業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルスの感染者数が増加と減少を繰り返す中で、一進一退の動きが続きました。鉱工業生産は、半導体不足などの供給制約による自動車の大幅減産を主因として2021年夏場に落ち込んだ後、持ち直しの動きが続いておりますが、そのペースは緩やかなものにとどまっております。設備投資は、製造業を中心に企業収益の改善傾向が続く中、テレワーク拡大やデジタル化に向けたソフトウェア投資、製造業の生産活動の好調を受けた機械投資を中心に持ち直しております。個人消費は、緊急事態宣言の影響で2021年前半に低迷した後、同9月末の緊急事態宣言の解除を受けて外食・宿泊・娯楽などの対面型サービスを中心に回復しました。しかし、感染再拡大とまん延防止等重点措置の影響で2021年度末にかけて再び弱い動きとなりました。

 当社グループが属する動物医療業界におきましては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響でペットとの生活に癒しを求める動きが強まり、2021年の新規犬猫飼育頭数は過去9年で最多となり、これまで減少傾向にあった犬猫飼育頭数は微増となりました。また、犬猫の高齢化に伴い、疾病が多様化する中で飼い主の動物医療に対する多様化・高度化要請は高まってきております。

 このような環境の中、当社グループは、社長を対策本部長とする「新型コロナウイルス感染症対策本部」を設置し、全社的な対応方針の決定や具体的な施策の実行により、従業員とその家族、来院する飼い主の安全確保、感染拡大防止に最優先に取り組んでまいりました。

 当社グループが提供する動物の二次診療サービスは急なニーズに応えるものが多いことから、新型コロナウイルス感染拡大による業績への影響は、比較的軽微でありました。

 症例実績を発表する場である学会や各種セミナーがオンライン開催を余儀なくされる状況となるなど、マイナスの影響もありましたが、当社グループは日頃の診療活動を通じた一次診療施設とのコミュニケーション強化を継続することによって、動物医療業界における信頼の獲得、認知度の向上と、それに伴う紹介症例数の増加に努めてまいりました。全体として初診数(新規に受け入れた症例数)は7,232件(前連結会計年度比4.4%増)、総診療数(初診数と再診数の合計)は28,296件(前連結会計年度比3.8%増)、手術数は2,063件(前連結会計年度比2.1%減)となりました。

 以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高2,979,011千円(前連結会計年度比4.6%増)、営業利益439,236千円(前連結会計年度比8.3%増)、経常利益438,507千円(前連結会計年度比6.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益286,939千円(前連結会計年度比0.6%増)と増収増益となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、営業活動による資金の増加557,574千円、投資活動による資金の減少1,425,741千円、財務活動による資金の増加722,091千円の結果、前連結会計年度末に比べ146,076千円減少し、968,595千円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動により獲得した資金は、557,574千円(前連結会計年度比10.5%増)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益423,583千円、減価償却費241,000千円等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動により使用した資金は、1,425,741千円(前連結会計年度比1,949.3%増)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出601,710千円及び連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出784,827千円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動により獲得した資金は、722,091千円(前連結会計年度は469,428千円の支出)となりました。これは主に、長期借入れによる収入1,376,100千円、及び長期借入金の返済による支出528,483千円等によるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社グループ(当社及び連結子会社、以下同じ)は生産に該当する事項がないため、生産実績に関する記載はしておりません。

 

b.受注実績

 動物医療関連事業の性格上、受注の記載になじまないため、受注実績に関する記載はしておりません。

 

c.販売実績

 当社グループは、動物医療関連事業の単一セグメントであります。当連結会計年度の販売実績を売上種類別に示すと、次のとおりであります。

 

売上種類の名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

    至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

二次診療サービス(千円)

2,434,397

104.15

画像診断サービス(千円)

512,665

104.73

その他(千円)

31,948

152.06

合計(千円)

2,979,011

104.61

 (注)グループ間の取引については相殺消去しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。

 当社グループは、この連結財務諸表の作成に当たって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を合理的に勘案し判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 当社グループの連結財務諸表を作成するに当たり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態の分析

(資産)

 当連結会計年度末における総資産は6,966,910千円となり、前連結会計年度末と比べて1,122,793千円増加いたしました。

 流動資産は前連結会計年度末に比べ、81,889千円増加し、1,539,777千円となりました。これは主にテルコム株式会社の取得に伴う受取手形、売掛金及び契約資産、商品の増加によるものであります。

 固定資産は前連結会計年度末に比べ、1,040,904千円増加し、5,427,132千円となりました。これは主に大阪病院(仮称)の建設工事243,359千円の増加、テルコム株式会社の取得に伴うのれんの発生及び株式会社キャミックにおける城北センターへの移転によるものであります。

 

(負債)

 当連結会計年度末における負債合計は4,456,987千円となり、前連結会計年度末と比べて949,058千円増加いたしました。

 流動負債は965,713千円となり、前連結会計年度末に比べ50,952千円増加いたしました。これは主に未払法人税等が増加したことによるものであります。また、固定負債は3,491,273千円となり、前連結会計年度末に比べ898,105千円増加いたしました。これは主に長期借入金の借入によるものであります。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産は2,509,923千円となり、前連結会計年度末と比べて173,735千円増加いたしました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益286,939千円、自己株式の取得及び処分による減少96,287千円によるものであります。

 

b.経営成績の分析

(売上高)

 当連結会計年度における売上高は、2,979,011千円(前連結会計年度比4.6%増)となりました。

 

(売上原価、売上総利益)

 当連結会計年度における売上原価は、1,873,597千円(前連結会計年度比1.1%増)となりました。

 この結果、売上総利益は1,105,413千円(前連結会計年度比11.1%増)となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

 当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、666,177千円(前連結会計年度比13.1%増)となりました。

 この結果、営業利益439,236千円(前連結会計年度比8.3%増)となりました。

 

(営業外損益、経常利益)

 当連結会計年度においては、家賃収入等の営業外収益28,327千円、支払利息等の営業外費用29,056千円を計上しております。

 この結果、経常利益は438,507千円(前連結会計年度比6.7%増)となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 当連結会計年度においては、税金等調整前当期純利益は423,583千円(前連結会計年度比2.8%増)となりました。法人税等を130,044千円、法人税等調整額を6,600千円計上した結果、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は286,939千円(前連結会計年度比0.6%増)となりました。

 

c.経営成績に重要な影響を与える要因について

 経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しております。

 

 

d.経営戦略の現状と見通し

 次連結会計年度におけるわが国の経済の見通しについては、国内における経済活動の持ち直しにより景気は回復基調となるものの、国内外における新型コロナウイルス感染症の影響の継続や、ウクライナ情勢のさらなる深刻化による世界経済全体の減速懸念などから、景気の先行きは不透明な状況が続くものと予想されます。

 このような経営環境の中、当社グループは、従業員とその家族、来院する飼い主の安全確保、感染拡大防止に最優先に取り組むとともに、日頃の診療活動を通じた一次診療施設とのコミュニケーション強化を継続することによって、初診数の増加(当連結会計年度比4%程度)を図ってまいります。

 2023年3月の開院に向けて準備中の大阪病院につきましては、準備の一環として、診療を行う獣医師や動物看護師などの増員を図る計画であります。優秀な人材確保につながる大学・専門学校・各種団体との関係性強化や人脈形成に努めるとともに、積極的な採用活動を行ってまいります。

 2022年3月に子会社化いたしましたテルコム株式会社につきましては、従来どおり飼い主や一次診療施設へのサービス提供に努めつつ、当社グループ各社との協力体制構築による経営効率改善等により、収益性を高めてまいります。

 引き続き、中長期的に動物医療業界における総合的な企業となるべく、飼い主や一次診療施設の利便性を高めるシステムやサービスの開発・販売を進めつつ、M&Aを活用した事業領域の拡大を積極的に行う方針であります。

 以上の施策により、次連結会計年度の業績予想につきましては、売上高3,860百万円、営業利益535百万円、経常利益540百万円、親会社株主に帰属する当期純利益365百万円を見込んでおります。

 なお、新型コロナウイルス感染症の業績への影響については、可能な限り上記の業績見通しに織り込んでおりますが、今後の動向の変化に応じて適時に開示してまいります。

(注)本資料に記載の将来に関する全ての記述は、当社が現在入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、不確実性を多分に含んでおります。当社としてその実現をお約束するものではありません。実際の業績は、様々な要因から業績予測と異なる結果となる可能性がありますことをご留意ください。

 

e.経営者の問題認識と今後の方針について

 当社グループの経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善な経営戦略の立案、施策の実施に努めておりますが、流動的な市場環境においても継続的に利益を確保するため、顧客満足度及び社会貢献度の高い医療サービスを提供し続けることが重要と認識しております。

 

③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フローの状況の分析

 当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は、「第2 事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

b.資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの必要資金は、主に営業活動によるキャッシュ・フローである自己資金により充当し、必要に応じて外部からの資金調達を実施することを基本方針としております。

 今後の資金需要のうち、主なものは、新病院の開業や既存病院における新医療機器導入等の設備投資や、M&A等の戦略的投資等であります。

 これらの資金については、基本方針に基づき、主に自己資金により充当する予定でありますが、負債と資本のバランスに配慮しつつ、必要に応じて金融機関から借入や増資等の資金調達を実行してまいります。

 なお、現在開業を準備しております大阪病院の建物、医療機器等に充当する設備投資資金につきましては、主要取引銀行とコミットメントライン契約を締結しており、現在必要とされる資金の水準を満たす流動性を確保しております。

 

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