業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度(2021年4月1日~2022年3月31日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症が続く中、ワクチン接種の普及が進むにつれて経済活動の段階的な再開により消費活動の正常化が進みましたが、新たな変異株が拡大するなど依然として予断を許さない状況で推移しました。また、世界経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響やウクライナ情勢の緊迫化の影響を受け、半導体をはじめとする部材需給がさらに逼迫すると同時にエネルギー価格がより一層高騰することなどが景気減速の懸念となり、先行きは不透明な状況で推移しました。

 当社グループの事業に関連する業界におきましては、主要部材の調達先が新型コロナウイルス感染症による生産活動の制約を受けたこと及び世界的なコンテナ不足に伴う物流の停滞によってサプライチェーンが混乱したことなどにより、部材の調達が不安定となりましたが、業界の設備投資意欲は国内・海外共に回復し、需要は堅調に推移しました。

 このような市場環境のもと、当社グループは2024年3月期を最終年度とする第3期中期経営計画に基づいた事業活動を推進し、中長期的な視点からの持続的な成長と安定した収益確保に取り組んでまいりました。

 この結果、当連結会計年度の業績につきましては、受注高は36,137百万円(前年同期比22.5%増)、売上高は33,273百万円(同33.8%増)となり、過去最高の水準となりました。このうち、国内売上高は8,743百万円(同26.6%増)、海外売上高は24,530百万円(同36.5%増)となり、海外比率は73.7%となりました。

 利益につきましては、長期化する部材供給不足に伴う生産遅延や海上運賃値上がりの影響を受けて物流費コスト増となりましたが、売上高の増加、設備投資による生産の効率化及び操業度増効果などが寄与したことにより、営業利益は1,759百万円(前年同期は営業損失211百万円)、経常利益は1,970百万円(前年同期は経常損失101百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,276百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失232百万円)となりました。

 また、当社グループにおける当連結会計年度末の財政状態につきましては、総資産は31,133百万円(前年同期比2,560百万円増)、負債は11,506百万円(同1,091百万円増)、純資産は19,627百万円(同1,468百万円増)となりました。

 

製品別の売上の状況は、次のとおりであります。

[射出成形機]

 射出成形機につきましては、国内は自動車部品、日用雑貨や容器類などの生活用品や医療機器関連が増加しました。また、海外におきましては、中国でのIT電子機器や医療機器関連の小型機が増加しました。また、アジアでの自動車関連や欧州における生活用品関連の中大型機が増加しました。この結果、受注高は26,648百万円(前年同期比10.5%増)、売上高は25,961百万円(同32.4%増)となりました。このうち、海外売上高は19,296百万円(同33.6%増)となり、海外比率は74.3%となりました。

[ダイカストマシン]

 ダイカストマシンにつきましては、国内は自動車関連の需要が回復し増加しました。海外におきましては、中国やアジアで自動車関連が増加しました。この結果、受注高は9,489百万円(前年同期比76.3%増)、売上高は7,312百万円(同38.9%増)となりました。このうち、海外売上高は5,234百万円(同48.8%増)となり、海外比率は71.6%となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は7,143百万円となり、前連結会計年度末と比べ39百万円の減少となりました。

 営業活動によるキャッシュ・フローは、減価償却費の計上の収入要因があったものの、売上債権及び棚卸資産の増加等により550百万円の支出(前連結会計年度3,778百万円の収入)となりました。

 投資活動によるキャッシュ・フローは、有形及び無形固定資産の取得を行ったこと等により315百万円の支出(前連結会計年度1,321百万円の支出)となりました。

 財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済及び配当による支出があったものの、短期借入金による収入により540百万円の収入(前連結会計年度344百万円の支出)となりました。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度における生産実績は、次のとおりであります。

区分

生産高(百万円)

前年同期比(%)

成形機

33,677

42.7

(注)金額は、販売価格によっております。

 

b.受注実績

 当連結会計年度における受注実績は、次のとおりであります。

区分

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

成形機

36,137

22.5

13,052

28.1

 

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。

区分

販売高(百万円)

前年同期比(%)

成形機

33,273

33.8

(注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

株式会社マルカ

2,370

9.53

2,861

8.60

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。その作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りについて、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っていますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は、これらと異なる可能性があります。当社グループが採用する重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表の作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすものと考えております。

 

a.貸倒引当金

 債権の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。

 将来、顧客の財政状態が悪化し支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上が必要となる可能性があります。

 

b.投資有価証券の減損

 取引関係の維持・強化のために、特定の顧客・仕入先の株式を保有しております。市場価格のない株式等以外のものについては、期末における時価が取得価額に比べ50%以上下落した場合に時価まで減損処理を行い、30%以上50%未満下落した株式等の減損は、個別銘柄毎に回復可能性を検討し、回復する見込みがないものについて減損処理を行っております。また、市場価格のない株式等については、期末における実質価額が著しく低下した場合に減損処理を行っております。将来、株式市場の悪化又は投資先の業績不振により、評価損の計上が必要となる可能性があります。

 

c.繰延税金資産

 繰延税金資産については、将来の課税所得の見込み及び事業計画に基づき、回収可能性を十分に検討し、回収可能な額を計上しております。なお、すでに計上した繰延税金資産については、その実現可能性について毎期検討し、内容の見直しを行っておりますが、将来の課税所得の見込みの変化やその他の要因に基づき繰延税金資産の実現可能性の評価が変更された場合、繰延税金資産の取崩又は追加計上により親会社株主に帰属する当期純利益が変動する可能性があります。

 

d.製品保証引当金

 成形機のアフターサービスに対する費用の支出に備えるため、保証書の約款に従い、過去の実績を基礎にして、当連結会計年度における必要見込額を計上しております。予期せぬ不良の発生等により追加引当が必要になる可能性があります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度(2021年4月1日~2022年3月31日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症が続く中、ワクチン接種の普及が進むにつれて経済活動の段階的な再開により消費活動の正常化が進みましたが、新たな変異株が拡大するなど依然として予断を許さない状況で推移しました。また、世界経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響やウクライナ情勢の緊迫化の影響を受け、半導体をはじめとする部材需給がさらに逼迫すると同時にエネルギー価格がより一層高騰することなどが景気減速の懸念となり、先行きは不透明な状況で推移しました。

当社グループの事業に関連する業界におきましては、主要部材の調達先が新型コロナウイルス感染症による生産活動の制約を受けたこと及び世界的なコンテナ不足に伴う物流の停滞によってサプライチェーンが混乱したことなどにより、部材の調達が不安定となりましたが、業界の設備投資意欲は国内・海外共に回復し、需要は堅調に推移しました。

 

(売上高)

 国内は、自動車関連、日用雑貨品や容器類などの生活関連や医療機器関連が増加しました。海外は、中国でのIT電子機器や医療機器関連の小型機が増加しました。また、アジアでの自動車関連や欧州における生活関連の中大型機が増加したことから、売上高は33,273百万円(同33.8%増)となりました。

 

(営業利益)

 販売費及び一般管理費は、出荷増に伴い輸送費が増加したことに加え、海上運賃値上がりの影響を受けて物流費のコストが増加したことから、前期比16%増の5,339百万円となりましたが、売上原価は、長期化する部材供給不足に伴う生産遅延などがあったものの、生産増加に伴う操業度増効果や設備投資による生産の効率化などが寄与したことにより、原価率が3.7ポイント低下したことから、営業利益は1,759百万円(前年同期は営業損失211百万円)となりました。

 

(経常利益)

 営業外収益において、為替差益や固定資産賃貸収入などがあったことから、経常利益は1,970百万円(前年同期は経常損失101百万円)となりました。

 

(税金等調整前当期純利益及び親会社株主に帰属する当期純利益)

 税金等調整前当期純利益は、1,970百万円(前年同期は税金等調整前当期純損失101百万円)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、法人税等合計額677百万円及び非支配株主に帰属する当期純利益15百万円を計上した結果、1,276百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失232百万円)となりました。

 

(流動資産)

 当連結会計年度末における流動資産は、22,651百万円となり前連結会計年度末に比べ3,140百万円増加しました。これは、主に売上債権の増加1,656百万円、棚卸資産の増加1,279百万円及びその他流動資産の増加245百万円があったことによるものであります。

 

(固定資産)

 当連結会計年度末における固定資産は、8,482百万円となり前連結会計年度末に比べ579百万円減少しました。これは、主に有形固定資産の減少331百万円及び繰延税金資産の減少168百万円があったことによるものであります。

 

(流動負債)

 当連結会計年度末における流動負債は、8,807百万円となり前連結会計年度末に比べ1,429百万円増加しました。これは、主に1年内返済予定の長期借入金の減少100百万円があったものの、短期借入金の増加1,100百万円及び仕入債務の増加210百万円があったことによるものであります。

 

(固定負債)

 当連結会計年度末における固定負債は、2,698百万円となり前連結会計年度末に比べ337百万円減少しました。これは、主に長期借入金から1年内返済予定の長期借入金への振替による減少200百万円及び退職給付に係る負債の減少146百万円があったことによるものであります。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産は、19,627百万円となり前連結会計年度末に比べ1,468百万円増加しました。これは、主に配当を行ったことによる利益剰余金の減少256百万円があったものの、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加1,276百万円及びその他の包括利益累計額の増加426百万円があったことによるものであります。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの事業活動における主な資金需要は、運転資金及び設備資金等であります。運転資金需要は、生産活動のための原材料費や労務費及び製造経費をはじめ、受注獲得に向けた販売手数料等の販売費、新製品開発のための研究開発費等であります。設備資金等の需要は、事業規模拡大及び生産性向上を目的とした生産設備等の取得であります。これらの資金需要については、営業キャッシュ・フローを源泉としつつ、必要に応じて、運転資金等の短期的な資金については金融機関からの短期借入、設備資金等の長期的な資金については、金融機関からの長期借入及び自己資本での資金調達にて対応していくこととしております。

 資金の流動性については、事業活動に必要な資金の効率的な管理により流動性の確保を行っておりますが、新型コロナウイルス感染症の影響及びロシアによるウクライナ侵攻やロシアに対する各国政府の経済制裁に対する影響による資金繰り悪化に備え、金融機関と2,000百万円のコミットメントライン契約を行い、機動的かつ安定的な調達手段の確保を行っております。

 

④ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、2024年3月期を最終年度とする3ケ年の中期経営計画における“TOYO GO CHALLENGE 2023”において、売上高、売上高営業利益率、及び自己資本利益率(ROE)を重点指標として位置付けております。計画初年度の当連結会計年度は、主要部材の調達先が新型コロナウイルス感染症による生産活動の制約を受けたこと及び世界的なコンテナ不足に伴う物流の停滞によってサプライチェーンが混乱したことなどにより、部材の調達が不安定となりましたが、業界の設備投資意欲は国内・海外共に回復し、需要は堅調に推移しました。このような市場環境のもと、当社グループは中期経営計画に基づいた事業活動を推進し、中長期的な視点からの持続的な成長と安定した収益確保に取り組んでまいりました。この結果、計画初年度の当連結会計年度の計画値は、売上高300億円、営業利益率4%としておりましたが、これを上回る結果となりました。当連結会計年度の結果は、下記のとおりであります。今後も引き続き、①顧客が抱えるモノづくりの領域の課題を解決し、顧客の付加価値向上に貢献する「Customers' Value Up」の推進、②自社・顧客・社会が持続的に成長できる仕組みと体制を整備する「持続的成長に向けた新たな事業の取り組み」、③経営管理基盤と人財育成の仕組みを再構築し、コーポレート・ガバナンス体制の更なる強化を進める「経営基盤刷新と強化」、これらの経営基本方針の各種施策を全社一丸となって取り組み、中長期的な収益向上と企業の経済価値・社会価値向上に取り組んでまいります。

 

区分

当連結会計年度

中期経営計画

(2024年3月期計画値)

売上高            (百万円)

33,273

35,000

営業利益率              (%)

5.3

6.0

自己資本利益率(ROE)         (%)

6.9

8.0

 

 

 

 

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