文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。
当社の経営方針は、ものづくりの世界に資することで顧客より対価を得て、企業として適正な利潤をあげ、株主に対して適正な還元を続けていくことであります。製造業の機械加工において幅広く行われていて、重要な位置をしめる切削工程で使用される機械工具に的を絞り、顧客の要求に細かく対応することで、受注の確保を図っております。機械工具の中でも、精密部品加工に使用される工具を中心にして、工具の種類が多く、少量の注文が大半で、工具製作に手間がかかり、技術を要する、いわゆる多品種少量生産品のニッチ分野に特化しております。大手メーカーが注力して対応するほど市場規模が大きくなく、毎日一定量の受注が入り、それなりの規模の設備と加工者の熟練度が必要であります。あらゆる業種の精密部品の切削加工において少しずつ使用される工具で、精度が重要で使用していくうちに消耗し、いずれは補充が必要となります。当社は、顧客の要求する品質と納期を充足することでリピートオーダーが確保でき、比較的安定した受注が可能となっております。長年にわたりニッチ分野の機械工具に特化してきたことで、固定費が抑制されていること、顧客基盤を確保していることで、安定した受注が確保できれば、他社に比べて高い利益率を達成できる体制が確立しております。
当社を取り巻く経営環境は、常に変化しております。当社のコレットチャック部門、自動旋盤用カム部門で製造しているコレットチャック、自動旋盤用カムは、主に小型自動旋盤で使用される工具であり、小型精密部品の量産加工で使用されています。小型精密部品は、汎用品から精密さを要求される高度なものまで多岐にわたります。今後は、より一層加工難易度の高い、複雑で精密さを要求される部品が、増加すると思われます。切削工具部門で受託している市販切削工具の再研磨、特殊切削工具の製造は、小型精密部品加工から大物部品加工まで、また単品ものから量産部品加工まで幅広く使用されています。
コレットチャック部門、自動旋盤用カム部門及び切削工具部門は、不特定多数の顧客から、様々な種類の工具を、少量ずつ受注することが多く、その要求に対応できる生産体制の整備、設備揃え、生産ノウハウの醸成、人材の確保・育成などが重要になっております。また、近年顧客からの工具の仕様・形状・精度などの要求がますます高度化する傾向であり、これらの要求に対応するため、新規の高精度設備の導入、既存設備のメンテナンス、加工精度向上の探求、加工者のスキルアップ、人材育成、多岐にわたる顧客ニーズを充足しつつ短納期対応するための生産効率化が重要となっており、この課題に取り組んでおります。
当社の優先的に対処すべき事業上の課題は、まさにこの点であり、これらの課題に取り組むことで、既存顧客からのリピートオーダーの獲得、加えて新規顧客からの受注が獲得できる可能性が高まります。常に変化する事業環境の中で、競争力を確保・向上させ、受注を確保し続けるために、安定した財務基盤を活用して、機動的な設備投資や人材の確保・育成を行ってまいります。財務上では、適切な投資を適時実施するとともに、着実な株主還元を行い、投資と株主還元のバランスをとることを課題としております。
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