業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しております。影響は軽微であります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における世界経済は先進国を中心にワクチン接種が進み、政府のコロナ対策により国や地域差はあるものの景気は概ね回復傾向でしたが、一方、ウクライナ情勢の悪化に伴う原油及び天然ガス価格の高騰や原材料高などにより不透明感は強まっています。当社の主要市場である自動車業界は、需要こそ旺盛であるもののコロナの局地的感染拡大による自動車部品供給の遅れや、半導体、樹脂材等の原材料不足に加え、ウクライナ情勢の悪化もあり生産計画の見直しなどが続いています。

このような状況のもと、当連結会計年度における売上高は前連結会計年度比11.2%増の217億22百万円、営業利益は同15.8%減の1億48百万円、経常利益は同1.2%減の3億54百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純損失はアメリカ子会社のテネシー工場移転に伴う特別損失を計上したことなどから82百万円(前連結会計年度はカリフォルニア工場売却による固定資産売却益を計上したことなどから6億33百万円の利益)となりました。

 

セグメントの経営成績は次のとおりであります。

 

(日本)

自動車向けを中心に需要が回復し、売上高は前連結会計年度比6.6%増の85億93百万円、セグメント利益は同136.3%増の2億73百万円となりました。

(米州)

自動車、医療向けの需要が回復し、売上高は前連結会計年度比15.9%増の25億36百万円となりましたが、メキシコ工場におけるプロジェクト立上げコストの発生などによりセグメント損失は6億11百万円(前連結会計年度は5億27百万円の損失)となりました。

(欧州)

自動車、医療向けが好調だったことから、売上高は前連結会計年度比5.7%増の20億46百万円となりましたが、航空機向けの減少などプロダクトミックスの悪化によりセグメント利益は同70.6%減の52百万円となりました。

(アジア)

自動車向けを中心に需要が回復し、売上高は前連結会計年度比16.2%増の85億45百万円、セグメント利益は同7.8%増の4億42百万円となりました。

 

 

当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ14億77百万円増加し、252億8百万円となりました。

主な要因は以下のとおりです。

 

(資産)

資産の部においては、流動資産合計額が1億76百万円増加し、123億20百万円となりました。主な理由は、現金及び預金が7億24百万円、受取手形及び売掛金が3億59百万円減少しましたが、棚卸資産が11億6百万円増加したことによるものであります。また、固定資産合計額は13億円増加し、128億87百万円となりました。有形固定資産が10億97百万円、投資その他の資産が1億58百万円増加したことによるものであります。

 

(負債)

負債の部においては、負債合計額は182億85百万円となり、前連結会計年度末に比べ8億78百万円増加しました。主な理由は、借入金が2億28百万円、支払手形及び買掛金3億72百万円及びリース債務が1億26百万円増加したことによるものであります。

 

(純資産)

純資産の部においては、純資産合計額が69億22百万円となり、前連結会計年度末に比べて5億98百万円増加しました。主な理由は、為替換算調整勘定が7億17百万円増加したことによるものであります。

この結果、自己資本比率は27.4%(前連結会計年度末は26.5%)となりました。

 

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の期末残高は、前連結会計年度末に比べ5億50百万円減少し、25億43百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

 

営業活動によるキャッシュ・フローは、資金が9億45百万円増加(前連結会計年度は14億4百万円の資金増加)しました。主な資金増加の要因は、減価償却費による資金留保12億88百万円、売上債権の減少3億38百万円及び仕入債務の増加5億96百万円によるものであり、主な資金減少の要因は、棚卸資産の増加8億50百万円によるものです。

投資活動によるキャッシュ・フローは、資金が15億57百万円減少(前連結会計年度は3億27百万円の資金増加)しました。主な要因は、有形固定資産の取得による支出17億40百万円によるものであります。

財務活動によるキャッシュ・フローは、資金が1億69百万円減少(前連結会計年度は7億53百万円の資金減少)しました。主な要因は、リース債務の返済によるものです。

 

③ 生産、受注及び販売の状況

a. 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

生産高(千円)

前年同期比(%)

日本

8,620,326

7.1

米州

2,630,704

37.9

欧州

1,991,477

0.5

アジア

8,922,942

21.3

合計

22,165,452

14.9

 

(注) 1. セグメント間取引については、相殺消去しております。

2. 上記の金額は、販売価格によっております。

 

 

b. 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

日本

8,715,804

6.3

936,440

15.0

米州

1,334,064

△47.9

63,614

△95.0

欧州

2,420,784

35.4

1,024,869

57.5

アジア

9,063,453

21.6

815,914

173.8

合計

21,534,106

7.7

2,840,838

△6.2

 

(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

 

c. 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

日本

8,593,837

6.6

米州

2,536,401

15.9

欧州

2,046,654

5.7

アジア

8,545,574

16.2

合計

21,722,466

11.2

 

(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりまして、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等」に記載のとおりであります。

なお、見積り及び判断・評価については、過去実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。

 

(退職給付債務)

従業員退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づき算出されております。これらの前提条件には、割引率、発生した給付額、利息費用、年金資産の長期期待運用収益率、死亡率等の要素が含まれております。実際の結果がこれらの前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合は、その影響が累積され、将来の会計期間にわたって償却されるため、将来の退職給付費用及び債務に影響を及ぼす可能性があります。

 

(固定資産の減損会計)

当社グループは、固定資産の減損会計を適用しております。減損会計は資産のグルーピング、割引前キャッシュ・フローの総額、回収可能価額を当社グループに固有の事情を反映した合理的で説明可能な仮定及び予測に基づいて算出しておりますが、その仮定及び予測に変動が生じた場合、減損損失の計上が必要となる可能性があります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社は、2015年の船橋電子株式会社の編入を皮切りに、埼玉工場の開設及び拡張、メキシコ工場の開設及び拡張、米国のElectronic Stamping Corporationの事業譲受、インドネシアのPT. Advanex Precision Indonesiaの買収、インド工場の開設、チェコ工場の開設などグローバルビジネス拡大に向けた積極投資を進めてまいりました。

これらの新設工場が加わったことで、精密金属加工メーカーとしては突出したグローバルネットワークを持つに至り、Tier1(自動車一次部品メーカー)のメガサプライヤー化・グローバル化に追随できる稀有なTier2(自動車二次部品メーカー)としての地位を確立しました。一方、それらの新工場は自動車向けがメインであり、通常、新規受注獲得から量産(販売)開始まで数年の時間を要するなど宿命的に投資と回収にタイムラグがあることから先行投資負担が嵩み近年業績は悪化しておりました。2022年3月期は新工場収益のブレイクイーブンに向けた取り組みは進みましたが、コロナウイルス感染拡大による稼働制限、半導体不足による顧客の生産調整、原油及び原材料費の高騰などが収益を圧迫し厳しい結果となりました。2023年3月期はウクライナ情勢の悪化や原油及び原材料の高騰が続く見通しですが、新工場の黒字化及びワンチャイナプロジェクトなどの構造改革に加えて、コストアップ分の価格転嫁が進むことから収益改善は進展すると見ています。

 

 

(当社グループ工場別収益実績比較)

 


 

 

(当社グループ工場別工業力・マーケット環境比較)

 


 

 

 

③ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報

(資金需要の主な内容)

当社グループの資本の財源及び資金の流動性について、当社グループの運転資金は、主に製品製造に使用する原材料や部品の調達に費やされており、製造費や販売費及び一般管理費に計上される財・サービスに対しても同様に費消されております。また、設備投資資金は生産設備取得等生産体制の構築、情報システムの整備等に支出されております。

(資金調達)

当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金の基本方針は、利益の計上、減価償却費等により生み出される内部資金により賄うこととしております。但し、安定的に確保するため外部資金(主に金融機関からの借入)を有効に活用しております。

なお、キャッシュ・フローの状況の詳細は「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」に記載のとおりであります。

 

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