革や価格の適正化、収益性改善の施策等による成果に下支えされ、事業利益は648億75百万円(前年同期比13.2%増)、営業利益は前連結会計年度に実施した希望退職プログラムにかかる一時費用の剥落の影響等もあり694億71百万円(前年同期比93.8%増)、継続事業からの税引前利益は672億62百万円(前年同期比99.0%増)となり、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が最も顕著であった前連結会計年度に比してそれぞれ増益となりました。

これらの結果、子会社の売却に伴い前連結会計年度に計上した非継続事業からの当期利益がなくなったものの、非支配持分を控除した親会社の所有者に帰属する当期利益は486億3百万円(前年同期比47.1%増)となりました。

 

(注)事業利益は、売上収益から売上原価、販売費及び一般管理費を控除して算出しております。

 

セグメント別の概況は次のとおりであります。なお、セグメント別の売上収益はセグメント間取引消去前であり、事業損益は全社費用控除前であります。

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

 

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

 至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

 至 2022年3月31日)

増減額

増減率

ウォーター
テクノロジー

事業

売上収益

783,805

862,157

78,352

10.0%

事業利益

62,148

76,615

14,467

23.3%

利益率

7.9%

8.9%

1.0%

 

ハウジング
テクノロジー

事業

売上収益

474,291

466,662

△ 7,629

△ 1.6%

事業利益

31,435

28,203

△ 3,232

△ 10.3%

利益率

6.6%

6.0%

△ 0.6%

 

ビルディング
テクノロジー

事業

売上収益

93,375

89,321

△ 4,054

△ 4.3%

事業利益

2,611

3,495

884

33.9%

利益率

2.8%

3.9%

1.1%

 

住宅・

サービス
事業等

売上収益

46,556

30,274

△ 16,282

△ 35.0%

事業利益

2,136

△ 139

△ 2,275

利益率

4.6%

 

消去又は全社

売上収益

△ 19,772

△ 19,836

△ 64

0.3%

事業利益

△ 41,042

△ 43,299

△ 2,257

5.5%

利益率

 

合     計

売上収益

1,378,255

1,428,578

50,323

3.7%

事業利益

57,288

64,875

7,587

13.2%

利益率

4.2%

4.5%

0.3%

 

 

[ウォーターテクノロジー事業]

ウォーターテクノロジー事業においては、国内、海外ともに前連結会計年度における新型コロナウイルス感染症拡大の影響に伴う需要減少から回復をみせており、海外事業、特に欧州・中東・アフリカ地域及び北米地域の旺盛な需要に支えられ、売上収益は8,621億57百万円(前年同期比10.0%増)、事業利益は売上収益の増加に伴う粗利増に加え、資材価格の高騰に対応した販売価格の見直し、国内におけるリフォーム商品や中高級価格帯商品の売上構成比率のアップによる利益率向上の効果等もあり766億15百万円(前年同期比23.3%増)と増収増益となりました。

 

[ハウジングテクノロジー事業]

ハウジングテクノロジー事業においては、「ニューノーマル」への意識の高まり、及び在宅時間の増加による消費者心理の変化等を背景にリフォーム需要が堅調に推移しているものの、前連結会計年度における子会社売却の影響等もあり、売上収益は4,666億62百万円(前年同期比1.6%減)、事業利益は引き続き販売価格の見直しや販管費の抑制、生産効率の向上等の体質強化に向けた各種施策の効果により収益性の改善がみられたものの、主原料であるアルミ地金の想定以上の価格高騰や物流費の上昇等のコストアップ影響を大きく受け282億3百万円(前年同期比10.3%減)と減収減益となりました。

 

[ビルディングテクノロジー事業]

ビルディングテクノロジー事業においては、大型物件を中心とした工程の見直しに伴う建材供給時期の遅れ等から、売上収益は893億21百万円(前年同期比4.3%減)と減収となりましたが、事業利益は体質強化への継続的な取り組み及び生産性向上施策の進展等により利益率の改善に努めた結果34億95百万円(前年同期比33.9%増)と増益となりました。

 

[住宅・サービス事業等]

住宅・サービス事業等においては、前連結会計年度における子会社売却の影響が大きく、売上収益は302億74百万円(前年同期比35.0%減)、事業損益は販管費の抑制に努めたものの、子会社売却影響に加え資材価格の高騰もあり1億39百万円の事業損失(前年同期は21億36百万円の事業利益)と減収減益となりました。

 

 

② 財政状態の状況

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて410億68百万円増加の1兆7,828億82百万円となりました。流動資産は、サプライチェーンの寸断による調達及び供給リスクを回避するための安全在庫確保や価格上昇などによる棚卸資産の増加に加え、次年度に予定している本社移転に伴い現社屋にかかる非流動資産を売却目的で保有する資産へ振り替えた影響などにより、前連結会計年度末に比べて768億34百万円増加の7,146億7百万円となりました。一方、非流動資産は、上記の流動資産への振替の影響に加え、主に設備投資額の抑制や遊休資産の売却などによる減少や、政策保有株式の売却に伴うその他の金融資産の減少などにより、前連結会計年度末に比べて357億66百万円減少の1兆682億75百万円となりました。

また、資本は6,149億68百万円、親会社所有者帰属持分比率は34.3%(前連結会計年度末比2.6ポイント改善)であります。

 

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③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。なお、金額は非継続事業を含むキャッシュ・フローの合計額であります。

 

営業活動によるキャッシュ・フローは、1,182億96百万円の資金増加となりました。前年同期に比べて327億47百万円の減少となり、この主な要因は、継続事業からの税引前利益の増加があったものの、棚卸資産や営業債権及びその他の債権、営業債務及びその他の債務などの運転資本の変動に加え、前連結会計年度における子会社の売却による資金減少があったことなどによるものであります。

投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産及び無形資産の取得による支出や、有形固定資産の処分による収入があったことなどから248億5百万円の資金減少となりました。前年同期に比べて293億46百万円の資金増加であり、主に設備投資の抑制やプラットフォーム化による投資効率の向上に加えて、政策保有株式の売却に伴う収入があったことなどによるものであります。

財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金やリース負債の支払のほか、社債の満期償還に加え、有利子負債の調達と返済を機動的に行ったことなどから1,080億94百万円の資金減少となりました。前年同期に比べて146億69百万円の資金減少であります。

これらの結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、換算差額による影響などを含めると、前連結会計年度末に比べて106億57百万円減少の1,004億4百万円であります。

 

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④ 生産、受注及び販売の実績

生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 セグメントの名称

金額(百万円)

 前年同期比(%)

ウォーターテクノロジー事業

454,318

112.5

ハウジングテクノロジー事業

222,504

114.2

ビルディングテクノロジー事業

53,444

94.9

合計

730,266

111.5

 

商品仕入実績

 当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 セグメントの名称

金額(百万円)

 前年同期比(%)

ウォーターテクノロジー事業

89,478

127.1

ハウジングテクノロジー事業

87,622

81.6

ビルディングテクノロジー事業

11,753

113.1

住宅・サービス事業等

25,831

75.2

合計

214,684

96.4

 

受注実績

 ビルディングテクノロジー事業の工事物件については、受注生産を行っております。当連結会計年度における受注実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比

(%)

受注残高(百万円)

前年同期比

(%)

ビルディングテクノロジー事業

82,455

120.3

113,005

107.5

 

販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 セグメントの名称

金額(百万円)

 前年同期比(%)

ウォーターテクノロジー事業

862,157

110.0

ハウジングテクノロジー事業

466,662

98.4

ビルディングテクノロジー事業

89,321

95.7

住宅・サービス事業等

30,274

65.0

報告セグメント計

1,448,414

103.6

セグメント間取引

△19,836

100.3

合計

1,428,578

103.7

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。

なお、本項に記載した将来や想定に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであり、その達成を保証するものではありません。また、分析に記載した実績値は1億円未満を四捨五入して記載しております。

 

① 重要な会計上の見積り及び判断、重要な会計方針

重要な見積りを伴う会計方針とは、不確実性があり、かつ翌連結会計年度以降に変更する可能性がある事項、又は当連結会計年度において合理的に用いることができる他の見積りがあり、それを用いることによっては財政状態及び経営成績に重要な相違を及ぼすであろう事項の影響に関して見積りを行う必要がある場合に、最も困難で主観的かつ複雑な判断が要求されるものであります。また、当社グループを取り巻く市場の動向や為替変動などの経済情勢により、これらの見積りの不確実性は増大します。

 

当社グループの連結財務諸表の作成にあたって利用する重要な会計上の見積り及び判断については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 2.作成の基礎 (5)重要な会計上の見積り及び判断の利用」に記載のとおりであります。また、当社グループの連結財務諸表の作成にあたって採用する重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」に記載のとおりであります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度における当社グループの経営成績等の状況に対して、事業全体及び主要なセグメントごとに重要な影響を与えた要因について経営者の視点から見た認識及び分析・評価は、次のとおりであります。

 

[当連結会計年度の業績に対する評価]

当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染症の影響が続く中、資材・エネルギー価格及び物流費の高騰に加えてサプライチェーンの寸断への対応が求められるという極めて厳しい事業環境でありましたが、売上収益は前年同期比503億円増収の1兆4,286億円、事業利益は前年同期比76億円増益の649億円と、増収増益という結果となりました。期初の業績予想値に対しては残念ながら未達となったものの、親会社の所有者に帰属する当期利益に関しては期初の目標を達成する事ができました。

事業利益について計画未達となった主な理由は、地政学的な問題の発展により、資材・エネルギー価格の上昇、物流の混乱とコスト上昇の加速、製品供給安定化コストの発生などによるものです。その利益悪化影響額のうちかなりの部分についてはこれまで取り組んできた構造改革の効果や価格の適正化、追加の販管費削減によりカバーすることができましたが、期初計画に届くまでには至りませんでした。ただし、仮にこうした多額かつ急激なコスト上昇影響を除外した場合、あるいは、遅れて発生する施策の効果を考慮した場合には、期初計画の達成も十分可能であったものと考えられます。この意味では、数年来取り組んできた様々な構造改革の結果、体質としては中期目標指標として目指してきた事業利益率7.5%を達成できるレベルまでには変革を進めることができたのではないかと考えております。こうした体質の強化は、資材・エネルギー価格及び物流費の高騰局面においても、売上総利益率を改善できたことにおいて、外部環境の変化に対する経営の弾力性が着実に強化されつつあることを実感しております。当連結会計年度においては、ハウジングテクノロジー事業におけるプラットフォームをベースとした生産体制への移行も完了しましたので、今後一層の強化につながることを期待しております。

 

[バランスシートの強化についての目標と進展]

一方、中長期的かつ持続的な成長のためには、安定的な財務基盤を固める必要があります。

当社グループでは、収益性の向上と財務体質の強化をともに図る上で、ネット有利子負債EBITDA倍率を3.5倍以下に、また親会社所有者帰属持分比率を35%以上に改善することを中期目標の指標として、アセットライト化の推進に基づく資本効率の向上と有利子負債の削減に取り組んでまいりました。当連結会計年度においては、ネット有利子負債EBITDA倍率2.9倍と前連結会計年度よりもさらに改善したことに加え、親会社所有者帰属持分比率についても34.3%と中期目標に迫る数字となってきており、財務体質の健全化に目処をつけることができました。

今後は引き続きネット有利子負債EBITDA倍率を重要視しつつ、将来のキャッシュ・フローや利益の源泉となるROICの高い成長領域に対して重点的に投資を行い、利益率のさらなる向上、財務体質の強化に努めてまいります。

 

[キャピタルアロケーション及び株主還元に対する考え方]

現在は、イノベーションによる将来成長の基盤を築くフェーズにあることから、とりわけ大型のM&Aや設備投資は検討しておりません。そのため、当面は大型の借入や増資の計画はありませんが、引き続き当社グループの長期的かつ持続的な成長につながるITや人材、デザイン、ブランドなどの無形資産を中心とした成長投資により営業キャッシュ・フローの増加を図るとともに、保有資産の最適化を通じて成長投資に必要な資金の創出を図る予定です。また、次期においては、本社移転のほか、近年増加するサイバー攻撃に対するセキュリティの強化などを目的としたIT投資などの一時的な設備投資額の増加を見込んでおりますが、こうした一時的な増加を除けば、資本効率が高く、将来成長に資する投資案件により多くの資本を投下する方針を継続いたします。

株主還元につきましては、連結配当性向30%以上を配当方針とするとともに、財務状況や利益水準を総合的に勘案した上で、株主の皆さまに対し安定的に利益の還元を行うことを基本方針としております。次期については、財務体質の健全化に目処をつけることができたことに加え、構造改革のさらなる推進の結果、営業キャッシュ・フローの安定的な成長についても自信が持てる段階に入ったことから、期末配当については5円増配し1株当たり年間85円とすることを決定いたしました。また、次期の配当予想額についてもさらに5円増配の1株当たり年間90円といたしました。

また、アセットライト化の推進による資本効率の向上と、現在の事業ポートフォリオ内におけるシナジーの一層の創出に注力するという経営の方向性と財務体質強化の進捗に照らし、資本効率の向上と株主還元の強化の観点から当社グループの企業価値の向上に資するものと判断し、自己株式の取得、及び従来保有している金庫株も含む自己株式の消却を決定いたしました。

今後も資本コストを上回るリターンを継続的に創出していくことで、株主の皆さまにより高い還元ができるよう努めてまいります。

 

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(注)1.当社は、2022年4月28日開催の取締役会において、会社法第459条第1項の規定による定款の定めに基づき、自己株式取得に係る事項を決議するとともに、会社法第178条の規定に基づき、自己株式消却に係る事項を決議いたしました。ROEは、本自己株式の取得影響考慮前の数値であります。

ROE :親会社の所有者に帰属する当期損益 ÷((親会社の所有者に帰属する持分(前期末)+

親会社の所有者に帰属する持分(当期末))÷ 2)

2.ROIC:営業利益 ×(1-実効税率)÷ (営業債権及びその他の債権 + 棚卸資産 +

固定資産(のれん等無形含む)- 営業債務及びその他の債務)

 

 

[次期の見通しと通期業績予想値]

次期の見通しにつきましては、国内、海外ともワクチン接種の普及や治療薬の開発等の新型コロナウイルス感染症の拡大防止策が講じられる中で経済環境は持ち直しの動きが続くことが期待されますが、一方でロシア・ウクライナ紛争等の地政学的リスクに起因する世界的な情勢不安に加え、引き続き資材・エネルギー価格の高騰やコンテナ不足による物流費の上昇等の業績圧迫要因が継続することも懸念され、依然として先行きが不透明な状況が続くと見込まれます。

このような事業環境のもと、当社グループにおいては組織としての機動力や環境変化への対応力を強化してきたことに加え、経営の基本的方向性で定めた4つの優先課題への取り組みの進展が着実に成果として現れてきております。今後も不透明な事業環境が続くものと思われますが、中長期的には持続可能な成長を達成できると確信しております。また、コーポレート・レスポンシビリティ戦略で定めた目標に向かって取り組みを進めることで、ステークホルダーの皆様に提供する価値をさらに高め、ひいては、「世界中の誰もが願う、豊かで快適な住まいの実現」という当社グループの存在意義を実現するために邁進してまいります。

 

このような中、次期の通期業績予想値につきましては、上記のような事業環境・経営戦略を反映させた結果、売上収益は1兆5,200億円(前年同期比6.4%増)、事業利益は810億円(前年同期比24.9%増)、営業利益は780億円(前年同期比12.3%増)、継続事業からの税引前利益は760億円(前年同期比13.0%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は510億円(前年同期比4.9%増)と、増収増益を見込んでおります。とりわけ、事業利益率につきましては前年同期比0.8ポイント増の5.3%とさらなる伸長を計画しております。

また、さらなる株主還元を図るため、1株当たりの配当金は中間・期末それぞれ45円、年間90円に増配を計画しております。加えて、資本効率の向上と株主還元の強化の観点から、当社の企業価値の向上に資するものと判断し、自己株式の取得及び消却の実施を決定しております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 42.後発事象」に記載のとおりであります。

 

なお、上記の次期見通しは現時点で入手可能な情報に基づき当社が判断したものであり、リスクや不確実性を含んでおります。実際の業績は、様々な要因によりこれらの見通しとは異なる結果となることがあります。

 

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(注)1.EPS(基本的1株当たり当期利益)の2023年3月期予想値の算定上の基礎となる期中平均株式数については、2022年3月31日現在の発行済株式数(自己株式数を除く)を使用しております。

2.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。また、各指標は、以下により算出しております。

ROE :親会社の所有者に帰属する当期損益 ÷((親会社の所有者に帰属する持分(前期末)+

親会社の所有者に帰属する持分(当期末))÷ 2)

ROA :親会社の所有者に帰属する当期損益 ÷((総資産額(前期末)+ 総資産額(当期末))

÷2)

ROIC:営業利益 ×(1-実効税率)÷ (営業債権及びその他の債権 + 棚卸資産 +

固定資産(のれん等無形含む)- 営業債務及びその他の債務)

ネット有利子負債:有利子負債 - 現金及び現金同等物

3.有利子負債は、連結財政状態計算書に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としております。

 

資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。

当社グループは、健全な財政状態を維持しつつ、事業活動に必要な資金を安定的かつ機動的に確保すべく、営業活動によるキャッシュ・フローの創出や幅広い調達手段の実現に努めております。手元流動性に関しては、非常時の決済資金相当額を常に維持することを基本とし、財務柔軟性を確保するため、銀行などの金融機関からの借入や社債の発行に加え、コマーシャル・ペーパー発行枠及びコミットメントラインの確保、受取手形の流動化といった取り組みを通じて、調達手段の多様化を図っております。

なお、新型コロナウイルス感染症拡大の影響に伴い経営環境が急激に悪化した際のリスクに備えて、上記の基本方針とは別に短期資金の調達枠を設定しております。また、当社グループ内においても設備投資案件の優先順位付け、在庫管理の徹底、販管費の縮減方策などを通じてさらなる手元流動性の確保に努めております。

その結果、当連結会計年度末におけるネット有利子負債は前連結会計年度末に比べて601億円減少し4,243億円となり、前期に引き続き改善されております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は1,004億円となりました。

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なお、財務状況に関する主要指標の推移は、次のとおりであります。

 

 

2020年

3月期

2021年

3月期

2022年

3月期

売上収益事業利益率(%)

3.5

4.2

4.5

親会社所有者帰属持分比率(%)

24.0

31.7

34.3

ネット有利子負債/EBITDA(倍)

5.5

3.5

2.9

(注)1.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。なお、各指標は、以下により算出しております。

ネット有利子負債:有利子負債-現金及び現金同等物

EBITDA     :事業利益+減価償却費及び償却費

2.有利子負債は、連結財政状態計算書に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債及び転換社債型新株予約権付社債を対象としております。また、EBITDAの算出に用いた減価償却費及び償却費には、非継続事業に分類したPermasteelisa S.p.A.及び同社子会社並びに株式会社LIXILビバに係る金額を含めておりません。

 

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