連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
当連結会計年度における世界経済は、新型コロナワクチンの普及や政府の財政政策、中央銀行による金融緩和等により、先進国を中心に回復を示し、同様に設備投資についても大きく改善しましたが、変異株の出現や部品・材料の供給制約の問題などの経済影響が顕在化する中、ロシアのウクライナ侵攻といった地政学的問題も生じるなど、年度末にかけて、経済成長に減速感が見られました。
当連結会計年度における当社グループの経営成績は次のとおりです。
(売上収益)
当連結会計年度の売上収益は312,658百万円(前期比24.8%増)となりました。売上収益の内訳は、国内126,954百万円(前期比12.5%増)、海外185,704百万円(前期比35.0%増)となりました。詳細については、① 事業別・地域別の成績に記載のとおりです。
(営業利益)
営業利益については、部品・材料価格高騰の影響は見られたものの増収及び操業度向上、販売価格の改善に伴う売上利益増加に加え、為替の円安推移等により、38,538百万円(前期比44.3%増)となりました。
(親会社の所有者に帰属する当期利益)
親会社の所有者に帰属する当期利益については、27,769百万円(前期比49.6%増)となりました。
なお、経営成績に重要な影響を与える要因については、2 事業等のリスクに記載のとおりであり、経営方針・経営戦略を達成するための客観的な指標については、1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等に記載のとおりです。
当連結会計年度におけるセグメントごとの経営成績は、次のとおりです。
事業別売上収益及び地域別の状況は、以下のとおりです。
(事業別売上収益の状況)
(注)その他は、遊休地の有効利用を目的としたショッピングセンター等の不動産賃貸事業等です。
売上収益は255,892百万円(前期比26.0%増)、営業利益は31,176百万円(前期比45.4%増)となりました。
<板金部門>
(注) 本表の地域別売上収益は、顧客の所在地別の売上収益です。(以下の表も同様。)
日本:日本経済は、外需の回復等により企業活動の正常化が進む中、製造業の業況も回復基調を示し、機械受注も新型コロナウイルス感染拡大前の水準並に推移しております。当社においても補助金の後押しも受け、半導体製造装置や産業機械などの一般機械関連や5Gの展開を背景としたOA・コンピュータ機器や通信機器、その他医療機器など、様々な業種で受注が拡大しました。このような受注環境の中、売上収益については、供給制約による生産の低下に加え、比較的納期の長い政府補助金を利用した受注も多く見られたため、88,994百万円(前期比11.4%増)となりました。
北米:米国経済は、年度前半の政府による財政政策や金融緩和、ワクチン接種の進展などにより新型コロナウイルス感染拡大前の水準に拡大しており、鉱工業生産指数や製造業新規受注指数が高水準での推移を続けるなど、設備投資も概ね堅調に推移しました。当社におきましても企業の設備投資意欲が高まる中、自動化商品の需要拡大を背景に販売が増加し、売上収益は59,450百万円(前期比33.4%増)となりました。
欧州:欧州経済はワクチン接種が進む中、各国のGDPも回復が見られました。ユーロ圏の鉱工業生産指数も概ね拡大傾向であり、PMI(購買担当者景気指数)についてもオミクロン株の感染急拡大や供給面の制約の見られた年度末にかけて下がったものの、50を優に超える水準で推移しました。このような中、当社においても、水素エネルギー関連やEVの充電ステーション、半導体製造装置、医療機器、農機具等が需要を牽引したことで、イギリス・フランス・イタリア・ドイツ等の各主要市場で大幅増収となったことから売上収益は50,704百万円(前期比46.1%増)となりました。
アジア他:最も大きい市場である中国では、いち早くコロナ危機から回復し、EV・新電力関連や医療機器などで需要の増加が見られましたが、年度後半からのオミクロン株によるロックダウン等の影響を受け、販売は小幅増となりました。一方でインドでは、ロックダウン等の経済制約の緩和以降、EV等の輸送機器関連や機械カバー等の一般機械関連が好調に推移し、韓国では、世界的な半導体等の需要拡大を背景に輸出が好調に推移し、半導体製造装置や電子機器関連向けを中心に販売が大幅に増加しました。ASEAN域内では、マレーシアにおいて、政府主導の電気電子産業等の外資製造業誘致も多く見られ、電子部品や半導体製造装置関連向けの販売が大きく拡大しました。以上より、アジア他地域全体としての売上収益は30,460百万円(前期比33.8%増)となりました。
<微細溶接部門>
全地域で増収でしたが、特に韓国や中国などでは主力のリチウムイオン電池関連の好調が寄与しました。また北米や欧州では、医療機器関連向けの販売が好調に推移しました。
(金属工作機械事業)
売上収益は55,513百万円(前期比20.2%増)、営業利益は6,676百万円(前期比85.0%増)となりました。
<切削・研削盤部門>
国内では自動車関連向けの販売は低調に推移したものの、建設機械や工作機械等向けに切削マシンの販売が拡大しました。北米で建築関連向けの販売が好調に推移するなど、海外においても販売が大幅に増加しました
<プレス部門>
国内では、主力の自動車関連業界において、半導体等の供給制約を起因とする自動車の減産・生産調整によって、お客様の設備投資意欲にも停滞感が見られましたが、環境機器等の家電関連向けの販売が好調に推移するなどにより、増収となりました。
なお、各部門別の状況を合算した主要地域の状況は以下のとおりです。
(地域別売上収益の状況)
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりです。
財政状態の概要及び分析は以下のとおりです。
(総資産)
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ57,141百万円増加し、614,439百万円となりました。流動資産は、売上水準の回復に伴い、現金及び現金同等物や営業債権、棚卸資産が増加したことで57,122百万円増加の364,132百万円、非流動資産は18百万円増加の250,307百万円となりました。
(負債及び資本)
負債も同様に売上水準の回復に伴い、営業債務等の流動負債が増加したことで、前連結会計年度末比23,919百万円増の130,405百万円となりました。また資本については、利益剰余金の積み上がりや円安による為替換算調整勘定の増加等により33,221百万円増加の484,034百万円となり、これらの結果、親会社所有者帰属持分比率は前連結会計年度末と比べ80.2%から78.1%と2.1%pt減少しましたが、引き続き高水準を維持しています。
連結キャッシュ・フローの区分別状況は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動の結果、獲得した資金は56,865百万円であり、前連結会計年度と比較し714百万円減少しました。これは主に売上水準の回復に伴い、営業債権や棚卸資産が増加したことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動の結果、支出した資金は7,921百万円であり、前連結会計年度と比較し805百万円支出額が減少しました。その主な要因は、設備投資額が減少したことで有形固定資産・無形資産の取得による支出が減少したことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動の結果、支出した資金は22,308百万円であり、前連結会計年度と比較し588百万円支出額が減少しました。その主な要因は、配当金の支払額の減少によるものです。
以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末に比べ30,923百万円増の106,791百万円となりました。
なお、連結キャッシュ・フロー指標のトレンドは以下のとおりです。
親会社所有者帰属持分比率:親会社所有者帰属持分/総資産
時価ベースの親会社所有者帰属持分比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
* 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
* 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式総数(自己株式控除後)により計算しております。
* 営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結財政状態計算書に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
当社グループの主な資金の源泉は、営業活動からのキャッシュ・フロー、金融機関からの借入、内部資金で構成され、運転資金や設備投資等の経常的な資金需要及びM&A等の機動的な資金需要に充当されています。このうち、金融機関からの借入は現金及び現金同等物を下回る残高水準である事から、今後必要となる資金を適切に調達するうえで特段の問題は生じないものと考えています。加えて、格付投資情報センターより信用格付(A+安定的)を取得、維持しており、幅広い手段で低利で安定的な資金調達が実施可能であると認識しています。なお、日本、アメリカ、ヨーロッパ、中国にキャッシュ・マネジメント・システム(CMS)を導入しており、資金効率の向上、金融費用の抑制を図ると同時に、流動性確保の状況について継続的なモニタリングが可能な体制となっております。
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針及び、将来に関する仮定及び報告期間末における見積りの不確実性の要因となる事項は、「第5 経理の状況1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針及び4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しております。
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