文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2022年3月31日現在)において当社グループが判断したものであります。
原材料価格の高騰、半導体不足の長期化に加え、ロシアのウクライナ侵攻により、世界経済は極めて不透明な状況となっております。一方で、新型コロナウイルス感染症に関する取り組みを契機とした産業構造の変化、脱炭素に向けた新たなニーズの高まり及びAIを活用したDXの加速といった動向は、未利用熱の回収に活用される熱交換器の製造販売や、食品ロス低減に向けた製品やサービスを推進する当社において、新たな成長の機会と捉えております。
また、2022年4月より当社は東京証券取引所プライム市場へ移行しましたが、CSRやSDGsという視点をこれまで以上に重視し、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。その具体化に向けて策定している10年後(2029年度)ビジョン及び中期経営計画「G-20」の概要は、以下のとおりであります。
ⅰ.10年後(2029年度)ビジョン(2019年度策定)
●コア技術を、より高く、より広く、より深く追求し様々な社会課題の解決に貢献する社員集団が実現できている。
●CSR活動を通したコーポレートガバナンス体制のより一層の強化が図れている。
●競争力・収益力の向上を図り、長期的な企業価値の増大に向けた企業経営の仕組みが構築できている。
ⅱ.中期経営計画「G-20」の概要
a.「G-20」中期ビジョン
b.CSR-SDGsビジョン
中期経営計画の遂行にあたりSDGsを取り入れた企業経営により、日阪グループが持つ総合力で社会課題を解決し、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
c.連結業績目標
(単位:百万円)
|
「G-17」 2020年 3月期 実績 |
「G-20」 |
増減率 |
|||
2021年 3月期 実績 |
2022年 3月期 実績 |
2023年 3月期 |
||||
当初計画 |
修正計画 |
|||||
受注高 |
31,952 |
28,165 |
34,685 |
35,000 |
35,500 |
11.1% |
売上高 |
32,511 |
28,437 |
30,085 |
34,000 |
34,500 |
6.1% |
営業利益 |
2,274 |
1,409 |
1,819 |
2,720 |
2,500 |
9.9% |
営業利益率 |
7.0% |
5.0% |
6.0% |
8.0% |
7.2% |
+0.2pt |
経常利益 |
2,573 |
1,765 |
2,270 |
2,920 |
2,800 |
8.8% |
親会社株主に帰属する当期純利益 |
2,080 |
1,212 |
2,058 |
2,000 |
1,940 |
△6.7% |
ROE |
4.1% |
2.3% |
3.8% |
3.8% |
3.6% |
△0.5pt |
※増減率は「G-17」2020年3月期と「G-20」2023年3月期(修正計画)の比較です。
d.事業セグメント別の経営戦略
ⅰ.熱交換器事業
きっと・もっと・ずっと-熱で未来を創造するThe Thermal Solution Companyを掲げ、熱に関する社会課題を解決できる業界No.1企業を目指す。
・顧客の熱に関する課題を解決する「熱ソリューション」の提供を推進
・前期中期経営計画で実施したセグメントマトリクス組織の深化とセグメント間の連携強化
・SDGsの考え方に基づく新製品・技術・サービスの開発
・日本、マレーシア、中国におけるグローバルモノづくり活動の推進
・東アジア、ASEAN、オセアニア、MENA(Middle East & North Africa)でのシェア拡大
ⅱ.プロセスエンジニアリング事業
世の中で求められているもの、新しい価値となるものを第一に考え、顧客の期待を超えるNo.1の製品とNo.1のサービスを提供する。
・時代に合わせたニーズを汲み取る新たな事業の開発
・顧客企業の省人・省力・高品質生産ニーズに応える製品・システムの提供
・中国子会社における生産体制強化
・国内子会社との連携による食品・医薬機器に関する事業強化
・生駒事業所(2023年度開設予定)での生産体制構築に向けた準備活動
ⅲ.バルブ事業
様々な業界にNo.1品質・性能のボールバルブを提供し、お客様の事業活動を通じて健全な社会づくりに貢献する。
・主要販売先である化学業界への受注を拡大するとともに重点市場への営業を強化
・用途限定弁の販売強化によるシェア拡大
・社会課題の解決と持続可能な社会の実現に貢献できる製品の販売
・中国及びタイを中心としたASEAN地域への販売強化
・さらなる売上拡大を目的とする鴻池事業所での生産体制再構築に向けた準備活動
②資本政策の基本的な方針
当社の資本政策につきましては、株主の皆様へ継続的及び安定的な利益還元に努め、強固な財務基盤を確保するとともに、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図るため、戦略的投資をバランス良く考慮することを基本方針といたします。
当社は、連結株主資本利益率(ROE)を株主価値向上にかかわる重要な指標として捉えております。中長期的な視点に立ち、効率的な資本政策を実行し資本コストを上回るROEを目指すことで、株主価値向上に努めてまいります。
当社の利益配分につきましては、全てのステークホルダーの皆様に対し「公平」且つ「公正」を念頭に置きつつ、財務体質と経営基盤の強化を図りながら、株主の皆様に対する適正な利益の還元を利益配分の基本方針としています。具体的には、内部留保とのバランスを考慮しつつ、連結純資産及び連結業績の状況を勘案し、連結純資産配当率(DOE)1.5%以上を目途に継続的・安定的な配当に努めます。
剰余金の配当につきましては、中間配当及び期末配当の年2回の配当を基本的な方針としております。配当の決定は、会社法第459条第1項の規定に基づき、株主総会の決議によらず、取締役会の決議をもって剰余金の配当等を行うことができる旨を定款に定めております。
また、自己株式取得につきましては、必要な内部留保の水準を考慮しつつ、経営環境の変化、株価の動向及び財務状況等を勘案のうえ、弾力的・機動的に対処してまいります。
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