当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
当期におけるわが国経済は、新型コロナウイルスによる経済停滞からの回復局面ではありましたが、このところは世界的なインフレ率の上昇抑制のための金利上昇、企業・家計のコスト上昇などにより後半は横ばいとなりました。
長期間継続した金融緩和状態から世界的に景気好調となり、新型コロナウイルスによる経済停滞から脱するためにさらに金融緩和と流動性供給を実施し、インフレ率が上昇してきたなかで、ロシアのウクライナ侵攻などによりエネルギー、資源、穀物などが高騰して、各国がインフレ抑制のため一気に政策金利の引き上げに動いています。
日本国内でも企業の原材料、エネルギー、サプライチェーンや輸送などあらゆるコストが上昇してきており、好調な企業業績に対して利益圧迫要因が出てきています。足元では一部に景気不安要因が出てきましたが、当期の国内製造業においては、総じて堅調な推移で終えました。自動車業界では、半導体不足や中国の都市封鎖などにより部品調達不足などがあり、生産計画を下回る生産となりました。半導体製造装置は年内いっぱいは受注残があり、高水準の稼働となっています。航空機産業も復調の傾向で受注は回復に向かい、電子部品、医療機器、精密機器、工作機械、建設機械なども堅調に推移しました。足元の好調な業績を受けて製造業の設備投資もやや増加し、新規部品に対応した設備や自動化・省力化、生産効率改善のための設備など動きがありました。また、このところの為替の円安進行で輸出企業にはプラス要因もありました。
個人消費もインターネット購買の増加と外出する人が増えたことにより、外食や観光にもプラスの影響が出てきました。
このような状況のなか、当期の売上高は1,868,061千円(前年同期比11.9%増)、営業利益は433,071千円(前年同期比14.3%増)経常利益は444,456千円(前年同期比14.0%増)、当期純利益は310,445千円(前年同期比15.6%増)となりました。
セグメント別の経営成績は次のとおりであります。
<コレットチャック部門>
コレットチャック部門では、総じて堅調に推移しました。昨年の11月はやや落ち込み、翌12月には大きく戻し今年の3月までは好調でしたが、新年度入りの4月からはややペースが落ち横ばいで終わりました。
部品欠品により計画生産量が未達になった自動車業界向けは、月ごとに受注がバラつきました。半導体製造装置向けは高水準を維持し、工作機械、建設機械、電子部品、医療機器、精密機器などは堅調に推移して、航空機部品も戻してきました。
コレットチャックが主に使用されるNC自動旋盤においては、基礎部品の加工に使用される標準タイプのコレットチャックと高度化した部品の加工に使用される顧客ごとのオーダータイプのコレットチャックがあり、両方のタイプのコレットチャックに品質・納期・価格で適応するため、当社の製造工程の整備、効率化は重要と判断しており、随時対応しています。
この結果、当セグメントの売上高は1,305,867千円(前年同期比11.9%増)、セグメント利益は607,534千円(前年同期比11.7%増)となりました。
<切削工具部門>
切削工具部門では、昨年8月は大手企業の夏季休暇に合わせて顧客企業の機械稼働率が低下し、今年の3月は大手企業の年度末の影響と思われる受注増があり、その後は通常並みに戻って終えました。量産部品、単品小ロット加工ともに全般的に動きはあり堅調に推移しました。
別注切削工具の製作・再研磨は、顧客の要望する形状に柔軟に対応し短納期対応することでやや広がりを見せてきて、売上高は145,761千円(前年同期比20.3%増)となりました。
市販切削工具の再研磨は、顧客の機械稼働率が上昇したことにより当社の受注も増加しました。売上高は、396,967千円(前年同期比10.2%増)となりました。
この結果、当セグメントの売上高は542,728千円(前年同期比12.7%増)、セグメント利益は114,789千円(前年同期比20.8%増)となりました。
<自動旋盤用カム部門>
自動旋盤用カム部門では、国内外のカム式自動旋盤で加工する量産部品が減少し、当社の受注も減少しました。
カム式自動旋盤は、顧客企業で稼働している限り、当社への受注は継続すると判断し、当社は現有設備と人員でコストを抑えて供給できる限り事業継続していきます。
この結果、当セグメントの売上高は19,465千円(前年同期比7.5%減)、セグメント利益は6,086千円(前年同期比29.7%減)となりました。
当事業年度の生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
(注) 金額は販売価格によっております。
当事業年度の受注実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
(注) 1 販売高で10%を超える主要な販売先はありません。
2 最近2期における輸出販売高及び輸出割合は次のとおりであります。なお、( )内は総販売実績に
対する輸出高の割合であります。
当期における財政状態につきましては、総資産は前期末比383,007千円増加し、9,479,485千円となりました。
主な内訳は次のとおりであります。
(流動資産)
当期末における流動資産の残高は、7,719,717千円(前事業年度末は7,546,445千円)となり173,272千円の増加となりました。これは、売掛金が16,636千円、受取手形が3,718千円減少しましたが、前払費用が97,716千円、現金及び預金が84,587千円、仕掛品が10,603千円増加したこと等によるものであります。
(固定資産)
当期末における固定資産の残高は、1,759,767千円(前事業年度末は1,550,032千円)となり209,735千円の増加となりました。これは、建物が5,383千円、構築物が2,636千円、工具、器具及び備品が1,889千円減少しましたが、長期前払費用が138,351千円、機械及び装置が40,395千円、繰延税金資産が27,965千円、投資有価証券が13,313千円増加したこと等によるものであります。
(流動負債)
当期末における流動負債の残高は、265,490千円(前事業年度末は198,762千円)となり66,728千円の増加となりました。これは、未払法人税等が56,790千円、未払金が4,785千円、買掛金が2,476千円、役員賞与引当金が1,400千円増加したこと等によるものであります。
(固定負債)
当期末における固定負債の残高は、525,040千円(前事業年度末は485,583千円)となり39,457千円の増加となりました。これは、退職給付引当金が24,563千円、役員退職慰労引当金が10,630千円、その他が5,167千円増加したことによるものであります。
(純資産)
当期末における純資産の残高は、8,688,953千円(前事業年度末は8,412,131千円)となり276,822千円の増加となりました。これは、繰越利益剰余金が25,446千円減少しましたが、自己株式が149,111千円減ったことと、自己株式処分差益が143,850千円、その他有価証券評価差額金が9,305千円増加したことによるものであります。
当期における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、配当金の支払額335,549千円、有形固定資産の取得による支出184,059千円、法人税等の支払額111,944千円、棚卸資産の増減額11,417千円等がありましたが、税引前当期純利益443,881千円、減価償却費154,284千円、株式報酬費用62,169千円、退職給付引当金の増減額24,563千円、売上債権の増減額20,354千円、役員退職慰労引当金の増減額10,630千円、利息及び配当金の受取額7,108千円等を計上したことにより、前期末に比べ84,434千円増加し、当期末は1,127,547千円(前期末比8.1%増)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当期の営業活動により増加した資金は、606,192千円(前期は、392,250千円の増加)となりました。これは、法人税等の支払額111,944千円、棚卸資産の増減額11,417千円がありましたが、税引前当期純利益443,881千円、減価償却費154,284千円、株式報酬費用62,169千円、退職給付引当金の増減額24,563千円、売上債権の増減額20,354千円、役員退職慰労引当金の増減額10,630千円、利息及び配当金の受取額7,108千円等があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当期の投資活動により減少した資金は、185,115千円(前期は、137,543千円の減少)となりました。これは、その他が216千円ありましたが、有形固定資産の取得による支出184,059千円、無形固定資産の取得による支出1,120千円があったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当期の財務活動により減少した資金は、336,641千円(前期は、240,581千円の減少)となりました。これは、配当金の支払額335,549千円、リース債務の返済による支出904千円、自己株式の取得による支出187千円があったことによるものであります。
資本の財源及び資金の流動性に関する情報
資本の財源及び資金の流動性については、換金性の高い現預金等の内部留保を活用し、主に営業サイクルにおける資金と設備投資における資金を捻出しております。当面必要とされる事業資金、設備投資は、現状で充足できております。
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
財務諸表の作成に当たって用いた会計方針のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
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