課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

(1)経営方針

 当社は、「技術を通じて、人々をもっと大切なことへ」というミッションのもと、「最先端のロボティクス技術を追求し、社会インフラに革命を」というヴィジョンを掲げております。当社は自律制御技術を始めとしたロボティクス技術を追求し、常に最先端の技術開発を行っております。それらの技術の社会実装を通じて、人類の活動の基盤となる社会インフラにおける、人類の経済活動の生産性を高め、付加価値の低い業務、危険な業務を一つでも多く代替させ、次世代に向けた社会の進化を推し進めるべく事業を展開しております。

 

(2)経営戦略等

 屋内外の3次元空間を制約なく自由に移動できるロボティクス技術であるドローンの潜在的な利用可能分野は広範であり成長力は非常に高いと考えております。当社は、国内のドローン関連企業において、唯一上場しているドローン専業メーカーであり、ドローンの社会実装と国産ドローンへの回帰が進む中で、日本のドローン市場の成長と合わせて、黎明期に求められる評価用機体の試作や実証実験といったソリューションの作り込みから、成熟期に求められる量産機の開発、量産体制の構築、その後の販売・導入支援までを一気通貫で提供し、デファクトスタンダードの技術としてドローンの社会実装を推進するべく、国産のセキュアな産業用ドローンを提供してまいります。

 産業用ドローン市場が「実証実験期」から「社会実装期」へと移行する中で、当社は2022年1月に2022年度~2025年度を対象とした中期経営方針「ACSL Accelerate 2022」をローリング方式により発表いたしました。「ACSL Accelerate 2022」では、当社が「持続可能なグローバル・メーカーへ」進化するため、従来、進めております4つの用途特化型機体の量産化と社会実装の推進に加え、新たな用途特化型機体の開発と製品のセキュア対応、インド市場への本格進出及びESG施策への取り組みの推進を主な事業戦略の柱として進めてまいります。加えて、現在は産業用ドローンの領域にて展開している、当社のコア技術である独自開発の制御技術について、新たな適応可能性の検討を行い、他分野への展開も進めてまいります。高い技術力により顧客の要望に応えるビジネスモデルを確立することで、高い水準の収益性を実現し、持続的な成長、継続的な企業価値向上を目指してまいります。

 

(3)経営環境

 現在、日本においては、労働人口の減少による人手不足の深刻化が進む一方で、今後、インフラ設備の老朽化の進行が見込まれ、労働力の需要と供給の不一致は社会的な課題となっています。省人化・無人化を推進することは社会的な要請であり、加えて、新型コロナウイルス感染症拡大による、リモートワーク・非接触・遠隔操作など新たな生活様式の広がりに伴い、省人化・無人化に対する市場要求は、より一層顕在化しております。

 我が国のドローン市場を取り巻く環境としては、政府がデジタル田園都市国家構想において、物流やインフラ点検へのドローンの利活用に言及するなど、ドローンの社会実装に向けた後押しを進めております。また、脱炭素化の動きが世界的に広がる中で、今後増加していく風力発電設備の点検へのドローンの活用や、荷量の限られる過疎地域等でのドローン物流活用による輸配送の効率化など、脱炭素を実現するロボティクス技術としてドローンに注目が集まっております。

 近年、政府や大企業がインフラ点検、物流・郵便、防災・災害対策等の領域でドローンの本格的な導入の意思決定を表明しており、社会実装へのコミットメントの機運が高まっております。また、政府はドローンの調達にあたり、2020年9月に公共の安全と秩序維持等に支障の生じるおそれがある業務等に用いられるドローンの調達はセキュリティが担保されたドローンに限定し、既に導入されているドローンについても速やかな置き換えを実施する方針を公表いたしました。セキュアなドローンの需要は、政府のみならず、民間企業においても顕在化しており、セキュリティが担保されたドローンとして、国産ドローンへの回帰の動きが急速に進んでおり、まさに「ドローン元年」とも呼ぶべき変化点を迎えております。

 また、ドローンを取り巻く法規制は、政府が2022年度を目途としている「レベル4」(有人地帯上空における目視外飛行)の実現に向けて、2021年6月に航空法改正案が成立するなど、着実に整備が進んでおります。機体の安全性に関する認証制度やドローン操縦者ライセンスを含むレベル4が整備されると、既に法整備が進んでいるレベル1~3の市場に加えて、ドローン物流など、我が国においてドローンで利用可能な巨大な空間・市場が出現する見込みです。

 現状、目視内飛行(レベル1・2)の市場については市場拡大に向けた必要条件である規制や技術・製品などの整備とともに、市場拡大に向けて特定用途向けの専門的な運用やソリューションが開発されつつあり、ドローンの社会実装が進んでおります。また、目視外飛行(レベル3・4)の市場も市場拡大の必要条件である規制や技術の整備が着実に進んでおり、今後の市場の創出・拡大が見込まれます。

 そのような中、当社は2020年8月に示した中期経営方針「ACSL Accelerate 2020」で掲げた4つの事業戦略の柱である①用途特化型機体開発、②サブスクリプションの導入、③ASEAN等のアジアへの本格進出、④CVCによる技術調達について、戦略的な取り組みを推進してまいりました。

 直近の進捗として、①「用途特化型機体の開発」について、(ⅰ)小型空撮機体においては、「未来を支えるセキュアな国産ドローン」である蒼天(SOTEN)を2021年12月に上市し、量産販売を開始し、受注開始依頼、多くの引き合いを頂いております。(ⅱ)中型物流については、レベル4の技術を前提とした中型物流ドローンの開発と中型機体の量産化の実現を推進しております。また、レベル4におけるドローン物流の社会実装を目指すべく、2021年6月に日本郵便及び日本郵政キャピタルとの資本業務提携契約を締結しました。日本郵政グループとの連携を強化し、レベル4に対応した機体の開発、実証の加速を進め、2022年以降のレベル4実現を目指しております。(ⅲ)煙突点検においては、既に実環境での有効な実証結果を取得済みであり、販売に向けた試作機が完成しました。(ⅳ)下水道等の閉鎖環境点検においては、2021年5月にNJSと共同で開発した閉鎖性空間調査点検用ドローンの新型機Fi(ファイ)4を発表し、量産販売する体制を構築しております。また、顧客向け操作体験会を実施するなど現場での活用につなげる取り組みを実施しております。

 ②「サブスクリプションの導入」については、従前の売り切りモデルに加えて、顧客の初期導入ハードルを下げるべく、点検用途機体のサブスクリプションサービス提供を2021年より開始し、複数社と具体的なサービス提供を協議しております。

 ③「ASEAN等アジアへの本格進出」については、インドにおいてパートナー企業との合弁会社(ACSL India Private Limited)を2021年9月に設立いたしました。現在、インド市場において大きなシェアを持つ中国製のドローンを代替すべく、当社の産業用ドローンの技術を活用して、ACSL India Private Limitedにて製造した産業用ドローンを販売いたします。

 ④「CVCによる技術調達」については、2021年6月に、アジアNo.1のドローンサービスプロバイダー(※2)であるAerodyne Groupへの出資や、セイノーホールディングスとの資本・業務連携におけるエアロネクストへの出資をいたしました。それらに加えて、レベル4を見据えた協業を強化すべく、VAIOの子会社として設立され、ドローンによる社会インフラの革新を推進・加速する機体開発、ソリューション提供を行うVFRに2021年10月に出資をいたしました。

 研究開発においては、今後、飛躍的に拡大が見込まれる産業用ドローンの様々なニーズに応えるべく、短期的な利益を追うのではなく、中長期的な成長を実現するために戦略的かつ積極的に研究開発費を投下する方針を維持し、レベル4認証取得に向けた安全性・信頼性向上や画像処理(Visual SLAM等)を軸とした自律制御・エッジ処理の高度化、及び用途特化型機体の製品化・量産体制の構築を進めております。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社が優先的に対処すべき課題は下記のように考えております。

① 開発戦略

 用途特化型の機体開発として小型空撮、閉鎖環境点検、煙突点検、中型物流の4つの用途にあわせた機体開発を進めてまいりました。機体開発においては現場での実証実験を通じた技術開発を進めております。また、プラットフォーム技術の強化として、これまで進めてきた自律制御・エッジ処理の高度化や基盤技術向上、ユーザーインターフェース強化等に加え、レベル4を見据えた安全な機体の設計、飛行中の通信処理の向上とセキュリティ対応、操作性を向上させる地上局のアップデート等を行ってきました。今後は、4つの用途特化型の機体の量産、2022年のレベル4対応等を見据えた継続的な開発に加え、新たな用途特化型機体の開発と製品のセキュア対応等の積極的な先行投資を進めてまいります。

 また、2020年12月に設立したCVCを通じて、当社の技術開発を加速させるような企業に対して投資を行うことで、革新的な技術開発を目指すと同時に、より効率的な開発を目指してまいります。

 

② 生産体制

 用途特化型機体の量産に向け、安全品質を最優先事項と位置づけ、品質向上を目指して、社内体制の強化を進めてまいりました。また、機体の量産について、国内における高品質な組み立て供給が可能なパートナー企業との連携により、販売を開始した用途特化型機体の量産体制を構築しております。今後もパートナー企業との連携を進め、高品質かつ安定的な量産体制の構築を目指します。

 

③ 営業戦略

 販売においては、主に政府向けを想定した小型空撮機体を中心に、販売代理店網の構築を進め、用途特化型の機体の販売を軸に出荷機体の増加を目指します。また高品質、セキュリティ対応をしたプラットフォーム機体の販売拡大に加え、引き続き大企業を中心とした各分野の顧客に対し、業務効率化・無人化を目指した実証実験・カスタム開発の提供を推進します。

 また、インド市場への本格進出に伴い、インドにおけるパートナー企業と連携し、インドでのマーケティングを本格化させていきます。

 

④ 規制への対応

 ドローン関連業界を取り巻く大きなトレンドとしての2022年のレベル4の規制整備、セキュリティへの対応について、規制の変化に対応し、拡大が見込まれる需要に対応すべく、規制整備に関連する国土交通省、経済産業省などの行政機関と引き続き、密な連携を図ってまいります。

 加えて、インド進出においては現地規制当局との連携も進めております。

 

⑤ 内部管理体制の強化

 今後一層の事業拡大を進めるにあたり、適切なコーポレート・ガバナンスシステムの構築、コンプライアンス遵守体制の整備に継続して取り組んでまいります。また、監査役、監査法人とより密接な連携を図ることで、内部統制システムの適切な運用を進めてまいります。

 

(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社では、急速かつ持続的な利益成長を目指して成長性や効率性の向上に取り組んでおり、主な経営指標として、売上高、研究開発費を特に重視しております。また、当社事業モデルを勘案した上での成長ドライバーとしてのKPIは、用途特化型機体の量産モデルを想定した上で、用途特化型機体の用途数、出荷台数また、ソリューションの作りこみとして、概念検証(PoC)及びカスタム開発におけるプロジェクトの案件数、機体の出荷台数があげられます。研究開発費においては、外部パートナーを有効活用することにより、当社としてのコア技術であるSLAMを含めた大脳・小脳の自律制御開発を推進するとともに、今後のレベル4対応等に向けた開発投資を積極的に進めていく予定です。

 

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