課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは、釘・ねじの専業メーカーとして、「1本の釘・ねじで、ものともの、人と人とを繋ぎ、豊かな社会づくりに貢献します」を企業理念として定め、多様なニーズに応えられる高品質の製品を開発・提供して、社会に貢献することを使命として事業活動を続けています。また、法令や社会規範を遵守し、社会規律に従って透明性のある経営を行いながら収益を上げ、安定した利益を継続的に確保することで企業価値を高めてまいります。

 

(2)目標とする経営指標

当社グループが事業展開に際し重視している経営指標は、売上高、営業利益、当期利益及びROE(株主資本利益率)であります。徹底した合理化、原価低減により生産コストを抑制し生産効率を高め、総資産の圧縮を通じて、業績及び企業価値の向上を図ってまいります。

当社グループの2022年度~2024年度の中期経営計画において、最終年度である2024年度の定量面での目標とする経営指標は次のとおりであります。

売上高 55億円、営業利益 1.6億円、当期利益 1億円、ROE 7%

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

当社グループの持つ技術力、開発力、生産能力、ブランド力、情報力等を活かし、下記の施策を実行しながら、新製品の提供、価格競争力の強化、財務体質の改善に努めてまいります。

建設・梱包向セグメント

釘は国内総需要の約8割が輸入商品で賄われておりますが、当社は、環境意識の高まりや海外情勢を総合的に考慮して国内生産品を主として取引先に提供していく方針であります。長年の経験で培われた当社の技術力・開発力・品質管理能力・安定供給力は、特に高付加価値品においては圧倒的な優位性を誇っております。また、海外委託生産品(OEM商品)も輸入することで、汎用品から高付加価値品に至るまで、お客様の様々なニーズにお応えできる企業として存続し続けたいと考えております。今後も、生産性の向上を図りながら売上高の拡大、製造コストの低減を実現し、ROEの向上に取り組んでまいります。

加えて、昨今の国や県の環境政策に賛同して取り組むことを最優先事項と捉え、国内森林資源循環サイクルの活性化に寄与し、二酸化炭素排出削減によるカーボンニュートラル社会の実現に貢献すべく、国産木材の活用政策に歩調を合わせた活動を推進していく所存であります。

具体的施策は以下のとおりであります。

 

 ①売上高・収益の拡大

営業力強化により販路を拡大し、製販一体で、顧客ニーズに基づく新製品開発等の開発営業を展開し、売上 高・収益の増加を図る。また、顧客満足度の向上を図るとともに、高付加価値製品の生産・販売強化に経営資源を集中して投入していく。

②販売価格の適正化

鋼材や輸入商品価格、運賃コスト等諸々のコスト上昇分を販売価格に転嫁し、適正価格での販売を実施する。

③コスト削減

1.国内生産の無人化・省人化を推進し、生産性を高める。

2.OEM提携先との関係強化及び仕入ソースの安定確保・拡大による仕入コストの削減を図る。

3.物流を合理化・再構築することによる物流コストの低減を始め、販売費及び一般管理費の特に固定費の低減に取り組む。

 

電気・輸送機器向セグメント

中長期的には輸送機器関連を中心に需要は増加傾向にあり、特に電気自動車やハイブリッド車用のバッテリー関連やモーター関連等、軽量化に必要となる特殊締結部品の需要が見込まれます。今後さらに、国内での設計に強みがある自動運転技術や事故防止アシスト・センサー関連の需要や特殊ねじ関連の締結ニーズの増加が見込まれています。

今後も引き続き、特に品質が重視される電気自動車やハイブリッド車用バッテリーやセンサー類等の需要に対応し、自動車をはじめ輸送機器関連部品や産業機械向を主なターゲットとして、高付加価値機能部品への製造・販売に移行していく方針であります。

上述の機能部品の受注・販売のため、工場や生産設備の増強、自動運転化設備の設置を行い、計画的な受注・販売・生産活動への対応に取り組んでおります。

 

(4)経営環境及び対処すべき課題

建設・梱包向事業は、少子化、世帯数の減少並びに住宅の長寿命化等により、長期的には国内の新設住宅着工は減少傾向にあり、一方、未知の感染症の発生、想定外の自然災害が今後住宅需要に影響を与える可能性があります。

また、既に進行している世界的な資源高を始めとした価格高騰や諸経費の上昇、地政学的なリスクが表面化し、海外品の供給体制・国内のサプライチェーンにも影響を及ぼすことが想定されますが、新技術の導入により、木造の中層・高層建築物の建設が増加傾向にあり、釘商品が多く使用される可能性があります。

今後の課題は、製品の安定供給・高品質維持・販売価格の改定・販売ルートの拡充が必須になっており、取引先のコンプライアンス対応や環境面への配慮等も勘案した総合的な事業運営が求められるものと認識しております。

電気・輸送機器向事業は、特に弱電・OA機器については、最終需要家は海外生産を主体としたまま現調化を進めています。国内での事業分野は、引続き自動車部品関連・産業機械向けが主流となっています。

当社グループとして、このような事業等のリスクに対応すべく、次の事項について積極的に取り組み、業容の維持・拡大を図っていく所存であります。

①売上高・収益の拡大

1.営業力強化により販路を拡大し、製販一体で、顧客ニーズに基づく新製品開発等の開発営業を展開し、売上高・収益の増加を図る。また、顧客満足度の向上を図るとともに、高付加価値製品の生産・販売強化のため集中して経営資源を投入していく。

2.新製品の販売を通して新市場の開拓を行う。

3.特に電気・輸送機器向は、自動車の電動化、自動運転化に伴う特殊ねじの拡販を積極的に推し進め、グループとしての収益力アップを図る。

  ②販売価格の適正化

1.鋼材や輸入商品価格、運賃コスト等諸々のコスト上昇分を転嫁し、適正価格での販売を行う。

2.低採算品種を抽出し、速やかに価格是正を行う。

③コスト削減

1.国内生産の無人化・省人化を推進し、生産性を高める。

2.OEM提携先との関係強化及び仕入ソースの安定確保・拡大による仕入コストの削減を図る。

3.物流を合理化・再構築することによる物流コストの低減を図る。

4.販売費及び一般管理費等の固定費削減及び金利コストの低減を図る。

5.生産品種の見直し、品種の統合を図る。

④新規設備投資の実施

 売上高や収益の拡大が見込める分野、また、無人化、省人化、労働環境の改善により生産性向上を図れる分野に計画的に投資を行う。

⑤新規事業への展開

  既存事業とのシナジー効果の見込める分野への参入を検討し、事業の多角化と売上高・収益規模の拡大を図る。

⑥危機管理体制の確立・拡充 

 世界的な異常気象による自然災害や未知の感染症の発生等を想定して事業継続計画書の見直し等を含め危機管理体制を整備し、マニュアル等に基づいた教育を実施する。

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