業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。

 

① 経営成績の状況

 

 

売上収益

 

(百万円)

 

営業利益

 

(百万円)

 

営業利益率

 

(%)

 

税引前

当期利益

(百万円)

 

当期利益

 

(百万円)

親会社の所有者に帰属する当期利益

(百万円)

基本的

1株当たり

当期利益

(円)

2022年3月期

143,543

19,441

13.5

20,421

14,402

14,415

127.74

2021年3月期

134,732

17,858

13.3

18,165

12,711

12,695

112.62

前期比

6.5%

8.9%

12.4%

13.3%

13.6%

13.4%

 

 当連結会計年度における日本経済は、新型コロナウイルス感染症が依然として収束しておりませんが、行動制限が以前に比べ緩和されていることもあり、営業活動への影響は徐々に小さくなっております。しかしながら、鋼材価格の上昇や半導体不足、地政学的な問題も発生しており、先行きの不透明感は依然として高い状態であります。

 このような状況の中で当社グループは、お客様と社員の安全確保を第一優先とし、感染防止対策を実施した上で、「熱・水・環境の分野で、環境に優しい社会、きれいで快適な生活の創造に貢献します」の企業理念のもと、お客様の抱えられている問題を解決する「トータルソリューション」の提案活動を推進してまいりました。

 当連結会計年度の連結業績につきましては、国内においては、機器販売事業で主力の小型貫流ボイラやメディカル機器に設備投資需要の回復がみられ、販売が増加し、メンテナンス事業も堅調に推移しました。海外においては、機器販売事業で前期に新型コロナウイルス感染症の影響で販売が低調だった国や地域において、設備投資需要の回復がみられ、メンテナンス事業は堅調に推移しました。

 利益面につきましては、増収効果や販売商品の構成変化もあり、増益となりました。

 売上収益は143,543百万円(前期比6.5%増)、営業利益は19,441百万円(前期比8.9%増)、税引前当期利益は20,421百万円(前期比12.4%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は14,415百万円(前期比13.6%増)となりました。

 売上原価は、前連結会計年度に比べ6.0%増の84,556百万円となりました。売上収益原価率は58.9%と前連結会計年度と比べ0.3ポイントの減少となりました。

販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ6.5%増の40,229百万円となりました。

営業利益は、前連結会計年度に比べ8.9%増の19,441百万円となり、営業利益率は13.5%と前連結会計年度と比べ0.2ポイントの増加となりました。

この結果、税引前当期利益は前連結会計年度に比べ12.4%増の20,421百万円となり、親会社の所有者に帰属する当期利益は、13.6%増の14,415百万円となりました。

また、基本的1株当たり当期利益は127円74銭、親会社所有者帰属持分当期利益率は9.4%となりました。

 

 セグメント別の経営成績は、以下のとおりであります。

 

売上収益

セグメント利益

2021年3月期

(百万円)

2022年3月期

(百万円)

前期比

(%)

2021年3月期

(百万円)

2022年3月期

(百万円)

前期比

(%)

国内

機器販売事業

60,416

63,122

4.5

4,882

5,831

19.4

メンテナンス事業

34,797

37,012

6.4

9,524

9,637

1.2

ランドリー事業

12,583

13,112

4.2

178

322

80.8

海外

機器販売事業

19,707

22,476

14.1

2,054

2,357

14.7

メンテナンス事業

7,173

7,761

8.2

1,236

1,310

6.0

その他及び調整額

54

58

9.1

△18

△16

合計

134,732

143,543

6.5

17,858

19,441

8.9

 

国内機器販売事業

 国内機器販売事業は、前期において好調に推移した舶用機器が、当期は国内での新造船建造量の減少により売上が大きく落ち込みましたが、ボイラ機器、メディカル機器などで設備投資需要の回復がみられ、売上が増加しました。この結果、当事業の売上収益は63,122百万円と前期(60,416百万円)に比べ4.5%増となりました。セグメント利益は、増収効果及び利益率の高い製品や部品の売上が増加したことにより、5,831百万円と前期(4,882百万円)に比べ19.4%増となりました。

 

国内メンテナンス事業

 国内メンテナンス事業は、有償保守契約件数の増加や省エネ等の提案活動の推進により、売上を伸ばしました。この結果、当事業の売上収益は37,012百万円と前期(34,797百万円)に比べ6.4%増となりました。セグメント利益は、9,637百万円と前期(9,524百万円)に比べ1.2%増となりました。

 

国内ランドリー事業

 国内ランドリー事業は、新型コロナウイルス感染症によるホテルや病院などのリネンサプライやクリーニング需要の減少により、お客様の設備投資意欲が引続き減退しておりますが、アフターコロナに向けた生産性の向上、省人化や省エネなどを目的に、更新が延期されていた老朽化設備において需要回復の兆しがみられ、売上が増加しました。この結果、当事業の売上収益は13,112百万円と前期(12,583百万円)に比べ4.2%増となりました。セグメント利益は、増収の影響や経費削減により322百万円と前期(178百万円)に比べ80.8%増となりました。

 

海外機器販売事業

 海外機器販売事業は、前期において新型コロナウイルス感染症の影響で設備投資需要が減少していた国や地域で需要の回復がみられ、売上が増加しました。一方中国においては、米中関係の不透明さによる経済成長への不安から、お客様の設備に対する投資回収の判断基準が厳しくなり、市場全体において投資への慎重な姿勢が取られました。また、年間を通じて各地で散見されておりました新型コロナウイルス感染症によるロックダウンや移動制限は期末になるに従い都市部に至り、当社の営業活動が停滞し、かつお客様におかれましても工場稼働率の低下がみられ、部品や消耗品の販売が減少しました。環境規制の緩和が継続される中、ボイラの負荷・使用状況の分析をもとにソリューション提案を実施し、更新需要や新規案件を確保しましたが、業績は横ばいとなりました。この結果、当事業の売上収益は22,476百万円と前期(19,707百万円)に比べ14.1%増となりました。セグメント利益は、2,357百万円と前期(2,054百万円)に比べ14.7%増となりました。

 

海外メンテナンス事業

 海外メンテナンス事業は、有償保守契約の積極的な提案による契約件数の増加により売上を伸ばしました。この結果、当事業の売上収益は7,761百万円と前期(7,173百万円)に比べ8.2%増となりました。セグメント利益は、1,310百万円と前期(1,236百万円)に比べ6.0%増となりました。

 

② 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

国内機器販売事業

26,353

1.5

国内メンテナンス事業

3,826

12.0

国内ランドリー事業

2,613

72.5

海外機器販売事業

8,003

18.3

海外メンテナンス事業

1,168

6.2

合計

41,965

8.3

 (注) 金額は、製造原価により表示しております。

 

b.受注実績

 当連結会計年度における国内機器販売事業の受注実績を示すと、以下のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前期比(%)

受注残高(百万円)

前期比(%)

国内機器販売事業

7,708

52.6

5,777

25.5

 (注) 1 金額は、販売価格により表示しております。

 2 受注生産は、舶用ボイラ及び舶用機器のみであります。

 

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

国内機器販売事業

63,122

4.5

国内メンテナンス事業

37,012

6.4

国内ランドリー事業

13,112

4.2

海外機器販売事業

22,476

14.1

海外メンテナンス事業

7,761

8.2

その他

58

9.1

合計

143,543

6.5

 (注) 総販売実績に対し、10%以上に該当する販売先はありません。

 

③ 財政状態の状況

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

(2021年3月31日)

当連結会計年度

(2022年3月31日)

増減

資産合計

196,342

219,154

22,812

負債合計

50,843

58,919

8,075

資本合計

145,498

160,235

14,737

 

 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ22,812百万円増加し、219,154百万円となりました。流動資産は、主に営業債権及びその他の債権が4,052百万円、棚卸資産が3,772百万円それぞれ増加し、一方で、その他の金融資産が2,553百万円減少した結果、7,913百万円の増加となりました。非流動資産は、主に持分法で会計処理されている投資が14,613百万円増加したことにより、14,898百万円の増加となりました。

 負債合計は、前連結会計年度末に比べ8,075百万円増加し、58,919百万円となりました。流動負債は、主に営業債務及びその他の債務が2,001百万円、契約負債が1,921百万円増加したことにより、7,640百万円の増加となりました。非流動負債は、その他の金融負債が562百万円増加したこと等により、435百万円の増加となりました。

 資本合計は、主に利益剰余金が9,967百万円増加し、その他の資本の構成要素が3,013百万円増加したことにより、前連結会計年度末に比べ14,737百万円増加し、160,235百万円となりました。この結果、親会社所有者帰属持分比率は73.1%となりました。

 

④ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。

営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比べ収入が3,540百万円減少し、19,442百万円の収入となりました。これは主に「営業債務及びその他の債務の減少による支出」が減少し、かつ「契約負債の増加による収入」が増加したものの、「営業債権及びその他の債権の減少による収入」が減少し、かつ「棚卸資産の増加による支出」が増加したためです。

投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比べ支出が3,407百万円増加し、14,481百万円の支出となりました。これは主に「定期預金の払戻による収入」が増加し、かつ「投資の取得による支出」が減少したものの、「投資の売却又は償還による収入」が減少し、「持分法で会計処理されている投資の取得による支出」が増加したためです。

財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比べ収入が4,602百万円増加し、3,389百万円の支出となりました。これは主に「短期借入金の増加による収入」及び「長期借入れによる収入」、並びに「自己株式の売却による収入」が増加したためです。

以上により、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比べ2,613百万円増加し、40,041百万円となりました。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号)第93条の規定により、国際会計基準(以下、「IFRS」という。)に準拠して作成しております。

 IFRSに準拠した連結財務諸表の作成において、経営者は、会計方針の適用並びに資産、負債、収益及び費用の金額に影響を及ぼす判断、見積り及び仮定を行うことが要求されております。当社グループの判断、見積り及び仮定は合理的であると考えておりますが、実際の実績は、これらの見積りとは異なる場合があります。

 なお、当社グループの連結財務諸表において採用する重要な会計方針及び見積りは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」及び「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しております。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析、検討内容

経営成績等の状況に関する認識及び分析、検討内容については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」及び「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」に記載しております。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性

当社グループは、現在及び将来の事業活動のために適切な水準の流動性の維持及び効率的な資金の確保を財務活動の重要な方針としております。当社は、運転資金の効率的な管理を通じて、事業活動における資本効率の最適化を図り、グループ内の資金管理を当社に集中させることで、グループ内の資金管理の一元化・効率化に努めております。また、事業展開に伴う資金需要に対する機動的な対応のために十分な現金及び現金同等物を確保し、金融情勢等を勘案し、安全性並びに流動性の高い短期金融商品で運用しております。

当社は、株式会社格付投資情報センター(R&I)より発行体格付Aを取得しております。金融・資本市場からの必要な資金調達において、一定水準の格付の維持・向上は重要と考えております。

当社グループは、運転資金等の短期資金及び設備投資等の長期資金については、今後も引続き堅調な営業活動によるキャッシュ・フローを主な資金源と考えており、将来の事業拡大に伴う長期資金の調達については、金融機関からの長期借入を基本と考えております。

なお、当連結会計年度末における借入金等有利子負債の残高は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 16.その他の金融負債」に、リース負債の残高は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 ①連結財政状態計算書」に、また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 7.現金及び現金同等物」に記載しております。

 

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