当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度における、連結売上高は1,865億91百万円(前年同期比59.8%増)、営業利益113億円、経常利益142億74百万円、純利益120億42百万円となりました。
当年度の連結受注は2,289億60百万円(前年同期比95.0%増)で前年度を大きく上回りました。コロナウイルスの影響から経済活動が立ち直るに伴って受注が好調に推移しました。前年度に見合わせとなっていた案件の決定も加わり、過去最高となりました。
当年度の報告セグメント別の状況は以下のとおりです。(当社報告セグメントはグループの販売体制をもとに構成されております。詳細については、(4) [生産、受注及び販売の状況]を参照ください。)
セグメントⅠ (牧野フライス製作所及び国内連結子会社)
牧野フライス製作所の国内受注は前年度を大きく上回りました。
半導体製造装置の部品加工向けが好調であったことに加え、自動車の金型向けが増加したことを中心に受注が増加しました。医療向けは堅調に推移しました。このほか建機、農機、油空圧機器などの一般機械向けの受注など、幅広い産業で受注が回復しました。
セグメントⅡ (MAKINO ASIA PTE LTD)
アジアは前年度を大きく上回りました。中国向けが中心です。
中国では自動車の部品加工向けで、新エネルギー車関連のまとまった案件が受注をけん引しました。電気電子の金型向けは引き続き堅調でした。
インドにおいては自動車の部品加工向けを中心に増加しました。
アセアン地域は、半導体製造装置や自動車向けが増加しました。
セグメントⅢ (MAKINO INC.)
アメリカは前年度を大きく上回りました。
ピックアップトラック、商用トラック、半導体製造装置、医療の部品加工向けを中心に増加しました。
航空機向けは、民間航空機のエンジンや構造部品、防衛関連などさまざまな受注が下期に一時的に集中し、前年度から大きく増加する結果となりました。
セグメントⅣ ( MAKINO Europe GmbH )
ヨーロッパは前年度を大きく上回りました。半導体製造装置や自動車、産業機器の部品加工向けを取り込んだことで、航空機向けを除き、好調時の受注水準に戻りました。
なお、報告セグメント別の当連結会計年度の外部顧客に対する売上高は次のとおりです。
セグメントⅠ:538億23百万円(前年同期比52.3%増)
セグメントⅡ:742億43百万円(前年同期比80.9%増)
セグメントⅢ:457億80百万円(前年同期比41.3%増)
セグメントⅣ:127億43百万円(前年同期比60.4%増)
当連結会計年度末における流動資産の残高は2,122億57百万円となり、前連結会計年度末に比べ417億20百万円の増加となりました。これは主に、前年度と比較して売上高が大幅に上回ったことによる営業債権の増加182億69百万円及び、好調な受注に伴う生産増に対応するための棚卸資産の増加185億87百万円等によるものであります。
当連結会計年度末における固定資産の残高は1,133億22百万円となり、前連結会計年度末に比べ38億43百万円の増加となりました。これは国内外での生産設備等拡充による有形固定資産の増加55億64百万円及び、期末時価評価の結果としての投資有価証券の減少30億81百万円等によるものであります。
当連結会計年度末における流動負債の残高は898億95百万円となり、前連結会計年度末に比べ348億88百万円の増加となりました。これは主に、受注対応のための仕入増に伴う仕入債務の増加217億93百万円及び、未払法人税等の増加19億11百万円等によるものであります。
当連結会計年度末における固定負債の残高は569億5百万円となり、前連結会計年度末に比べ61億10百万円の減少となりました。これは主に、1年内返済予定の長期借入金への振替等による長期借入金の減少45億46百万円等によるものであります。
当連結会計年度末における純資産の残高は1,787億78百万円となり、前連結会計年度末に比べ167億85百万円の増加となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等による利益剰余金の増加112億82百万円及び、円安の進行に伴う為替換算調整勘定の増加77億51百万円等によるものであります。
なお、報告セグメント別の当連結会計年度のセグメント資産は次のとおりです。
セグメントⅠ:2,188億37百万円(前年同期比10.1%増)
セグメントⅡ: 903億79百万円(前年同期比33.9%増)
セグメントⅢ: 447億90百万円(前年同期比42.7%増)
セグメントⅣ: 168億13百万円(前年同期比25.3%増)
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ10億67百万円増加し、757億12百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、149億43百万円の収入となりました(前連結会計年度は180億36百万円の収入)。主な資金の増加項目としては、仕入債務の増加188億96百万円、税金等調整前当期純利益143億4百万円並びに減価償却費71億55百万円であります。
一方、主な資金の減少項目としては、売上債権の増加152億28百万円並びに棚卸資産の増加144億6百万円であります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、95億17百万円の支出となりました(前連結会計年度は65億68百万円の支出)。主な資金の増加項目としては、有形固定資産の売却3億1百万円であります。一方、主な資金の減少項目としては、有形固定資産の取得84億67百万円であります。これは主に国内およびアジア地域における生産設備等拡充によるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、81億72百万円の支出となりました(前連結会計年度は60億22百万円の収入)。主な資金の減少項目としては、長期借入金の返済による支出43億50百万円、短期借入金返済による支出14億19百万円並びに自己株式の取得による支出10億1百万円であります。
2022年3月31日現在の契約債務の概要は以下のとおりであります。
当社グループは、設備資金につきましては、内部資金または長期借入金による借入及び社債発行等により資金調達することとしております。
2022年3月31日現在、長期借入金の残高は284億50百万円であります。また、当連結会計年度末において、複数の金融機関との間で合計100億円のコミットメントライン契約を締結しております(借入実行残高 なし、借入未実行残高100億円)。
また株主還元につきましては、安定的かつ継続的な配当を図ることを基本に考えております。当社の配当政策については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」をご確認ください。
⑥ キャッシュ・フロー関連指標の推移は、以下のとおりであります。
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
※ 各指標はいずれも連結ベースの財務諸表により算出しております。
※ 株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
※ キャッシュ・フローは営業活動によるキャッシュ・フローを利用しております。
※ 有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債(リース債務を除く)を対象としております。また、利払いについては連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
当社グループの主な事業は工作機械の製造販売であります。製造は日本、アジアで行っており、販売は海外の重要拠点に子会社を展開して、グローバルな販売活動を行っております。従いまして、当社グループは下記Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳの販売体制を基礎とした各社の所在地別のセグメントから構成されております。
セグメントⅠ.は牧野フライス製作所および国内連結子会社が担当するセグメントであり、主たる地域は日本、韓国、中国、大洋州、ロシア、ノルウェイ、イギリス及びセグメントⅡ、Ⅲ、Ⅳに含まれないすべての地域です。
セグメントⅡ.はMAKINO ASIA PTE LTD(シンガポール)が担当するセグメントであり、主たる地域は中国、ASEAN諸国、インドです。
セグメントⅢ.は、MAKINO INC.(アメリカ)が担当しているセグメントで、南北アメリカのすべての国です。
セグメントⅣ.は、MAKINO Europe GmbH(ドイツ)が担当するセグメントであり、ヨーロッパ大陸(ノルウェイを除く)のすべての国です。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は、販売価格によっております。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 前連結会計年度及び当連結会計年度の相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10以上の相手先がないため、記載を省略しております。
(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
(退職給付に係る負債及び退職給付に係る資産)
従業員退職給付費用、退職給付に係る資産及び負債は、数理計算上で設定される前提条件に基づき算出されております。これらの前提条件には、割引率、発生した給付額、利息費用、年金資産の長期期待運用収益率などの要素が含まれております。将来の不確実な経済条件の変動等により見積りの前提とした条件や仮定に見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する退職給付費用、退職給付に係る資産及び負債に影響を及ぼす可能性があります。
(繰延税金資産)
当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に重要な影響を与える可能性があります。
(固定資産の減損処理)
当社グループは、生産能力および生産性向上のため製造設備などの設備投資を継続的に行っております。その結果、多くの固定資産を保有しており、2022年3月期末の連結貸借対照表における有形固定資産は75,315百万円であり、このうち当社の貸借対照表における有形固定資産は39,724百万円であります。当社においては資産の簿価が回収できない兆候が認められた場合に減損の認識の要否判定(減損テスト)を行っております。この兆候の有無を把握するに際して、当社は工作機械の製造販売業の単一セグメントであり、各事業所の資産全体が相互補完的にキャッシュ・フローを生み出していると考えられるため、有形固定資産全体(遊休資産を除く)を独立したキャッシュ・フローを生み出す最小の単位としております。また、減損の認識の要否判定は主要な資産(工場建物など)の経済的残存耐用年数を見積期間とした中長期の損益予測および将来時点における資産の正味売却可能額(主要な不動産については不動産鑑定士による鑑定評価に基づくものを含む)から見積もられた割引前将来キャッシュ・フローと有形固定資産の帳簿価額との比較によって回収可能性を判断しております。この損益予測等は、将来における景気循環や成長率を加味した売上高予測およびそれに対応する発生費用予測並びに設備の再投資予測などをもとに算出しております。かかる判定の結果、有形固定資産が十分な将来キャッシュ・フローを生み出すと判断し、減損損失を認識しておりません。
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