業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

はじめに、当社連結子会社である株式会社グローバルキッズは、同社が運営する認可保育所及び認証保育所において、同社本部関与の下、施設での勤務実態の無い職員について在籍しているかのように、名簿、出勤簿等を偽造し、各行政区に対して虚偽の報告を行っていたことが判明しました。これにより当社グループは、再発防止に向けた取組みを行うとともに、責任の所在を明確化するために経営体制を刷新、取締役2名は辞任、代表取締役社長は報酬減額を行いました。当該不正行為につきまして、株主の皆様、お取引先様、利用者様、行政及び関係者の皆様をはじめとした当社グループの全てのステークホルダーの皆様に、多大なるご心配とご迷惑をおかけしておりますことに対しまして、深くお詫び申しあげます。なお、同社は返還金等の納付と再発防止策を順次実行しております。

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

① 経営成績

わが国では、少子高齢化が進行し労働人口の減少への対処が喫緊の課題となっており、経済の活力の担い手と期待される女性の社会進出や活躍推進を支えるインフラとして、子育て事業者は引き続き重要な役割を担っております。

待機児童の解消に向け、政府・自治体は保育の受け皿拡大を目的に保育士確保や保育所整備の施策を講じております。具体的には、2019年10月には幼児教育・保育無償化が開始され、2020年12月には政府が「新子育て安心プラン」を公表し、2021年度から2024年度末までの4年間に保育の受け皿を新たに約14万人分確保する目標を打ち出しました。

こうした政府の取り組みにより、待機児童数は減少傾向にありますが、今後保育サービスの量的な需要が踊り場を迎えても、質の高い保育、保護者の利便性、教育機能を備えた「選ばれる園」の需要は継続すると想定されます。

また、政府は子どもに関する政策を一元化し、子どもに関する取り組み・政策を社会の中心に据える「こどもまんなか社会」を掲げる「こども家庭庁」を、2023年4月に発足させる見通しです。「こども家庭庁」設置を契機とし、子育て関連支出の対GDP比の引き上げや保育士の処遇改善・社会的地位向上を図るなど、子ども重視の政策姿勢はより強まっております。

こうした状況のもと、当社グループは東京都及び神奈川県において、新規施設の開発を進め、当連結会計年度に以下のとおり認可保育所6施設(うち1施設は認証保育所からの認可移行)を開設しております。

この結果、当社グループは当連結会計年度末時点で認可保育所141施設(東京都103施設、神奈川県28施設、千葉県4施設、埼玉県1施設、大阪府5施設)、認証保育所・認定こども園等保育施設20施設、学童クラブ・児童館10施設、児童発達支援事業所3施設の計174施設を営んでおります。

 

(認可保育所)

東京都

グローバルキッズ松陰神社駅前保育園

グローバルキッズ浜町園

グローバルキッズ豊洲園

グローバルキッズ松島園

グローバルキッズ東伏見園

神奈川県

グローバルキッズ新子安第二保育園

 

上記の結果、当連結会計年度は、売上高24,352百万円(前年同期比3.5%増)、営業利益707百万円(同22.9%増)、経常利益1,179百万円(同2.7%増)、親会社株主に帰属する当期純損失314百万円となりました。

なお、当連結会計年度は当社グループの目標とする経営指標である『中期経営計画(2024)』の1期目に当たり、2022年9月期の計画値である売上高24,900百万円、営業利益940百万円と比較した達成率は売上高97.8%、営業利益75.3%となりました。

 

② キャッシュ・フロー

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」)は、営業活動による資金の増加1,503百万円、投資活動による資金の減少705百万円、財務活動による資金の減少821百万円により23百万円減少し、1,303百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

税金等調整前当期純損失の計上により484百万円、未収入金及び契約資産(前連結会計年度までは「未収入金」として表示)の増加により428百万円、法人税等の支払いにより350百万円がそれぞれ減少した一方で、減損損失及び減価償却により2,517百万円増加したことで、1,503百万円の資金の増加となりました。

また、前連結会計年度と比較して獲得した資金が268百万円増加しております。これは、税金等調整前当期純損益が1,300百万円減少した一方で、減損損失が1,418百万円増加、法人税等の支払額が219百万円減少したことが主因です。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

建設協力金の回収による収入により21百万円、有形固定資産の取得による支出728百万円を主因として705百万円の減少となりました。

また、前連結会計年度と比較して資金の支出が201百万円減少しております。これは、有形固定資産の取得による支出が57百万円減少、敷金及び保証金の差入による支出が91百万円減少した一方で、敷金及び保証金の返還による収入が47百万円増加したことが主因です。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

長期借入金の返済による支出820百万円を主因として、821百万円の資金の減少となりました。

また、前連結会計年度と比較して資金の支出が5百万円増加しております。これは、長期借入金の返済による支出が83百万円、長期借入れによる収入が90百万円それぞれ減少したことが主因です。

 

(2) 生産、受注及び売上の実績

① 生産実績

当社グループは生産活動を行っていないため、該当事項はありません。

 

② 受注実績

当社グループは受注生産を行っていないため、該当事項はありません。

 

 

③ 売上実績

当連結会計年度(自 2021年10月1日 至 2022年9月30日)の売上実績を示すと、次のとおりであります。なお、当社グループは子育て支援事業の単一セグメントであります。

 

セグメントの名称

当連結会計年度
(自 2021年10月1日
 至 2022年9月30日)

前年同期比(%)

子育て支援事業(百万円)

24,352

3.5

 

(注) 1.上記の金額には消費税は、含まれておりません。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該売上実績の総売上実績に対する割合は次のとおりであります。

 

相手先

前連結会計年度
(自 2020年10月1日
 至 2021年9月30日)

当連結会計年度
(自 2021年10月1日
 至 2022年9月30日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

横浜市

3,320

14.1

3,469

14.2

 

3.上記は、子育て支援事業における同市からの運営に関する補助金収入で、売上計上しております。

 

(3) 経営者の視点による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、損益又は、資産の状況に影響を与える見積りの判断は、一定の会計基準の範囲の中において、過去の実績や判断時点で入手可能な情報に基づき合理的に行っておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

 

(固定資産の減損処理)

当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては決算時点で入手可能な情報等に基づき慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。

 

(投資有価証券の減損)

当社グループは、投資有価証券のうち、満期保有目的の債券、子会社株式及び関連会社株式並びにその他有価証券のうち、市場価格のない株式等については、実質価額が取得価額に対して50%程度以上下回った場合には「著しく下落した」ものとし、回復可能性が十分な根拠により裏付けられる場合を除き減損処理を行っております。

将来の時価の下落または投資先の業績不振や財政状態の悪化により、現状の帳簿価額に反映されていない損失又は帳簿価額の回収不能が生じ、減損処理が必要となる可能性があります。

 

 

(繰延税金資産の回収可能性)

当社グループは、繰延税金資産について将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を十分に検討し回収可能見込額を計上しております。しかし、繰延税金資産の回収可能見込額に変動が生じた場合には、繰延税金資産の取崩し又は追加計上により利益が変動する可能性があります。

 

② 財政状態の分析

(資産)

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末と比較して1,509百万円減少し16,601百万円となりました。

流動資産は、前連結会計年度末と比較して416百万円増加し4,546百万円となりました。これは、未収入金及び契約資産(前連結会計年度までは「未収入金」として表示)が428百万円増加したことが主因です。

固定資産は、前連結会計年度末と比較して1,925百万円減少し12,054百万円となりました。これは、保育所の新規開設により建物及び構築物や機械装置等を新規取得した一方で、減損損失及び減価償却により有形固定資産が1,772百万円減少したことが主因です。

 

(負債)

当連結会計年度末の総負債は、前連結会計年度末と比較して1,218百万円減少し8,233百万円となりました。

流動負債は、前連結会計年度末と比較して5百万円増加し3,217百万円となりました。これは、未払金が55百万円、前受金が34百万円それぞれ増加した一方で、1年内返済予定の長期借入金が66百万円減少したことが主因です。

固定負債は、前連結会計年度末と比較して1,223百万円減少し5,015百万円となりました。主な要因は、長期借入金が754百万円減少したためです。

なお、総有利子負債は前連結会計年度と比べて823百万円減少し自己資本比率は2.7ポイント上昇しております。

 

(純資産)

当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末と比較して290百万円減少し8,367百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純損失の計上により利益剰余金が314百万円減少したことが要因です。

 

③ 経営成績の分析

(売上高)

売上高は、前連結会計年度に比べ3.5%増収の24,352百万円となりました。

これは前期に実施した一部運営補助金の計上時期変更の反動や企業主導型保育事業の譲渡があったものの、保育所の新規開設や開園2年目を中心に比較的新しい園の園児数充足率向上が寄与したためです。

 

(売上原価)

売上原価は前連結会計年度に比べ3.1%増の21,304百万円となりました。前連結会計年度と比較して、一部の運営補助金の計上時期変更や食材費・水道光熱費上昇等の影響があった一方、園児数増加に伴う増収効果や企業主導型保育事業譲渡・不採算施設閉園等により売上原価率は前連結会計年度の87.8%から当連結会計年度の87.5%と0.3ポイント上昇しました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ1.8%増の2,339百万円となりました。M&A等一時的な費用を計上したものの、業務効率化の取り組みにより本部人件費が減少し、販管費率は前連結会計年度の9.8%から当連結会計年度は9.6%へ低下しました。営業利益については、売上高増加に加え売上原価率、販管費率の改善が寄与し、前連結会計年度に比べ22.9%増益の707百万円となり、営業利益率は、前連結会計年度の2.4%から当連結会計年度は2.9%へ上昇いたしました。

 

 

(営業外損益と経常利益)

当連結会計年度の営業外収益は前連結会計年度に比べ18.7%減の654百万円、営業外費用は前連結会計年度に比べ21.3%減の183百万円となりました。営業外収益が減少した要因は、保育所の新規開設数が縮小したことに伴い、開設に伴う補助金収入が減少したためです。営業外費用が減少した要因は、新規開設数縮小により開設準備費用が減少したためです。この結果、当連結会計年度の営業外収支は471百万円と前連結会計年度に比べ100百万円減少したものの、営業利益の増加により経常利益は前連結会計年度比2.7%増の1,179百万円となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

税金等調整前当期純損失は、484百万円(前連結会計年度は815百万円の利益)となりました。これは特別利益に新株予約権戻入益及びシステム障害に係る受取保険金を計上したものの、特別損失として施設の固定資産に係る減損損失やシステム障害対応費用を計上したためです。親会社株主に帰属する当期純損失は、314百万円(前連結会計年度は481百万円の利益)となりました。

 

④ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
イ.キャッシュ・フローの状況の分析

当社グループのキャッシュ・フローの状況の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フロー」をご参照下さい。

なお、今後の資金需要のうち主なものは、子育て支援施設等の設備投資、施設の運営費の支払いによるものであります。

 

ロ.財政政策

当社グループは、運転資金及び設備資金につきましては、内部資金または借入により資金調達することとしております。M&A等の成長投資が重要であり、これらの資金需要は内部資金又は長期借入により調達しております。

2022年9月30日現在、長期借入金の残高は3,711百万円であります。また、当連結会計年度末において、複数の金融機関との間で合計3,680百万円の当座貸越契約を締結しております(借入実行残高0百万円、借入未実行残高3,680百万円)。

 

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