(1) 経営成績等の状況の概要
①経営成績の状況
当社は、2021年5月28日開催の定時株主総会における定款一部変更の決議により、事業年度の末日を毎年2月末日から3月31日に変更いたしました。その経過措置として、当連結会計年度は、2021年3月1日から2022年3月31日までの13ヵ月間となっております。このため、対前年連結会計年度増減額及び増減率については、記載しておりません。なお、参考値として、経営成績の主要な指標を12ヵ月換算で前年同期(以下「調整後前年同期」)に調整した比較情報(2020年4月1日から2021年3月31日の12ヵ月間と2021年4月1日から2022年3月31日の12ヵ月間の比較)を下表に記載しております。
当連結会計年度における我が国経済は、緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置が2021年9月30日に解除されるまで3回に亘り発令され、それ以降もワクチン接種が普及してきたにも拘らず、新型コロナウイルス感染症の影響が続いており、また、原油を始めとする資源価格の高騰に加え、円安の進行等により個人消費並びに企業収益の回復は鈍く、国内景気の見通しは、依然として不透明な状況でありました。
また、世界経済については、新型コロナウイルス感染症の影響から立ち直りつつあるものの、原油を始めとする資源価格の高騰に加え、ロシアによるウクライナへの侵攻、中国の新型コロナウイルス感染症拡大に伴う都市封鎖などの影響から世界経済の先行きは不透明な状況が続いております。
そのような状況下、我が国人材サービス業界を取り巻く環境は、有効求人倍率は好転の兆しを見せてはいるものの、新型コロナウイルス感染症の影響並びに原油等の資源価格の高騰や円安の進行等により、雇用環境は引き続き厳しい状況にあります。
このような経営環境の中、当社グループにおいては、事務系人材サービス事業では、引き続き自治体、BPO事業者からの大型案件の受注に取り組むとともに新規取引先開拓及び新規業務の受注にも注力し、また、製造系人材サービス事業では、関東、東海地方などの営業拠点を増設するなど営業基盤の拡大を積極的に推進してまいりました。
当連結会計年度におきましては、事務系人材サービス事業において、新規取引先開拓や自治体及び大手BPO事業者等からの新規案件獲得等に努めた結果、BPO関連事業部門、CRM関連事業部門及び一般事務事業部門ともに、売上高が好調に推移いたしました。また、製造系人材サービス事業においても、増設した営業拠点において新規取引先開拓に取り組んだことなどから、製造加工部門を中心に売上高が好調に推移いたしました。一方、営業系人材サービス事業においては、緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置解除後も、飲食業、小売業者等の業況回復が鈍いことから、営業活動面で厳しい状況が続きました。
当連結会計年度の経営成績は、事務系人材サービス事業においては、自治体向けにBPO案件の受注活動を強化するなど積極的な営業展開に努めたことから、主力のBPO関連事業部門を中心に各事業部門ともに売上高が拡大し、また、製造系人材サービス事業においても営業店の増設など営業基盤の拡大を積極的に推進したことなどから、売上高が好調に推移いたしました。これらの結果、売上高は 43,100,558千円となりました。
利益面では、受注高の増加に伴い売上総利益が増加し、また、受注量の拡大に伴い中核人材の積極的な採用及びIT技術を活用したBPO運用システムの導入を推進いたしました。これらの結果、営業利益は 4,423,845 千円、経常利益は 4,441,111 千円、親会社株主に帰属する当期純利益は 3,114,989 千円となりました。
<調整後前年同期比較>
※上記12ヵ月ベースの金額は、それぞれ年度決算数値から月次決算数値を調整して算定しております。
(事務系人材サービス事業)
当事業のうち、BPO関連事業部門は、自治体向けにBPO案件の受注活動を強化するなど積極的な営業展開に努めたことから、主力のBPO関連事業部門を中心に売上高が好調に推移しました。また、CRM関連事業部門もテレマーケティング事業者などの既存取引先のシェア拡大及びBPO案件受注を機にコールセンター業務などの受注が増加したことから売上高が新型コロナウイルス感染症拡大以前の水準まで回復しました。一般事務事業部門は、金融機関向けの派遣案件が引き続き堅調であったこと並びに自治体からマイナンバー関連案件及びそこから派生した「デジタル活用支援員」などについて新規派遣案件を中心に受注が好調に推移し、また、大半の既存取引先において新型コロナウイルス感染症拡大以前までの取引高に回復したことなどから、当事業の売上高は37,124,209千円となりました。また、利益面では、受注高の増加に伴い、業容が拡大したことから、中核人材の積極的な採用やIT技術を活用したBPO運用システムの導入も推進しましたが、営業利益は4,252,278千円となりました。
当事業部門は、自治体向けにBPO案件の受注活動を強化するなど積極的な営業展開に努めたことから、主力のBPO関連事業部門を中心に売上高が好調に推移した結果、当事業部門の売上高は 27,150,601千円となりました。
b.CRM関連事業部門
当事業部門は、テレマーケティング事業者などの既存取引先のシェア拡大及びBPO案件受注を機にコールセンター業務などの受注が増加したことから売上高が新型コロナウイルス感染症拡大以前の水準まで回復した結果、当事業部門の売上高は4,210,864千円となりました。
当事業部門は、金融機関向けの派遣案件が引き続き堅調であったこと並びに自治体からマイナンバー関連案件及びそこから派生した「デジタル活用支援員」などについて新規派遣案件を中心に受注が好調に推移し、また、大半の既存取引先において新型コロナウイルス感染症拡大以前までの取引高に回復したことなどから、当事業部門の売上高は 5,762,743千円となりました。
当事業は、神奈川県厚木市、千葉県千葉市、三重県四日市市、愛知県岡崎市、兵庫県神戸市、福岡県福岡市に新規営業拠点を設置するなど積極的な業容拡大を推進したことなどから、製造加工部門を中心に取引高が拡大し、売上高は、好調に推移いたしました。この結果、当事業の売上高は 4,590,593千円となりました。また、利益面では売上高の増加等に伴い、営業利益は156,751千円となりました。
当事業は、2021年9月30日の緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置解除後も、飲食業、小売業者等の業況回復が鈍いことから、当社の営業系人材サービス事業部門においてもその影響を受け、当事業の売上高は 1,065,017千円となりました。また、利益面では、売上高減少に伴い売上総利益が減少したため、販売費及び一般管理費の削減等に努めましたが、営業損失8,974千円となりました。
(その他)
当事業は、株式会社ジャパン・ビジネス・サービスの子会社である東京自動車管理株式会社における「自動車管理事業」であり、当事業の売上高は 320,737 千円と堅調に推移しました。また、利益面では、新型コロナウイルス感染予防対策費の増加等により営業利益は 23,789 千円となりました。
(資産の部)
当連結会計年度末における資産合計は 16,543,988千円となり、前連結会計年度末に比べ5,020,137千円の増加となりました。その主な要因は、仕掛品が389,385千円減少したものの、受取手形及び売掛金が4,607,645千円、現金及び預金が596,233千円それぞれ増加したことによるものであります。
(負債の部)
当連結会計年度末における負債合計は8,139,485千円となり、前連結会計年度末に比べ2,098,717千円の増加となりました。その主な要因は、未払消費税等が109,058千円減少したものの、未払金が996,688千円、未払法人税等が471,810千円、未払費用が337,298千円それぞれ増加したことによるものであります。
(純資産の部)
当連結会計年度末における純資産合計は 8,404,503千円となり、前連結会計年度末に比べ2,921,420千円の増加となりました。その主な要因は、自己株式の減少により302千円増加したものの、利益剰余金が2,878,178千円(親会社株主に帰属する当期純利益により3,114,989千円増加し、配当金の支払いにより236,811千円減少)増加したことによるものであります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ596,233千円増加して7,031,627千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、獲得した資金は976,887千円(前年同期は2,743,709千円の獲得)となりました。
その主な要因は、税金等調整前当期純利益が4,441,111千円、未払金の増加により1,030,664千円増、棚卸資産の減少により387,717千円増となったものの、売上債権の増加で4,607,645千円減、未払消費税等の減少で109,058千円減となったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は282,055千円(前年同期は48,004千円の使用)となりました。
その主な要因は、敷金及び保証金の返還による収入が166,277千円、定期預金の払戻による収入100,000千円があったものの、有形固定資産及び無形固定資産の取得による支出が411,707千円、敷金及び保証金の差入による支出が133,050千円あったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、使用した資金は98,598千円(前年同期は177,041千円の使用)となりました。
その主な要因は、長期借入による収入が500,000千円あったものの、長期借入金の返済による支出が283,734千円、配当金の支払が236,937千円あったことによるものであります。
a.生産実績
当社グループは、事務系人材サービス事業、製造系人材サービス事業及び営業系人材サービス事業を営んでおり、提供するサービスの関係上、生産実績の記載に馴染まないため記載しておりません。
b.受注実績
当社グループは、事務系人材サービス事業、製造系人材サービス事業及び営業系人材サービス事業を営んでおり、提供するサービスの関係上、受注実績の記載に馴染まないため記載しておりません。
(注) 1.当連結会計年度の販売実績を契約形態別に示しますと、以下のとおりであります。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりであります。
3.当連結会計年度について、当該割合が100分の10未満の相手先は記載を省略しております。
4.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
5.2022年3月期は決算期変更により、2021年3月1日から2022年3月31日までの13ヵ月決算となっております。従って、前年同期比は記載しておりません。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。当社の連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 4.会計方針に関する事項」に記載のとおりであります。この連結財務諸表の作成にあたっては、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる要因等に基づき見積り及び判断を行っておりますが、見積り特有の不確実性があるために実際の結果は異なる場合があります。
事務系人材サービス事業においては、自治体向けにBPO案件の受注活動を強化するなど積極的な営業展開に努めたことから、主力のBPO関連事業部門を中心に各事業部門ともに売上高が拡大し、また、製造系人材サービス事業においても営業店の増設など営業基盤の拡大を積極的に推進したことなどから、売上高が好調に推移いたしました。これらの結果、当連結会計年度の売上高は 43,100,558千円 となりました。
(売上総利益)
売上高の増加に伴い、当連結会計年度の売上総利益は9,456,185千円となりました。
(販売費及び一般管理費)
受注量の拡大に伴い中核人材の積極的な採用及びIT技術を活用したBPO運用システムの導入を推進いたしました。これらの結果、当連結会計年度の販売費及び一般管理費は5,032,339千円となりました。
(営業利益、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益)
以上の結果、営業利益は 4,423,845千円 、経常利益は 4,441,111千円 、親会社株主に帰属する当期純利益は 3,114,989千円 となりました。
当社グループは、給与等の人件費及び人材確保のための就業スタッフ及び社員の募集・採用費等を主とする運転資金並びに業務効率化のための社内基幹システムの整備・向上等を目的とする設備投資資金につきましては、事業収益から得られる自己資金で賄っておりますが、借入金及び社債につきましては、必要に応じて短期借入金・長期借入金や社債の発行により調達しております。
当社グループでは、現状、営業活動によるキャッシュ・フローや現金及び現金同等物の残高から、資金の流動性は十分に確保されているものと判断しておりますが、不測の事態に備え、金融機関との間で合計790,000千円の当座貸越契約を締結しております。
経営者の問題意識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
⑥経営方針、経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、売上高、営業利益、親会社株主に帰属する当期純利益及び自己資本当期純利益率(ROE)を重要な経営指標と位置づけ、これらの指標を経営上の目標として持続的な企業価値の向上に努めており、それぞれの指標の計画及び達成状況は以下のとおりであります。
当連結会計年度における業績は、売上高が 43,100,558 千円、営業利益が 4,423,845 千円、自己資本当期純利益率 45.4 %となりました。
当社グループの2023年3月期を1年目とする中期経営方針は、新規BPO案件の受注活動の積極的な展開をはじめ、製造系人材サービス事業での新規エリアへの積極的な展開、並びに、営業系人材サービス事業での新規商材の受注活動を推進し、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の「対処すべき課題」を着実に実行することにより、当社グループの持続的成長と中長期的な企業価値の向上並びに企業としての社会的責任及び社会的貢献に努めるとしており、2023年3月期は売上高50,019,000千円を目指してまいります。
なお、利益面では、事務系人材サービス事業の主力であるBPO関連事業部門において、マイナンバー周辺業務の受注活動を積極的に展開すること等から、売上総利益率が当期実績に比べ若干低下し、また、売上高の増加に伴い、スタッフ募集費や中核人材の採用等により販売費及び一般管理費が当期実績より増加しますが、営業利益は当期実績を上回る見通しであります。
これらの結果、2023年3月期は、営業利益4,642,000千円、自己資本当期純利益率32.8%と予想しております。
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