課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

当社グループは、「世界中の人と企業をつなぐ」というミッションのもと、自社開発のマーケティングSaaSツールの提供やSNS活用を中心としたソリューション提供等により、顧客企業のマーケティングを支援する事業を国内・海外で展開し、企業価値・株主価値の向上を目指しております。

 

(2)経営環境

現在、日本企業を取り巻く環境は、人口の減少及び市場の超成熟化、政府が推進するデジタルトランスフォーメーション(DX)による本格的なデジタル・ソーシャル時代の到来、インバウンド市場の拡大などを背景に、集客をグローバルに行う時代へと大きく変化しています。かかる変化に対応するため、当社グループが事業を行う企業のマーケティング領域においては、国内市場ではファンとの関係性を強化していくこと、デジタル・ソーシャルを積極的に活用していくこと、加えて国内市場のみならず越境・インバウンドも含めたグローバル市場からも新規顧客を獲得していくことが必要となっており、そのマーケティング手法やサービス形態が日々進化している段階であります。

当社グループは、デジタル・ソーシャル等を活用したマーケティング支援を行っており、当社の売上の多くは顧客企業における広告費予算のうち、インターネット広告費に区分されております。日本におきましては、2021年の日本の広告費全体が前期比で110.4%のところ、インターネット広告費は、2兆7,052億円と前期比121.4%増となっており、マスコミ四媒体広告費(2兆4,538億円、前期比108.9%)を初めて上回りました。さらに、インターネット広告費のうち、ソーシャル広告は前期比34.3%増の7,640億円となり、インターネット広告媒体費全体の35.4%を占めるまでに一段と成長しております。また、当社のSaaS事業における売上の一部は、物販系ECプラットフォーム広告費としても分類されますが、2021年の同広告費は前期比23.5%増となる1,631億円となりました。新型コロナウイルスの感染拡大を背景とした生活者の行動様式の変化に伴い物販系ECプラットフォームを持つ企業が増加し、ECでの購買活動が浸透しつつあることに連動して、EC内での商品購入を促す目的の広告も増加しております。(※1)

当社グループは、このような環境を踏まえ、マーケットのニーズに合わせて各種事業の展開を図る方針であります。具体的には、ソフトウェアの機能追加・改良、自社サービスの認知度向上等に加え、プロフェッショナル人材の獲得に積極的な投資を行い、サービス拡大に努めてまいります。また、基幹事業で得たマーケティングに関連したデータを適切に蓄積し、効果的に活用するサービスを展開し、事業領域の拡大及び事業進化を目指してまいります。更に、国内で蓄積したノウハウや開発技術力を生かし、グローバルへの展開も進めてまいります。

(※1)「2021年日本の広告費」(株式会社電通)、「2021年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」(株式会社サイバー・コミュニケーションズ、株式会社D2C、株式会社電通、株式会社電通デジタル

 

(3)目標とする経営指標

当社グループは継続的な事業の発展と企業価値向上のため、売上高、粗利売上(※2)及び営業利益とそれぞれの成長率を重要な指標としております。

2022年12月期より企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」及び会計基準適用指針第30号「収益認識に関する会計基準の適用指針」(以下、収益認識基準という)を適用する予定であります。これに伴い、粗利売上の概念を廃止し、売上高、営業利益とそれぞれの成長率を重要な指標とします。2022年2月10日に公表いたしました業績予想の数値を目標として設定しております。

(※2)粗利売上=(当社単体:売上高-直接原価)+(連結子会社:売上総利益)

 

 

2021年12月期(実績)

(百万円)

2022年12月期(予想)

(百万円)

前期比

売上高

6,210

売上高(収益認識基準適用後)

3,533

4,600

+30.5%

 ご参考:粗利売上

3,157

営業利益

774

850

+9.4%

経常利益

849

850

+0.0%

親会社株主に帰属する当期純利益

726

※親会社株主に帰属する当期純利益の業績につきましては、投資有価証券の評価損益をはじめとした特別損益の発生可能性に鑑み、現時点におきましては非開示とさせていただいております。

 

(4)対処すべき課題

①収益基盤の強化

グループ全体としての収益基盤を強化するうえで、各事業における対処すべき課題は次の通りと認識しております。

 

<SaaS事業>

デジタル・ソーシャル等を活用したマーケティングSaaSについては、新たなサービスや競合他社が次々と現れることから、他社とのサービスの差別化、競合優位性の確立のために、SaaSツールの機能強化や開発体制の構築・維持が課題と認識しております。

そのため、当社グループでは、日本、ベトナム等グローバルでの人材獲得及び開発体制を構築し、常に最新の技術を取り入れるとともに、優秀なエンジニアの確保を図ってまいります。

 

<海外SaaS事業>

連結子会社であるCreadits Pte. Ltd.において広告クリエイティブの制作・提供を行っておりますが、一段と高まる3D等の動画クリエイティブニーズに対し、高品質かつ低価格なクリエイティブをタイムリーに供給しうる能力の向上が課題と認識しております。

そのため、当社グループでは、顧客ニーズに十分に対応しうるクリエイターネットワークの拡大・強化及び3D動画制作ベンダーとの連携強化等を図ってまいります。

 

<ソリューション事業>

顧客企業におけるマーケティング課題に対するソリューションの立案から実行を支援するため、当社グループが持つ企画力及び技術力等を活かしたクオリティの高い人材の採用及び育成が課題であると認識しております。

このため、当社グループでは、マーケティング人材の採用の強化及び教育研修制度の拡充等による人材の育成により、戦略立案・提案力や実行力のあるマーケティング人材の増強を図ってまいります。

 

<中国進出支援事業>

日本企業の中国進出を支援するため、日本人・中国人のインフルエンサーを活用したプロモーションのサービスを提供しており、インフルエンサーネットワークの強化が課題であると認識しております。

このため、当社が独自に展開する在日中国人インフルエンサーネットワーク「BoJapan」の強化や、連結子会社である株式会社オセロ(旧 Vstar Japan株式会社)が支援するインフルエンサーの影響力向上及び提携人数の増加が課題であると認識しております。

 

②財務基盤の維持・強化

当社グループの財務の方針は、健全な財務基盤を維持しつつ、マーケティングDX支援事業の中長期的な成長のための投資を行うことを基本方針としております。2021年12月末時点において、現金及び預金残高は1,702,337千円、借入金残高は342,938千円であり、自己資本比率は63.5%となっております。

投資については、営業キャッシュ・フローの範囲内で行うことを目標としておりますが、企業価値を大きく向上させる投資が必要な場合に備え、金融機関との良好な関係の維持等、資金調達の環境を整えております。

また、投資有価証券の売却等、資産の効率的な運用に向けた対応を進めるとともに、負債を適正な水準に留め、資本コストを意識した経営を進めてまいります。

 

③内部管理体制の強化について

現在、当社グループは成長期にありますが、今後の持続的な成長と企業価値の向上を実現するため、コーポレート・ガバナンス体制の強化が重要な課題であると考えております。具体的には、経営の健全化、公正性の観点からコーポレート・ガバナンスの実効性を一層強化するため、リスク管理、内部統制の体制を強固なものとし、さらに、コンプライアンスへの取り組みを強化することが必要であると考えております。

これらの課題に対処するため、経営環境の変化に対応した投資戦略・財務管理の方針の策定や独立社外取締役の活用、取締役会の多様性など、信頼性の向上と自浄能力の増強に努めてまいります、加えて、改訂コーポレート・ガバナンス・コードに対応してまいります。

 

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