業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種の拡がりに伴い部分的に社会・経済活動の回復が見られるものの、年度後半には新たな変異株の感染拡大が内外経済へ影響するなど、景気下振れリスクを抱えながら推移いたしました。

 また、自動車や産業機械など関連業界においては、半導体などの部品不足や原材料価格の高騰に加え、ウクライナ情勢の影響による物流網の混乱やエネルギー価格の高騰もあり先行き不透明な状況が続いております。

 

 このような経営環境のもと当社グループにおきましては、「工具をTOKOTON究め、TRASASでつながり、安全・安心の見える化をグローバルに展開する」を基本方針に掲げ、工具事業を核とした成長戦略を展開し、収益・利益の拡大に努めてまいりました。

 とくに新型コロナウイルス感染症の影響に伴う材料不足や価格高騰により企業活動が抑制されるなか、収益性の改善に向け製品仕様の見直しや加工工法の変更など、全社一丸となってコストダウンに取り組んでまいりました。

 これらの結果、当連結会計年度の売上高は79億40百万円(前年同期比8.5%増)、営業利益は7億33百万円(前年同期比49.2%増)、経常利益は7億59百万円(前年同期比49.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては5億5百万円(前年同期比48.2%増)となりました。

 

 

 事業セグメントごとの経営成績の概要につきましては、以下のとおりであります。

 

[工具事業]

 主力の当事業部門では、「安全、快適、能率・効率、環境」をキーワードに、既存顧客の深耕、新規顧客の開拓並びにブランド価値向上等の事業戦略を展開しております。

 開発面では、「安全、快適、能率・効率、環境」を追求するR&Dコンセプト「新・工具大進化」の具現化に向けた製品・サービスをTRASAS(トレサス:TRAceable Sensing and Analysis System)と名付け市場投入しております。TRASASシリーズはIoT技術を搭載した工具や測定具、作業支援デバイス、これらのシステムソフトウェアで構成されております。作業データを無線でデバイスへ転送することで作業履歴の自動的な記録・管理・分析を可能にいたしました。さらに、他社システムとの連携やシステムの共同開発を通じ、各々のお客様に合った作業・品質管理に貢献しております。

 販売面では、工具メーカーとしてのノウハウと先進のテクノロジーを融合し、作業者の経験や勘に頼っていた作業の標準化と効率化を提案しております。具体的には、作業現場で確認できた課題やその対策案について、最適な作業工具や作業手順の改善ポイント、作業トレーサビリティの運用方針などを検討後、導入計画を策定し提案いたします。さらに2022年1月開催の展示会「第6回スマート工場EXPO」に出展するなど、他社システムと連携したTRASASシリーズやデジラチェ[メモルク]のデモを実施し拡販に努めてまいりました。

 新型コロナウイルス感染症の影響により営業活動が制限されるなか、デジタル技術を活用したインサイドセールスを主とする営業スタイルを展開しております。2021年8月に新設した「kDNA Studio(きずなスタジオ)」にて製品の使用シーンや特徴を明確に伝えるウェビナーコンテンツを収録し、一方向の情報発信だけでなく対話を実現するウェブメディア「KTC times」で配信するなど、当社グループ特有のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進し、よりスマートにより多くのお客様へソリューションを提供してまいります。

 また、2021年11月には本取り組みの方針説明会を「KTC T&M business Way 2021(T&M:つながる&見える化)」と題しオンライン会議形式で開催するなど、ステークホルダーへの浸透も図ってまいりました。

 生産面では、たゆまぬ生産性の向上とコストダウンの推進で当社グループにおける「ものづくりの最適化」を図っております。さらに、生産革新の実現に向け最新のロボット技術を活用した先進的な自働化、少人化ラインの開発や、全社の設備監視を包括的に行うなど工場のIoT化を進めております。

 また、当社グループは、安全・安心な社会実現に向けた持続可能な取り組みとして、未来の技術者を育成する「技育(技術の教育)」を展開し、志を同じくする企業との協業や産学連携を通じた「技育」分野でのオープンイノベーションの取り組みを推進しております。2021年9月には、教育・育成などの分野において包括的連携・協力に関する協定を国立大学法人奈良女子大学(2022年4月工学部新設)と締結いたしました。社会問題解決に向けた取り組みや技術進歩に伴う多様な変革のなか、活躍できる技術者の育成に積極的に取り組んでおります。

 2021年12月には当社グループの本社所在地である久御山町と「災害時における一時避難所等施設利用に関する協定」を締結いたしました。引き続き地域貢献活動にも積極的に取り組んでまいります。

 

 これらの結果、自動車及び一般産業市場を中心とした市販部門が堅調に推移し、また、全社挙げての経費削減活動の効果もあり、当連結会計年度の売上高は77億9百万円(前年同期比8.7%増)、セグメント利益は5億67百万円(前年同期比71.0%増)となりました。

 

[ファシリティマネジメント事業]

 当事業部門では、従前より所有不動産の有効活用を目指し、物件の整備、運営管理を推進しております。2022年3月には、広島営業所の建物を建て替え一部を賃貸物件として運営開始いたしました。

 当連結会計年度におきましては、所有不動産や、石川県羽咋市の太陽光発電所の安定稼働により、売上高は2億30百万円(前年同期比1.6%増)、セグメント利益は1億65百万円(前年同期比3.9%増)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、建物の建替えや改修、生産管理システムなどの固定資産の取得による支出、配当金の支払等で資金を使用したものの、主に営業活動で獲得した資金がそれらの支出を上回った結果、前連結会計年度末に比べて5億62百万円増加し、当連結会計年度末残高は、37億11百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において営業活動の結果得られた資金の増加は10億26百万円(前年同期は7億89百万円)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益7億45百万円に加え、減価償却費3億90百万円、その他の負債の増加1億16百万円による資金の増加があった一方、売上債権の増加1億52百万円などによる資金の減少があったことなどによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において投資活動による資金の減少は2億70百万円(前年同期は2億54百万円)となりました。これは主に、有価証券の償還による収入1億円、その他の投資の回収による収入47百万円による資金の増加があったものの、固定資産の取得による支出3億96百万円による資金の減少があったことなどによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において財務活動による資金の減少は1億93百万円(前年同期は1億79百万円)となりました。これは主に、配当金の支払額1億81百万円があったことなどによるものであります。

 当社グループの資金需要の動向につきましては、成長戦略投資を進めながら、継続的・安定的な株主還元を続けてまいります。

 具体的には配当と投資と手許資金のバランスを保ちつつ、配当に関しては、継続的かつ安定的な配当の維持と業績に応じた配当を基本とし、投資に関しては「新・工具大進化」の実現に向けた新製品開発や生産革新の実現に向けた活動等に投資いたします。手許資金に関しては、今後の経済動向の不確実性拡大に備えるためにも現状水準を維持いたします。

 

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

工具事業(千円)

8,221,931

114.2

ファシリティマネジメント事業(千円)

合計(千円)

8,221,931

114.2

 (注)1.金額は、販売価格によっております。

2.上記の生産実績には、仕入商品を含んでおります。

 

b.受注実績

 当社グループ(当社及び連結子会社)は見込み生産を行っているため、該当事項はありません。

 

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

工具事業(千円)

7,709,829

108.7

ファシリティマネジメント事業(千円)

230,643

101.6

合計(千円)

7,940,472

108.5

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

 

相手先

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

トラスコ中山株式会社

1,006,533

13.7

1,189,963

15.0

ヤマト自動車株式会社

1,125,839

15.4

1,168,641

14.7

トヨタ自動車株式会社

823,574

11.3

826,662

10.4

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)及び(追加情報)に記載のとおりであります。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの当連結会計年度の経営成績は、次のとおりであります。

a.売上高

 当連結会計年度における売上高は、79億40百万円(前年同期比8.5%増)となりました。新型コロナウイルス感染症の影響により営業活動が制限されるなか、展示会へのオンライン参加やデジタル技術を活用したインサイドセールスを主とする営業スタイルを展開してまいりました。その結果、自動車及び一般産業市場を中心とした市販部門が堅調に推移し、売上高が増加いたしました。

b.営業利益

 営業利益は、原材料の供給不足や価格高騰による影響があったものの、生産性の向上とコストダウンの推進でKTCグループにおける「ものづくりの最適化」を図ったことに加え、全社挙げての経費削減活動の効果もあり、7億33百万円(前年同期比49.2%増)、売上高営業利益率は9.2%(前年同期比2.5ポイント増)となりました。

c.営業外損益及び経常利益

 営業外損益は、営業外収益として受取配当金25百万円、営業外費用として支払利息4百万円、為替差損1百万円、売上割引1百万円を計上したことなどにより、26百万円の利益(純額)となり、経常利益は7億59百万円(前年同期比49.9%増)となりました。

d.特別損益及び親会社株主に帰属する当期純利益

 特別損益は、特別損失として固定資産除売却損14百万円を計上したことにより、14百万円の損失(純額)となり、税金等調整前当期純利益は7億45百万円(前年同期比47.4%増)となりました。

 親会社株主に帰属する当期純利益は、法人税、住民税及び事業税に2億77百万円、法人税等調整額に37百万円を計上したことにより、5億5百万円(前年同期比48.2%増)となりました。

 

 

 当社グループの当連結会計年度の財政状態は、次のとおりであります。

a.資産

 当連結会計年度末の総資産は、143億14百万円となり、前連結会計年度末に対し7億99百万円増加となりました。その主な内容は、現金及び預金が5億62百万円、受取手形及び売掛金が1億52百万円、商品及び製品が87百万円、投資有価証券が85百万円増加した一方、有価証券が1億円減少したことなどによるものであります。

b.負債及び純資産

 当連結会計年度末の負債合計は、36億8百万円となり、前連結会計年度末に対し3億99百万円増加となりました。その主な内容は、未払法人税等が1億71百万円、未払金が94百万円、支払手形及び買掛金が91百万円増加した一方、退職給付に係る負債が14百万円減少したことなどによるものであります。

 当連結会計年度末の純資産合計は、107億5百万円となり、前連結会計年度末に対し3億99百万円増加となりました。その主な内容は、利益剰余金が3億23百万円、その他有価証券評価差額金が57百万円増加したことなどによるものであります。

 当社グループの当連結会計年度の流動性及び資金の源泉は、次のとおりであります。

a.キャッシュ・フロー

 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

b.資金需要

 当社グループの資金需要は大きく分けて運転資金需要と設備資金需要の二つがあります。

 運転資金需要の主なものは、製造販売業として機能するための原材料等の仕入や製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。また、設備資金需要の主なものは、工場や社屋等の建物及び機械装置、DXを推進するための営業活動用設備等の有形固定資産投資に加え、TRASASシリーズ用ソフトウェアや情報処理の為の無形固定資産投資等があります。

c.財務政策

 当社グループは運転資金につきましては、現在、内部資金より充当し、不足が生じた場合は短期借入金で調達を行っております。また、設備資金につきましては、設備投資計画に基づき資金計画を策定しており、内部資金で不足する場合は、長期借入金等により調達を行っております。

 

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

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