文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、社是「お互いに誠実でたゆまず前進し、軽くて強くて使いよい工具を創り、社会に貢献しよう」、社訓「信用・誠実・協調・創造・実行」を経営理念とし、品質・価格・納期の面において、お客様の要求に最大限お応えできる製品とサービスを提供することにより、企業の継続的発展を目指すとともに、法令を遵守し、安全・環境面においても地域をはじめとする社会に貢献できる企業グループを目指してまいります。
(2) 経営戦略等
当社グループは、2022年度より2030年度を最終年度とする新たなKTCグループ長期ビジョン「KTC vision 2030」を策定し、基本方針に「社会の期待を超えたツールで、人の能力を拡張し、世の中の安全を創り出す」を掲げております。2030年度までの9年間を3フェーズに分け、3年毎の中期経営計画を実行することにより長期ビジョンの達成を目指してまいります。
フェーズ1となる2022年度から2024年度までの第1次中期経営計画につきましては、「つながる&見える化で、新たなモビリティ ファクトリー インフラを攻略する」を基本方針に、工具事業を核とした新たな成長戦略を展開することで、KTCグループ長期ビジョンの達成へとつなげてまいります。
2023年3月期の連結会計年度におきましては、DXとアナログを使い分けた営業スタイルの展開と関連業界の変革に応じた新製品やサービスの戦略的開発による「新・工具大進化」の実現により成長戦略を推進してまいります。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、本業での収益性を示す営業利益率を重要な指標として位置づけ、第1次中期経営計画の最終年度となる2024年度に営業利益率10%の達成を目標とし営業基盤の拡大による企業価値の継続的拡大に努めてまいります。
(4) 経営環境
当社グループを取り巻く経営環境につきましては、依然として収束が見通せない新型コロナウイルス感染症の動向のほか、原材料やエネルギー価格の高騰、急激な為替変動の行方などにより弱含みで推移すると予想されます。
また、関連業界においては、社会問題解決に向けた取り組みがさらに活発化すると考えられ、たとえば当社グループの主力である自動車業界では、CASE(Connected:コネクティッド、Autonomous/Automated:自動化、Shared:シェアリング、Electric:電動化)の実現に向けた動きが加速するとみられます。2050年のカーボンニュートラル実現に向けた自動車のEV化が急速に展開されるなど自動車業界の在り方に変革がもたらされており、今後、人の暮らしや働く環境にも影響すると考えられます。
当社グループの主力である工具事業では、「もの」を主体とする製品事業から「こと」を提案するサービス事業への領域拡大を加速化し、お客様の多様化するニーズに対応してまいります。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、長期ビジョン及び第1次中期経営計画の成長戦略を展開するため、以下のような課題を設定し経営を進めてまいります。
① 「新・工具大進化」の実現
当社グループは、安全・安心に対する社会的要求のさらなる高まりにより統合的作業管理が進展することを見据え、「ハードウエア」「ソフトウエア」「サービス」の三要素で構成するツール「TRASAS次世代作業トレーサビリティシステム」を展開しております。作業履歴の自動的な「記録・管理・分析」を行う統合的作業管理を市場に投入することで、安全・安心の社会的要求に応えてまいります。これに加え、材料や構造・機構に関する研究開発にも積極的に取り組み、「安全で、使う人と環境にやさしいツール」の製品化を通じ、多様性を認め合う、持続可能な社会の実現を目指してまいります。
② 3C営業とDX推進による「こと」の提供
当社グループは、国内外ともに3C(コンサルティング・コミュニケーション・カウンセリング)営業を確立することで、「お客様の様々な問題や課題解決」に主眼を置いたソリューション営業を展開しており、お客様から選ばれるベストパートナーを目指しております。
新型コロナウイルス感染症の拡大により非対面によるコミュニケーションが常態化するなか、当社グループにおきましてもデジタル技術を活用したインサイドセールスを主とする営業スタイルを展開しております。当社グループ特有のDXを推進しよりスマートにより多くのお客様へソリューションを提供してまいります。
③ 「新・工具大進化」を支えるものづくりのIoT化の推進
当社グループでは、「新・工具大進化」を支えるためのものづくり革新を進めております。人とロボットそれぞれの長所を活かした協働環境の構築を目指します。例えば、単純な繰り返し作業であるハンドリングをロボットに任せ、人はロボットでの作業が困難な作業、より付加価値の高い作業へシフトすることが挙げられます。「協働型自走式ロボット」を開発し、人とロボットが協働できる独自のラインを構築することなどにより、既存ラインへの大きな変更を伴わない次世代のスマート工場化を実現します。
④ 当社グループの変革を支えるベースづくり(「人財育成」と「職場環境整備」推進)
当社グループは、さまざまな変革を実現するためのベースとなる人財育成に向け教育制度を充実させてまいります。「もの」を主体とする製品事業から「こと」を提案するサービス事業へと領域を拡大するために必要な専門性を兼ね備えた人財の育成を強化いたします。
また、新型コロナウイルスなどの感染症予防に伴う「働き方の新しいスタイル」の定着と応用に向け、引き続き社内外会議のオンライン開催など接触機会の減少に努めるとともに、デジタル技術を活用した業務効率の改善に取り組んでまいります。ステークホルダーの安全確保を最優先に、経営環境に合わせた働き方改革を推進し快適で働きやすい職場環境を整備することで、KTCグループの成長を実現してまいります。
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