業績等の概要
(1)財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルスの影響が和らぎ、景気に回復の兆しも見えましたが、感染再拡大の懸念やロシア・ウクライナ情勢の緊迫等、依然として先行き不透明な状況が続いております。
当社グループを取り巻く国内のインターネット関連市場では、動画視聴及びEC(インターネット通販)サービス等が拡大し、引き続き市場成長が継続しております。加えて、今後もインターネットにおける技術革新はますます進み、様々なサービスが展開されていくものと予想されます。
その一方で、リモートワークの拡大に伴うセキュリティへの不安の高まりや、IoT(※1)によりあらゆるものがサイバー攻撃のリスクにさらされる等、インターネットセキュリティの課題は年々深刻化しており、全てのインターネットユーザーが安心して利用できるよう、安全性を求める声は一層高まりを見せております。このように、投稿監視、カスタマーサポートに加え、サイバーセキュリティへの関心はますます増加しております。
用語説明
(※1)Internet of Things(モノのインターネット)の略称。建物、車、及び電子機器等の様々なモノをネットワークによりサーバーやクラウドサービスへ接続し、相互に情報交換する仕組み。
このような環境のもと、当社グループは経営理念「We Guard All」を掲げる総合ネットセキュリティ企業として、「AIと人のハイブリッド」を強みに、高品質かつ高効率のセキュリティワンストップサービスを提供してまいりました。
また、2021年10月にグループシナジーの強化を目的とし、EGセキュアソリューションズ株式会社を存続会社とするサイバーセキュリティ関連子会社3社の統合を行い、WAF(※2)及び脆弱性診断等のセキュリティサービスの拡販を推進しております。
当社グループの主なサービスである投稿監視業務はインターネット世界の安心を、サイバーセキュリティ業務はインターネット世界の安全を実現するために必要不可欠であり、SDGs(ESG)に代表される社会課題の解決、及び持続可能な社会の構築において当社グループの存在意義は一層高まっております。
用語説明
(※2)Web Application Firewallの略称。ウェブアプリケーションの脆弱性を悪用する攻撃を検出・防御し、ウェブサイトを保護するためのセキュリティ製品。
この結果、当連結会計年度における売上高は11,752,291千円(前年同期比18.3%増)、営業利益は2,272,650千円(前年同期比15.4%増)、経常利益は2,314,213千円(前年同期比13.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,689,472千円(前年同期比55.5%増)となりました。
当社グループは単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はありません。業務の種類別の業績は以下の通りであります。
① ソーシャルサポート
ソーシャルサポートは、ソーシャルWebサービス等の様々なインターネットサービスを対象に、投稿監視、カスタマーサポート及び風評調査等を提供しております。
新型コロナウイルスの影響によるリモートワークの増加や外出自粛によって、インターネットサービスは需要が増えたもの、減少したもの等大小様々な影響が出ております。
その中で、メタバースプロダクト研究開発及び導入支援を手掛けるMetafrontier株式会社と連携を開始し、メタバース(※3)・NFT(※4)事業の支援を強化いたしました。
その結果、売上高は6,707,775千円(前年同期比27.0%増)となりました。
用語説明
(※3)ユーザーがそれぞれに作成したアバターを使用し自由に行動することができるインターネット上に構築された仮想空間。
(※4)Non-Fungible Token(非代替性トークン)の略称。ブロックチェーン技術を活用し、偽造できないようにしたデジタルデータ。
② ゲームサポート
ゲームサポートは、ソーシャルゲームを対象に、主にカスタマーサポート及びデバッグ業務等を提供しております。
海外案件獲得を目的に、プロモーションに特化したURAWAZA株式会社と提携し、国内ゲーム会社の海外進出及び海外ゲーム会社の日本進出をサポートする体制を整備いたしました。また、今後マーケットの拡大が期待されているNFTゲームに関連する運営サポート、セキュリティ、デバッグを包括的に行うNFTゲームサポートの提供を開始いたしました。
その結果、売上高は2,082,959千円(前年同期比3.3%減)となりました。
③ アド・プロセス
アド・プロセスは、インターネット広告審査業務及び運用代行業務を提供しております。
株式会社CARTA HOLDINGSとの合弁会社である株式会社ビズテーラー・パートナーズとの連携を強化し、新規顧客開拓に注力いたしました。
加えて、一般社団法人日本インタラクティブ広告協会より2022年春期のインターネット広告の表示審査業務を受託、実施いたしました。
その結果、売上高は1,420,186千円(前年同期比25.2%増)となりました。
④ サイバーセキュリティ
サイバーセキュリティは、主にWAF、脆弱性診断及びSOCサービスを提供しております。
100万サイトを超える導入実績がある国内利用サイト数1位のソフトウエア型WAFにおいて、ホスティング・クラウド事業者向け月額ライセンスの累計契約数が1,000件を突破いたしました。
また、多様なウェブサイトのセキュリティ対策をサポートするべく、新たにクラウド型WAFを提供開始いたしました。
その結果、売上高は663,021千円(前年同期比3.2%増)となりました。
⑤ その他
その他は、主にハードウェアに対するデバッグ業務を提供しております。
EGテスティングサービス株式会社が、2021年12月に開設した八王子テストセンターを中心に、多面的機能テストの需要への対応を進めてまいりました。
その結果、売上高は878,348千円(前年同期比22.2%増)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は4,951,106千円となり、前連結会計年度末における資金3,693,310千円に対し、1,257,795千円の増加となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下の通りであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は1,655,492千円(前連結会計年度は1,629,403千円の収入)となりました。
これは、税金等調整前当期純利益の計上が2,301,571千円に対して減価償却費の計上112,288千円、未払法人税等833,067千円の支払い、未払金の増加44,346千円などがあったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により支出された資金は275,186千円(前連結会計年度は837,163千円の支出)となりました。
これは主に有形固定資産の取得による支出が219,429千円あったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により支出された資金は138,596千円(前連結会計年度は470,586千円の支出)となりました。
これは主に、配当金の支払いによる支出138,156千円があったことによるものであります。
生産、受注及び販売の実績
(1)生産実績
当社グループは、生産に該当する事項はありませんので生産実績は記載しておりません。
(2)受注実績
当社グループのインターネットセキュリティ事業は、主に一般利用者から投稿されたコメント、画像等により業務が実施され、その処理件数に対して課金するシステムを採用しているとともに、受注から販売までの所要日数が短く常に受注残高は僅少であり、期中の受注高と販売実績とがほぼ対応するため、記載を省略しております。
(3)販売実績
当連結会計年度における販売実績を業務の種類別に示すと、以下の通りであります。
区分 |
当連結会計年度 (自 2021年10月1日 至 2022年9月30日) |
前年同期比(%) |
ソーシャルサポート(千円) |
6,707,775 |
27.0 |
ゲームサポート(千円) |
2,082,959 |
△3.3 |
アド・プロセス(千円) |
1,420,186 |
25.2 |
サイバーセキュリティ(千円) |
663,021 |
3.2 |
その他(千円) |
878,348 |
22.2 |
合計(千円) |
11,752,291 |
18.3 |
(注)1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、以下の通りであります。
相手先 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
||
売上高(千円) |
割合(%) |
売上高(千円) |
割合(%) |
|
TikTok Pte Ltd. |
1,815,452 |
18.3 |
1,915,385 |
16.3 |
経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づき作成しております。
この連結財務諸表の作成にあたりましては、部分的に資産・負債、収益・費用の数値に影響を与えるような見積り等の介在が不可避となりますが、当社経営陣は過去の実績や提出日現在の状況等を勘案し、会計基準の許容する範囲内かつ合理的にそれらの判断を行っております。
なお、重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
(2)財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は6,510,045千円となり、前連結会計年度末における流動資産5,020,896千円に対し、1,489,148千円の増加(前年同期比29.7%増)となりました。
これは主に、現金及び預金が1,257,795千円、売掛金が159,072千円増加したことによるものであります。
当連結会計年度末における固定資産の残高は1,903,997千円となり、前連結会計年度末における固定資産1,811,581千円に対し、92,416千円の増加(前年同期比5.1%増)となりました。
これは主に、有形固定資産が116,876千円増加したことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債の残高は1,931,282千円となり、前連結会計年度末における負債1,922,217千円に対し、9,064千円の増加(前年同期比0.5%増)となりました。
これは主に、未払金が37,416千円増加したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の残高は6,482,760千円となり、前連結会計年度末における純資産4,910,260千円に対し、1,572,499千円の増加(前年同期比32.0%増)となりました。
これは主に、利益剰余金が1,546,791千円増加したことによるものであります。
(3)経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度における売上高は11,752,291千円(前連結会計年度比18.3%増)となりました。
(売上原価)
当連結会計年度における売上原価は7,931,782千円(前連結会計年度比24.1%増)となりました。
(売上総利益)
当連結会計年度における売上総利益は3,820,509千円(前連結会計年度比7.9%増)となりました。
(販売費及び一般管理費)
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は1,547,858千円(前連結会計年度比1.5%減)となりました。
(営業利益)
当連結会計年度における営業利益は2,272,650千円(前連結会計年度比15.4%増)となりました。
(経常利益)
当連結会計年度における経常利益は2,314,213千円(前連結会計年度比13.4%増)となりました。
(税金等調整前当期純利益)
当連結会計年度における税金等調整前当期純利益は2,301,571千円(前連結会計年度比27.0%増)となりました。
(法人税等)
当連結会計年度における法人税等は612,099千円(前連結会計年度比15.6%減)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は1,689,472千円(前連結会計年度比55.5%増)となりました。
(4)経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況 2事業等のリスク」に記載の通りであります。
(5)キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの状況
「第2 事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 業績等の概要 (2)キャッシュ・フロー」に記載の通りであります。
(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
|
2019年9月期 |
2020年9月期 |
2021年9月期 |
2022年9月期 |
自己資本比率(%) |
74.6 |
76.2 |
71.9 |
77.0 |
時価ベースの自己資本比率(%) |
364.3 |
605.0 |
446.4 |
341.5 |
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年) |
0.1 |
0.0 |
0.0 |
0.0 |
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) |
1,261.7 |
754.6 |
10,056.6 |
352,082.6 |
1.各指標の算出方法は以下の通りであります。
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注1)いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
(注2)株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
(注3)キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを使用しております。
(注4)有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。
(注5)利払いは、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
(6)経営戦略の現状と見通し
当社グループの事業領域であるインターネット関連市場は、スマートフォンを中心としたソーシャルメディアやソーシャルゲームといったソーシャルWEBサービスに加え、フィンテックやIoTなど、これまで以上の成長が予想されます。また、インターネット技術の進化によりサイバー攻撃が高度化することで、サイバーセキュリティ関連市場もますます発展することが予想されます。
既存事業におきましては、市場の成長を的確にとらえ、規模拡大に応じた拠点の拡大を実施しながら、投稿監視及びカスタマーサポートの継続的な成長による収益貢献を見込んでおります。サイバーセキュリティ事業におきましては、2021年10月にサイバーセキュリティ事業の子会社3社を統合し、体制を強化いたしました。2022年9月にはクラウド型WAFの提供を開始し、サービスラインナップの拡充を図っております。
また、総合ネットセキュリティ企業としてのさらなる飛躍を目指し、ブランディングをはじめ戦略的投資を行ってまいります。
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