当連結会計年度におけるわが国経済は、中国におけるロックダウン政策の影響、ウクライナ情勢の長期化などが懸念される中で、供給面での制約や原材料価格の上昇等による下振れリスクがあるものの、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が緩和され、雇用情勢、個人消費、設備投資や生産面等に持ち直しの動きが続いており、企業収益にも改善の動きがみられております。
当業界において、住宅市場については前年の新型コロナウイルス感染症の影響による落ち込みからの回復により、新設住宅着工戸数が増加いたしました。非住宅の建設市場においても、工場、事務所他、全般的に着工床面積が増加いたしました。
このような情勢の下、当社グループは新築住宅の分野においては、確認検査業務、住宅性能評価業務、省エネ適判業務(建築物エネルギー消費性能適合性判定業務)、住宅瑕疵担保責任保険の検査業務、長期優良住宅の審査業務などをワンストップで遂行すること及び全国ネットワーク体制の強化、並びに電子申請への取り組みやBIM(Building Information Modeling)の活用などによるデジタル化の推進により、他機関との差別化を図りました。加えて、建築物の省エネ化、ストック活用に資する既存建築物の遵法性調査等への取り組みなど、当社グループの相乗効果を発揮し、業績の向上に努めてまいりました。
この結果、当連結会計年度の業績は、確認検査及び関連事業、住宅性能評価及び関連事業、ソリューション事業、並びにその他事業がいずれも増収となったことから、売上高は前期比12.2%増の16,148百万円となりました。営業費用は、人件費等が増加したものの、前期比1.6%増の14,223百万円に留まった結果、営業利益は前期比377.8%増の1,924百万円、経常利益は前期比318.7%増の1,986百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比363.9%増の1,228百万円となりました。
セグメント別の状況は次のとおりであります。
(確認検査及び関連事業)
住宅市場・非住宅市場ともに新設着工が増加したこと及び株式会社サッコウケンの連結子会社化などに伴う売上の増加により、売上高は前期比12.3%増の8,815百万円、営業利益は前期比244.2%増の1,089百万円となりました。
(住宅性能評価及び関連事業)
グリーン住宅ポイント、住宅性能評価等、全般的な売上の増加により、売上高は前期比6.3%増の3,698百万円、営業利益は前期比319.7%増の388百万円となりました。
(ソリューション事業)
デューデリジェンスに係る売上の増加等により、売上高は前期比5.9%増の1,527百万円、営業利益は前期比83.3%増の149百万円となりました。
(その他)
省エネ適判業務の適用拡大に伴う売上の増加、環境関連売上の増加等により、売上高は前期比29.5%増の2,106百万円、営業利益は363百万円(前期は営業損失22百万円)となりました。
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ2,097百万円増加し8,574百万円となりました。これは、流動資産が2,222百万円増加し、固定資産が125百万円減少したことによるものであります。
流動資産の増加は、仕掛品の減少172百万円等があったものの、現金及び預金の増加2,259百万円、売掛金及び契約資産の増加159百万円によるものであり、固定資産の減少は、のれんの減少75百万円、有形固定資産の減少51百万円等によるものであります。
負債につきましては、前連結会計年度末に比べ1,096百万円増加し4,549百万円となりました。これは、流動負債が993百万円増加し、固定負債が102百万円増加したことによるものであります。
流動負債の増加は、未払法人税等の増加562百万円、未払費用の増加369百万円等によるものであります。固定負債の増加は、長期未払金の増加84百万円、長期借入金の増加62百万円等によるものであります。
純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ1,000百万円増加し4,024百万円となりました。これは利益剰余金の増加994百万円等によるものであります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ2,256百万円増加し4,883百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは2,415百万円の収入(前連結会計年度は209百万円の収入)となりました。これは主に法人税等の支払額236百万円、売上債権及び契約資産の増加額159百万円等の支出があったものの、税金等調整前当期純利益2,018百万円、未払費用の増加額369百万円、減価償却費による資金留保199百万円、棚卸資産の減少額172百万円等の収入によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは52百万円の収入(前連結会計年度は114百万円の収入)となりました。これは主に固定資産の取得による支出83百万円等があったものの、匿名組合出資金の払戻による収入95百万円、保険積立金の解約による収入63百万円等があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは210百万円の支出(前連結会計年度は422百万円の支出)となりました。これは主に長期借入れによる収入200百万円があったものの、配当金の支払額234百万円、長期借入金の返済による支出137百万円等があったことによるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループの業務は、確認検査業務、住宅性能評価業務等であり、生産実績を定義することが困難であるため、生産実績の記載はしておりません。
当連結会計年度の受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 主な相手先の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりです。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度における経営成績等の状況の概要につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
a. 売上高
確認検査及び関連事業の売上高は前期比12.3%増の8,815百万円、住宅性能評価及び関連事業の売上高は前期比6.3%増の3,698百万円、ソリューション事業の売上高は前期比5.9%増の1,527百万円、その他の売上高は前期比29.5%増の2,106百万円となりました。
これは、確認検査及び関連事業については住宅市場・非住宅市場ともに新設着工が増加したこと及び株式会社サッコウケンの連結子会社化などに伴う売上の増加によるものであり、住宅性能評価及び関連事業についてはグリーン住宅ポイント、住宅性能評価等、全般的な売上の増加によるものであり、ソリューション事業についてはデューデリジェンスに係る売上の増加等によるものであり、その他については省エネ適判業務の適用拡大に伴う売上の増加、環境関連売上の増加等によるものであります。
b. 営業利益
当連結会計年度の営業費用は、人件費等が増加したものの、売上原価が前期比1.2%増の10,584百万円、販売費及び一般管理費は前期比2.9%増の3,638百万円となりました。この結果、売上総利益は前期比41.2%増の5,563百万円、営業利益は前期比377.8%増の1,924百万円となりました。なお、売上原価率は65.5%、売上総利益率34.5%、売上高営業利益率は11.9%となっております。
c. 経常利益
営業外収益は前期比46.2%減の70百万円となりました。これは、主として助成金収入が減少したこと等によるものであります。
営業外費用は前期比85.5%減の8百万円となりました。これは、主として前期に従業員持株会信託型ESOPに係る債務保証損失が計上されたこと等によるものであります
この結果、経常利益は前期比318.7%増の1,986百万円となりました。
d. 親会社株主に帰属する当期純利益
税金等調整前当期純利益は前期比328.1%増の2,018百万円となり、法人税、住民税及び事業税848百万円、法人税等調整額△67百万円、及び非支配株主に帰属する当期純利益8百万円を加減した親会社株主に帰属する当期純利益は前期比363.9%増の1,228百万円となりました。
当連結会計年度の1株当たり当期純利益は156.83円となっております。
e. 経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
上記指標につきまして、当連結会計年度における売上高は16,148百万円、営業利益は1,924百万円、営業利益率11.9%、ROE35.2%で、安定的配当(配当性向は25.5%)を継続しております。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a. キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
当連結会計年度における経営成績等の状況の概要につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
b. 資本の財源
当連結会計年度における資本の財源は、営業活動による収入が2,415百万円ありました。
当社グループのキャッシュ・フロー指標は下記のとおりであります。
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対ネット有利子負債比率:(有利子負債-現金及び現金同等物)/キャッシュ・フロー
ネットD/Eレシオ:(有利子負債-現金及び現金同等物)/自己資本
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/支払利息
(注)1 いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
2 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式を除く)により算出しております。
3 キャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローを利用しております。
c. 資金の流動性についての分析
当連結会計年度末現在、長期借入金等の有利子負債残高は1,079百万円であり、長期借入金の資金使途は、子会社株式取得資金であります。
当社グループの流動比率等の指標は下記のとおりであります。
流動比率:流動資産/流動負債
固定比率:固定資産/株主資本
固定長期適合比率:固定資産/(固定負債+株主資本)
(注)いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
③ 重要な会計方針及び見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりまして、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。
詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」及び同「注記事項 (重要な会計上の見積り)」をご参照ください。
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