業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(業績等の概要)

(1) 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における工作機械業界は、2021年度の受注総額が1兆6,675億円(前年度比68.7%増)となるなど、新型コロナウイルス感染症による需要減退の影響を受けた前年と比較して大きく増加しました。これは、経済活動の再開による需要回復及び、半導体や各種部品不足の解消に向けた増産のための設備投資等により、年度を通じて内外需ともに回復が進んだことによるものです。

このような経済環境下、当社は、金型関連研削盤については主力製品である「SPG-X」「UJG-35i」を中心に、切削工具関連研削盤については主力製品である「GIG-202」「APX-105」や、前期より市場投入したAPXシリーズのハイエンドモデル「APX-F50」を中心に受注販売活動を行ってまいりました。

新型コロナウイルスの感染拡大が依然として継続している状況ではありますが、WEB会議システムの活用、商談やトレーニング向けの動画コンテンツの拡充、ライブカメラによる故障等の遠隔サポート、社内業務のシステム化などを推進することで、お客様、お取引先様、従業員及び家族の健康・安全を最優先に考えた上で、業務の効率化と事業の継続を図っております。

研究開発については、金型関連研削盤、切削工具関連研削盤の新機種等の開発に継続して取り組んでおり、2022年11月に開催予定の「JIMTOF2022」への出展を予定しております。

海外展開につきましては、新型コロナウイルスの影響による海外渡航の制限や、上海市のロックダウンなどにより活動が制限される状況ではありますが、各地域において今後の需要拡大のための各施策を行っております。米国地域においては、アメリカノースカロライナ支店にて当社製品を展示し、積極的な受注活動を行っております。欧州地域においては、2021年10月に「APX-F50」を欧州の内覧会に展示し、現地のお客様への積極的なPRを行いました。また、2021年11月には欧州市場戦略の一環として、ドイツに子会社を設立することを決議し、設立に向けた準備を進めてまいりました。アジア地域においては台湾の連結子会社である和井田友嘉精機有限公司を活用した生産販売体制の強化にも引き続き取り組んでおります。

この結果、 当連結会計年度の財政状態及び経営成績は次のとおりとなりました。

 

①財政状態

 (資産)

総資産は、前連結会計年度末に比べ1,287百万円増加し、11,921百万円となりました。これは、主として現金および預金が910百万円、受取手形、売掛金及び契約資産が338百万円、機械装置及び運搬具が118百万円、建設仮勘定が198百万円増加し、未収還付法人税等が175百万円減少したことなどによります。

     (負債)

負債は、前連結会計年度末に比べ732百万円増加し、3,126百万円となりました。これは、主として支払手形及び買掛金が364百万円、短期借入金が205百万円、未払法人税等が387百万円増加し、長期借入金が320百万円減少したことなどによります。

    (純資産)

純資産合計は、前連結会計年度末に比べ554百万円増加し、8,794百万円となりました。これは、主として利益剰余金が522百万円増加したことなどによります。

 

②経営成績

当連結会計年度における売上高は6,485百万円(前年同期比54.2%増)、営業利益は981百万円(前年同期比243.0%増)、経常利益は1,042百万円(前年同期比220.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は694百万円(前年同期比212.2%増)と、前年同期を上回る結果となりました。品目別に業績を示すと、次のとおりであります。

 

  (金型関連研削盤) 

国内及びアジア地域向けの販売は減少したものの、中国向けの販売は増加し、売上高は2,522百万円(前年同期比64.5%増)となりました。金型関連研削盤の売上高は当社グル―プの総売上高の38.9%を占めております。

 

 (切削工具関連研削盤)

全ての地域向けの販売が増加しており、売上高は2,891百万円(前年同期比68.2%増)となりました。切削工具関連研削盤の売上高は当社グループの総売上高の44.6%を占めております。

 (その他の機械)

NCプロッター(作図機)等の機械については、売上高は69百万円(前年同期比25.0%増)となりました。その他の機械の売上高は、当社グループの総売上高の1.1%を占めております。

 (アフターサービス)

アフターサービス(有償修理)及びメンテナンス部品については、売上高は1,001百万円(前年同期比11.4%増)となりました。アフターサービスにおける売上高は、当社グループの総売上高の15.4%を占めております。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ910百万円増加し、5,603百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。 

   (営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は、1,336百万円(前年同期は311百万円の支出)となりました。税金等調整前当期純利益1,040百万円を計上したほか、収入の主な内訳は、減価償却費259百万円、仕入債務の増加額364百万円、法人税等の還付額178百万円等であり、支出の主な内訳は、売上債権の増加額389百万円、棚卸資産の増加額211百万円等であります。

  (投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、140百万円(前年同期は108百万円の支出)となりました。支出の主な内訳は、有形固定資産の取得による支出128百万円等であります。

  (財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は、333百万円(前年同期は563百万円の収入)となりました。収入の主な内訳は、短期借入による収入250百万円、長期借入れによる収入200百万円であり、支出の主な内訳は、長期借入金の返済による支出524百万円、配当金の支払額161百万円等であります。

 

(生産、受注及び販売の実績)

当社グループは工作機械の製造・販売業の単一セグメントでありますので、セグメント情報は記載しておりません。以下は当連結会計年度における品目別の状況を記載しております。

 

(1) 生産実績

当連結会計年度における生産実績を品目別に示すと、次のとおりであります。

品目

生産高(千円)

前年同期比(%)

金型関連研削盤

 

2,420,417

141.2

切削工具関連研削盤

 

2,879,396

159.6

その他の機械

 

58,981

88.8

アフターサービス

 

1,001,185

111.4

合計

6,359,979

141.9

 

(注) 金額は、販売価格によっております。

 

 

(2) 受注実績

当連結会計年度における受注実績を品目別に示すと、次のとおりであります。

品目

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

金型関連研削盤

2,368,400

154.4

766,660

83.3

切削工具関連研削盤

3,751,251

218.3

1,128,611

419.5

その他の機械

209,270

375.5

174,170

504.0

アフターサービス

1,001,185

111.4

合計

7,330,106

174.3

2,069,441

169.0

 

(注) 金額は、販売価格によっております。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績を品目別に示すと、次のとおりであります。

品目

販売高(千円)

前年同期比(%)

金型関連研削盤

 

2,522,633

164.5

切削工具関連研削盤

 

2,891,690

168.2

その他の機械

 

69,660

125.0

アフターサービス

 

1,001,185

111.4

合計

6,485,168

154.2

 

(注) 1.金額は、販売価格によっております。

   2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は以下のとおりです。

相手先

販売高(千円)

割合(%)

RCS ENGINEERING CO., LTD.

960,779

14.8

 

 

 

(経営者の視点による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析)

当連結会計年度の経営者の視点による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は、次のとおりであります。なお、将来に関する事項については、本有価証券報告書提出日現在において判断したものであり、不確実性を内在しており、あるいはリスクを含んでいるため、将来生じる実際の結果と大きく異なる可能性もあります。

 

(1) 財政状態の分析

当連結会計年度末における財政状態は、「(業績等の概要) (1) 財政状態及び経営成績の状況」のとおりであります。

当社グループの自己資本比率は当連結会計年度末時点で73.1%となっており、現状、財政状態につきましては大きな懸念はないものと認識しております。来期以降も、企業体質の強化と将来の事業展開のために内部留保の充実を図るとともに、研究開発や設備への投資及び安定的な配当等により、企業価値の向上に努めてまいります。

 

(2) 経営成績の分析

当連結会計年度の経営成績は、2021年5月11日に発表した期初計画におきましては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けつつも、中国を中心に受注が回復していたことなどから、第2四半期連結累計期間において、売上高3,138百万円、営業利益473百万円、経常利益488百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益342百万円の業績予想数値を開示しておりました。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響による海上輸送網の混乱等により出荷計画の遅延が発生し、第2四半期連結累計期間の売上高は2,808百万円、営業利益は401百万円、経常利益は415百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は274百万円と、期初予想を下回る結果となりました。下半期については、輸出計画の管理強化や部品調達の見直し等に取り組み、業績への影響の最小化を図った結果、2021年10月28日に発表した修正計画を達成いたしました。

当社グループは「経常利益率」を経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標としております。当連結会計年度の経常利益率は16.1%と、各種施策による利益確保に努めた結果、前連結会計年度の経常利益率7.7%を大きく上回る結果となりました。

 

2023年3月期につきましては、新型コロナウイルスの感染拡大の継続や、上海市のロックダウンの影響、ロシアのウクライナ侵攻、部品の供給不足、急激な円安の進行など多くのリスク要因があり、それらの設備投資への影響を注視する必要があります。一方で部品不足の解消に向けた顧客の増産対応や、引き続き旺盛な需要が見込まれる半導体分野、自動化や環境対応のための需要など、多くの好材料も挙げられます。当社グループにおきましても、上記リスク要因を注視しつつ、グローバル展開の継続、既存製品の品質向上、生産工程の見直し及び新製品の開発等に取り組み、売上高及び利益確保に努めてまいります。なお、次期(2023年3月期)の業績の見通しにつきましては、連結売上高7,274百万円、連結営業利益1,035百万円、連結経常利益1,049百万円、親会社株主に帰属する当期純利益730百万円を見込んでおります。

 

(受注状況)

  当連結会計年度におきましては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により、低い受注残高でのスタートとなりました。しかし、各国においてワクチン接種等の進展により需要の回復が進み、特に中国において受注が回復いたしました。来期は中国におけるロックダウンの影響等により、金型関連研削盤の受注販売が減少すると見込まれるものの、切削工具関連研削盤については国内外にともに需要が高まる見通しとなっております。

当連結会計年度及び前連結会計年度に係る受注実績を品目別に示すと、次のとおりであります。

品目

前連結会計年度

(自2020年4月1日

2021年3月31日)

当連結会計年度

(自2021年4月1日

2022年3月31日)

受注高
(千円)

前年同期比
(%)

受注残高
(千円)

前年同期比
(%)

受注高
(千円)

前年同期比
(%)

受注残高
(千円)

前年同期比
(%)

金型関連研削盤

1,920,758

116.9

920,893

172.6

2,368,400

154.4

766,660

83.3

切削工具関連研削盤

1,214,847

44.3

269,050

34.8

3,751,251

218.3

1,128,611

419.5

その他の機械

84,790

160.7

34,560

628.4

209,270

375.5

174,170

504.0

アフターサービス

898,577

84.3

1,001,185

111.4

合計

4,118,973

74.8

1,224,503

93.3

7,330,106

174.3

2,069,441

169.0

 

  (注) 金額は、販売価格によっております。

 

 

(販売状況)

  当連結会計年度におきましては、全ての地域向けの販売が増加し、特に中国向け及び欧米などのその他の地域向けの販売が増加いたしました。当社グループにおきましては、特に欧米地域においてはシェア拡大の余地が大きいことから、欧州地域においては、ドイツに設立したWAIDA Europe Gmbhを活用するほか、ドイツHAAS社との販売提携契約を継続し、欧州地域での販売拡大に努めてまいります。米国地域においてはアメリカノースカロライナ支店を活用し、現地での当社製品の展示、展示会への積極的な出展等により販売促進を図ってまいります。

当連結会計年度及び前連結会計年度に係る販売実績を地域別に示すと、次のとおりであります。

地域

前連結会計年度

(自2020年4月1日

2021年3月31日)

当連結会計年度

(自2021年4月1日

2022年3月31日)

売上高
(千円)

前年同期比
(%)

売上高
(千円)

前年同期比
(%)

日本

1,976,067

36.8

2,452,405

124.1

中国

1,125,765

133.5

2,319,298

206.0

アジア地域(中国を除く)

854,938

57.9

1,223,261

143.1

その他の地域

249,785

143.7

490,202

196.2

合計

4,206,558

53.5

6,485,168

154.2

 

  (注) 1 国または地域の区分は、地理的近接度によっております。

  2 各区分に属する主な国または地域は以下のとおりです。
  中国……………………………中国
  アジア地域(中国を除く)……台湾、韓国、東南アジア地域、南アジア地域等
  その他の地域…………………米国、ヨーロッパ地域、アフリカ地域

 

(3) キャッシュ・フローの状況の分析・資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 

  キャッシュフローの状況の分析

当連結会計年度におけるキャッシュ・フローは、「(業績等の概要) (2) キャッシュ・フローの状況」のとおりであります。

なお、当連結会計年度は機械装置及び工具器具備品等への設備投資として、固定資産に対して353百万円の支出を行っておりますが、その資金の調達源は主に自己資金となっております。来期以降も設備投資等を行ってまいりますが、その資金の調達源を自己資金とした場合においても、現状、キャッシュ・フローについて大きな懸念はないものと認識しております。

 

 

 資金の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループは、企業体質の強化と将来の事業展開のために内部留保の充実を図るとともに、当社グループの業績に応じた配当を安定的かつ継続的に行うことを基本方針としております。なお、内部留保金の使途につきましては、将来に向けたコア技術の研究開発、既存分野の新製品開発、生産性向上と納期短縮を目的とした設備投資、販路拡大のための海外市場展開等将来の成長につながる戦略投資や、財務体質の強化等に充当してまいります。

当社グループにおいては、工作機械業界の特性である景気変動リスクに備えた上で、企業価値向上を目的とした戦略的投資を行うために必要な水準の現預金を保有しており、取締役会等において手元現預金の水準について定期的な確認を行っております。また、担当部門において資本コストの算定及び定期的な見直しを行っており、その情報を取締役会で共有しております。各年度の設備投資は自己資金の範囲を考慮し、強固な財務基盤を維持し、必要なキャッシュフローを確保したうえで適切な成長投資を実施してまいります。

なお、当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は5,603百万円、営業活動によるキャッシュフローは1,336百万円となっておりますが、来期も景気変動リスクに対応する現預金の水準についての確認を継続的に実施し、その上で、必要に応じた戦略的投資を行い、企業価値の持続的な向上を図ってまいります。また、継続的に株主への還元を行ってまいります。

 

(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

 当社グループにおきましては、2022年3月期末時点において新型コロナウイルス感染症の感染拡大の継続による渡航制限や上海ロックダウンの影響、物流網の混乱、部品供給不足等の影響を受けており、その影響が少なくとも2022年内は続くと仮定し会計上の見積りを行っております。ただし、繰延税金資産の回収可能性の判断等の会計上の見積りには重要な変更はありません。

 なお、当社グループが連結財務諸表の作成において、会計上の見積りに用いた仮定及び基準のうち重要なものは以下のとおりであります。

 

(貸倒引当金)

債権の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討して回収不能見込額を計上しております。

 

(役員賞与引当金)

  役員賞与の支給に備えるため、当連結会計年度末における支給見込額に基づき計上しております。

 

(製品保証引当金)

   製品の品質保証に伴う支出に備えるため、過去の実績に基づいて今後必要と見込まれる額を計上しております。

 

 

(繰延税金資産)

将来の利益計画に基づいて課税所得を見積り、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。なお、当該課税所得を見積るに当たって、前提とした条件や仮定に変更が生じ、これが減少した場合、繰延税金資産が減額され、税金費用が計上される可能性があります。

 

(固定資産の減損処理)

事業用資産については原則として、当社は事業単位ごとに、連結子会社は各社を一つの単位としてグルーピングを行い、遊休資産及び賃貸不動産については個別物件ごとにグルーピングを行った上で、減損の兆候の把握及び減損損失の認識と測定を行っております。

 

 

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