研究開発活動

5【研究開発活動】

 当社グループは、「創造挑戦型」の基礎技術の研究開発から「開発提案型」の新製品開発、さらには生産技術の開発にいたるまで、積極的な研究開発活動を行っております。また、昨今の四輪車、二輪車の電動化に伴い、市場動向やお客様のニーズを迅速に研究開発へ反映させるため、マーケティング機能を有する電動化事業推進室にて、新製品及び新規事業開拓を進めてきました。直近では、複数のお客様から電動化関連の新製品のお引き合いを頂き、開発及び新規事業検討を推進しております。

 世界全体の課題となっている気候変動への対策としては、「ニッパツグループ カーボンニュートラル宣言」に基づき、2030年には2013年度比でCO2排出量を50%まで削減、2039年にはCO2排出量を実質ゼロにすべく取り組んでおります。電化・エネルギー置換・省エネといった活動を開始するとともに、各製品の製造及び製品の技術開発を通してCO2排出量実質ゼロに挑戦しております。

 現在、研究開発は、本社研究開発本部、技術本部及び電動化事業推進室、各生産本部の開発部門、技術部門、設計部門等、また、各関連会社の開発部門等により鋭意推進されております。研究開発スタッフは全体で1,067名であり、これは全従業員数の6.0%に当たります。当連結会計年度における当社グループ全体にて支出した研究開発費総額は、16,077百万円であり、これはグループ全体の売上高の2.7%に当たります。

 当連結会計年度における事業セグメント別の研究開発活動は、以下のとおりであります。なお、上記の研究開発費には、本社研究開発本部、技術本部及び電動化事業推進室で行われている各事業部門に共通する材料技術、加工技術、接合技術、分析技術、解析技術等の基礎研究開発の費用1,352百万円が含まれております。

 

(1)懸架ばね事業

 懸架ばね事業では、加速化する各社OEMの電動化への対応として、更なる軽量化と高品質化に注力した製品や新技術の開発に加え、カーボンニュートラル達成に向けた、生産技術開発に取り組み始めており、一部工程においてはCO2削減に成功しております。

 懸架ばねでは、BEV化による車両重量の増加に伴う仕様変更に対応した技術が要求されております。その中でも、軽量化のニーズの一層の高まりと収益と競争力確保の両立のための生産技術の早期完成を推進しております。

 金属ベローズを用いたアキュムレータでは、昨年度よりサスペンション用として本格量産を開始した、高耐久・軽量・コンパクトなアキュムレータをベースとして、さらなる最適化・適応開発を実施しております。

 当事業に関する研究開発費の金額は、3,703百万円であります。

 

(2)シート事業

 シート事業の開発アイテムとしては、軽量化、自動運転に対応するシート、生体信号利用のシート応用製品、快適な動性能・静性能を持つシートに重点を置き、開発活動に取り組んでおります。

 軽量化への取り組みとしては、超ハイテン材の1,180Mpa級の高延性材などの使用部位を拡大することや、近い将来の材料動向を踏まえた1,470Mpa級の高強度材を採用したフロントシートフレームの開発を行っております。リヤシートフレームについてもフレーム構造の合理化と各部品の薄板化により、材料置換せず安価な鉄を使って軽量化を達成する開発を進めております。

 また、自動運転に必要なシート機能を検討し、その中から当社独自のアイテム開発を進めております。例えば、自動運転時の「快適な姿勢」「快適な操作性」「長時間快適性」をコンセプトに、車室内で快適な姿勢をとることができるシートアレンジや、長時間移動でも疲労の少ないシートの開発、車酔いになりにくいシートの開発などに取り組んでおります。

 当事業に関する研究開発費の金額は、5,769百万円であります。

 

(3)精密部品事業

 精密ばね分野においては、各種自動車関連製品に加え、HDD(ハードディスクドライブ)用部品、半導体の検査用プローブ等、幅広い分野での製品開発を行っており、特に現在は、今後、普及拡大が見込まれるEV(電気自動車)やHEV(ハイブリッド車)向けの製品開発、ばねの品質向上やコスト低減に向けた技術開発に注力しております。EV・HEV分野については、高精度プレス加工技術を基盤としたモーターコア部品をはじめ、パワーモジュール部品の開発を行っております。また、ばねの品質向上・コスト低減については、線ばね・皿ばねの全自動品質保証設備、及び自動化ラインの開発を行っており、その生産技術のグローバル展開も進めております。加えて、ばねの解析システムを構築し、これら製品の最適設計、及び、更なる信頼性向上を進めております。

 HDD関連分野においては、9~10枚Disk搭載で容量20~22TB用CLA/TSAサスペンションが量産化、あるいは量産準備中で、生産効率を改善した量産設備の海外展開、歩留まり改善によるコスト低減、品質向上を進めております。24TB以降のTSAサスペンションは現在開発中ですが、HDD関連部品の薄型化でデータセンターにおける冷却用高速ファン等の外部外乱による磁気ヘッド位置決め特性劣化が著しく、共振特性高性能化が必須となっており、継続してデザイン最適化を進めております。また、さらなる多盤化に対応できるサスペンションの薄型化も検討中であります。

 当事業に関する研究開発費の金額は2,890百万円であります。

 

(4)産業機器ほか事業

 半導体プロセス部品事業においては、半導体の多積層化と微細化がさらに進み、その実現のために求められる機能、特性の多様化、高精度化に応えるための開発に取り組んでおります。

 プロセスの多様化から、耐熱、耐食性に優れた、一般的に難削材料とされる金属、合金を用いた製品の試作・開発にも取り組み、中核となる接合技術に加え、それら難削材料の高精度・高効率加工の深耕を図っております。また、耐絶縁性、耐プラズマ性に優れたセラミック溶射を金属基材に施すことにより付加価値の高い製品の開発、生産を継続しています。

 一方、固相拡散接合技術を用いた半導体製造装置上部部品では、コンタミの発生リスクを極限まで低減した高清浄度製品の提供を実現しています。

 金属基板(IMS:Integrated Metal Substrate)については、近年、パワー半導体市場の活況に伴いEV/HEV車載用及び産業用途向けの基板の需要が増加し、高品質、高信頼性に加え高清浄度に対する要求が高まっております。金属基板は高密度・大容量化に伴い、放熱性や耐ノイズ性のニーズが高まっており、それに応えるべく優れた高放熱絶縁材料の開発を継続的に推進しています。開発した絶縁材は高い放熱性を持つとともに優れた耐熱性と耐久性を備え、セラミック代替を目指しております。

 その一方で安価な絶縁材料を使った金属基板や、より耐久性に優れた金属基板の開発も行っております。

 ゴルフシャフト事業では、北米におけるシェアを拡充すべく、肉厚調整・熱処理技術・解析技術を駆使して、弾道、距離、方向性の3ポイントをコントロールした商品開発を実施し、さらにグローバルスタンダード化を目指しております。

 一方でさらなる超軽量化シャフト開発並びに材料開発を継続し、その技術を応用したカーボンとスチールの複合シャフトを開発、商品化しております。また、環境対策の一環として、シャフト用に特化した6価クロムフリーのメッキを開発し、実用化しております。

 当事業に関する研究開発費の金額は、2,360百万円であります。

 

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得

お知らせ

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得