当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当 連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、設備投資などは一部持ち直しの動きがあるものの、個人消費は依然として厳しい状況であります。海外経済は、国や地域でばらつきがあるものの、ワクチン接種が進捗し徐々に持ち直してきております。
こ のような状況のなか当社グループの業績は、活況な電子部品業界の影響を受けている電子部材・フォトマスク事業や、大型案件の売上を計上した環境・水処理関連事業を中心として回復しております。当連結会計年度における業績は、売上高 24,781 百万円(前期比 14.0% 増)、営業利益 1,103 百万円(前期比 899.4% 増)、経常利益 1,615 百万円(前期比 190.4% 増)、親会社株主に帰属する当期純利益 1,084 百万円(前期親会社株主に帰属する当期純損失 93 百万円)となりました。
セグメントの業績は次のとおりであります。
産業用機能フィルター・コンベア事業は以下の分野で構成されます。
製紙製品分野では、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が依然として継続しており、国内においては紙の需要が減少し、海外においては販売活動が制約されております。そのような状況ではありますが、国内の紙・板紙生産量は前期の状況と比べるとこのところ回復の兆しが見え、海外も新規開拓は困難であるものの既存取引先からの需要があったことから、売上高は国内海外ともに前期と比べ増加いたしました。
その他産業用フィルター・コンベア分野では、中国における食品用コンベアベルトの販売が増加したことや豪ドル高の影響などにより、売上高は前期と比べ増加いたしました。
結果、当セグメントの外部顧客への売上高は16,838百万円(前期比6.2%増)、営業利益は973百万円(前期比31.5%増)となりました。
電子部材・フォトマスク事業は以下の分野で構成されます。
電子部品業界は、一部で半導体供給が不足するほどの活況が継続しております。
エッチング加工製品分野では、製造装置の仕入販売を計上したことなどにより売上高は前期と比べ増加いたしました。
フォトマスク製品分野では、自動車業界や通信デバイス向けの販売が増加したことや、需給が逼迫している一部得意先からの需要に適宜対応したことにより、売上高は前期と比べ増加いたしました。
結果、当セグメントの外部顧客への売上高は4,172百万円(前期比23.6%増)、営業利益は372百万円(前期営業損失71百万円)となりました。
環境・水処理関連事業は、プール、ろ過装置の設計・販売、防波堤に用いられる消波ブロック向け高比重コンクリート(Gコン)、天然ガスパイプラインの腐食・ガス漏れを防ぐ絶縁継手の販売などを行っております。事業の中核である首都圏におけるプールおよびプールろ過装置のシェア拡大を目的として、2021年3月31日付でフジカ濾水機株式会社を全株式取得により連結子会社化いたしました。また、2021年5月1日に積水アクアシステム株式会社よりFRPプール事業を譲受いたしました。
当連結会計年度においてプールの大型案件の売上計上があったことなどにより、当セグメントの外部顧客への売上高は2,746百万円(前期比89.0%増)、営業利益は254百万円(前期営業損失87百万円)となりました。
④不動産賃貸事業
不動産賃貸事業は、当社が保有する不動産を店舗・マンション・駐車場等として賃貸しております。
既存の賃貸物件のうち一部が契約終了となった結果、当セグメントの外部顧客への売上高は1,023百万円(前期比2.7%減)、営業利益は770百万円(前期比2.9%減)となりました。
(注)各セグメントの営業利益の合計額と連結業績における営業利益との差異1,267百万円(前期比0.2%増)は、主として各セグメントに配分していない全社費用であります。
流動資産は、前連結会計年度末に比べ1,118百万円増加し、17,944百万円となりました。これは主として、仕掛品が405百万円減少した一方で、受取手形及び売掛金が1,092百万円、現金及び預金が477百万円それぞれ増加したことによるものであります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べ3,004百万円増加し、23,175百万円となりました。これは主として、投資有価証券が1,504百万円、建設仮勘定が747百万円それぞれ増加したことによるものであります。
この結果、資産合計は、前連結会計年度末に比べ4,122百万円増加し、41,120百万円となりました。
流動負債は、前連結会計年度末に比べ517百万円増加し、12,169百万円となりました。これは主として、その他が446百万円減少した一方で、支払手形及び買掛金が942百万円増加したことによるものであります。
固定負債は、前連結会計年度末に比べ1,374百万円増加し、7,053百万円となりました。これは主として、長期借入金が722百万円、繰延税金負債が614百万円それぞれ増加したことによるものであります。
この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べ1,891百万円増加し、19,222百万円となりました。
純資産合計は、前連結会計年度末に比べ2,230百万円増加し、21,897百万円となりました。これは主として、その他有価証券評価差額金が978百万円、利益剰余金が822百万円それぞれ増加したことによるものであります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ500百万円増加し、4,353百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益1,515百万円、減価償却費1,241百万円、売上債権の増加額958百万円などにより、2,137百万円の収入(前連結会計年度に比べ837百万円の収入減)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出1,763百万円などにより1,730百万円の支出(前連結会計年度に比べ429百万円の支出増)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入1,212百万円、長期借入金の返済による支出689百万円などにより、38百万円の収入(前連結会計年度は1,279百万円の支出)となりました。
(3) 生産、受注及び販売の状況
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 金額は製造原価によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3 当連結会計年度において、環境・水処理関連事業の受注高が増加しております。これは主に、プールの大型案件の受注が増加したことなどによるものであります。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループは、2020年度~2022年度中期経営計画を策定しております。その2年目にあたる当連結会計年度の実績と目標への進捗は下記のとおりとなりました。
(百万円)
当連結会計年度は産業用機能フィルター・コンベア事業や環境・水処理関連事業の一部で新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けましたが、徐々に回復の兆しが見えております。セグメントごとの状況および2022年度目標達成への取り組みにつきましては下記のとおりであります。
産業用機能フィルター・コンベア事業におきましては、紙・板紙の国内生産量や、食品業界における設備投資が前期急激に減少しましたが、前期と比べると徐々に回復しつつあります。海外におきましては販売活動に制約を受けておりますが、既存顧客からの受注が回復していることや、中国における食品用コンベアベルトの半場が好調でありました。2022年度目標達成に向けた取り組みといたしまして、製紙製品分野では、今後も底堅い需要が見込まれる板紙、衛生用紙向けワイヤーの開発を進めております。また、駆動負荷低減網などサステナビリティに貢献するコンセプト製品の開発を進めます。その他産業用フィルター・コンベア分野では、今後の景気回復に伴い設備投資が回復すると見込んでおり、新規顧客開拓を強化・継続しております。
電子部材・フォトマスク事業におきましては、一部で半導体供給が不足するほどの活況が継続しており、特に自動車業界や通信デバイス業界からの需要が旺盛であります。2022年度目標達成に向け、5GやIoTの普及、自動車の電装化の進展に対応した製品の開発や販売活動を強化しております。とりわけ、需給が逼迫している一部得意先からの需要に適宜対応することにより受注が増加しておりますので、丁寧な販売活動を継続いたします。また、非電子部材分野への製品開発を強化しており、半導体業界の景気に左右されづらい販売構成を目指しております。
環境・水処理関連事業におきましては、学校の水泳授業の中止が前期より継続し、点検等の業務が減少いたしましたが、プールの大型案件やホテルマンション向けプールの販売が増加いたしました。2022年度目標達成に向けた取り組みといたしまして、老朽化による改築、学校の統廃合、小中一貫校化等により、学校プールの底堅い需要が見込める都市部に経営資源を集中してまいります。また、当連結会計年度に連結子会社化いたしましたフジカ濾水機株式会社とのシナジー効果発出に取り組んでまいります。
不動産賃貸事業におきましては、一部テナントの解約があったものの、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けず、安定した収益を確保いたしました。今後も適宜適切なメンテナンスを実施し賃料の維持に努めてまいります。
なお、ROEにつきましては2022年度目標を上回りましたが、今後も継続して目標を上回ることができるように、収益を改善しつつ、自己株式取得などをはじめとした資本政策を検討しております。配当性向につきましても目標である配当性向30%以上となるように、年間の1株当たり配当を16円(期初予想から4円増配)といたしました。
(2) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要となる事項につきましては、合理的な基準に基づき継続的にこれを行っております。
個々の項目につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 4 会計方針に関する事項」に記載のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染症拡大による会計上の見積りへの影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(3) 資本の源泉及び資金の流動性についての分析
当社グループの資金需要の主なものは、原材料等の仕入のほか、製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用や設備投資等によるものであり、営業活動により獲得した資金及び金融機関からの借入によりまかなわれております。
資金の配分方針については、当社グループでは常に生産設備に係る設備投資が必要であり、その資金需要に備えた手許現金及び現金同等物を確保しております。設備投資につきまして2021年度は2,049百万円、2022年度は2,459百万円を見込んでおります。設備投資計画における重要な設備の詳細については、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」をご参照ください。
株主還元につきましては、経営における重要課題の一つと考えており連結配当性向30%以上を目標としております。配当政策については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」をご確認ください。
資金の流動性につきましては、新型コロナウイルス感染症拡大により今後のキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性はありますが、予測不能な事態が生じない限り、安定的な資金運用が可能であると認識しております。なお、資金の流動性保持の観点から主要取引銀行と特定融資枠契約等を締結しております。特定融資枠等の総額は13,043百万円であり、当連結会計年度末の借入実行残高は4,960百万円であります。
(4) 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
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