業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という)等を当連結会計年度の期首から適用しております。収益認識会計基準等の適用が財政状態及び経営成績に与える影響の詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (会計方針の変更)」をご参照ください。

 

① 経営成績の状況

 当連結会計年度における世界経済は、回復傾向が継続しているものの、新型コロナウイルス感染症の感染力の強い変異株の出現や製造業の半導体不足継続により各国の経済活動には不透明感が強まってまいりました。

 また、わが国経済においても製造業では半導体不足や原材料価格の上昇が企業の生産活動や収益の下押し要因となっております。

 当社グループの主な事業領域である自動車分野は、新型コロナウイルス感染症の拡大により、新車生産及び販売が大きく落ち込んだ前連結会計年度から回復傾向が継続しておりましたが、世界的な半導体不足による影響や感染が拡大した地域での工場閉鎖などによる部品不足を背景に、自動車生産の減産影響が発生しており先行き不透明な状況となりました。

 また、電子情報通信分野では、デジタル社会進展によりデータセンター向け投資に旺盛な需要が続いております。

 当社グループの業績もこのような外部環境の影響を強く受け、自動車分野の売上高は増加しました。電子情報通信分野においても、HDD用サスペンションやプリンター関連の需要が高水準を維持しており前連結会計年度の売上を上回りました。この結果、売上高は474億38百万円(前連結会計年度比18.2%増)となりました。

 

 利益面では、増収の影響により営業利益は6億49百万円(前連結会計年度は12億93百万円の営業損失)、スクラップ売却価格高騰等の影響があり経常利益は10億22百万円(前連結会計年度は10億円の経常損失)となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は投資有価証券売却益の計上があったことから9億4百万円(前連結会計年度は61百万円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。

 

≪セグメント別の業績≫

[日本]

 自動車分野では、新型コロナウイルス感染症の拡大により、新車生産及び販売が大きく落ち込んだ前連結会計年度から大きく回復しました。また電子情報通信分野ではHDD用サスペンションの需要が高水準を維持しており、前連結会計年度の販売を上回りました。

 結果として、セグメント売上高は326億59百万円(前連結会計年度比21.1%増)、増収影響によりセグメント利益は5億83百万円(前連結会計年度は15億79百万円のセグメント損失)となりました。

 

[北米]

 メキシコ子会社、米国子会社の材料関連製品、自動車関連製品ともに、回復基調が継続しております。その結果、セグメント売上高は64億59百万円(前連結会計年度比10.5%増)となりました。しかし、利益面で為替レートの悪化やコストアップによりセグメント損失は3億97百万円(前連結会計年度は40百万円のセグメント利益)となりました。

 

[アジア]

 自動車分野は、新型コロナウイルス感染症の拡大により、新車生産及び販売が大きく落ち込んだ前連結会計年度から大きく回復しました。また電子情報通信分野では、プリンター関連が前連結会計年度を上回りました。

 結果として、セグメント売上高は101億96百万円(前連結会計年度比18.8%増)、セグメント利益は12億40百万円(前連結会計年度比44.3%増)となりました。

 

≪製品区分別の売上業績は次のとおりであります。≫

製品区分の名称

前連結会計年度

当連結会計年度

 

 

自 2020年4月1日

自 2021年4月1日

増  減

至 2021年3月31日

至 2022年3月31日

 

 

金  額

構成比

金  額

構成比

金  額

前期比

 

 

百万円

百万円

百万円

 

材料関連製品

5,399

13.5

6,447

13.6

1,047

19.4

 

自動車関連製品

21,639

53.9

24,330

51.3

2,690

12.4

自動車分野

27,039

67.4

30,777

64.9

3,738

13.8

 

HDD用サスペンション

7,871

19.6

10,948

23.0

3,076

39.1

 

プリンター関連

3,271

8.1

3,694

7.8

423

12.9

 

通信関連

963

2.4

1,228

2.6

265

27.6

電子情報通信分野

12,106

30.1

15,871

33.4

3,765

31.1

その他製品

995

2.5

789

1.7

△206

△20.7

 合 計

40,140

100.0

47,438

100.0

7,298

18.2

 

(自動車分野)

 

[材料関連製品]

 材料関連製品では、弁ばね用材料や精密異形材料が、新型コロナウイルス感染症の影響による減少の影響があった前連結会計年度から大きく回復しました。その結果、売上高は64億47百万円(前連結会計年度比19.4%増)となりました。

 

[自動車関連製品]

 自動車関連製品は、すべての製品で新型コロナウイルス感染症の影響による減少の影響があった前連結会計年度から大きく回復しました。特にHEV、EV等電動車の配電に使用されるバスバーは前連結会計年度から大きく伸長しております。その結果、売上高は243億30百万円(前連結会計年度比12.4%増)となりました。

 

 

(電子情報通信分野)

 

[HDD用サスペンション]

 HDD用サスペンションは、データセンター向け投資が旺盛に推移しており高い需要が継続しております。その結果、売上高は109億48百万円(前連結会計年度比39.1%増)となりました。

 

[プリンター関連]

 プリンター関連は、新型コロナウイルス感染症の影響によるリモートワークへの移行により家庭用(コンシューマ向け)の需要増加が継続しており、売上高は36億94百万円(前連結会計年度比12.9%増)となりました。

 

[通信関連]

 通信関連は、主な市場である北米・アジアにおける需要回復の影響から、売上高は12億28百万円(前連結会計年度比27.6%増)となりました。

 

(その他製品)

 その他製品ではスマートフォン用部品販売が終了したため、売上高は7億89百万円(前連結会計年度比20.7%減)となりました。

 

 

②財政状態の状況

[資産]

 総資産は579億32百万円(前連結会計年度末比45億57百万円増)となりました。これは主に、販売回復に伴い受取手形及び売掛金などの売上債権が10億79百万円、商品及び製品など棚卸資産が19億97百万円増加したほか、HDD用サスペンションや自動車関連への能増投資などにより有形固定資産が9億77百万円、退職給付に係る資産が4億45百万円増加したことによります。

 

[負債]

 負債は207億50百万円(前連結会計年度末比36億95百万円増)となりました。これは主に、仕入の増加により支払手形及び買掛金が10億75百万円、短期借入金が34億56百万円、繰延税金負債が2億93百万円増加した一方、外部借入れの返済等により長期借入金が5億41百万円、設備投資等に係る未払金が6億96百万円減少したことによります。

 

[純資産]

 純資産は371億82百万円(前連結会計年度末比8億61百万円増)となりました。これは主に、利益剰余金が親会社株主に帰属する当期純利益により9億4百万円、為替換算調整勘定が9億30百万円、退職給付に係る調整累計額が2億95百万円増加したものの、公開買付け等により自己株式が6億92百万円増加したほか、配当により利益剰余金が6億25百万円減少したことによります。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ60百万円減少し、当連結会計年度末には75億10百万円となりました。

 

[営業活動によるキャッシュ・フロー]

 営業活動によるキャッシュ・フローは、31億70百万円の収入(前連結会計年度比1億56百万円の収入増)となりました。増加要因としては、主に減価償却費(39億37百万円)のほか、税金等調整前当期純利益(14億31百万円)及び仕入債務の増加額(9億54百万円)があり、減少要因としては、棚卸資産の増加額(17億8百万円)、売上債権の増加額(8億32百万円)、法人税等の支払額(2億82百万円)などがあったことによります。

 

[投資活動によるキャッシュ・フロー]

 投資活動によるキャッシュ・フローは、48億22百万円の支出(前連結会計年度比4億66百万円の支出増)となりました。これは主に投資有価証券の売却による収入(4億10百万円)があった一方、固定資産の取得による支出(52億37百万円)があったことによります。

 

 

[財務活動によるキャッシュ・フロー]

 財務活動によるキャッシュ・フローは、11億54百万円の収入(前連結会計年度比9億3百万円の収入増)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出(7億93百万円)及び配当金の支払額(6億24百万円)があったほか、公開買付けによる自己株式の取得による支出(7億4百万円)があったものの、外部借入れによる収入(34億78百万円)があったことによります。

 

④資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループは手許資金、株主還元、投資への資金配分を重視し、強固な財務基盤を築いてまいりましたが、近年は持続的成長可能な企業の実現に向けて成長投資を加速させております。当方針については今後も継続する予定ですが、新型コロナウイルス感染症等の影響度合いによっては、資金の保有水準が低下することも予想されることから、資本コストを上回る厳選した投資判断をいたします。

 また、当社は資金調達の機動性及び安定性の確保を図るため、既に借入枠の設定及び借入実行をしており、機動的かつ円滑な資金調達が可能な体制を構築しております。

 当社の資金調達余力に問題はないと考えておりますが、今後の新型コロナウイルス感染症等の影響を注視しつつ、現在必要とされる資金水準を充分満たす流動性を保持し、財務の健全性維持に努めてまいります。

 

⑤重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 連結財務諸表及び財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」 及び 「2 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

⑥生産、受注及び販売の実績

 当社グループの生産、受注及び販売の実績は売上実績に類似しているため、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」をご参照下さい。

主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

売上高(百万円)

割合(%)

売上高(百万円)

割合(%)

WESTERN DIGITAL STORAGE TECHNOLOGIES (PHILIPPINES) CORP

6,605

16.5

9,249

19.5

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