課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

 当社グループは、下記の企業理念を経営の基本方針として、常にお客様に魅力ある商品・サービスを提供して持続的な成長を図るとともに、ステークホルダーの期待に応え、信頼される企業集団を目指しております。

 

当社の企業理念

グローバルな視野に立ち、常に新しい考え方と行動で企業の成長をめざすと共に、魅力ある企業集団の実現を通じて豊かな社会の発展に貢献する。

 

 当社は自動車部品で培った「金属の熱処理・塑性加工技術」、「評価・解析技術」、情報通信分野の部品における「精密・微細加工技術」、「金属接合技術」などのコア技術を駆使し、自動車及び情報通信分野へ多くのキーパーツを提供しております。

 今後ますます進む自動車の電動化、情報通信の高度化等、激変する事業環境への対応を加速し、将来に向けた安定的な収益基盤を確立するとともに、カーボンニュートラルをはじめとする社会課題に積極的に取り組み、「持続可能な社会」への貢献を目指します。

 

(2)経営戦略等

 当連結会計年度は、2023年度を最終年度とする中期経営計画「2023中計」の初年度となりました。この「2023中計」においては、CSR活動の更なる推進、激変する事業環境への対応加速、持続的な成長に向けての“もうけ”を確保、を基本方針とし、収益力の向上を目指します。新型コロナウイルス感染症の感染拡大や半導体供給不足等の影響により、自動車生産台数の回復ペースは中期経営計画前提から遅れる一方、HDD用サスペンションや半導体プロセス部品等の情報通信関連事業は中期経営計画を上回るペースで好調に推移する見込みであります。

 2022年度は、中期経営計画の2年目の年度となります。「変わる!変える!!」というスローガンのもと、「1.「真直ぐ」な姿勢を堅持する、2.品質第一の原点に戻って、ものづくり力を強化する、3.収益力を向上させる、4.新たな技術と商品を”加速度的”に開発する、5.安心・安全な会社、働きがいのある働きやすい職場を作る」を2022年度のグループ経営方針として掲げ、グループ一丸となって中期経営計画の達成に取り組んでまいります。

 

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、「2023中計」における経営目標を次のとおり定めております。

 自動車生産台数の回復、データセンター向けHDD関連部品の受注増、及び半導体市場拡大局面における半導体プロセス部品の受注増による増収に加え、合理化による原価低減により収益の回復を目指します。

 

2021年度実績、2022年度予想、及び2023年度目標経営指標

 

 

 

2021年度

実 績

2022年度

予想

2023年度

目 標

売上高

(億円)

5,869

6,350

6,500

営業利益

(億円)

213

380

400

経常利益

(億円)

306

400

420

親会社株主に帰属する当期純利益

(億円)

319

240

250

経常利益率

 

5.2%

6.3%

6.5%

ROE

 

10.5%

7.3%

8.0%

配当性向

 

19.2%

30%程度

(注)2023年度目標値の主な前提条件:全世界自動車生産台数94百万台、HDD生産台数212百万台、為替レート100円/米ドル

 

(4)経営環境

 当連結会計年度における世界経済は、前年からの新型コロナウイルス感染症の感染拡大、半導体・各種資材の需給逼迫の影響により依然として厳しい状況にあるものの、持ち直しの動きが続いています。

 当連結会計年度における自動車生産台数は、前半の厳しい事業環境のもと以下のとおり日本国内等で前期を下回っており、当社グループの主要な事業分野である自動車関連事業の減収減益の大きな要因となっております。

 

当連結会計年度における自動車生産台数

 

台 数

前期比

内日系

前期比

全世界

78,464千台

△1.2%

24,462千台

3.5%

国別

国内

7,585千台

△2.0%

北米(米国・カナダ)

10,770千台

5.3%

3,733千台

14.7%

メキシコ

2,976千台

△6.1%

1,122千台

16.8%

タイ

1,676千台

18.6%

1,549千台

31.3%

中国

25,357千台

1.2%

4,591千台

△2.0%

(注)上記台数は各拠点の決算期に応じて集計しております。

 

 一方、情報通信関連事業においては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大、半導体・各種資材の需給逼迫の影響はあるものの、高容量のデータセンター向け需要増により、HDD関連部品の受注は堅調に推移いたしました。また、半導体市場拡大により、半導体プロセス部品の受注も堅調に推移いたしました。

 

(5)事業上及び財務上の対処すべき課題

<事業全般>

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大や地政学リスクの増大等、先行きの見通しづらい厳しい状況にあるものの、総じて持ち直しの動きが続くことが期待されます。自動車の電動化の進展や情報通信の高度化が進む一方、半導体供給不足による自動車メーカーの減産、原材料価格や物流コストの高騰等といった市場環境の変化に加え、環境問題をはじめとする様々な社会課題対応への要請の高まり等、当社グループを取り巻く事業環境は大きく変化しております。

 当社は2021年9月の創立記念日に、「ニッパツグループ カーボンニュートラル宣言」を発表しました。「徹底した省エネと電化の推進」「革新的な省電生産技術の実用化」を推し進め、2030年には2013年度比でCO2排出量を50%まで削減し、創立100周年にあたる2039年にはCO2排出量を実質ゼロにすべく取り組んでおります。

 このような激変する事業環境への対応を加速し、持続的に成長していくと同時に、社会課題への取り組みもより一層進めていくことが、当社グループにとって重要と認識しております。

 

<懸架ばね事業>

 懸架ばね事業では、近年グローバル市場における事業環境が大きく変化しております。懸架ばねの主原材料である鋼材の価格が高騰しているほか、競合他社の参入により、グローバル市場における価格競争がますます激しくなっております。この環境下において当社グループでは、製品仕様や数量の変動に柔軟に対応出来る生産体制の確立、また生産性の改善等のさらなる原価低減活動を進めてまいります。

 自動車業界では、電動化並びに自動運転化が急速に進展しております。懸架ばねそのものの需要に大きな影響はないと考えておりますが、こうした事業環境の変化の中で軽量化、高耐久化、省スペース化への要請がますます強まっております。高まる軽量化ニーズに対応するため、当社グループでは、加工技術並びに新鋼種の開発等を加速させてまいります。

 

<シート事業>

 競争激化の影響並びに海外拠点の人件費上昇等による固定費増により、従来レベルの収益を確保することが難しくなっておりますが、VA等の推進による原価低減、生産性の改善等により収益力の強化に努めてまいります。

 米国のNHKシーティングオブアメリカ社新工場につきましては、2021年7月に稼働を開始いたしました。新工場の稼働により外部倉庫の返却等、物流面での効果により2022年度より収益向上を見込んでおります。

 当該事業においても電動化並びに自動運転化による軽量化ニーズは高まっており、乗り心地の向上と軽量化の実現の両立を目指し、開発に取り組んでおります。

 

<精密部品事業>

 自動車関連事業につきましては、電動化への対応として中国の広州日弘機電有限公司にて電動車向けモーターコア生産設備を導入し、当連結会計年度より量産を開始いたしました。電動化が進んでいく上で、キーパーツ部品の一つであることからその注目度が高まっております。工法の見直し、新技術の開発等を前倒し、採算性を見極めながら日本、北米(メキシコ)、中国の3拠点を中心に拡販による事業規模拡大を進めてまいります。さらに、内燃機関用製品の今後の需要動向を慎重に見極めながら、ますます進展する電動化関連製品の開発も進めてまいります。

 

 情報通信関連事業のHDD用サスペンションにつきましては、開発力・技術力・品質によりお客様の信頼を得ております。今後も高容量化は進み、サスペンションに要求される機能は高度化し、かつ需要も増加すると考えております。継続的に開発力・技術力・品質を向上させつつ、適切に生産能力を増強し収益確保に努めてまいります。また、さらなる競争力の向上を目指し、AIを活用したAOIの導入を進めてまいります。

 

<産業機器ほか事業>

 半導体プロセス部品につきましては、旺盛な需要に対応すべく、前連結会計年度後半より宮田工場が本格稼働を開始しました。当連結会計年度においては既存工場との最適な生産配分を実施し、さらなる需要増に応えながら一層の収益力の向上に取り組んでまいります。また、金属基板につきましては、車載LED向けをはじめとした従来製品の拡販、パワーモジュール、AC-DC、DC-DCコンバーターといった自動車の電動化に対応した製品の開発及び拡販を進めてまいります。その他事業につきましては、選択と集中を進めてまいります。

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