課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。

 

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは「個と組織をポジティブに変革するチェンジエージェント・グループ」をミッションとして掲げ、ビジョンとして、「Working(働く)」「Interesting(遊ぶ)」「Learning(学ぶ)」「Living(暮らす)」の各事業領域において、期待価値の高いブランディングカンパニーを創出し、各領域においてNo.1の存在になる「WILLビジョン」を掲げています。競争が激化する中で顧客から選ばれ続けるために、特定の事業領域に特化し、そのカテゴリーにおけるサービス品質の強化を図っています。事業領域については、国内では、家電量販店等の販売現場、コールセンター、食品等の工場、介護施設、建設業等、海外では政府・行政といった比較的景気の変動の少ない領域でサービスを展開しています。

 人材サービス市場については、新型コロナウイルス感染症再拡大の懸念、ロシア・ウクライナ情勢等により、経済の先行きは注視が必要なものの、国内及び当社が海外で主に事業展開を行っているシンガポール、オーストラリアにおいては、人材需要は堅調に推移すると見込んでいます。また、2021年5月12日公表の中期経営計画「WILL-being 2023」(以下、「本中計」といいます。)において、当社グループの持続的な成長の実現に向けては、グループの利益体質を変えていくことが必要であり、その基盤構築フェーズとして本中計を位置づけています。本中計の中で、経営数値目標として売上収益、営業利益、営業利益率の経営数値目標を掲げていますが、2022年3月期の実績において、営業利益、営業利益率は目標を上回っており、2023年3月期は、重点戦略含め完全達成を目指します。

 

(2)目標とする経営指標

 当社グループの重視する経営指標は、売上収益、営業利益、売上高営業利益率、EBITDAです。また、財務指標としては、親会社所有者帰属持分比率、ROIC(投下資本収益率)、総還元性向です。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

 今後の見通しについては、国内では構造的な人手不足における人材需要の高まりに変化はないものの、新型コロナウイルス感染症拡大は収束しておらず、また、国内経済、世界経済の状況も依然として景気の先行きは不透明な状況にあります。

 このような経営環境の下、当社グループは、中期経営計画「WILL-being 2023」(以下、「本中計」)を策定しました。

 

■WILL-being 2023で目指す方向性

 本中計で目指す方向性としまして、当社グループの持続的な成長の実現に向けては、グループの利益体質を変えていくことが必要であり、その基盤構築フェーズとして本中計を位置づけています。本中計の基本方針は、ポートフォリオシフト、デジタルシフトにより営業利益率を高める「WORK SHIFT戦略」として、高収益体質化を目指します。

 ポートフォリオシフトでは、Perm(人材紹介、専門性の高い領域への人材派遣)SHIFTによる成長機会の最大化・最適化に取り組みます。

 デジタルシフトでは、Temp(人材派遣、業務請負)領域のデジタル化推進による生産性向上、事業安定性を軸とした雇用機会の最大化・最適化に取り組みます。

 また、事業ポートフォリオマネジメントについても、グループの事業を5つの領域に分類し、事業群の構成を最適化することによって、全体としての収益性を改善し、経営資源の最適配分及び投資効率の向上を図ります。

 

■WILL-being 2023での経営数値目標

 本中計において、最終年度の2023年3月期は、売上収益133,500百万円、営業利益5,350百万円、営業利益率4.0%を経営数値目標としています。しかしながら、2022年3月期の実績において、営業利益、営業利益率は目標を上回ったことから、2023年3月期の業績予想は、売上収益140,000百万円(本中計目標比+6,500百万円)、営業利益5,600百万円(同+250百万円)、営業利益率:4.0%(同±0.0pt)としています。

 

■重点戦略

 本中計の経営目標達成に向けて以下の4つを重点戦略とします。

戦略Ⅰ ポートフォリオシフトによる収益性の改善

 国内、海外とも、Temp領域より粗利率の高い、Perm領域を拡大します。その中でも、特に人手不足が常態化している介護、建設技術者の分野を拡大します。

戦略Ⅱ デジタルシフトによる生産性向上

 Temp領域の生産性向上に向けて、デジタル化推進によって業務のオンライン化・自動化等による効率化に取り組みます。また、連結子会社間の統合、システムの統合、業務の集約等による効率化を図ります。

戦略Ⅲ 次なる戦略投資領域の探索

 次なる戦略投資として、既存事業の周辺領域で、営業利益率の高いビジネスを探索し、将来的な連結営業利益率向上を図ります。

戦略Ⅳ 財務戦略

 将来への成長投資、財務レバレッジの適正化に向けて親会社所有者帰属持分比率:20%以上を目標とします。また、収益性の改善に加えて、資本効率の向上を目指すためにROIC:20%以上を目標とします。なお、将来の成長投資を確保しながらも、利益還元の充実を図るため、配当目標は期首業績予想に対する総還元性向:30%を目安とする方針です。

 

(4)会社の対処すべき課題

 今後の見通しについては、国内では構造的な人手不足による人材需要の高まりに変化はないものの、新型コロナウイルス感染症拡大は収束しておらず、国内経済、世界経済の状況も依然として景気の先行きは不透明な状況にあります。このような経営環境の下、当社グループの持続的な成長の実現に向けて、現状・今後の経営環境を踏まえ、以下、当社グループが中長期観点から対処すべき課題を記載します。

 

①利益体質の改善

 グループの持続的成長に向けては、グループの利益体質を変えていくことが必要であり、ポートフォリオシフト、デジタルシフトにより営業利益率を高める「WORK SHIFT戦略」により、高収益体質化を目指します。

 ポートフォリオシフトでは、Perm(人材紹介、専門性の高い領域への人材派遣)SHIFTによる成長機会の最大化・最適化に取り組みます。具体的には、国内、海外とも、Temp領域より粗利率の高い、Perm領域を拡大します。その中でも、特に人手不足が常態化している介護、建設技術者の分野を拡大します。

 デジタルシフトでは、Temp(人材派遣、業務請負)領域のデジタル化推進による生産性向上、事業安定性を軸とした雇用機会の最大化・最適化に取り組みます。Temp領域の生産性向上に向けて、デジタル化推進によって業務のオンライン化・自動化等による効率化に取り組みます。また、連結子会社間の統合、システムの統合、業務の集約等による効率化を図ります。

 

②人材の確保と育成

 人材の確保は当社グループの成長の礎であり、競争上の優位性、持続的な成長を実現するためには、スタッフの採用と育成と定着が重要な課題です。

 採用活動においては、2019年10月に主要子会社のサービスブランドを「WILLOF(ウィルオブ)」に統一し、当社グループ全体の認知度及びサービス向上に取り組むことで、自社ホームページからの採用活動やスタッフからの紹介による採用に重点を置くことで独自採用ルートを強固なものにしていきます。

 育成、定着においては、就業先での必要なスキルやマインドを取り込んだ就業前研修を更に充実させ、就業しているスタッフに対する定期的なフォローアップを行っていくことで定着率を高めていきます。

 

③財務体質の強化

 将来への成長投資、財務レバレッジの適正化に向けて自己資本の安定化を図るため、2023年3月期の親会社所有者帰属持分比率:20%以上を目標としています。また、収益性の改善に加えて、資本効率の向上を目指すために、ROIC(投下資本収益率):20%以上を目標としています。

 

④サステナビリティの強化

 当社グループは、サステナビリティ方針に基づき、社会と企業の持続可能な発展に貢献できるように取り組んでいます。この活動をさらに強化するために、5つのマテリアリティ(重要課題)を定め、事業活動を通じて社会課題の解決に貢献していきます。

 気候変動への取り組みについては、脱炭素社会実現に貢献する取り組みを進め、「2031年3月期までに2020年3月期比でCO2の排出量を総量20%削減」する目標を定めています。また、TCFD提言に基づくシナリオ分析を実施し、気候変動がもたらす事業へのリスクと機会を分析し、関連情報の開示を推進していきます。

(環境への取り組み:https://willgroup.co.jp/sustainability/environment/)

 

⑤新型コロナウイルス感染症拡大に対する取り組みについて

 新型コロナウイルス感染症が2019年末に初めて確認されて以来、世界的に感染が拡大しており、当社グループでは、新型コロナウイルス感染症拡大防止に向けたガイドラインを策定し、在宅勤務の推奨、社外訪問、来客対応及び海外渡航の制限、従業員の検温等、各種安全配慮を行う他、新型コロナウイルス感染症による影響の少ない事業への人員シフトや、在宅勤務可能な就業先の開拓を行っています。

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