1.経営方針及び経営戦略等
当社グループは、「医療を想い、社会に貢献する。」を企業理念とし、医療現場の主役である医師と医師との繋がり、そしてその医師のQOLの向上が豊かな医療の創造を実現させるという信念のもと、医師の互助組織を母体として発足いたしました。以来、経験・ノウハウの蓄積により確立した医療分野の人材ネットワークを強みとして医療情報のプラットフォームを提供することで、豊かな医療の創造の実現を目指しております。
上記の目的を実現する上で、経営方針を下記のとおり定めております。
(1)経営理念
医療を想い、社会に貢献する。
(2)ビジョン
医療・ヘルスケアの革新的なマーケットプレイスを創る
大切に受け継いできた相互扶助精神に基づき、患者様のために医療現場の問題をともに解決し、医療環境の未来をつなぐプラットフォームをつくります。
更なる企業価値向上のために、医師会員登録数及び医療機関登録数の増加に取り組みます。現在、主に口コミを中心に関東圏の会員を増やしておりますが、下記方針により、当社グループ及び当社サービスの知名度及び認知度向上を図ってまいります。
(1)医局向けサービスの拡充
大学医局向けのサービスを拡充することにより、大学附属病院を中心に、その関連の市中病院、開業医にいたるまで医局単位での医師及び医療機関にアプローチを実施。
(2)地方へのビジネスの拡大
自治体との連携及び関東圏以外の拠点を設けることにより、地方の医師及び医療機関との距離を縮小。
(3)グループ共有プラットフォームの活用
グループ共有プラットフォームを活用して、医師会員及び医療機関に更なる付加価値サービスを提供。
また、当社グループの持続的な成長を目指して、医療人材紹介サービスに加えて、①医師同士が必要とする情報を交換する場を提供することにより医師と医師とをつなぐサービス、②医療情報を必要とする企業と医師をつなぐサービス、そして、③医療を必要とする患者に医師をつなぐサービスを提供することにより、サービスの多様化を実現し、付加価値の高い新たなサービスの拡充に取り組んでまいります。
2.優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社は強みとしている医師の互助組織として発足以来の経験・ノウハウの蓄積で確立した医療情報プラットフォームをさらに強化し、以下の事項を対処すべき課題と認識して、「医療を想い、社会に貢献する。」という企業理念に沿って永続的な成長を実現するため、各課題に取り組んでまいります。
(1)全国的な知名度の向上
当社グループは、東京大学医学部附属病院の医師同士が代診を相互に紹介する互助組織活動にその淵源があり、その結果、医師会員は1都3県に集中しております。そのため1都3県においては、MRTの知名度は相当浸透し、強みを有していると考えております。一方で、1都3県以外の地域では、関東圏以外の自治体との連携により、医師に対する当社グループの知名度浸透を図っておりますが、十分高い水準であるとはいえず、今後は、MRTというブランドを関東以外の地域に浸透させることにより、MRTの知名度の全国的な向上を図ることが求められます。
当社グループは、広報活動の他に、地方拠点の拡充などによるMRTの全国的な知名度向上が、地方における医師紹介の機会増につながるものと考えており、地方における医師不足の解消の一翼を担うことを通じ、地域医療の発展に取り組んでまいります。
(2)非常勤医師紹介のさらなる強化
当社グループの医療人材サービスにおいて、特に非常勤医師の人材紹介では、継続的に当社グループを利用している医師が数多く存在しているという事実があり、当社グループの強みになっていると考えております。しかしながら、当連結会計年度末日現在、当社グループに登録している医師会員数は8万名程度(過去に登録されている医師の累計数(退会者を除く))であり、日本全国の医師数が約32万人(厚生労働省「平成30年(2018)医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」)であることを考えると、会員数の多さという視点ではまだ十分とはいえません。
このため、当社グループでは、今後の非常勤医師紹介の拡大、新規事業展開を進めるため、医師会員数を大きく増やすことが課題であると考えております。当社グループは、医師同士の口コミにより、医師会員数を増やしてまいりましたが、今後は、会員向けサービスの拡充、営業体制・人員の強化を進め、SNS等の各種媒体を有効活用する等、口コミ以外のアプローチにより、医師会員数及び登録医療機関数の増加を目指しております。
(3)グループ連携の強化
当社グループは、M&Aに取り組むことで、医療人材サービスを中心に企業規模が拡大し、グループ各社がそれぞれの持つ強みを活かして事業展開をしております。その結果、当社グループは、医師をはじめとする医療従事者の登録者数は20万名を超える水準の規模にまで拡大しております。しかしながら、グループ各社間の連携が十分に行われているとは言えず、登録会員に対して、当社グループが提供するサービスをより多く利用いただける環境づくりが課題であります。
(4)新規サービスの拡充
当連結会計年度末日現在、当社グループは、医療情報プラットフォームの拡大に向けて、医療人材及び医療機関のネットワークを持つ共有プラットフォームを構築し、グループ内情報の共有化を実現する「Door.」及びそれを利用した「Door. into 健康医療相談」サービスの提供に取り組んでおります。また、医療機関運営支援を目的とするRPO・BPOなどのサービスも積極的に展開しております。これらのサービスの質やサービス間の連携を高めること、より付加価値の高い新たなサービスを提供することで収益性を高め、持続的な成長の実現を目指しております。
また、今後も引き続き、これらのサービス以外にも、医師、医療機関、患者、一般顧客及びその他医療関係者に向けたサービスの拡充を目指しております。
(5)アライアンス及びM&Aの取り組み
当社グループは、医療人材サービスの拡大、医療・ヘルスケア分野における新規サービスの拡充に取り組んでおります。しかしながら、独自で新規サービスの開発等をするには、サービス提供までに長期の時間を要し、顧客ニーズを含む外部環境の変化に対応することができなくなるというリスクがあります。そのため、M&A等により、営業基盤の獲得、サービス提供開始までの期間短縮、開発コスト削減などを実現することで、顧客ニーズに対応したサービスの提供あるいはサービスの向上を適時実施できるものと考えております。
(6)システムの安定稼働と強化
当社グループは、情報通信技術を活用して事業を運営していることから、事業運営上、システムの安定稼働が、極めて重要であると認識しております。このため、当社グループは、会員数又は利用者数に応じたサーバーの増強、各種エンジニアの確保を含め、システムの安定化のため継続的にシステム強化に取り組んでまいります。
(7)人材の採用・育成
当社グループの「対処すべき課題」の解決には、優秀な人材を継続的に採用・育成することが課題であると認識しております。当社グループは、職場環境及び人事制度の整備を通じて、当社グループが必要とする優秀な人材を継続的に採用・育成すべく取り組んでまいります。
3.経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、持続的な成長を目指し、重視する経営指標を①売上収益②営業利益③親会社の所有者に帰属する当期利益の対前年度比としております。
4.経営環境
当社グループを取り巻く医療・ヘルスケア業界においては、高齢化社会の進行とともに医療の担い手不足や地域 偏在、診療科偏在が課題に挙げられてきました。日本の医療費は40兆円を超え2025年度には約66兆円を見込み、医療費の削減、医師の自己犠牲的な長時間労働により支えられている危機的な状況の改善など、持続可能な医療サービスを実現するための対策が求められてきました。
2020年年明けから感染が拡大した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は2021年12月時点で、世界の感染者数は2.8億人、日本においても感染者数は 170万人を超えました。7月から9月にかけて感染者数の爆発的な増加のあった第5波では、自宅療養者や宿泊療養者も過去最多となり医療提供体制に深刻な事態をもたらしました。10月以降、ワクチンの接種率は7割を超え、新規感染者数も減少し収束に向かう兆しが見え始めた矢先、新型コロナウイルスの新たな変異株の出現も相まって感染者数が急速に増加しました。こうした事態により、感染拡大防止を目的としたオンライン診療や、自宅療養者への往診、医薬品の配送、問い合わせの殺到する保健所をサポートする健康相談センター、自治体や職域におけるワクチン接種など、医療サービスは様々な状況に応じた需要への対応を求められております。
お知らせ