文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループの経営理念は、「あらゆる人が『働く楽しさ・喜び』を実感できる社会をつくる」であり、経営方針は、「社会の求めるサービスをいち早く開発し提供する」、「あらゆる人にジャストフィットするカスタマイズされたサービスを提供する」、「人とITを有効活用し、リーズナブルであることを追求する」、「どのような人でも活躍できる社会の実現を目指し、ダイバーシティを実現する」としています。
(2)経営環境及び経営戦略
社会人教育市場は労働生産性向上やリスキリングへの取組み、並びに人的資本経営を通じた企業価値向上などを背景に底堅いニーズがあります。そのような中、コロナ禍による一時的な縮小がありましたが、当連結会計年度(自 2021年10月1日 至 2022年9月30日)の社会人教育市場はオンライン研修の普及、4月以降は対面型研修の増加などにより回復傾向にあり、約3,400億円(※1)と推定されます。現在、当社の市場シェアは約2%であり、今後も研修事業の成長余地は大きいと考えます。
またITサービス事業に関わる人事部門のIT化市場規模は約2,000億円(※2)と推定されます。今後、人的資本の価値向上及び情報開示にかかる事務改善に対する需要が高まると想定しており、市場は堅調に拡大すると考えます。
このような経営環境の中、当社グループはさらなる市場シェアの拡大と持続的な成長を目指すため、中期経営計画「Road to Next 2025」を策定いたしました。当社の強みである「コンテンツ開発力」「営業力」「システム開発力」を活かし、社会のニーズに合わせて多様な事業を展開します。
※1 厚生労働省「能力開発基本調査」及び総務省統計局「労働力調査」より当社にて算出
※2 経済産業省「情報通信業基本調査」より当社にて算出
■中期経営計画「Road to Next 2025」
基本方針
顧客セグメントに合わせた営業・コンテンツ開発体制をより一層強化し、顧客へ高付加価値サービスを提供することで、高成長かつ営業利益率33%以上を目指す
① 人的資本経営関連サービスを多角的に展開
当社は、人的資本経営における企業の課題を「人的資本の価値向上」「人的資本の情報開示」の2つであると考えます。課題解決に向け、DX分野を含む教育、人事サポートシステム・LMS「Leaf」をベースとした人的資本情報管理ツール、コンサルティング・アセスメントの3つの分野でサービスの開発提供を行い、多角的に事業を展開します。
② 新規成長分野(研修事業・ITサービス事業に続く事業)の開発・販売促進
新たなビジネスチャンスの獲得及び、より広い分野での社会課題の解決を目指し、地方創生事業、オンライン事業、Webマーケティング事業、人材紹介などのサービスを新規成長分野と新たに位置づけ、開発と販促を強化いたします。
③ ESG重点項目への取り組み強化(ESG+P経営の強化)
当社グループは、経営理念である『あらゆる人が「働く楽しさ・喜び」を実感できる社会をつくる』に基づき、事業を通じて、働く人に関わる社会課題の解決に取り組んでおります。また、ESG+P(業績・Performance)経営を掲げ、サステナビリティへの取り組みを拡大させながら、持続的な成長と中長期的な企業価値向上を目指して参ります。本中計では、環境負荷の低減(CO2削減)及び福祉の事業化などによる社会課題の解決を重点項目と位置付け、サステナビリティへの取り組みを強化いたします。
(3)対処すべき課題
上述の経営環境に基づき、当社グループが対処すべき主な課題として、以下の項目に取り組んで参ります。
① 時代に即した商品・サービスの拡充
人的資本経営/リスキリングなど、社会の関心・ニーズに応える研修コンテンツやサービスを、いち早く開発することが必要と考えております。そのためにも、顧客セグメント別の営業・サービス開発体制の更なる強化を図って参ります。
② 人材確保
中期経営計画の達成に向けては、全職種において人材の確保が不可欠であると考えております。そのためにも、グループ人事部以外の部門も採用活動を実施し、営業、システムエンジニア(SE)、コンテンツクリエイターを中心とした新卒採用・中途採用を強化いたします。並行して、グループ内インターン強化により社員のDX人材化・多能工化を促進し、営業力・サービス開発力・ITスキルを兼ね備えたマルチスキル人材の育成を推進して参ります。
③ 講師の新規採用と育成
売上規模の拡大に対して講師数、特にDX分野の採用と育成が急務と考えています。講師採用部門の人員増強及び各営業拠点に育成対象講師を割り振り、講師の経験・実績づくりに営業全体で取り組んで参ります。
(4)サステナビリティに関する取り組み
当社グループは、経営理念である『あらゆる人が「働く楽しさ・喜び」を実感できる社会をつくる』に基づき、事業を通じて、働く人に関わる社会課題の解決に取り組んでおります。また、ESG+P(業績・Performance)経営を掲げ、サステナビリティへの取り組みを拡大させながら、持続的な成長と中長期的な企業価値向上を目指して参ります。ESG・サステナビリティに関する取り組みについては、当社ホームページに掲載しております。
https://www.insource.co.jp/ir/ir_sustainability.html
① 行動指針
・企業活動を通じて、社会・環境に貢献する
・全てのステークホルダーとの共創を目指す
・健全で透明なガバナンス体制のもと、企業活動を進める
② サステナビリティ推進体制
2022年7月に取締役執行役員常務が議長を務めるサステナビリティ委員会を設置しました。当委員会は、代表取締役執行役員社長から任命された組織であり、機動力をもってESG視点での経営を推進し、気候関連課題を含むサステナビリティ全体のリスク管理、戦略の推進に対し責任を負っています。取締役執行役員常務は気候関連課題を含む各タスクフォースの報告を基に施策実行などの判断を行い、四半期に一度、委員会の活動内容を取締役会にて報告を行っています。
③ マテリアリティ(重点課題)
当社ではESG+P経営の方針のもと、各マテリアリティに対して様々な取り組みを推進しております。
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マテリアリティ |
概要 |
当社事業 |
教育・ITサービスを 通じた組織課題の解決、生産性向上 |
・仕事のやり方(HOW)教育 多様な手段で、高品質かつリーズナブルな教育の提供 ・教育インフラの提供 生産性向上を実現するITシステムの提供 |
E |
環境への配慮 |
環境負荷の低減、CO2排出量の削減 (節電実施・電子テキスト提供) |
S |
人的資本価値向上 |
多様な人材が活躍できる職場の実現 (ダイバーシティ、人材育成) |
社会との共創 |
社会課題の解決・多様な人々が活躍するための持続的な仕組みの構築 (生理の貧困対策プロジェクト、福祉団体の収益向上) |
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G |
ガバナンスの強化 |
当社情報の発信及び投資家との対話 |
■2022年9月期の主な取り組み
E 環境
・2022年2月 長期環境目標設定 ~2030年にScope2を2020年度比50%削減の140t-CO2へ
・2022年4月 研修事業(講師派遣型研修及び公開講座)にて「電子テキストサービス」提供開始
2023年9月期も引き続き、TCFD提言への対応及びGHG削減に向け取り組みを強化して参ります。
S 社会
・2021年10月 福祉団体の商品を集めたECサイト「mon champ(モンシャン)」を開設、4団体25種販売
・2021年11月 荒川区と包括協定を締結、ひとり親家庭への特別講座を22年12月より計5回開催
・2022年2月 生理の貧困対策支援プロジェクトを開始、3社90万円の寄付受付
2023年9月期は、立ち上げたECサイトやプロジェクトの拡大を目指して参ります。
G ガバナンス
・2021年12月 指名報酬委員会設置
・2022年5月 統合報告書2021発行
・2022年7月 統合報告書2021発行 (英語版)
・2022年7月 サステナビリティ委員会設置
2023年9月期も、透明性の高い経営を目指し、非財務情報を積極的に開示して参ります。
④ 人的資本価値向上への取り組み
当社グループは、経営理念である『あらゆる人が「働く楽しさ・喜び」を実感できる社会をつくる』に基づき、事業を通じて、働く人に関わる社会課題の解決に取り組んでおります。また経営方針の1つとして、『どのような人でも活躍できる社会の実現を目指し、ダイバーシティを実現する』を掲げ、組織作りの指針に沿い人的資本価値向上における取り組みを進めております。
イ.組織づくりの指針
・あらゆる人が、それぞれの個性と能力を最大限に発揮し、お互いがお互いを尊重し認め合うことを通じて、
組織の成長を実現します。
・すべての人が平等に機会を与えられ、公正に評価される、納得性と透明性の高い組織を実現します。
・人種、国籍、宗教、性別、性的指向や性自認、障がいの有無、年齢、出身地、価値観、ライフスタイルなど
による、あらゆる差別や偏見がない職場づくりを促進し、継続的な組織の成長を実現します。
ロ.ダイバーシティ
当社グループでは女性が半分以上を占めており、外国出身者や60才以上のシニア、LGBT、障がいのある方など、多様な人材が共に働く組織です。また世の中のダイバーシティ推進にも力を注ぎ、関連するサービスを各種取り扱っています。これらのサービスを提供する組織として、社内にも多様な人材が在籍し、多様な働き方を実現しています。
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2020年9月期 |
2021年9月期 |
2022年9月期 |
全管理職に占める女性の管理職の割合 |
28.9% |
34.6% |
37.8% |
期中の管理職昇格者に占める女性の割合 |
36.0% |
44.2% |
52.6% |
社員全体に占める女性の割合 |
58.1% |
55.4% |
56.1% |
女性の育児休業取得率 |
100% |
100% |
100% |
男性の育児休業取得率 |
25.0% |
46.2% |
92.3% |
ハ.社内の人材育成
当社は、スピード感をもって柔軟に変化し続けることが日常であり、社員には、時代や環境の変化に対応し、成長し続けることが求められます。そのような人材を育成するために、時代の変化に合わせて必要なスキルを柔軟に取り入れ、最適な人材育成を実施しています。
階層別研修以外には、全社基盤教育としてeラーニング教育や資産形成に関する取り組み、定期的な公開講座受講など幅広い取り組みを実施しています。あわせて全社員へのITスキル研修実施やグループ内インターン強化を実施し、社員のDX人材化・多能工化を促進し、営業力・サービス開発力・ITスキルを兼ね備えたマルチスキル人材の育成を推進しています。
また、新卒入社1年以内、中途入社半年以内の社員を「先行投資枠」と定義し、特に新卒についてはDXスキルと営業スキルの両方を持つ新たな中核人材として育成を進めております。
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2020年9月期 |
2021年9月期 |
2022年9月期 |
従業員1人当たりの研修時間 (eラーニング含む) |
17時間57分 |
15時間44分 |
10時間43分 |
DX研修 各年度における延べ受講者数 |
159名 |
201名 |
681名 |
従業員の自社サービス経験率 |
100% |
100% |
100% |
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