業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 (1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 経営成績の状況

当連結会計年度における経済環境は、昨年発生した新型コロナウイルス感染症の世界的な流行から徐々に回復に向かいました。ワクチンが普及してきたこともあり、新規感染者数は減少傾向にありましたが、変異種であるデルタ株の流行やオミクロン株の出現もあり、依然予断を許さない状況が続いています。また、期後半においては部品メーカーの稼働率低下による部品不足や、原材料、輸送費用等の高騰が様々な業界で問題となりました。これらの影響は来期以降も一定期間継続すると予想されます。一方で為替市場における主要通貨の動きは、前期と比較して米ドル、ユーロ及び中国元ともに円安で推移しました。

当社グループにおいては、前期の後半より業績は回復基調にあり、地域によって強弱はあるものの、その傾向は当期も継続しております。しかし、当社グループの主要な市場である自動車関連産業においては、一時は主要国での自動車の月次生産台数は新型コロナウイルス感染症流行前に近い水準まで回復しましたが、変異株による新型コロナウイルス感染症の再流行や半導体等の部品不足が重なり足踏み状態となっております。航空機関連産業においては、景気は底を打ったようにも見えますが、依然厳しい状況が続いております。一方で半導体やエネルギー関連などの産業は好調であり、産業や業種によって強弱が出ている状況となっております。

以上の結果、売上高は126,156百万円(前期比20.9%増)、営業利益は16,105百万円(前期比91.8%増)、経常利益は16,141百万円(前期比80.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は10,989百万円(前期比94.9%増)となりました。また、海外売上高比率は前期と比較して増加し、61.8%(前期は59.4%)となっております。

 

セグメントの業績は次のとおりです。

 

(日本)

売上高は68,492百万円(前期比18.4%増)、営業利益は7,119百万円(前期比184.2%増)となりました。

前期の後半より業績は回復基調にあり、その傾向は当期も継続しております。国内では新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が進んだこともあり、8月をピークに新規感染者数は減少を続けました。当社グループの主要ユーザーである自動車関連産業向けは半導体等部品不足の影響が続きましたが、足元では回復傾向にあります。また、航空機関連産業は依然厳しい状況が続いています。

上記のように、足元は業種によって異なる状況となっておりますが、新型コロナウイルス感染症の影響により大きく落ち込んだ前期と比較すると売上高、営業利益ともに大きく増加しました。

 

(米州)

売上高は22,487百万円(前期比16.9%増)、営業利益は3,173百万円(前期比93.5%増)となりました。

主要市場の北米では、前期の後半より回復基調にあります。7月以降デルタ株の流行により新型コロナウイルス感染症の新規感染者数が大幅に増加しましたが、経済に与える影響は限定的なものになりました。当社グループの主要顧客である自動車関連産業においては、半導体等部品不足の影響を受け、減産の実施や工場の一時的なシャットダウン等の生産調整を余儀なくされました。また、航空機関連産業については、景況は底を打ったようにも見えますが、回復にはまだ時間が必要な状況です。しかしながら、建機や石油関連など他製造業においては好調であり、堅調な受注状況が継続しております。南米ブラジルにおいても、航空機関連産業以外の国内景気は自動車関連産業を中心に好調であり、半導体等の部品不足も現状は業績に大きな影響を与えておりません。また、昨年より続くレアル安傾向により、輸出からの利益が大きくなっております。上記のように全体的に回復傾向にあり、売上高は前期と比較して増加しました。また、コロナ禍の中で経費削減を徹底したことも影響し、営業利益は前期と比較して大きく増加する結果となりました。

 

 

(欧州・アフリカ)

売上高は24,714百万円(前期比26.7%増)、営業利益は1,943百万円(前期比302.8%増)となりました。

欧州・アフリカでは、デルタ株の流行により新型コロナウイルス感染症の感染者数が期末にかけて大幅に増加しましたが、主要国の景況は比較的堅調に推移しました。当社グループの主要顧客である自動車関連産業においては、半導体等部品不足による生産調整はあったものの、当社グループへの影響は限定的なものとなりました。一方航空機関連産業はようやく底を打ったように見えますが、まだまだ厳しい状況にあります。当社グループではこれまでにM&Aを行った会社とグループ間の協業による受注活動を展開し、案件の獲得に注力してきました。以上の結果に加えて、ドイツの会社1社を新規連結したこともあり売上高は前期と比較して増加となりました。また、利益についても売上高が増加したことによる利益率の改善、コロナ禍の中での経費削減等の効果もあり、前期と比較して大きく増加しました。

 

(アジア)

売上高は33,340百万円(前期比31.8%増)、営業利益は4,592百万円(前期比116.7%増)となりました。

中国では政府による大型投資の効果もあり新型コロナウイルス感染症の影響からいち早く回復しましたが、期後半においては成長が鈍化しました。自動車関連産業におきましても、半導体等部品不足の影響や、節電による工場稼働の制限等が重なり顧客の生産に一部影響がありました。また、韓国においても国内の景気は回復基調にあり、自動車の生産台数も新型コロナウイルス感染症流行前に近い水準まで回復してきておりましたが、やはり半導体等部品不足の影響によって回復に歯止めがかかりました。その他のアジア諸国においても、新型コロナウイルス感染症の再拡大や半導体等部品不足等が自動車関連産業の回復に影響を与えましたが、一方で当社が注力している5Gや半導体、エネルギー関連は引き続き好調を維持しています。以上のように足元には不透明感がありつつも、全体的には回復基調にあったため、売上高、営業利益ともに前期と比較して大きく増加する結果となりました。

 

② 財政状態

(資産)

総資産は、前期末と比較して9,644百万円増加し、209,757百万円となりました。

流動資産は、前期末と比較して13,065百万円増加し、115,757百万円となりました。これは主に、現金及び預金、受取手形及び売掛金が増加したことによるものであります。

固定資産は、前期末と比較して3,420百万円減少し、94,000百万円となりました。これは主に、設備投資の抑制及び減価償却等により機械装置及び運搬具(純額)が減少、また当連結会計年度より子会社2社を連結の範囲に含めたことにより関係会社株式(投資有価証券)が減少したことによるものであります。

 

(負債)

負債は、前期末と比較して4,975百万円減少し、54,957百万円となりました。

流動負債は、前期末と比較して1,492百万円減少し、25,830百万円となりました。これは主に、未払法人税等が増加した一方で、短期借入金及び1年内返済予定の長期借入金が減少したことによるものであります。

固定負債は、前期末と比較して3,482百万円減少し、29,126百万円となりました。これは主に、長期借入金の減少、償還期限が1年内となった転換社債型新株予約権付社債を流動負債に振り替えたことによるものであります。

 

(純資産)

純資産は、前期末と比較して14,620百万円増加し、154,800百万円となりました。これは主に、利益剰余金、為替換算調整勘定が増加したことによるものであります。

この結果、自己資本比率は68.6%(前期末は64.6%)となりました。

 

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における連結ベースでの現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は40,354百万円となり、前連結会計年度末と比較して7,054百万円の増加となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は26,982百万円(前期比9,943百万円増)となりました。これは税金等調整前当期純利益16,354百万円、減価償却費10,591百万円等であります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果支出した資金は6,961百万円(前期比10,171百万円減)となりました。これは有形固定資産の取得による支出5,555百万円、定期預金の預入による支出5,014百万円、定期預金の払戻による収入3,559百万円等であります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果支出した資金は14,264百万円(前期は9,658百万円の収入)となりました。これは長期借入金の返済による支出9,079百万円、短期借入金の返済による支出2,515百万円、配当金の支払額2,440百万円等であります。

 

④ 生産、受注及び販売の状況

a. 生産実績及び受注状況

当社グループの生産品目は、広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であってもその形状は一様ではなく、正確な生産規模としての把握が困難であり、また受注生産形態をとらない製品も多いため、セグメント別に生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。

  

b. 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

日本

48,935

+14.3

米州

21,915

+16.5

欧州・アフリカ

24,573

+26.7

アジア

30,732

+31.6

合計

126,156

+20.9

 

(注) 1  セグメント間取引については、相殺消去しております。

2  主な販売先については、総販売実績の100分の10以上の販売先がないため記載を省略しております。

3  上記の金額には消費税等は含まれておりません。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。

 

① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、売上高が前期比20.9%増加126,156百万円、営業利益は前期比91.8%増加16,105百万円となりました。新型コロナウイルス感染症による受注への影響が第1四半期までは継続しましたが、第2四半期以降は主要市場の日本を中心に急激な回復をした結果、前連結会計年度と比較して大幅な増収増益となりました。

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、海外市場と比較してシェアの高い国内市場の自動車関連産業や航空機関連産業の需要動向、輸出に関連する為替状況等が挙げられます。当連結会計年度は、自動車関連産業は期途中より半導体不足による減産が工具の需要に影響しました。また、航空機関連産業は引き続き厳しい状況となっております。しかしながら、主力製品のタップを中心にドリル、エンドミルの売上がシェアアップにより増加し、2019年11月期の水準の売上まで回復しました。

 

経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については次のとおりであります。当連結会計年度の経営指標は、 一般部品産業向けを中心に売上が堅調に推移した結果、 売上高 126,156百万円、営業利益16,105百万円(営業利益率12.8%)となり、前連結会計年度と比較して売上高、営業利益額、営業利益率ともに増加する結果となりました。

2022年11月期を初年度とする新中期経営計画に掲げた目標である2024年11月期にROA(総資産営業利益率)15%、営業利益300億円の達成に向けて、全社一丸となって取り組んでまいります。

 

② 資本の財源及び資金の流動性

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、超硬材等の原材料の購入費用のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、主に設備投資及びM&Aによるものであります。

当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資資金の調達につきましては自己資金及び金融機関からの長期借入を基本とし、場合によっては社債の発行等を行うなど、資金調達の多様性を図っております。

当連結会計年度末における有利子負債の残高は30,751百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は40,354百万円となっております。

 

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。連結財務諸表の作成にあたっては、資産・負債及び収益・費用の金額に影響を与える見積りを必要としますが、これらの見積りには不確実性が伴うため、実際の結果と異なる場合があります。

会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

なお、新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載しております。

 

(のれんの減損)

当社グループは、のれんについて、主として発生日以降5年間(在外連結子会社は10年間)で均等償却しております。その資産性について子会社の業績や事業計画等を基に検討しており、将来において当初想定していた収益が見込めなくなった場合、減損処理が必要となる可能性があります。

 

(固定資産の減損)

当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。

 

(繰延税金資産)

当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

 

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