事業等のリスク

2【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)法的規制等について

当社グループでは、『障害者総合支援法』を根拠法とするLITALICOワークス事業(就労移行支援事業、就労定着支援事業、特定相談支援事業)、『児童福祉法』を根拠法とするLITALICOジュニア事業(LITALICOジュニア事業の内、児童発達支援事業、放課後等デイサービス事業、保育所等訪問支援事業)を運営しております。

各事業ともに国から報酬を得ており、これらの報酬制度は原則として3年に1回改定が行われるため、これらの法令の制定・改廃等が行われた場合や、厚生労働省からの通達の内容が変更された場合は、当社グループの事業活動が制約を受け、業績に影響を与える可能性があります。そのため、法令や通達の解釈に誤りが発生しないよう、地方自治体と適宜確認を取りながら事業を進めております。

また、各事業ともに拠点単位で都道府県知事又は政令指定都市市長から設置の指定を受けるものであり、現時点において、適正な運営ができなくなったものとして当社グループの運営するセンターや教室に指定取消しや営業停止は発生しておりませんが、今後、何らかの原因によりこれらの指定が取り消された場合や営業停止となった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。*1

また、各事業所には指定を受ける際に利用定員が定められております。「障害者総合支援法」及び「児童福祉法」において定員は省令*2にて定めるとしており、省令においては事業者が利用定員を超えてサービスの提供を行ってはならないが、災害、虐待その他のやむを得ない事情がある場合はこの限りでないことが定められています。

また、厚生労働省の通知*3において、減算(報酬が減額されること)対象は単日で定員の150%、3ヶ月の平均が定員の125%(但し定員が11人以下の場合は130%)を超過する場合と定められています。そして各都道府県知事は減算の対象となる定員超過利用については指導すること、また指導に従わず、減算対象となる定員超過利用を継続する場合には、指定の取消しを検討するものとすると定められており、その運用は各自治体に委ねられております。加えて、厚生労働省の通知*4においては、原則として利用定員の超過は禁止だが、適正なサービスの提供が確保されることを前提とし、地域の社会資源の状況等から新規の利用者を受け入れる必要がある場合等やむを得ない事情が存する場合に限り、可能である旨定められています。

当社グループでは上記法令及び各種通知事項の趣旨に則り、減算の対象とならない範囲において一部の拠点で定員を超過した運営をしております。従って今後何らかの事情により各自治体の運用や各種通知事項の内容に変更があった場合には、個別の自治体において定員を超過した運営ができなくなり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

*1:当社グループ各事業所が受けている指定は以下の通りです。なお、各事業所ごとの指定となっており、全社的な問題(例えば経営陣による不正の指示等が認められる場合)を除き指定の取り消し等についても事業所ごとに検討されます。

取得

所轄官庁

指定サービス名称

指定サービス内容

事業セグメント

有効期限

主な許認可取消事由

当社

グループ

各事業所

都道府県

指定障害福祉

サービス

障害者総合支援法の就労移行支援

LITALICOワークス事業

6年毎の更新

総合支援法第50条

(指定の取り消し等)

障害者総合支援法の就労定着支援

LITALICOワークス事業

6年毎の更新

総合支援法第50条

(指定の取り消し等)

障害者総合支援法の特定相談支援

LITALICOワークス事業

6年毎の更新

総合支援法第50条

(指定の取り消し等)

児童福祉法の児童発達支援

LITALICOジュニア事業

6年毎の更新

児童福祉法

第21条の5の24

児童福祉法の放課後等デイサービス

LITALICOジュニア事業

6年毎の更新

児童福祉法

第21条の5の24

児童福祉法の保育所等訪問支援

LITALICOジュニア事業

6年毎の更新

児童福祉法

第21条の5の24

*2:LITALICOワークス事業においては「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準」、LITALICOジュニア事業においては「児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準」

*3:LITALICOワークス事業においては「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準等の制定に伴う実施上の留意事項について」、LITALICOジュニア事業においては「児童福祉法に基づく指定通所支援及び基準該当通所支援に要する費用の額の算定に関する基準等の制定に伴う実施上の留意事項について」*4:LITALICOワークス事業においては「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業所等の人員、設備及び運営に関する基準について」、LITALICOジュニア事業においては「児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準について」

 

(2)LITALICOワークス事業への依存について

当連結会計年度の売上高に占めるLITALICOワークス事業の割合は48.2%となります。障害者雇用制度及び障害者法定雇用率は今後も継続して維持・上昇が見込まれるものの、障害者総合支援法の制定・改廃等が行われ当社グループの事業活動が制約された場合や、当社グループの運営する拠点に指定取消しや営業停止が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)個人情報保護について

当社グループ事業において、顧客及び保護者の氏名、住所、職業等の個人情報保護法に定められた個人情報を保持しております。当社グループでは、これらの個人情報の保護を重大な経営課題と認識し、個人情報の適正な取得及び厳重な管理のために、各種規程や全社員対象の社内教育を通じて、個人情報漏洩の防止に取り組んでおります。

しかしながら、これらの取り組みにもかかわらず、何らかの原因によって個人情報が流出した場合、あるいは社会保障・税番号制度(いわゆるマイナンバー制度)の導入に対して適正な対応ができない場合は、当社グループへの社会的信用が失墜し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)拠点における事故について

当社グループでは拠点の運営に関し、顧客及びスタッフの安全確保を重大な経営課題として認識し、万全の体制で臨んでいると考えております。

しかしながら、事故発生の可能性は皆無とは言えず、万一重大な事故が発生した場合や、その他の運営上における何らかのトラブルが発生した場合、顧客の流出や指定取消し等が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)訴訟等について

当社グループは、発達障害や精神障害がある方を主たる対象としたサービスを提供しております。当社グループはサービスを提供する全社員に対して教育研修を実施し、多様な状況に対応できるためのマニュアルの整備等により、事故の発生防止や緊急事態に対応できるように取り組んでおります。

しかし、利用者の病状の悪化等による訴訟等で過失責任が問われるような事態が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(6)人材の確保及び育成について

当社グループが展開する各事業は、発達障害や精神障害がある方を主たる対象としたサービスであり、新規拠点の開設に伴い、専門的な知識や指導技術を持った人材の確保が急務となっております。このため当社グループでは、経験者を対象とした通年での採用活動と並行して、適性を有する新卒学生や未経験者を採用して育成する研修部門により、継続して人材を育成するなど、人材の拡充に取り組んでおります。

しかしながら、今後、人材の確保と育成が拠点開設のスピードに追いつかない場合、当社グループの開設計画及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(7)風評等の影響について

当社グループの事業は、顧客やその家族に加えて、就労先の企業や、行政、教育機関、医療機関等の関係機関、又は地域社会の住民の皆様との連携の元に成り立つものであると認識しております。当社グループの従業員には、企業理念、ビジョンを浸透させ、コンプライアンスを遵守する意識を高く保つように社員教育を徹底しております。

しかしながら、従業員の不祥事等何らかの事象の発生や、当社グループに対して不利益な情報や風評が流れた場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(8)競合について

当社グループが属する障害福祉サービス業界は、提供サービスが人材の質に左右される傾向の強い業種であるため、当社グループの持つ採用力や人材育成のノウハウは短期間で構築することは難しいと考えられます。しかしながら、更なる競合他社の事業拡大や新規参入等により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(9)大規模な自然災害・感染症について

当社グループでは、有事に備えた危機管理体制の整備に努め対策を講じておりますが、台風、地震、津波等の自然災害や、新型インフルエンザ等の感染症の流行が、想定を大きく上回る規模で発生し、当該地域の拠点の稼働が長期に渡って困難になった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、新型コロナウイルス感染症対策として、衛生管理を徹底した上でのサービス提供を継続している他、必要に応じて在宅でのサービスに切り替える等の対応を実施しておりますが、新型コロナウイルス感染症の収束時期には不確実性を伴い、感染拡大等の要因によりサービス提供が長期に渡って困難になった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)情報システム障害について

当社グループは、コンピュータシステム及びネットワーク網を整備することで、本社・事業部間の事務処理を効率化するため、全社で顧客管理・人事処理・会計業務等にシステムを導入しております。これらのシステムを適正かつ継続的に運用するため、情報システム部による稼動状況の監視と安全性の検証、情報管理規程類の運用等を行っております。

しかしながら、これらの取組みにもかかわらず、何らかの原因によりシステムに障害が発生した場合、業務遂行が困難になり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、法令や報酬の改定内容の発表から施行までの時間が少ない場合など、請求系システムの改修が間に合わないことが想定され、請求月等の遅延が発生することが予想されます。

 

(11)固定資産の除却について

当社グループは、老朽化等の理由により一部の既存拠点の移転や改修工事が発生する可能性がございます。

当該、移転や改修工事に伴いまして、固定資産除却に係る費用が発生する可能性があり、これらの移転や改修工事が一定期間に集中した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります

 

(12)固定資産の減損について

業績動向によっては、固定資産の減損会計の適用に伴う損失処理が発生し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。当社グループとしては、減損処理が発生しないよう各拠点の収益管理を徹底し、採算性の悪い拠点に対しては積極的に対策を講じておりますが、万一、不採算拠点の増加や閉設が集中すると、多額の減損損失が発生する可能性があります。

また、新型コロナウイルス感染症拡大により、収益性が低下し、減損損失が発生する可能性があります。

 

(13)利益還元について

当社グループは、将来の財務体質の強化と事業拡大のために必要な内部留保を確保しつつ、当社グループを取り巻く事業環境を勘案して、継続的な利益還元を行うことを検討しております。しかしながら、現時点では配当を行っておらず、また今後の配当の実施及びその時期については未定であります。

 

(14)有利子負債について

当社グループは、運転資金及び新規拠点開設の設備投資資金を主に金融機関からの借入金で調達しており、当連結会計年度末時点の有利子負債比率は121.2%となっております。そのため、現行の金利水準が変動した場合や計画通りの資金調達ができなかった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(15)新株予約権行使の影響について

当社は、当社役員及び従業員に対する経営への更なるコミットメントを目的とし、新株予約権を付与しております。これらの新株予約権が権利行使された場合、当社の株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。 なお、当事業年度末時点のこれらの新株予約権による潜在株式数は330,200株であり、発行済株式総数17,597,400株の1.9%に相当しております

 

(16)大株主の持株比率について

当事業年度末 において、当社発行済株式総数の10.6%の株式を、当社創業者であり前代表取締役である佐藤崇弘氏が保有しております。同氏が保有する当社株式が売却されることにより、当社株式の需給バランスが短期的に悪化して当社株式の市場価格が変動する可能性があります。

 

(17)投資有価証券について

当社グループが保有する投資有価証券について、投資先の財政状況が変動することにより、当社グループの財政状況及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

また、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、投資先の財政状況が変動し、当社グループの財政状況及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

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