業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響による厳しい状況が徐々に緩和され、緩やかな回復基調にありましたが、ロシアによるウクライナ侵攻など国際情勢の緊迫化に加え、急激な円安進行、原材料価格やエネルギー価格の高騰などが重なり、先行きは不透明な状況が続いております。

 当社グループが主にサービスを提供する情報産業分野においては、デジタル経済の急速な浸透により、クラウドコンピューティング、AI、IoT、ビッグデータ、RPAなどの先端技術を活用した「デジタルトランスフォーメーション(DX)」推進の活発化に伴うIT投資需要は、堅調に推移するものと見込んでおります。最適なITインフラが企業の経営戦略を支える重要な役割を担い、これら企業の需要に対応する質の高いITエンジニアの採用・育成の必要性が加速度的に高まっております。

 このような環境の下、当社グループは当連結会計年度において、エンジニアの純増計画を期初計画459名から630名(+171名増)に引き上げ、良質なエンジニアの育成によるサービスの価値向上に取り組むとともに、社内エンジニアのDXシフトを強化してまいりました。

 

(a)財政状態

 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末と比べ889,747千円増加し9,620,428千円となりました。

 当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ13,116千円減少し4,101,275千円となりました。

 当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ902,864千円増加し5,519,152千円となりました。

 

(b)経営成績

 当連結会計年度の業績について、当社グループの売上高は17,859,101千円(前連結会計年度比17.0%増)、営業利益は886,662千円(前連結会計年度比34.6%減)、経常利益は1,434,021千円(前連結会計年度比21.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は966,159千円(前連結会計年度比22.1%減)となりました。

 

 事業分野別のセグメント概況は、次のとおりであります。

 なお、第1四半期連結会計期間より、「みどりクラウド事業」を報告セグメントとして記載する方法に変更したことに伴い、報告セグメントを従来の「システムインテグレーション事業」、「デジタルトランスフォーメーション事業」及び「機械設計エンジニアリング事業」の3区分から、「システムインテグレーション事業」、「デジタルトランスフォーメーション事業」、「みどりクラウド事業」及び「機械設計エンジニアリング事業」の4区分に変更しております。以下の前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。

 

(システムインテグレーション事業)

 システムインテグレーション事業においては、既存技術領域でのIT技術支援を推進し、長期安定的な分野であるITインフラ・クラウドテクノロジーや、デジタルクリエイティブ・WEB運営、WEBシステム開発などのサービスを提供しております。

 当連結会計年度においては、引き続き、「ITインフラの設計構築・運用」「システムの開発および運用」等の成長領域におけるエンジニアの採用および育成に取り組んでまいりました。また、ビジネスパートナー各社との連携強化による外部リソース活用の拡大に積極的に取り組みました。

 これらの結果、当セグメントの売上高は12,958,462千円(前連結会計年度比20.0%増)、セグメント利益は641,080千円(前連結会計年度比28.1%減)となりました。

 

(デジタルトランスフォーメーション事業)

 デジタルトランスフォーメーション事業においては、Salesforceの定着化支援を軸としたカスタマーサクセスソリューション事業のほかクラウドシステムの構築や運用、企業の情報資産を保護するサイバーセキュリティ等の先端技術を用いたサービスを提供しております。

 当連結会計年度において、カスタマーサクセスソリューション事業では、新規顧客開拓に注力したほか、これまで以上の積極的な人材採用や社内エンジニアのDXシフトを強化することにより、Salesforceエンジニアの育成・創出に取り組みました。NTTデータ社およびりそなホールディングス社とのアライアンスにより、更なる新規顧客拡大を加速させてまいります。

 Salesforce定着化支援を行っているカスタマーサクセスソリューション事業を分割し(決議日:2022年8月26日、効力発生日:2022年12月1日)、連結子会社である株式会社セラクECA(株式会社セラクCCCに商号変更)に承継させることにいたしました。

 これらの結果、当セグメントの売上高は4,024,308千円(前連結会計年度比8.9%増)、セグメント利益は312,158千円(前連結会計年度比29.5%減)となりました。

 

(みどりクラウド事業)

 みどりクラウド事業では、ITを用いて農業・畜産・水産のDX化を支援する「みどりクラウド」「ファームクラウド」などのプラットフォームサービス、一次産業をはじめとした各産業分野の個別課題を解決するソリューションサービスを展開しております。

 当連結会計年度において、プラットフォームサービスでは販売代理店とのアライアンス強化を図り、ソリューションサービスにおいては今後の事業拡大に向け、開発体制の強化に注力いたしました。

 これらの結果、当セグメントの売上高は340,590千円(前年同期比12.2%増)、セグメント損失は63,362千円(前連結会計年度はセグメント損失24,299千円)となりました。

 

(機械設計エンジニアリング事業)

 機械設計エンジニアリング事業においては、連結子会社である株式会社ピーズエンジニアリングでの3DCAD分野の技術提供、機械・金型などの受託設計サービス、実験や性能検査などの品質管理に関わる技術を提供しておりますが、新たな技術提供の領域として、通信建設や情報通信のサービスも拡大いたしました。

 当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う市況の影響はあるものの、徐々にニーズの回復がみられ、稼働率が向上したことと、新しい技術領域での案件獲得が図られたことにより、売上は堅調に推移いたしました。引き続き、各領域での案件獲得が期待されることから、企業規模拡大に向け積極的に採用及び育成に取り組んでまいります。

 これらの結果、当セグメントの売上高は565,334千円(前連結会計年度比19.6%増)、セグメント利益は641千円(前連結会計年度比98.7%減)となりました。

 

(その他事業)

 その他事業においては、連結子会社である株式会社セラクCCCでの有料職業紹介・人材派遣・IT技術教育講座等のサービスを提供しております。

 当連結会計年度においても、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う市況の悪化が続いていることから、当社グループにおける今後の方針について、検討を進めてまいります。

 これらの結果、当セグメントの売上高はありませんでした(前連結会計年度は2,835千円)。セグメント損失は3,855千円(前連結会計年度はセグメント損失1,872千円)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、資金という)の残高は、5,608,159千円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は、704,481千円(前連結会計年度は1,467,861千円の収入)となりました。

 主な要因は、法人税等の支払額662,051千円、売上債権の増加額515,633千円等の資金の減少要因があったものの、税金等調整前当期純利益1,423,146千円、賞与引当金の増加額155,135千円、未払消費税等の増加額93,457千円、未払金の増加額62,757千円、仕入債務の増加額48,513千円、減価償却費47,725千円を計上したこと等の資金の増加要因が生じたことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は、176,949千円(前連結会計年度は186,333千円の使用)となりました。

 主な要因は、保険積立金の積立による支出83,602千円、有形固定資産の取得による支出65,078千円、敷金及び保証金の差入による支出28,900千円等の資金の減少要因が生じたことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は、328,880千円(前連結会計年度は154,674千円の使用)となりました。

 主な要因は、長期借入金の返済による支出255,570千円、配当金の支払額77,730千円等の資金の減少要因が生じたことによるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の状況

(a)生産実績

 当社グループは受注生産を一部行っておりますが、事業内容が多岐にわたっており、受注生産の重要性が乏しいことから、記載を省略しております。

 

(b)受注実績

 当社グループは受注開発を一部行っておりますが、事業内容が多岐にわたっており、受注開発の重要性が乏しいことから、記載を省略しております。

 

(c)販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年9月1日

至 2022年8月31日)

前連結会計年度比(%)

システムインテグレーション事業(千円)

12,958,462

20.0

デジタルトランスフォーメーション事業(千円)

4,024,308

8.9

みどりクラウド事業(千円)

340,590

12.2

機械設計エンジニアリング事業(千円)

565,334

19.6

その他事業(千円)

△100.0

調整額(千円)

△29,594

合計

17,859,101

17.0

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が100分の10以上に該当する相手先がないため記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり必要となる見積りに関しては、過去の実績等を勘案し合理的と判断される基準に基づいて行っております。なお、連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況、1連結財務諸表等、(1) 連結財務諸表、注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による会計上の見積りへの影響については、「第5 経理の状況、1連結財務諸表等、(1) 連結財務諸表、注記事項(追加情報)」に記載しております。

 

② 財政状態の分析

(a)資産

 当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末と比べ889,747千円増加し9,620,428千円となりました。これは主に、仕掛品が21,499千円減少したものの、売掛金及び契約資産(前連結会計年度は「受取手形及び売掛金」)が515,633千円、現金及び預金が200,852千円、保険積立金が83,602千円、流動資産「その他」が56,223千円、繰延税金資産が52,146千円増加したことなどによるものであります。

 

(b)負債

 当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ13,116千円減少し4,101,275千円となりました。これは主に、1年内返済予定の長期借入金が344,430千円、賞与引当金が155,135千円、未払消費税等が93,457千円、流動負債「その他」が64,269千円、未払金が49,561千円、買掛金が48,513千円増加したものの、長期借入金が600,000千円、未払法人税等が153,037千円減少したことなどによるものであります。

 

 

(c)純資産

 当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ902,864千円増加し5,519,152千円となりました。これは主に、利益剰余金が894,566千円増加したことによるものであります。

 

③ 経営成績の分析

(a)売上高

 売上高については17,859,101千円(前連結会計年度比17.0%増)となりました。これは主に、引き続き堅調な市況感での技術者並びに受注案件の増加によるものであります。

 

(b)売上原価

 売上原価については13,954,524千円(前連結会計年度比20.3%増)となりました。これは主に、売上高の増加によるものであります。

 この結果、売上総利益は3,904,576千円(前連結会計年度比6.5%増)となりました。

 

(c)販売費及び一般管理費

 販売費及び一般管理費については3,017,913千円(前連結会計年度比30.6%増)となりました。これは主に、販売費や人件費の増加によるものであります。

 この結果、販売費及び一般管理費は増加した一方、採用効率化やキャリア支援が一定の成果を上げたため、営業利益は886,662千円(前連結会計年度比34.6%減)となりました。

 

(d)営業外損益

 営業外損益については、営業外収益が550,871千円(前連結会計年度比13.7%増)、営業外費用が3,512千円(前連結会計年度比13.1%減)となりました。

 この結果、経常利益は1,434,021千円(前連結会計年度比21.9%減)となりました。

 

(e)特別損益

 特別損益については、特別損失が11,318千円となりました。これは主に、投資有価証券評価損10,711千円が発生したことによるものであります。

 この結果、税金等調整前当期純利益は1,423,146千円(前連結会計年度比21.8%減)となりました。

 

(f)親会社株主に帰属する当期純利益

 法人税等合計は、法人税、住民税及び事業税を513,264千円、法人税等調整額を△56,276千円計上し456,987千円となりました。

 この結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は966,159千円(前連結会計年度比22.1%減)となりました。

 

④ キャッシュ・フローの状況の分析

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、資金という)の残高は、5,608,159千円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は、704,481千円(前連結会計年度は1,467,861千円の収入)となりました。

 主な要因は、法人税等の支払額662,051千円、売上債権の増加額515,633千円等の資金の減少要因があったものの、税金等調整前当期純利益1,423,146千円、賞与引当金の増加額155,135千円、未払消費税等の増加額93,457千円、未払金の増加額62,757千円、仕入債務の増加額48,513千円、減価償却費47,725千円を計上したこと等の資金の増加要因が生じたことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は、176,949千円(前連結会計年度は186,333千円の使用)となりました。

 主な要因は、保険積立金の積立による支出83,602千円、有形固定資産の取得による支出65,078千円、敷金及び保証金の差入による支出28,900千円等の資金の減少要因が生じたことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は、328,880千円(前連結会計年度は154,674千円の使用)となりました。

 主な要因は、長期借入金の返済による支出255,570千円、配当金の支払額77,730千円等の資金の減少要因が生じたことによるものであります。

 

⑤ 資本の財源及び資金の流動性

 当社グループは、今後も更なる収益基盤の安定化及び持続的な成長を図るためには、収益源の多様化を実現する必要があると考えており、自社による新規事業の創出及び拡大のみならず、業務提携、M&A等の新たな事業・サービスへの提携・投資を積極的に取り組んでいく方針であります。当社グループの運転資金需要のうち主なものは、当社グループのサービスを効果的に拡大していくための採用費、開発に係る人件費及び研究開発費であります。投資を目的とした資金需要は、主にM&A及び設備投資等によるものであります。これらの資金需要は自己資金により充当することを基本的な方針としておりますが、多額なM&A等の戦略的投資については、必要に応じて金融機関からの借入を実施いたします。

 

⑥ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループが参入している業界において、技術革新のスピードが速く、常に最先端に向けた研究開発や成長のための投資を積極的かつ継続的に行う必要があるため、事業の収益力を示す売上高経常利益率を中長期的な経営指標として重視しております。

 

⑦ 経営者の問題認識と今後の方針

 経営者の問題認識と今後の方針につきましては、「第2 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

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