課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針及び経営戦略等

 当社グループは「技翔創変」を経営理念とし、技術集約型精密製品の創造を通じてお客様の問題解決を図り社会に貢献することを基本方針としております。

 当社グループといたしましては、お客様の海外現地調達の加速、激化する価格競争や為替の変動、その他いかなる環境の変化にも耐えうる経営体質の構築が不可欠と考え、持続的成長を支えるため経営効率を高めることにグループ一丸となって積極的に挑戦してまいりました。

 そのような状況下、当社は新中期経営計画GGP24(GLOBAL GROWTH PLAN 2024)~変化から成長へ~を策定し、2022年2月に発表いたしました。新中期経営計画では「2030年の事業ポートフォリオ確立に向けた実効的な戦略の加速」を基本方針に掲げ、ステークホルダーの皆さまの期待に応えるため、資本コストを上回る資本収益性を意識し、ポートフォリオ改革を実行してまいります。前中期経営計画で実施した先行投資分野の確実な利益成長を実現するとともに、売上拡大、利益貢献が見込める分野には積極的に投資を行うなど「成長」を意識した企業価値向上に取り組んでまいります。

 また、当社は2022年4月からプライム市場への上場となり、今後、より透明性、効率性のある経営と環境・社会に貢献できる企業への進化を目指してまいります。

 

(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 中期経営計画GGP24において策定した最終年度(2024年度)の連結売上高630億円、営業利益45億円、営業利益率7.1%、当期純利益35億円、ROE9.0%を重要な経営指標として、達成に向け資本コストを上回る資本収益性を意識し、事業ポートフォリオ改革を実行してまいります。なお、事業ポートフォリオ改革に関しては、「EV等電動化関連成長事業および電子情報通信関連成長事業」の構成比を2021年度の39%から、2024年度には52%まで引き上げる計画をしております。

 

 

2021年度実績

2022年度予想

中期計画2024年度目標

連結売上高

474億円

570億円

630億円

連結営業利益

6億円

20億円

45億円

連結営業利益率(%)

1.4

3.5

7.1

連結当期純利益

9億円

15億円

35億円

ROE(%)

2.5

4.0

9.0

※2022年5月13日決算発表時公表数値

 

(3)経営環境

 世界経済は回復傾向が継続しているものの、新型コロナウイルス感染症の感染力の強い変異株の出現や製造業の半導体不足継続により各国の経済活動には不透明感が強まってまいりました。

 また、カーボンニュートラル実現に向けた自動車電動化の急速な拡大と5G・IoT・デジタル社会進展によるクラウドストレージ需要の伸びは、今後も確実に進んでいくと認識しており、当社の事業環境は大きな変革期を迎えております。よって当社グループは以下の事業上の対処すべき課題への対応を進めてまいります。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

ア 対処すべき事業上の課題

①  EV等電動化関連成長事業(グローバルに売上拡大・次世代主力事業へ)

 EVおよびHVやPHV等を含めた電動車の需要が大きく増加することから、高精度に電流を検出するニーズが増してきています。これに対して当社グループでは以下の重点戦略を実行してまいります。

・電動車ニーズに応えるべく「バスバー」、「シャントバスバー」の量産拡大

・EV等電動化製品の欧州・中国・米国での拡販の展開

 

 

②  電子情報通信関連成長事業(飛躍的成長の実現・利益成長の追求)

 データセンターではIoTの拡大や映像データの蓄積など、ニアラインドライブと呼ばれる大容量ハードディスクドライブ(HDD)の高い需要が継続しています。また、光情報通信産業の三大用途市場であるデータセンター/テレコム/ワイヤーレス市場は、5G・IoT関連の強い需要により、今後も拡大していく見通しです。これに対して当社グループでは以下の重点戦略を実行してまいります。

・顧客需要への対応に向けた設備投資継続と生産効率向上

・大容量ハードディスクドライブの需要に応えるべくサスペンションの生産能力強化

・通信関連/プリンター関連は製品開発、工法改善を通じ、生産効率を向上させる

 

③  自動車関連既存事業(産業構造の変化に対応・収益力改善)

 電動車の需要増加が予想される中で、当社の自動車関連既存事業のうちエンジンやミッション系精密機能部品は、2030年以降の減少を見据える必要があります。これに対して当社グループでは以下の重点戦略を実行してまいります。

・製品別に市場成長性と収益性を検証

・徹底的な製品別採算管理により、既存案件の収益力改善に注力

・生産・営業拠点の最適化を検討

 

④ その他次世代事業への取組み(医療・介護分野)

 歩行学習支援ロボット「オルソボット」は現在国内のリハビリテーション施設で使用されており、その使いやすさと歩行機能改善効果から好評をいただいております。現在はリハビリテーション施設だけでなく、老人ホーム等介護施設での採用実績ができてきており、更に幅広い分野での普及を進めております。

 

⑤ その他次世代事業への取組み(環境・エネルギー分野)

 当社が製造した過熱水蒸気利用の連続炭化装置では、素材を燃やさず炭化させることが可能でCO₂削減効果を発揮します。この装置により量産する竹炭は、高級車のインパネ塗装やタッチパネル塗料として採用が始まっています。今後は、キャパシタ極剤等のより付加価値の高い微粒子炭の用途開発に挑戦してまいります。

 

イ 対処すべき財務上の課題

 企業価値向上の為には事業収益性の改善とともに、自己資本の積み増しを抑制しレバレッジを有効活用するなどB/Sマネジメントを推進することが必要になってきます。

① 資本コストを意識した投資判断の徹底

② 最適な資本構成を意識したB/Sマネジメントの推進

③ ROE9.0%を超過するまでは配当性向75%を維持

 

ウ 環境・社会・ガバナンスの取組み

 2022年4月から当社はプライム市場への上場となり、今後、より透明性、効率性のある経営と環境・社会に貢献できる企業への進化を目指してまいります。

① 独立社外取締役の増員を通じた、経営の監督強化

・2022年6月総会において独立社外取締役1名を追加予定

・2023年6月総会までに独立社外取締役3分の1を目標とする

 

② サステナビリティ委員会の設置。サステナブルな課題に対する当社ビジネスの機会を模索

 2021年4月より社長執行役員を委員長として「SDGs推進委員会(現サステナビリティ委員会)」を発足し、マテリアリティ(重点課題)の解決に向けて取り組みを始めました。

 

 サンコールグループ・サステナビリティ推進基本方針

 当社は、“基本理念” に則り、「サンコールグループ・サステナビリティ推進基本方針」を定め、サステナビリティを経営課題の一つとして組織的・体系的に行動します。

 当社グループが優先的に解決すべきマテリアリティ(重要課題)を特定し、「経営計画」に落とし込み、各事業活動を通じて課題解決に向けて取り組むことで、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に貢献します。

 

 

地球環境

地球環境に配慮した製品開発・製造により、環境負荷の低減に貢献します。

事業活動における環境負荷を低減します。

社  会

当社事業活動に関連するすべてのステークホルダーの人権に配慮した事業活動を推進します。

社会からの声に十分に耳を傾け、事業活動に反映させることで強固な信頼関係を構築します。

技術開発とその応用により課題解決を図り、お客様からの信頼を獲得します。

パートナーに対して最新状況把握に努めるとともに、当社のサステナビリティに対する考え方への理解を求め、フェアな門戸開放と安定した取引を行い、持続可能なバリューチェーンの構築を目指します。

安心できる生活環境を支援する製品・サービスを提供します。

社  員

一人ひとりの人権および個性や働き方を尊重します。

公正な能力評価と誇りを感じる企業となることを推進し、従業員自らが考え行動できる人材の育成に努めます。

一人ひとりが持つ能力を最大限に発揮できる、職場環境づくりを目指します。

企業経営

株主に対してIR活動の充実を図り、適正な情報開示に努めます。

法令や社会規範を遵守し、ステークホルダーと適切な協働に努めます。

 

 

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