業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(経営成績等の概要)

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

なお、当連結会計年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。そのため、当連結会計年度における経営成績に関する説明は、前連結会計年度と比較しての増減額及び前年同期比(%)を記載せずに説明しております。

詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりであります。

 

(1)経営成績の状況

当社グループが属する医療・健康産業においては、団塊の世代が全員75歳以上に達し医療・介護費の急増が懸念される、いわゆる2025年問題、さらに、団塊ジュニア世代が全員65歳以上に達することで高齢者数がピークを迎え、医療・介護費の負担の増加が拡大する2040年問題を抱えております。かかる展望を踏まえ、日本政府は健康寿命の延伸や社会保障制度の持続可能性の確保という問題に対して国を挙げて取り組むべく、健康・医療・介護分野それぞれのデータの有機的連結や、ICT等の技術革新の利活用を推進し、効果的・効率的な医療・介護サービスの提供を目指す方針を示しております。また、超高齢社会を迎えるにあたり、国民一人ひとりが切れ目のない医療及び介護サービスを受けることができる環境整備が喫緊の課題であるとして、地域医療構想のPDCAサイクルを強化し、地域における医療・介護の総合的な確保を推進していくこととしております。

製薬企業は医療従事者に向けた営業活動の生産性向上を企図し、情報提供・収集活動の一環としてウェブサイトやアプリ、ソーシャルネットワークなど、デジタルツールを活用した取り組みをより一層強化しております。さらに、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行を受けて、様々な領域でオンライン化が加速する中、医師による情報収集の中心もオンラインへシフトしております。これにより、製薬企業にとってのeマーケティングは、単なる情報提供ツールとしての役割から、医師一人ひとりのニーズや特性を把握し、マーケティング戦略を構築・展開する中心的な役割に進化していくことが見込まれます。

このような環境の中、当社グループは、ミッションである「Supporting Doctors, Helping Patients.(医師を支援すること。そして患者を救うこと。)」を実現すべく、医師専用コミュニティサイト「MedPeer」を基盤として医師や医療現場を支援するサービスを展開するドクタープラットフォーム事業と、健康増進・予防などのコンシューマー向けヘルスケア支援を展開するヘルスケアソリューション事業に取り組んでまいりました。

この結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高8,452,113千円(前期は7,435,418千円)、営業利益1,063,716千円(同1,783,907千円)、経常利益1,113,716千円(同1,812,008千円)、親会社株主に帰属する当期純利益812,388千円(同1,293,475千円)となりました。

 

セグメント別の経営成績は次のとおりであります。

① ドクタープラットフォーム事業

ドクタープラットフォーム事業では、医師や医療現場を支援するため、「MedPeer」の15万人の医師会員を基盤とした集合知プラットフォームと、医療機関と患者をつなげるプライマリケアプラットフォームを展開しております。

当連結会計年度において、集合知プラットフォームでは、国内医師の約4割が利用する「MedPeer」上のコンテンツを充実させることにより、医師会員の活性度を向上する施策を展開してまいりました。また、当社が運営する医学生学習支援プラットフォーム「みんコレ!」のサービスサイトをリニューアルし、同サービスが8,000人超の医学生に利用されたことで、「MedPeer」の会員数は15万人を突破しました。さらに、新型コロナウイルス感染症を契機とした製薬企業のマーケティング活動の変化が進む状況において、医師とMRのダイレクトコミュニケーションツール「MedPeer Talk」に、MRが「Web講演会」の招待状を医師に直接送ることができるサービス「インビテーションTalk」を新たにリリースするなど、医療関連企業のデジタルトランスフォーメーションを促進する新サービスの開発のための投資を積極的に行ってまいりました。

プライマリケアプラットフォームにおいては、薬局向けアプリサービス「kakari」と、クリニック向けアプリサービス「kakari for Clinic」の拡販に注力してまいりました。「kakari」は、2022年6月に処方箋送信数が累計200万回、同年9月にはアプリダウンロード数が70万件を突破し、患者に「選ばれる」サービスとして薬局のかかりつけ化を促進させ、導入薬局の面処方応需の拡大を支援してまいりました。さらに、2022年7月には完全子会社である株式会社やくばとを設立し、同社において処方箋画像事前送信サービス「やくばと」を開始することを決定しております。

 

上記に加えて、2022年7月には在宅医療事務アウトソーシングサービスを運営する株式会社クラウドクリニックを株式交換により完全子会社化し、同年8月にはCSO事業などを営む株式会社EPフォース(現 MIフォース株式会社)の株式を2022年10月3日付で取得し完全子会社化することを公表するなど、M&Aを積極的に活用した事業の拡大にも取り組んでまいりました。

これらの結果、売上高は6,428,574千円(同5,777,739千円)、セグメント利益は1,609,137千円(同1,968,422千円)となりました。

 

② ヘルスケアソリューション事業

ヘルスケアソリューション事業では、健康増進・予防などのコンシューマー向けヘルスケア支援を行う予防医療プラットフォームを展開しております。

当連結会計年度において、予防医療プラットフォームでは、子会社の株式会社Mediplatが運営するクラウド型健康管理サービス「first call」、及び、子会社の株式会社フィッツプラスが展開する特定保健指導事業の各事業の収益基盤の強化に注力してまいりました。また、株式会社Mediplatが展開するライフログプラットフォーム事業において、新たにCCCマーケティング株式会社(現 CCCMKホールディングス株式会社)との共同事業としてヘルスケアアプリ「Tヘルスケア」をリリースするとともに、ユーザーの健康状態に応じた疾患啓発を可能にする「疾患啓発プラットフォーム」へと発展させるべく事業を推進してまいりました。具体的には、蓄積したライフログデータを活用した取組を製薬企業と共同で展開するなど、更なる事業拡大に向けた施策を推進してまいりました。

これらの結果、売上高は2,041,934千円(同1,665,099千円)、セグメント利益は126,387千円(同289,412千円)となりました。

 

(2)財政状態の状況

(資産)

当連結会計年度における資産合計は、前連結会計年度末に比べて812,679千円増加し、9,351,008千円となりました。

流動資産は、前連結会計年度末に比べ469,805千円増加し、7,712,448千円となりました。これは現金及び預金437,425千円の増加を主要因とするものであります。

固定資産は、前連結会計年度末に比べ342,874千円増加し、1,638,559千円となりました。有形固定資産は、人員増加に伴うパソコン等の備品の取得により前連結会計年度末と比較して14,821千円増加の211,520千円となりました。無形固定資産は、株式会社クラウドクリニックの連結子会社化によるのれんの増加312,255千円等により、前連結会計年度末と比較して219,660千円増加の699,923千円となりました。投資その他の資産は、関係会社株式が46,050千円、繰延税金資産が50,363千円増加したこと等により、前連結会計年度末と比較して108,391千円増加の727,115千円となりました。

 

(負債)

流動負債は、前連結会計年度末に比べ55,801千円減少し、1,280,763千円となりました。これは未払金が61,033千円、短期借入金が50,000千円増加したものの、未払法人税等が262,468千円減少したことを主要因とするものであります。

固定負債は、前連結会計年度末に比べ13,945千円減少し、207,040千円となりました。これは長期借入金13,151千円の減少を主要因とするものであります。

 

(純資産)

純資産合計は、前連結会計年度末に比べ882,426千円増加し、7,863,203千円となりました。これは株式交換による資本剰余金の増加38,365千円、親会社株主に帰属する当期純利益の計上に伴う利益剰余金の増加812,388千円を主要因とするものであります。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べて437,425千円増加し、6,138,758千円となりました。当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果獲得した資金は、前年度と比較して508,236千円の収入減となる853,232千円となりました。この主な要因は、税金等調整前当期純利益1,113,763千円によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は、前年度と比較して77,495千円の支出増となる422,885千円となりました。この主な要因は、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出283,757千円、無形固定資産の取得による支出83,602千円、有形固定資産の取得による支出78,621千円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果獲得した資金は、7,079千円となりました(前年度は15,442千円の支出)。この主な要因は、短期借入れによる収入50,000千円と、長期借入金の返済による支出56,997千円によるものであります。

 

(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移

 

2021年9月期

2022年9月期

自己資本比率

78.5%

81.1%

時価ベースの自己資本比率

970.24%

298.97%

キャッシュ・フロー対有利子負債比率

0.1年

0.2年

インタレスト・カバレッジ・レシオ

787.9倍

852.7倍

自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

(注1)株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。

(注2)営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。

(注3)有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

 

(生産、受注及び販売の実績)

(1)生産実績

 当社グループは、製品の生産を行っていないため、記載すべき事項はありません。

 

(2)受注実績

 当社グループは、受注生産を行っていないため、受注実績は記載しておりません。

 

(3)販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年10月1日

至 2022年9月30日)

販売高(千円)

前年同期比(%)

ドクタープラットフォーム事業

6,419,329

ヘルスケアソリューション事業

2,032,783

合計

8,452,113

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.総販売実績に対し10%以上に該当する販売先はありません。

3.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、当連結会計年度に係る販売実績については、当該会計基準等を適用した後の数値となっております。これにより、前年同期比は記載しておりません。

 

 

(経営者の視点による経営成績等の分析・検討内容)

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

(1)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択、適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を及ぼす見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りとは異なる場合があります。

 当社グループの連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積りおよび仮定のうち、重要なものについては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

(2)当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

① 財政状態

 「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)財政状態の状況」をご参照ください。

 

② 経営成績

(売上高)

 当連結会計年度の売上高は8,452,113千円(前期は7,435,418千円)となりました。詳細につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績の状況」、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (生産、受注及び販売の実績)」に記載のとおりであります。

 

 

(営業利益)

 営業利益は1,063,716千円(同1,783,907千円)となりました。これは、売上高の増加により売上総利益が179,135千円増加したこと、及び販売費及び一般管理費が、人員増加による人件費及び支払手数料の増加等により前連結会計年度に比べ899,327千円増加したことによるものであります。

 

(経常利益)

 営業外収益は、持分法による投資利益46,050千円を計上したこと等により53,955千円となりました。また、営業外費用は、消費税差額2,092千円を計上したこと等により3,955千円となりました。

 以上の結果、経常利益は1,113,716千円(同1,812,008千円)となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 税金等調整前当期純利益は、特別利益として新株予約権戻入益47千円を計上した結果1,113,763千円(同1,812,012千円)となりました。

 以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は812,388千円(同1,293,475千円)となりました。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当社グループの資金状況とキャッシュ・フローの状況とそれらの要因については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (3)キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 当社グループの主な資金需要は、各セグメントにおいてサービスを提供するための労務費、業務委託費並びに販売費及び一般管理費等の営業費用となります。これらにつきましては、基本的に営業活動によるキャッシュ・フローや自己資金を充当し、投資が必要な場合には、状況に応じて金融機関からの借入や株式を利用した資金調達で対応していくことを想定しております。

 なお、前々期までに行われた新株予約権の行使による資金調達等を踏まえ、当社グループの財務基盤は健全であり、現在の現金及び現金同等物の残高、営業活動によるキャッシュ・フローの水準については、事業を継続していくうえで十分な流動性を確保しているものと考えております。

 

④ 経営成績に重要な影響を与える要因

 当社グループの経営成績は、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境、事業内容、法的規制、事業運営体制等、様々な要因の変化の影響を受ける可能性があります。このため、事業環境を注視するとともに、優秀な人材の採用と組織体制の整備、内部統制システムの強化等により、これらのリスク要因に対応するよう努めて参ります。

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