当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を当連結会計年度の期首から適用しております。収益認識会計基準等の適用が経営成績等に与える影響の詳細については、「第5「経理の状況」1「連結財務諸表等」(1)「連結財務諸表」 「注記事項」 「会計方針の変更」」をご参照ください。
また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、前連結会計年度に続き、新型コロナウイルス感染症の変異株による感染拡大やその後の一時収束の動きに翻弄されつつも、年度の後半には、ウィズコロナによる経済活動の正常化に向けて動き出しました。一方で、原油をはじめとする資源価格の高騰が消費者物価の上昇を招き、景気の見通しには慎重な見方が広がりました。また、世界経済においても、中国の経済成長鈍化懸念や、東西諸国間における情勢の緊迫化により、世界的な景気の先行きは依然として不透明な状況が続きました。
こうした状況の下、当社グループは引き続き、新規市場の開拓や販売力の強化、並びに製造工程の改善活動などによる生産性向上に積極的に取り組み、業績は順調に推移しました。
それにより、売上高及び各利益は前連結会計年度を上回ることができ、受注高及び受注残高につきましても、ラップ盤の旺盛な需要に牽引され前連結会計年度を大幅に上回る結果となりました。
(売上高)
当連結会計年度における売上高は6,475百万円(前年同期比12.2%増)となりました。
なお、セグメント別では、当社グループは、1工場で工作機械の製造を行い、販売するという単一事業を展開しております。
そこで、セグメント別の「工作機械事業」としては、上記のとおりですが、以下「機種別」に市場動向、販売状況等を補足させていただきます。
① ラップ盤
デジタル関連の設備投資は、国内外の半導体シリコンウエーハや光学関連部品加工用設備の売上が堅調に推移しました。中でも、直径300ミリ半導体シリコンウエーハ加工用設備の需要が極めて旺盛なうえ、パワー半導体ウエーハ加工用設備も増加しております。しかしながら、これら受注の多くは翌期以降の売上に寄与するため、売上高は2,640百万円(前年同期比24.3%減)となりました。
② ホブ盤、フライス盤
ホブ盤では、国内外の釣具関連向の需要が堅調に推移したうえ、中国市場において、各種減速機や電動工具に使われる歯車加工用設備や電気自動車向の歯車加工用設備にも需要が出てきており、これらの売上が大幅に増加いたしました。フライス盤においては、国内外の需要が伸び悩んだものの、あわせて売上高は2,033百万円(前年同期比146.0%増)となりました。
③ 部品、歯車
半導体シリコンウエーハ加工用の消耗部品が堅調に推移したうえ、ガラスハードディスク基板をはじめとする光学関連部品加工用の部品・消耗部品の販売も増加し、売上高は1,801百万円(前年同期比23.6%増)となりました。
(売上総利益)
当連結会計年度の売上総利益は、売上高の増加により、前年同期比15.5%増の1,283百万円となり、売上総利益率は前連結会計年度の19.2%に対して当連結会計年度は19.8%となりました。
(販売費及び一般管理費)
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、756百万円と前連結会計年度に比べ73百万円増加(前年同期比10.7%増)しております。売上高の増加により、荷造運搬費が23百万円、販売手数料4百万円が増加したほか、役員報酬及び従業員賞与等の人件費が21百万円増加したことが主な要因であります。
(営業利益)
当連結会計年度における営業利益は527百万円(前年同期比23.3%増)となりました。主な増益要因は前述の売上高の増加に伴う売上総利益の増加によるものであります。
(経常利益)
当連結会計年度における経常利益は509百万円(前年同期比26.8%増)となりました。営業外損益の主な内容は収益要因は受取配当金10百万円、費用要因は支払利息27百万円によるものであります。
(特別損益)
当連結会計年度において特別利益として2百万円を計上しております。これは主に固定資産売却益2百万円であります。また、特別損失として固定資産除却損0百万円を計上しております。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
税金等調整前当期純利益は512百万円(前年同期比18.6%増)となり、税効果会計適用後の法人税等合計は△58百万円(前連結会計年度の1百万円に比べ60百万円の減少)となりました。その結果、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は571百万円(前年同期比32.7%増)となりました。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
当社グループは、各種工作機械の製造販売及びそれに関連、附帯する一切の事業活動を展開しておりますが、事業分野においては、工作機械に関する単一の事業分野であります。
したがって、単一の事業部門で組織されているため、生産、受注及び販売の実績につきましては、セグメント別に代えて機種別の情報を記載しております。
当連結会計年度における生産実績を機種別に示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は、販売価格によっております。
当連結会計年度における受注実績を機種別に示すと、次のとおりであります。
(注) 当連結会計年度において、受注実績に著しい変動がありました。その内容につきましては、「第2「事業の状況」3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」(1)「経営成績」」をご参照ください。
当連結会計年度における販売実績を機種別に示すと、次のとおりであります。
(注) 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
(2) 財政状態
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は4,605百万円で、前連結会計年度末に比べ503百万円増加しております。現金及び預金の増加494百万円が主な要因であります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は2,878百万円で、前連結会計年度末に比べ140百万円減少しております。投資その他の資産の減少98百万円、有形固定資産の減少45百万円が主な要因であります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は4,857百万円で、前連結会計年度末に比べ1,480百万円増加しております。主な増加要因は、1年内返済予定の長期借入金の増加1,170百万円、支払手形及び買掛金の増加664百万円、前受金の増加530百万円であり、主な減少要因は、短期借入金の減少960百万円であります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は547百万円で、前連結会計年度末に比べ1,432百万円減少しております。長期借入金の減少1,337百万円が主な要因であります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の残高は2,079百万円で、前連結会計年度末に比べ314百万円増加しております。主な増加要因は、親会社株主に帰属する当期純利益による利益剰余金の増加571百万円であり、主な減少要因は、自己株式の増加200百万円、その他有価証券評価差額金の減少67百万円であります。
なお、自己資本比率は、2021年3月期では24.8%でしたが、2022年3月期には27.8%と着実に積み上げがはかられております。
(3) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比べ494百万円増加し、当連結会計年度末には、1,397百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
当連結会計年度における営業活動の結果得られた資金は1,852百万円(前年同期比263.3%増)となりました。
その主な内訳は、仕入債務の増加額663百万円、前受金の増加額529百万円、税金等調整前当期純利益512百万円であります。
当連結会計年度における投資活動の結果支出した資金は39百万円(前年同期は62百万円の支出)となりました。
その主な内訳は、有形固定資産の取得による支出28百万円であります。
当連結会計年度における財務活動の結果支出した資金は1,328百万円(前年同期は580百万円の支出)となりました。
その主な内訳は、借入金の返済によるものであります。
当社グループの資本の財源につきましては、利益剰余金を積み上げることにより、株主資本を充実させることを基本としております。また、資本の増強につきましては、事業展開に応じて直接金融等を通じて戦略的かつ機動的に対応することもその手段としては、排除しておりません。
当社グループは、事業運営上必要な流動性を安定的に確保することを基本方針としております。なお、金融上のリスクに対応するため、取引金融機関との間でシンジケート・ローン契約を締結し、手元流動性を確保しております。
なお、シンジケート・ローン契約には、財務制限条項が付されておりますが、当連結会計年度において財務制限条項に抵触しておりません。詳細につきましては、「第5「経理の状況」1「連結財務諸表等」(1)「連結財務諸表」「注記事項」「追加情報」」をご参照ください。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
当社グループは、繰延税金資産について回収可能性を慎重に検討したうえで、当該資産の回収が不確実と考えられる部分に対して評価性引当額を計上しております。回収可能性の判断においては、将来の課税所得見込額と実行可能なタックス・プランニングを考慮して、将来の税金負担額を軽減する効果が有すると考えられる範囲で繰延税金資産を計上しております。
将来の課税所得見込額は今後の業績等により変動するため、課税所得の見積りに影響を与える要因が発生した場合は、回収可能額の見直しを行い繰延税金資産の修正を行うため、当期純損益額が変動する可能性があります。
当社グループは、顧客仕様の製品を販売しており、顧客に納品する製品は要求精度を満たした状態で出荷しますが、精密機械であるため、使用する環境等により納入当初には予測不能な不具合が発生する可能性があります。そのため、顧客に納品した製品に対して、将来予想される瑕疵担保費用を見積るため、過去の売上実績及び保証実績を基礎に一定の比率を算定し、また、既に保証費用の発生が見込まれるものにつきましては、過去の単価実績を用いて予想される部品費及び工数を見積り、その見積り額が一定の比率で算定した製品保証引当金の額を超える場合は、その差額を個別に算定しております。これらの見積りは過去の実績を基礎に算定していることから、相対的に不確実性が高くなります。
製品保証引当金の算定に係る前提条件の見積りは合理的であると判断しております。ただし、これらの見積りには不確実性が含まれるため、予測不能な前提条件の変化等により、実際の保証費用が見積りと異なり、結果として翌連結会計年度の連結財務諸表に影響を与える可能性があります。
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