(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響に伴う経済活動の自粛、停滞が昨年10月の緊急事態宣言解除後において徐々に緩和されてきたものの、今年1月にはオミクロン株の爆発的な感染増加により再びまん延防止等重点措置が発令されたことで個人消費は依然として低迷を続け、年度末に発生したロシア・ウクライナ問題に端を発した急激な円安、原油高等を背景に、景気は極めて厳しい状況で推移しております。海外につきましても、米国や欧州など日本よりも早くオミクロン株の感染拡大が進み、また今年に入り中国における爆発的なコロナウイルス感染者の増加により、全世界で生産、物流に支障を来す等、経済の先行きは不透明な状況が続いております。
当社グループの主要なお取引先である自動車業界につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響に加え、世界的な半導体需要の逼迫を受けて自動車メーカー各社の減産が継続し、材料の供給問題・価格高騰、経済活性化に伴う輸送コストの増加の影響を継続的に受けるなど依然として厳しい状況下となったことから、国内生産台数は前年と比較して減少となりました。
このような需要環境のもと当社グループといたしましては、お取引先からのニーズを確実に捕捉し、日系のお取引先に加え非日系のお取引先にもグローバルに拡販活動を継続的に推進いたしました。この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末と比較して3,622百万円増加し、109,674百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末と比較して964百万円減少し、11,341百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末と比較して4,586百万円増加し、98,332百万円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度における売上高は55,144百万円(前期比10.0%増)、営業利益は5,216百万円(前期比29.8%増)、経常利益は5,776百万円(前期比6.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は4,224百万円(前期比6.6%増)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
(自動車関連等)
米国をはじめ新興国市場や非日系のお取引先等にグローバル拡販を積極的に推進いたしました結果、売上高は50,608百万円と前期比4,731百万円(10.3%)の増収となりました。一方利益面においては、増収による限界利益の増加に加え、材料価格高騰や輸送費の圧縮、またより一層の合理化活動等を推進いたしました結果、営業利益は5,780百万円と前期比1,239百万円(27.3%)の増益となりました。
(医療機器)
拡販を積極的に推進いたしました結果、売上高は4,535百万円と前期比259百万円(6.1%)の増収となりました。一方利益面においては、一部の製品において不具合が発生したことにより当該費用を計上いたしましたが、増収効果に加え合理化活動を継続的に推進したこと等により、営業利益は278百万円と前期比6百万円(2.2%)の増益となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税金等調整前当期純利益5,594百万円及び減価償却費3,291百万円等の収入要因があり、有形固定資産の取得による支出2,551百万円及び法人税等の支払額1,850百万円等の支出要因がありましたが、前連結会計年度末と比較して1,236百万円(前期末比4.0%減)減少し、当連結会計年度末には29,925百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は6,441百万円(前期比12.3%減)となりました。前連結会計年度と比較して減少した主な要因は、法人税等の支払額の増加等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は3,861百万円(前期比49.7%増)となりました。前連結会計年度と比較して減少した主な要因は、投資有価証券の取得による支出の増加等によるものであります。
なお、営業活動により得られたキャッシュ・フローと投資活動により使用したキャッシュ・フローを合計したフリー・キャッシュ・フローは2,579百万円となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は4,686百万円(前期は300百万円の収入)となりました。前連結会計年度と比較して増加した主な要因は、短期借入金の返済による支出及び自己株式の取得による支出の増加等によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
(1)生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(単位:百万円) |
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比 |
自動車関連等 |
51,612 |
114.1% |
医療機器 |
4,565 |
107.7% |
合計 |
56,177 |
113.5% |
(注)金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
(2)受注実績
当社グループは受注より出荷までの期間が極めて短いため、原則として一部の確定受注や過去の販売実績等を参考とした見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
(3)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(単位:百万円) |
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比 |
自動車関連等 |
50,608 |
110.3% |
医療機器 |
4,535 |
106.1% |
合計 |
55,143 |
109.9% |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.売上高の10%を超える主な相手先が存在しないため、「最近2連結会計年度の10%を超える主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合」の記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、期末時点での状況を基礎に連結貸借対照表及び連結損益計算書に影響を与えるような項目・事象について見積りを行ないますが、これらの見積りについては、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる基準を設定して継続的に実施しております。なお、当連結会計年度末におきましては、国内外における新型コロナウイルスの感染拡大に伴う影響及び世界的な半導体需要の逼迫や材料の供給問題・価格高騰、経済活性化に伴う輸送コストの増加等による影響について、当連結会計年度の下期以降徐々に回復しているものの翌連結会計年度以降も一定の影響が継続するという前提に基づいて、足元の実績をもとに当初の事業計画値に反映し会計上の見積りとしております。しかし実際の結果は、見積りには不確実性が伴うため、これらの見積りとは異なる場合があります。
(固定資産の減損処理)
当社グループは原則として、事業用資産については管理会計上の区分を基にグルーピングを実施し、遊休資産については個別資産ごとにグルーピングを行って、減損兆候の判定に基づき、必要に応じて帳簿価額を回収可能価額まで減損しております。なお、詳細につきましては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載の通りであります。
(投資有価証券の減損処理)
当社グループは、保有する有価証券について、時価のあるものについては、期末における時価が取得原価に比べ50%以上下落した場合に時価まで減損処理を行い、30%以上50%未満下落した株式等の減損にあっては、個別銘柄毎にその回復可能性を総合的に検討し実施しております。将来、株式の市況又は投資先の業績が悪化した場合には、さらなる評価損の計上が必要となる可能性があります。
(繰延税金資産)
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を評価するに際して、将来の課税所得を合理的に見積っております。なお、詳細につきましては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載の通りであります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は64,135百万円となり、前連結会計年度末と比較して1,535百万円増加しました。前連結会計年度末と比較して増加した主な要因は、棚卸資産の増加等によるものであります。固定資産は45,538百万円となり、前連結会計年度末と比較して2,087百万円増加いたしました。前連結会計年度末と比較して増加した主な要因は、関係会社株式及び投資有価証券の増加等によるものであります。
この結果、総資産は109,674百万円となり、前連結会計年度末と比較して3,622百万円増加いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は8,821百万円となり、前連結会計年度末と比較して1,042百万円減少いたしました。前連結会計年度末と比較して増加した主な要因は、短期借入金の減少等によるものであります。固定負債は2,519百万円となり、前連結会計年度末と比較して78百万円増加いたしました。前連結会計年度末と比較して増加した主な要因は、リース債務の増加等によるものであります。
この結果、負債合計は11,341百万円となり、前連結会計年度末と比較して964百万円減少いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は98,332百万円となり、前連結会計年度末と比較して4,586百万円増加となりました。前連結会計年度末と比較して増加した主な要因は、為替換算調整勘定及び利益剰余金の増加等によるものであります。
この結果、自己資本比率は88.4%(前連結会計年度末は87.1%)となりました。
2)経営成績
当連結会計年度における売上高は55,144百万円(前年同期は50,152百万円、10.0%増)となりました。年度前半はコロナウイルス変異株の猛威により再び緊急事態宣言が発出されましたが昨年のようなロックダウン等は発生せず大幅な上昇となりました。然しながら年度後半からは緊急事態宣言は解除されたものの再びオミクロン株の爆発的な感染増加に加え、年度末に発生したロシア・ウクライナ問題、また中国内のコロナウイルス再拡大に伴うロックダウン影響等により厳しい状況となりました。セグメント別では、自動車関連等事業は米国をはじめ新興国市場や非日系のお取引先等にグローバル拡販を積極的に推進いたしました結果、売上高は50,608百万円(前年同期は45,876百万円、10.3%増)となり、医療機器事業は、拡販を積極的に推進いたしました結果、売上高は4,535百万円(前年同期は4,275百万円、6.1%増)となりました。
一方利益面におきましては、コロナウイルス感染症に端を発した材料の供給問題・価格高騰、また経済活性化に伴う輸送コストの増加を継続的に受けるなどの厳しい環境下ではありましたが、売上復調による限界利益の増加に加え当社グループ一丸となってより一層の合理化を実施したことにより連結営業利益は5,216百万円(前年同期は4,018百万円、29.8%増)となりました。セグメント別では自動車関連等事業は5,780百万円(前年同期は4,541百万円、27.3%増)となり、医療機器事業は278百万円(前年同期は272百万円、2.2%増)となりました。
また経常利益は、昨年発生した為替差益や投資有価証券売却益、雇用調整助成金等の発生が減少したこと等により、5,776百万円(前年同期は5,446百万円、6.1%増)に留まり、親会社株主に帰属する当期純利益は4,224百万円(前年同期は3,962百万円、6.6%増)となりました。
3)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
なお、当社グループの資金につきましては、単体及びグループ全体でも月商売上高の6ヶ月以上の現金同等物を有しており、主として換金が容易であるため充分な流動性をもって事業活動を行っておりますが、当連結会計年度より流行しております新型コロナウイルスの感染拡大による影響が継続した場合には、コミットメントライン15億円の実行と併せ、固定費の圧縮等に努め、挽回策を講じていく所存であります。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因としては、自動車業界動向、原材料費動向、物流費動向、労務費動向、為替の変動等があります。当社の主要なお取引先である自動車業界の動向については、CASE対応の加速、部品メーカー間の提携、異業種の自動車業界への参入などが起こっており、100年に一度の大変革期と言われております。自動車関連事業をコア事業とする当社グループとしましては、多角化推進、非日系自動車メーカー売上シェア向上、CASEに対応する次世代商品の開発・受注に対する取り組みを速やかに推進していく必要があります。また、コア技術である弾性技術の開発に注力し、メーカーの原点である「良い製品を安く造る」ことについては、DXやIoTを積極的に導入し、高い生産性を追求するほか、総コスト削減の徹底により収益基盤の強化にも取り組んでまいります。
原材料費動向については、金属材料・樹脂材料共に価格上昇への対応や、世界的な樹脂材料の供給問題がある中でも安定供給を受けるべく資材取引先との関係を強化すると共に更なるコスト削減を行なってまいります。
物流費動向については、物流費の高騰、コンテナの確保が困難な状況が継続しており、グループ全体で地産地消を目的としたグローバル生産体制の見直し、物流方法の改善の取り組みを行ってまいります。
労務費動向については、当社グループ全体で労務費の高騰と共に人材確保が年々難しくなっております。そのような状況の中、設備の自動化・業務の効率化による労務費の抑制や、IoTの活用とDXへのIT投資を積極的に行うことにより、少ない人員で生産性を高める取り組みを行ってまいります。
なお、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う主要客先の減産、自動車の電動化による当社既存製品の受注減が想定されますが、それを補うべく第2の柱である医療セグメントの子会社を通じて拡販及び新商品の上市を積極的に実施し、製造固定費の圧縮にも努めてまいります。
また、近年の弊社株価低迷への対策として資本政策の見直しを検討してまいりました。中期経営計画(2022~2024年度)の中で、EVAスプレッドのプラス化、そのための施策として、①株主還元策の強化と資本効率の追求、②バランスシート経営の導入、③グループキャッシュマネジメントの徹底の3つを掲げております。具体的には2023年3月期から2025年3月期までの3年間において、自己資本の積増しの抑制、配当性向100%、機動的な自社株の購入と消却を資本政策として掲げております。
c.資本の財源及び資金の流動性
資金需要の主な内容
当社グループの資金需要は、営業活動については、生産活動に必要な運転資金(材料・外注費及び人件費等)、受注獲得のための費用等の販管費が主な内容であります。
投資活動については、新規対応・自動化及び生産性向上等を目的とした設備投資と金型投資及び国内リニューアル投資が主な内容となります。
財務政策
当社グループは現在、運転資金・設備資金とも内部資金で充当しております。
また、不足が生じた場合に備えて、15億円のコミットメントラインを設定しております。
d.経営上の目標の達成・進捗状況
2021年度は、連結売上高551億円、連結営業利益52億円となり、2021年度目標としておりました連結売上高550億円、連結営業利益47億円と比較して、主に材料価格高騰の抑制や費用圧縮等、より一層の合理化活動等の影響を受けて目標過達となりました。
2022年度につきましては、2021年度に引き続き半導体や原材料の供給問題・価格高騰、物流費の高騰は継続するものと予測され、新興国市場では現地地場メーカーの台頭による競争激化により、状況は一層に厳しくなるものと思われます。このような環境下の中で業績予想といたしましては、地政学リスク等もあるなかで不透明な状況ではありますが、内外カーメーカーに対するグローバル拡販の推進を図る一方で、全社一丸となって合理化活動を推進することにより、連結売上高627億円、連結営業利益58億円を見込んでおります。
今後は電動化が進んできますと当社製品群の一部である燃料系部品等の売上が減少することが想定されますが、それを補うべく2022年度より社内で新商品開発に特化した部署を設立し、CASE対応製品等の新商品開発を進め、業容拡大に向けて努力する所存です。
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