(1) 経営成績等の状況の概要
① 経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種の進展により、社会経済活動の回復が進みました。一方、変異株による感染再拡大、資源価格高騰や半導体不足等の影響もあり、依然として経済の先行きは不透明な状況にあります。
このような状況の下、当社グループは顧客の近くに開発・生産・販売拠点を持つ強みを生かし、積極的に営業展開し、装置の早期検収に努めました。分野別売上高では、スマートフォン分野であるスマートフォンカメラモジュール、筐体への加飾膜や3Dカメラへの成膜、IoTでは生体認証、光通信機器やAR/VR、LED向けの成膜等、幅広い分野の売上高を計上したものの、世界的な半導体不足が顧客の開発・生産活動へ与えた影響等により前年同期比で装置販売台数が減少し、減収となりました。
利益面では、調達コスト削減や作業効率改善等の原価改善活動の取り組み、利益率の高い新型装置販売が堅調であったことによる原価率改善、円安による為替差益計上や出資金の一部売却による特別利益計上などがあったものの、装置販売台数が減少したことにより減益となりました。
受注においては、新型コロナウイルス感染拡大の影響から設備投資は全般的に慎重であったものの、スマートフォン関連メーカーからの受注は堅調、自動車関連成膜装置、5G関連の光通信向け成膜装置やLED向け成膜装置の受注は好調に推移いたしました。
その結果、売上高は30,891百万円(前年同期比17.6%減)、営業利益は7,025百万円(前年同期比18.6%減)、経常利益は7,901百万円(前年同期比8.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は6,330百万円(前年同期比
6.9%減)となりました。
② 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末の流動資産は、53,145百万円と前連結会計年度末と比べ8,573百万円の増加となりました。増加した要因は、現金及び預金や原材料及び貯蔵品が増加したことなどによるものです。
固定資産は、11,529百万円と前連結会計年度末と比べ1,774百万円の増加となりました。増加した要因は、建設仮勘定や機械装置及び運搬具が増加したことなどによるものです。
(負債)
流動負債は、17,056百万円と前連結会計年度末と比べ3,401百万円の増加となりました。増加した要因は、支払手形及び買掛金や前受金が増加したことなどによるものです。
固定負債は、1,534百万円と前連結会計年度末と比べ377百万円の増加となりました。増加した要因は、繰延税金負債が増加したことなどによるものです。
(純資産)
純資産は、46,083百万円と前連結会計年度末と比べ6,568百万円の増加となりました。増加した要因は、利益剰余金が増加したことなどによるものです。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、32,273百万円となり、前連結会計年度末に比べ9,550百万円の増加となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、売上債権の減少4,411百万円や前受金の増加819百万円などにより、
10,685百万円の収入となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、出資金の売却による収入1,361百万円などにより、375百万円の収入とな
りました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払額2,145百万円などにより、2,735百万円の支出となりまし
た。
④ 生産、受注及び販売の実績
(イ)生産実績
当連結会計年度の生産実績は、次のとおりであります。なお、当社グループは成膜装置事業の単一セグメントであります。
セグメントの名称 |
生産高(千円) |
前年同期比(%) |
成膜装置事業 |
15,935,037 |
86.7 |
(注)1.金額は製造原価によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(ロ)受注実績
当連結会計年度の受注実績は、次のとおりであります。なお、当社グループは成膜装置事業の単一セグメントであります。
セグメントの名称 |
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
成膜装置事業 |
35,435,390 |
123.9 |
28,126,490 |
119.3 |
(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(ハ)販売実績
当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。なお、当社グループは成膜装置事業の単一セグメントであります。
セグメントの名称 |
売上高(千円) |
前年同期比(%) |
成膜装置事業 |
30,891,957 |
82.4 |
(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 |
前連結会計年度 (自 2020年1月1日 至 2020年12月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年1月1日 至 2021年12月31日) |
||
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
Apple Inc.グループ |
5,412,301 |
14.4 |
3,182,051 |
10.3 |
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.「Apple Inc.グループ」の販売高は、Apple Inc.とその関係会社に対する販売価格をすべて合算した金額を記載しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の経営成績等は、以下のとおりであります。
(売上高)
売上高は、スマートフォン分野であるスマートフォンカメラモジュール、筐体への加飾膜や3Dカメラへの成膜、IoTでは生体認証、光通信機器やAR/VR、LED向けの成膜等、幅広い分野の売上高を計上したものの、世界的な半導体不足が顧客の開発・生産活動へ与えた影響等により前年同期比で装置販売台数が減少となり、前連結会計年度に比べ17.6%減少し、30,891百万円となりました。その内、ALD装置や新型スパッタ装置等の売上高は10,215百万円でした。
(営業利益)
売上原価は、売上高の減少に伴い、前連結会計年度に比べ23.3%減少し、17,502百万円となりました。調達コスト削減や作業効率改善等の原価改善活動の取り組み、利益率の高い新型装置販売が堅調であったことによる原価率改善等により、売上原価率は4.1ポイント減少し、56.7%となりました。
販売費及び一般管理費は前連結会計年度に比べ5.1%増加し、6,364百万円となりました。
以上の結果、営業利益は前連結会計年度に比べ18.6%減少し、7,025百万円となりました。
(経常利益)
営業外損益は、為替差益732百万円や補助金収入100百万円等があったものの、経常利益は前連結会計年度に比べ8.2%減少し、7,901百万円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
特別損益は、出資金売却益899百万円等があったものの、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ6.9%減少し、6,330百万円となりました。
今後の見通しにつきましては、新型コロナウイルスの感染再拡大や半導体不足等の影響があるものの、社会経済
活動は回復基調が継続すると見込んでおります。光学薄膜市場は、2021年後半において受注は回復傾向にあり、新
技術を取り入れた最終製品の進化は著しくより高度な光学薄膜技術を反映した光学薄膜装置需要は堅調に推移する
ものと見込みます。
最終製品の市場動向は、以下のように見込んでおります。
スマートフォンでは、5G端末の普及や外出増加による買い替え需要から、出荷台数の増加を見込みます。また、
カメラ機能は複眼化がさらに進み3眼以上が主流・標準になることや高画質化・高感度化による成膜需要、AR/VR技
術を駆使した3D機能も拡張し高精度な3Dセンシングへの成膜需要も期待されます。
IoT分野である自動車では、ADAS(先進運転支援システム)や自動運転技術向上にともなう車載カメラ搭載数の
増加による成膜需要、よりグラフィカルな表示ニーズのあるセンターインフォメーションディスプレイやメーター
ディスプレイ等の成膜需要、ARスマートグラスやヘッドマウントディスプレイ等AR/VR関連の今後の表示機能の性
能向上による成膜需要の拡大を見込みます。
これらの最終製品市場動向を確実に捉え、ALD装置を含む新型装置の拡販に向けて最先端分野への研究開発を積極的に行い、さらなる成長を図ってまいります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、当社グループの運転資金需要のうち主なものは、材料の仕入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資や事業拡大を図るためのM&A等の投資であります。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。
また、新型コロナウイルス感染症拡大等により先行き不透明な中、不測の事態に備えるため、十分な手元流動性を確保するとともに、当座貸越枠を設定し、適時に必要資金を確保する体制としております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表作成には、資産、負債、収益及び費用の測定等に経営者の見積り及び仮定を含んでおります。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
なお、新型コロナウイルス感染症の当社グループ業績に与える当社影響については、2022年12月期において一定期間にわたり当該影響が継続すると仮定し、会計上の見積りを行っております。現時点においては重要な影響を与えるものではないと判断しておりますが、今後の状況の変化によっては、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
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